[日本再生][地域創生] 老いる下水道、まち脅かす 2025年3月17日 愛知県岡崎市 AIで劣化箇所予測 耐用年数超え、最大6割も
- honchikojisitenji
- 3月22日
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続木 碧(つづき あお) 2025年3月(研究報告№141)
「巻頭の一言」
全国の自治体が下水道の老朽化対策に力を入れています。2023年度に耐用年数の50年を超えた下水道管は、全体の7.3%に達し、最も高い自治体は6割を超えました。破損すれば住民生活への影響は大きいのです。人手や資金が限られるなか、長野市は計画的な改修で老朽管を減らしています。人工知能(AI)など最新技術を活用して、効率的な点検・改修を目指す動きも広がります。2025年3月1日、日経朝刊、2面記事、(杉本耕太郎、磯貝守也)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生] 老いる下水道、まち脅かす。愛知県岡崎市 AIで劣化箇所予測。耐用年数超え、最大6割も。
「日本再生」「地域創生」老いる下水道、まちを脅かす。愛知県岡崎市 AIで劣化箇所を予測。耐用年数超えが最大6割もある。
ここでは、日本経済新聞の2025年3月1日、朝刊2面の記事(杉本耕太郎、磯貝守也)を紹介します。
「はじめに」
下水道は、主に市町村が整備し、都道府県が複数市町村の下水を一括処理する場合もあります。市街地の公共下水道のほか、農村部の農業集落排水など国内には計約55万キロメートルの管が張り巡らされています。総務省によりますと、整備から50年が経過した管の割合(老朽化率)は2023年度に7.3%と、5年前より2.3ポイント上昇しました。
先行して整備した上水道の25.4%よりは低いものの、国土交通省の試算では下水道管も、10年後に19%、20年後に40%に高まります。2023年度の自治体別を見ますと、東京都三鷹市が61.4%、同武蔵野市が60.0%、大阪市が49.5%と、整備が早かった都市部の老朽化率が高いのです。下水道管の破損などによる道路陥没は、全国で年2600件起きており、対策は待ったなしです。
[長野県長野市]
2023年度の老朽化率(注1)が、5年前より下がったのは、全国で5市だけでした。長野市は3.0となり、0.5ポイント下げました。設置年数などから、破損の危険が高い箇所を判断して、先行改修をしています。手間と費用を抑えるため、地面を掘り返して新しい管と交換するのではなく、古い管の内側に新しい管を形成する「更生」(注2)という手法で年平均5.3キロメートルを計画改修しています。
現在は年平均約5億5000万円を投じています。陶製の下水道管の目標耐用年数を58年、コンクリート製は66年と算定しています。作業量や費用をならしながら2082年を目途に、「改修の緊急性が高い管を限りなくゼロに近づける」ことを目標にして、進めています。
[東京都三鷹市]
老朽化率が最も高い東京都三鷹市も、今年度中に下水道の新しい経営計画をまとめます。施設を長く使えるように適切な補修を重ねながら、計画改修に取り組む方針です。国土交通省は埼玉県八潮市の事故を受けて、自治体に義務付けている定期点検の見直しを検討していますが、市町村などの負担の現状は、きわめて重いのです。
[愛知県岡崎市]
愛知県岡崎市は、2024年10月からAIで破損管を早期発見する実証実験を始めました。過去の点検で見つかった破損個所の土壌データなどをAIが学習し、劣化している可能性の高い箇所を予測しています。
[秋田県]
秋田県は、県内全25市町村、上下水道建設コンサル日水コンなど3社と共同で、ONE・AQITA(注3、ワン・アキタ、秋田市)を設立しました。2024年度に、民間の知見も生かした効率的な改修計画の策定や技術研修などを開始しました。2025年度からは自治体職員が担ってきた事務作業も一部請け負う計画です。佐々木寿一社長は「現場の負担を減らして人材不足をカバーしたい」と話しています。
[この項のまとめ]
システムを提供するフラクタジャパン(東京・中野)によりますと、別の自治体の実証実験では、従来の半分以下の点検作業で、不具合を発見できたと言っています。2025年度に実地調査でAIの精度を確認したうえで、本格活用を検討する予定です。
全国の下水道事業のうち8割は、使用料収入で経費をまかなえていないのです。このため、老朽化対策のための値上げが相次いでいるのです。行政改革で下水道職員の削減が進み、人材不足もきわめて深刻なのです。
下水道事業に詳しい近畿大学の浦上拓也教授は「安定運営には適正な人員の確保など組織の強化が欠かせない」と強調しています。その上で「上下水道の経営一体化や複数自治体による広域連携で組織規模を広げ、人材や資金面で老朽化に対応しやすくするべきだ」と指摘しています。2025年3月1日、日経朝刊、2面記事、(杉本耕太郎、磯貝守也)
を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2025年3月1日の朝刊、2
面記事(杉本耕太郎、磯貝守也)には、三つの図表が記載されていました。①「下水道管老朽化率」(注1、都道府県別、全国平均7.3%)。(注)2023年度、老朽化率は耐用年数を超えた下水道管の割合。総務省「地方公営企業決算状況調査」から地方公営企業法の適用した分を集計。②「老朽化率を下げた主な自治体」。出所、総務省資料から集計。▲はマイナス。➂「老朽化は、今後さらに本格化する。」2023年度までは総務省資料から集計。2024年度以降は国土交通省が推計。集落排水は除く。
[図表1]
図表(注4)は、2025年3月1日の日経新聞紙上に、日本列島の地図として記載されていました。この図表は「下水道管の老朽化率(都道府県別、全国平均7.3%)」と題した図表でした。この図表では、2023年度に、老朽化率の耐用年数を超えた下水道管の割合(%)として算出しています。これは、総務省の地方公営企業決算状況調査から、地方公営企業法の適用分を集計しています。
ここでは、下水道管老朽化率10%以上から0%までの間を5段階に分けて整理し、これを日本列島の地図の上に、青色系の色彩で塗り分けて記述しています。
(1) 「下水道管老朽化率」第1群、10%以上、黒色。
(2) 「下水道管老朽化率」第2群、7~10%未満、濃い青色の斜線。
(3) 「下水道管老朽化率」第3群、3~7%未満、濃い青色。
(4) 「下水道管老朽化率」第4群、3%未満、淡い青色の斜線。
(5) 「下水道管老朽化率」第5群、0%、灰色。
次に、この第1群から第5群の各地域について述べます。
第1群は、2023年度の老朽化率の耐用年数を超えた下水道管の割合(%)として算出し、その値が最も大きかったところ(黒色)を、第1群としました。
実際に、その値が10%以上あり、第1群に入ったところは、全国第1位の大阪府(20.2%)、第2位東京都(16.3%)、第3位は香川県(13.8%)であり、これに続くのは、北海道、兵庫県、徳島県でした。これは黒色で示してありました。合計で6カ所ありました。
第2群は、「下水道管老朽化率」が7~10%未満のところで、濃い青色の斜線の地域でした。これは以下です。ここは宮城県、埼玉県、神奈川県、愛知県、滋賀県、京都府、福岡県、鹿児島県、高知県の9か所でした。
第3群は、「下水道管老朽化率」が3~7%未満のところで、濃い青色の地域でした。これは以下です。青森県、秋田県、福島県、栃木県、群馬県、千葉県、愛知県、富山県、岐阜県、福井県、三重県、奈良県、和歌山県、広島県、山口県、長崎県、宮崎県、熊本県、沖縄県、愛媛県の20か所でした。
第4群は、3%未満のところで、淡い青色の斜線の地域でした。これは以下です。岩手県、山形県、新潟県、茨城県、山梨県、長野県、石川県、鳥取県、岡山県、大分県、佐賀県の11か所でした。
第5群は、最も小さかったところ0%の地域で、これは、灰色に塗ってありました。これは島根県1か所でした。
この調査で、今、全国各地で熱心に進められている「下水道管老朽化率の管理プロジェクト」の進捗状況が良く判りました。
このブロジェクトで先陣を切っているのは、第1群を牽引している大阪、東京、香川、北海道、兵庫、徳島の6県に、第2群の宮城、埼玉、神奈川、愛知、滋賀、京都、福岡、鹿児島、高知の9県を加えた15か所です。ここでは、この報告で、たびかび、取り上げてきた諸プロジェクトのリーダー群と、顕著な特徴の差は見られませんでした。。
[図表2]
図表2(注5)は、「老朽化率を下げた主な自治体」と題した図表でした。これは日本経済新聞の2025年3月1日の朝刊に掲載されていた図表です。
ここでは、2023年度に老朽化率を下げた主な自治体について、5年前比で低下率の大きい順に4か所を取り上げて記しています。これを図表2として下記に示します。データの出所は、総務省資料です。
図表2「老朽化率を下げた主な自治体」
順位 自治体(都道府県) 主な内容 老朽化率 5年前比の減少
1 羽曳野市(大阪) 優先順位をつけ年平均 5.2% ▲1.6ポイント
1.3キロ改修
2 尼崎市(兵庫) 大口径の重要管中心に 17.5 ▲0.7
対応
3 長野市(長野) 年間5.5億円を投じて 3.0 ▲0.5
改修
4 大仙市(秋田) 国の交付金を活用して 3.0 ▲0.1
管交換
この図表2では、全国において「老朽化率を下げた主な自治体」について、5年前比減少量(ポイント)の大きい順に、第1位から第4位までを列記してあります。5年前比減少量の全国第1位は大阪府羽曳野市で、減少率▲1.6ポイント、老齢化率5.2%でした。第2位は、兵庫県尼崎市で▲0.7ポイント、17.5%でした。同市の老朽化率は17.5%で、圧倒的に大きい値でした。その理由は、ここで公表されているデータでは確認できませんでした。
第3位の長野市は5年前比0.5ポイント減になり、第4位の秋田県大仙市では、0.1ポイント減に至り、大変、小さい値にまで減りました。この先は、さらに小さい値になっていきますので、この位まで見ておけば良いと思われます。
[図表3]
図表3(注6)は、「老朽化は、今後さらに本格化する」と題した図表でした。この図表の左欄には、0、10、20、30、40%と全国の老朽化率(%)が記してありました。
また、下欄には2020年度、2023、2032、2042年度と「年度」が記してありました。
この図表では、左欄の「老朽化率(%)」と、下欄の「年度」を使って、「年度ごとの
老朽化率(%)」を示す折れ線グラフが記されていました。
この折れ線グラフは、老朽化の急増を示していました。すなわち、2020年度から2023年度までの4年間は、老朽化率の初期の姿を示しています。
すなわち、2020年度の5%から始まり、2023年までは微増で8%に達しました。これが、2023年度からは急増期に入り、2023年度の8%が2032年度には20%に急増し、2042年度には40%に急拡大することが予想されたのです。
ところで、2042年度以降は、どうなるのでしょうか。ここには、2042年度以降の予測については、データが、まだ、ありませんので、解らないのですが、私は、手を合わせて祈っているのです。近々に、未来予測のデータが出てくると思いますが、私は、順調な未来に対して希望が持てるデータが出てくることを祈っているのです。このデータは、集め始めたばかりなので、さらにこの先のことは、まだ、よく解らないのです。
(注1) 排水管が整備されてから50年を経過した管の割合は、配水管の改修時期の目安として重要である。ここでは、これを「老朽化率」と呼んでいる。
(注2) 簡易な下水管整備法=「更生」:下水管整備の手間と費用を抑えるため、簡便な整備法を工夫し、これにより、年平均5.3キロメートルの計画改修をしている。この手法を「更生」と言う。「更生」では、地面を掘り返して新しい管と交換するのではなく、古い管の内側に、新しい管を形成する。
(注3) ONE・AQITA(ワン・アキタ):秋田県は、県内全25市町村と、上下水道建設コンサル日水コンなど3社と共同して、ONE・AQITA(ワン・アキタ)と呼ぶ共同体を設立した。
これは民間の知見を生かして、効率的な改修計画の策定や技術研修などを実施するためである。2024年度に開始した。
(注4)日本経済新聞2025年3月1日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。図表1①「下水道管の老朽化率」(都道府県別、全国平均7.3%)。(注)2023年度、ここでの「老朽化率」は、耐用年数を超えた下水道管の割合である。総務省「地方公営企業決算状況調査」から地方公営企業法を適用した分を集計した。
(注5)日本経済新聞2025年3月1日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。図表2②「老朽化率を下げた主な自治体」。(出所)総務省資料から集計。
(注6)日本経済新聞2025年3月1日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。図表3➂2023年度までは「総務省資料」から集計。2024年度以降は「国土交通省データ」で推計。集落排水は除く。
(1) 日本経済新聞、2025年3月1日 朝刊(2面)。
[付記]2025年3月3日:
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