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[日本再生][地域創生] BCP(事業継承計画)多様なリスクに対応 2024年12月2日 静岡県・高知県 作成企業3割に 災害・サイバー・感染症

  • honchikojisitenji
  • 2024年12月3日
  • 読了時間: 9分

 

続木 碧(つづき あお)  2024年12月(研究報告№131)                                                                                                         

「巻頭の一言」

 災害があっても事業を続けるために、BCP(注1、事業継承計画)を作成する動きが広がっています。自然災害に加えてサイバー攻撃(注2)や感染症などのリスクの多様化が機運を高めており、8割の都道府県で作成した企業の割合が増えました。南海トラフ地震(注3)が懸念される高知県や静岡県は3割前後に達しており、自治体や企業の独自の工夫も増えています。2024年11月16日、日経朝刊、2面記事(藤井太郎)を参照・引用して記述。

 

[日本再生][地域創生] BCP(注1、事業継承計画)多様なリスクに対応 静岡県・高知県 作成企業3割に 災害・サイバー・感染症

 

「日本再生」「地域創生」 BCP(事業継承計画)の多様なリスクに対応する。 静岡県・高知県は 作成企業が3割に。 災害・サイバー・感染症の事業継承計画の前進を進めている。

 

ここでは、日本経済新聞の2024年11月16日、朝刊2面の記事を紹介します。

 

 

[はじめに]

帝国データバンクが2024年5月に実施した調査を基に、都道府県別の動向を分析しました。回答した全国の1万1410社のBCR(注1、事業継続計画)の作成率は、19.8%で、調査を始めた2016年に比べて4.3ポイント伸びました。大企業が37.1%、中小企業が16.5%で作成中や検討中を含めると5割が前向きです。都道府県別の作成率は高知県が33.3%で最も高く、富山県、静岡県がこれに続いていました。

 

[静岡県浜松市]

 静岡県浜松市のバネメーカー、沢根スプリングは、売上の2割相当の製品を、「気持ち」が不要な手作業で生産しています。同社は2012年に、BCP(注1、事業継承計画)を作成しました。2018年の台風時には停電の復旧に2日かかりましたが、非常用発電機も活用して、最低限の業務を続けることができました。

 かっては自動車向けの量産品が、売り上げの8割を占めていましたが、現在は「1点ごと」でも、注文を受け付けており、生産品目は5千種類に達しています。約9億円の売上高のうち量産品は4割程度になりました。沢根孝佳会長は「非効率でも『分散』が究極のBCPです」と強調しています。県外の同業4社と有事に物資や人手を融通する協定も結びました。

 静岡県は南海トラフ地震(注2)を想定したBCPのモデルプランを、2006年に作成しました。ここでは沢根スプリングの事例も参考にしました。現在は、感染症対策などを盛り込んだ第4版を公開しています。

 

[高知県・高知市]

 高知県も、BCP(注1、事業継承計画)の作成方法などを教える講座を開いています。さらに、一定の基準を満たした事業所を「南海トラフ(注2)地震対策優良取組事業所」として認定しています。2024年7月には高知銀行などと協定を結び、がれき撤去などに使う重機の操作を、行員らに指導しました。高野一郎社長は「住民や地元企業と防災意識を共有することで、企業価値を高めたい」と話しています。

 事業継承リスクは、自然災害だけではないのです。静岡市で圧力容器などを製造しているケーイーコーポレーションは、サイバーセキュリティー体制(注3)の構築を始めました。取引先を装った不審なメールが増えたうえ、取引先からサイバー攻撃対策の整備を求められたためです。まずはメールの取り扱いなどの注意点を明文化して、全社員が共有しました。

 自然災害に対するBCP(注1)は作成済ですが、梶本浩太郎社長は、あらゆる面で事業継続体制を明確にすることが信頼につながります。今後もBCPを充実させていきたい」と話しています。

 

[愛媛県松山市]

新型コロナウイルス禍が、景気の感染症対策にも、大きなリスクとなることが浮上してきました。松山市の道後温泉旅館協同組合は、地震と感染症などに備えるBCP(注1、事業継承計画)を作りました。ここでは、感染拡大時の宿泊制限や料理提供のルールなどを、盛り込みました。奥村敏仁理事長は、「被害を受けた後の資金繰り対策も重要として、金融対策も加えており、地元金融機関との連携を深めています。

 

[この項のまとめ]

事業継承計画(注1)が広がるとはいえ、作成企業が10%程度にとどまる県も残っているのです。災害への切迫感の温度差が、これを生むのですが、感染症などは場所を選ばないのです。危機管理に詳しい慶應大学の大林厚臣教授は「BCPを作りたくても、専門家などを活用する余裕やノウハウが乏しい中小企業は、多いのです。結局、自治体などによる継続的な支援が、なんとしても必要なのです。」と述べています。2024年11月16日、日経朝刊、2面記事(藤井太郎)を参照・引用して記述。

 

 

[まとめ]

この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2024年11月16日の朝刊、2面記事(藤井太郎)には、図表が3枚記載されていました。①BCP(注1、事業継承計画)を作成済みの企業の割合。帝国データバンク。2024年5月。②BCP(注1、事業継承計画)作成・推進の課題。(出所)内閣府。➂中小の作成率の向上が課題。(出所)帝国データバンク。

 

 

 

[図表1]

図表1(注4)は、2024年11月16日の日経新聞紙上に、日本列島の地図として

記載されていました。この図表は「BCP(事業継承計画)を作成済みの企業の割合。」と題した図表でした。この図表では、BCP(事業継承計画)を作成済みの企業の割合を、下記の4群に分けて青色系の色彩に塗り分けて記述していました。

(1)  作成済み30%以上(黒色、第1群)。

(2)  同20%以上30%未満(濃い青色の斜線、第2群)。

(3)  同10%以上20%未満(濃い青色、第3群)。

(4)  同0%以上10%未満(淡い青色の斜線、第4群)。

このまとめを実施したデータは、中国データバングのデータで、2024年5月のデータでした。

 

第1群のデータは、2024年5月の中国データバンクのデータで、BCP(事業継承計画)を作成済みの企業の割合が30%以上の地域を、第1群、黒色としました。

第1群は、BCP(事業継承計画)の作成済みの企業の割合が全国一位の地域、高知県の一カ所だけでした。

 

第2群は、BCP(事業継承計画)の作成済みの企業の割合が全国第2位から第20位の地域の19カ所、これは、作成済企業の割合が20%以上30%未満の濃い青色の斜線の地域でした。すなわち、これは以下の各地です。

富山県、静岡県、北海道、宮城県、山形県、福島県、栃木県、長野県、石川県、福井県、東京都、神奈川県、山梨県、滋賀県、鳥取県、岡山県、佐賀県、香川県、愛媛県。(以上19都県)。日本における最大の大都市、東京都は、この第2群に入っていました。

 

第3群は、BCP(事業継承計画)の作成済みの企業の割合が10%以上20%未満の地域(青色)の地域でした。第3群では、地域のカ所数は、さらに多くなります。それは以下です。

青森県、岩手県、秋田県、新潟県、茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、兵庫県、奈良県、大阪府、和歌山県、島根県、山口県、広島県、福岡県、長崎県、大分県、宮崎県、熊本県、鹿児島県、徳島県、(以上26府県)。この第3群には関西の雄、大阪府と京都府が入っていました。また、東京を囲む首都圏の諸県と全国の主要な都市が入っていました。

 

第4群は、BCP(事業継承計画)の作成済みの企業の割合が0%以上10%未満のところ(淡い青色の斜線)の地域でした。この4群に入っていたのは、沖縄県の1カ所でした。

 

 

[図表2]

 図表2(注5)は、「BCP(事業継承計画)の作成・推進の課題」と題した図表でした。これは日本経済新聞の2024年11月16日の朝刊に掲載されていた図表です。


この図表の上覧には、0、10、20、30の数値(%)が列記してありました。これはBCP(事業継承計画)の「作成ならびに実施」と、これと重要な関係を持つ「課題」の関係を示す図表でした。すなわち、「計画・実施」と「課題」の関係の深さを示す数値(%)を明示したものです。

 また右覧には、ここで出現する「課題」の重要なものを6個列記していました。そして、この縦・横を用いて、計画・実施と重要課題を示す事業計画実施工程表を書きました。これが下記です。


         図表2「BCP(事業継承計画)の作成・推進の課題」

 

[事業計画実施工程表]

   計画・実施と課題の関係性(%)             課 題

  0   10   20   30%  

   ―――――――――――――――   部署間の連携が難しい

   ―――――――――――――――   人手を確保できない

   ――――――――――――――    現場の意識が低い

   ―――――――――――       バックアッブシステムの構築が難しい

   ――――――――――        必要なスキルのノウハウがない

   ―――――――           サプライチェーン内での調整が難しい


ここでは6つの「作成・維持における『課題』」を並べ、その影響(%)を示しました。この結果、「部署内の連携が難しい」、「人手を確保できない」、「現場の意識が低い」などの課題が、「BCP(事業継承計画)の作成・推進」に重要な関係を持つことがわかりました。



[図表3]

 図表3(注6)は、「中小の作成率向上の課題」と題した図表でした。この図表の左欄には、5、10、15、20、25、30、35、40%と、大企業ならびに中小企業のBCP(事業継承計画)の作成率を示す数値「%」が記されていました。また、下欄には2016年から2024年までの9年間の「年」が記してありました。この縦横を用いて、各年の同時期における「大企業」ならびに「中小企業」のBCPの作成率(%)を示す、黄緑色(大企業)と黒緑色(中小企業)の折れ線グラフが記してありました。なお、このデータの出所は、帝国データバンクです。

 

このうち、大企業のデータは、2016年の27%から始まり、2024年にむかって順調に上昇し、37%達していました。

 一方、中小企業のデータは2016年の12%から始まり、少しづつ上昇を続け、2024年には17%に達していました。

この2本の折れ線グラフは、大企業のデータをみても、中小企業のデータを見ても、2016年から2024年の間では、上昇基調にあり、今後もさらに、上昇していくと期待されているのです。

でも、中小企業のBCP(事業継承計画)の作成率は、大企業に比べて常に低位置にあり、急速に大企業に追いついて行く気配はありません。

 

日本の現在の産業・企業・社会の大問題は、日本では、今、重要な位置を占めている「中小企業」が、BCPの成長率を急上昇させ、大企業との差をつめて行けるかどうかに、かかっているのです。これは、未来に向う日本にとって、きわめて重要なことですから、日本国も企業も、日本人も、全力を傾注して、この改善に向かわねばなりません。

 

 

(注1) BCP(事業継承計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの 緊急事態 に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことである。

 

(注2)  南海トラフ巨大地震は、フィリピン海プレートユーラシアプレートとのプレート境界の沈み込み帯である南海トラフ沿いを震源域とする巨大地震である。約100年〜150年に一回の間隔で発生しており、時に超巨大地震となることもある。

 

(注3)サイバーセキュリティーとは、電子的方式、磁気的方式その他、人の知覚によっては認識することができない方式により記録され、又は発信され、伝送され、若しくは受信される情報の漏えい、滅失又は毀損の防止のために必要な措置が講じられ、その状態が適切に維持管理されていることをいう。

 

(注4) 日本経済新聞2024年11月16日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。

図表1①BCPを作成済の企業の割合。(出所)帝国データバンク、2024年5月。

 

(注5) 日本経済新聞2024年11月16日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。

図表2②BCP作成・推進の課題。(出所)内閣府。

 

(注6) 日本経済新聞2024年11月16日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。

図表3➂中小の作成率向上が課題。(出所)帝国データバンク。

 

 

(1)日本経済新聞、2024年11月16日 朝刊(2面)。

[付記]2024年12月2日:

 
 
 

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