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木造の小学校校舎

  • honchikojisitenji
  • 2024年6月7日
  • 読了時間: 2分

岡山県訪問の際の三件目は、真庭市久世(くせ)にある旧遷喬尋常小学校の校舎です。

明治40(1907)年の建築で、平成2(1990)年まで、現役の公立小学校校舎として使われていたそうです。テレビや映画の大正・昭和時代の学校風景のロケにも使われている国指定重要文化財となっている有名建築です。完全なシンメトリー(左右対称)の外観を持つルネッサンス様式の欧風木造建築です。木材は周辺の国有林材だったらしいです。梁や床板はアカマツ材、柱や壁板はヒノキ材が使われているようです。

校舎の正面入口のある建物の中心部です。ここには、1階には事務室、職員室、校長室、給食室、2階には講堂が作られていました。小屋裏のある2階建てですが、なかなかの威容です。ここから2階建ての両翼に廊下と教室が並んでいます。かなりの建築費をつぎ込んだ立派な公共建築です。

平成の初め頃まで、この校舎で勉強していた小学生がいたのですね。私が平成の初め頃にいた宮崎県の小林市でもやはり市の郊外の学校の建て替えがあり、営林署長として木造校舎を提案したのですが、PTAは子どもたちに鉄筋コンクリートの建物に入れてあげたいという希望を持っていて、結局、鉄筋コンクリートの校舎になってしまいました。

講堂は結構な広さのある空間です。この広さの天井を外側の柱と梁で支えるのですから、屋根裏はトラスになっているのでしょうが、今だったら、建築基準法上、建てさせてもらえないかもしれません。

天井は日本独特の折り上げ式の格天井です。これもアカマツ材だったように見えました。

中国山地は、古くから森を使い、薪や炭を生産してきました。地質が風化花崗岩で、水はけがよく乾燥気味だったため、この時代アカマツの天然林が多かったようです。今は、そのアカマツは松くい虫によって全滅状態になっています。

この建物は、近々保存改修が入るそうです。ずっとこの威容が保たれることをお祈りします。

建物は、その建物の役目として地域の創造に重要ですし、このように建物の役目を終えても、その地域の素材で作られた良い建物は長く地域の歴史や文化を留めることができると思います。

 
 
 

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