[日本再生][地域創生] 空き家活用、移住者に仲介 2025年2月3日 2023年最多385万戸、対策急ぐ 広島 VR動画で手軽に内覧
- honchikojisitenji
- 2月9日
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続木 碧(つづき あお) 2025年2月(研究報告№137)
「巻頭の一言」
全国の自治体が空き家対策を急いでいます。高齢化や人口減少で、賃貸向けなどを除いた「放置空き家」は2023年に過去最多となりました。管理が行き届かない空き家は、火災リスクや治安の悪化にもつながります。5年前より空き家率を抑えた広島県は県内市町と連携し、仮想現実(VR、注1)を活用したマッチングサイト(商品やサービスを供給する仕組み、注2)などで移住者を引き寄せています。2025年1月11日、日経朝刊、1面記事(瀬口蔵弘)を参照・引用して記述します。
[日本再生][地域創生] 空き家活用、移住者に仲介 2023年最多385万戸、対策急ぐ 広島 VR動画で手軽に内覧
「日本再生」「地域創生」空き家を活用し、移住者に仲介 2023年最多385万戸となり、対策を急ぐ 広島 VR動画で手軽に内覧する
ここでは、日本経済新聞の2025年1月11日、朝刊1面の記事を紹介します。
「はじめに」
総務省の2023年の住宅・土地統計調査によりますと、全国の空き家は900万戸と30年間で約2倍に増えました。このうち、居住者がいないか長期不在で賃貸の対象でもない放置空き家は、385万戸と前回の2018年調査より約10%増加しました。住宅に占める割合(空き家率)も5.9ポイントと0.3ポイント上がりました。一方、都道府県別では熊本が0.3ポイント改善し、福岡、広島も0.2ポイント下がりました。2025年1月11日、日経朝刊、1面記事(瀬口蔵弘)を参照・引用して記述します。
[広島県・江田島市]
広島県は不動産取引の専門家などでつくる「空き家活用推進チーム」を市町などに派遣し、移住者向け住宅への転用などの相談に応じます。県内市町の空き家情報を一括掲載する情報サイト「みんと」も開設しました。「海が近い」「農地付き」など多彩な条件で利用可能な空き家を検索できます。
空き家の活用者へのインタビューや補助金情報、VR(仮想現実、注1)を使った物件情報なども掲載します。同サイトを利用して2019年に埼玉県から廿日市市に移住した金澤萌さん(41)は「自治体横断で検索できるので物件を見に行く際のスケジュール調整もしやすかった。情報量が多いので見ているだけでも楽しいです」と話していました。
広島県江田島市は県に先駆けて2021年から、VR(注1)を活用した物件紹介に取り組み空き家率を1.7ポイント下げました。市職員が360度撮影が可能なカメラを使い、実際に住宅を内覧しているように見える映像を撮影します。「設備や広さなどを隅々まで確認できるので、これは好評です」と同市の職員は言っており、2023年度の空き家利用の成約率は、VR導入前に比べて大幅に増えました。
[熊本県・熊本市]
空き家は災害復興の妨げにもなるのです。2016年の熊本地震では倒壊の恐れがあっても所有者不明で撤去できないケースもありました。熊本県は宿泊・交流施設や、移住者用住宅などの改修費用を補助しており、これまでに6町村から申請がありました。
熊本市は市内各地に相談員として配置した宅地建物取引士(注3)が相談に応じる体制を整えました。「突然、所有者になって、管理方法がわからない人も多いのです」と同市の担当者は言っています。この体制作りは、危険な建物の積極的な撤去にもつながっており、空き家率は0.5ポイント低下しました。
[大分県・国東市]
大分県・国東市は地域ごとに「空き家活用推進員」を配置しています。地元住民のネットワークで、リアルタイム(注4)で、迅速に空き情報を掘り起こし、マッチングサイト(注2)などを通じて長期間放置されることを防ぎます。安い家賃で移住者に貸し出す事業も展開しており、空き家率は3.5ポイント減少しました。
[この項のまとめ]
国も対策に本腰を入れています。2023年施行の改正空き家対策特別処置法(注5)は、倒壊などの危険が迫る空き家のほか壁や窓が一部損壊した管理不全物件も市区町村の行政指導の対象に加えました。2024年4月からは不動産の相談登記も義務化しました。
空き家対策に詳しい横浜市立大学の斉藤広子教授は「朽ち果ててから壊すのでは、自治体にも所有者にとっても負担が大きいのです。」と強調しています。そのうえで「相続人を含めて所有者に、管理者意識を持ってもらうと同時に、自治体や関係者が一体となって改善策を考える仕組み作りが重要なのです。」と話しています。2025年1月11日、日経朝刊、1面記事(瀬口蔵弘)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2025年1月11日の朝刊、1面記事(瀬口蔵弘)には、三つの図表が記載されていました。①「空き家率の変化(2023年、2018年と比較)。(注)空き家には賃貸・売却用及び二次的住宅は含まない。出所は総務省。」②「空き家率が改善した自治体の主な取組み。➂「年々空き家が増えている。」
[図表1]
図表1(注6)は、2025年1月11日の日経新聞紙上に、日本列島の地図として記載されていました。この図表は「空き家率の変化(2023年、2018年と比較)」と題した図表でした。この図表では、2023年度の空き家率を2018年度と比較したものです。下記の5群に分けて、紫色系の色彩で塗り分けて記述していました。
(1) 改善(濃い紫色、第1群)。
(2) 横ばい(濃い紫色の斜線、第2群)。
(3) 最も軽微な悪化(濃い紫色、0.1~0.5ポイント悪化、第3群)
(4) 次の段階の悪化(濃い紫色の斜線、0.6~0.9ポイントの悪化、第4群)
(5) 最も大きい悪化(淡い紫色、1ポイント以上の悪化、第5群)
ここで使用したのは、総務省のデータです。ここで空き家には、賃貸・売却用及び二次的な住宅は含みません。
次に、この第1群から第5群の地域の姿を示します。
第1群は、2023年度の空き家率を2018年度と比較して、最も改善が見られる地域を、「改善」濃い紫(第1群)としました。全国で空き家率の改善第1位の熊本県、第2位の福岡県、第3位の広島県の3カ所が第1群でした。
第2群は、「増減なし」の地域です。これは「横ばい」と呼びました。以下の地域です。これは北海道、宮城県、山梨県の3地域でした。
第3群は、空き家率の増加を最も小さく抑えた(0.1~0.5ポイントの悪化)の地域でした。淡い紫色に塗ってあります。
これは福島県、栃木県、埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県、長野県、石川県、愛知県、三重県、奈良県、大阪府、京都府、兵庫県、佐賀県、沖縄県、香川県、高知県の18地域でした。
第4群は、第4群は、空き家率の上昇が二番目に小さい地域(0.6~0.9ポイント悪化)で、これは岩手県、茨城県、岐阜県、静岡県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、宮崎県の9地域でした。
第5群は、空き家率の悪化が最大の地域(1ポイント以上の悪化)でした。これは、青森県、秋田県、山形県、群馬県、新潟県、富山県、福井県、滋賀県、山口県、大分県、長崎県、鹿児島県、徳島県、愛媛県の13県でした。この各地は、これまでの改革の諸活動で、牽引者として活躍したことが多い地域でした。でも、ここでは立ち遅れています。
この調査で空き家率の実情がわかりました。この調査で「改善」と「横這い」していたのは、全国47都道府県の中で、6カ所(全体の12.8%)しかありませんでした。残りの87.2%(大部分)は「老朽化の増加」だったのです。
このプロジェクトで、今、先陣を切っているのは、第1群の熊本県、福岡県、広島県ですが、これまでの諸プロジェクトとは、かなり異なる新鮮な牽引者のメンバーです。そして現在の牽引者の3地域は、日本列島の西側に大きく偏っています。
また、群分けについて、あらためて見直してみますと、第3群に18地域が集っています。私は、この一群の中から、全国を牽引する大物が、今後、彗星のように現れてくるだろうと期待しています。
[図表2]
図表2(注7)は、「空き家率を改善した自治体の主な取組み」と題した図表でした。これも日本経済新聞の2025年1月11日の朝刊に掲載されていた図表です。これを以下に示します。
図表2「空き家率を改善した自治体の主な取組み」
市町名 主な取組み
栃木県小山市 小山高専の学生による利活用の提案
山口県美祢市 空き家バンクへの登録が郵便局で可能
神奈川県小田原市 不動産無料診断制度を導入
福岡市 福祉目的に転用する空き家バンクを設置
石川県内灘町 空き家バンクへの登録要件なし
いま、「空き家バンク」の活用推進を積極的に推進している5市町を取り上げ、この5市町が実施している代表的な取組みが列記されていました。これを読んでみますと、この各市町での「主な取組みは」とても的をついているのです。
(1) 高専の学生による空き家利活用の推進。空き家バンクの利活用を高専の学生中心で推進する。この活動により若い芽を育てる。
(2) 空き家バンクの登録が、郵便局でできるようにする。地域の人々が古くから慣れ親しんでいる郵便局を登録窓口にして空き家バンクを人々の身近なものとする。
(3) 不動産無料診断制度を導入。不動産診断を無料で実施できるようにして、市民に利用しやすいようにする。
(4) 福祉目的に転用する空き家バンクを設置。空き家バンクを福祉目的に使っていきたいという声はかねてからありましたが、これを実現しました。
(5) 空き家バンクへの登録要件なし。空き家バンクへの登録要件がなくなるのも、重要な目標の一つなのです。でも、これを具体化するには、多くの課題を乗り越えて行かねばなりません。
[図表3]
図表3(注8)は、「年々空き家が増えている」と題する図表でした。この図表では、図表の上部に「空き家率の折れ線グラフ」が、また、下部には「空き家数の棒グラフ」が記してありました。
図表の右欄上部には、2、3、4、5、6と「空き室率」の「%」が記してありました。また下欄には、1978年、1988、1998、2008、2023年と「年」
が記してありました。
この図表の上部の「空き家率」については、右欄上部の「%」と下欄の「年」を用いて折れ線グラフを描いています。この「空き家率」は、1978年の3%から、45年後の2023年の6%に向って、穏やかな波を伴って増加していました。
一方、下部に記している「空き室数」については、1978年の100万戸から、45年後の2023年の400万戸へと一貫して増加しています。この両グラフは、これを分かりやすく明瞭に示していました。
(注1) バーチャルリアリティ(VR)=「仮想現実」とは、人間の感覚器官に働きかけ、現実ではないが実質的に現実のように感じられる環境を人工的に作り出す技術。身体に装着する機器や、コンピュータにより合成した映像・音響などの効果により、3次元空間内に利用者の身体を投影し、空間への没入感 (immersion)を生じさせる。
(注2)マッチングサイトとは、企業や消費者などの第三者となるユーザー同士をつなぐプラットフォームのことである。現在ではECサイト・フリマアプリ・求人サイトなど、さまざまなジャンルのマッチングサイトが提供されている。例えば、Amazonは商品を販売したい企業とその商品を購入したい消費者をつなぎ、メルカリは不用品を出品したい消費者とその商品を購入したい消費者をつなぐマッチングサイトである。なお、「プラットフォーム」とは、商品やサービスを提供するための環境や仕組みを指す語である。例えば、オンラインショッピングサイトやソーシャルメディア、クラウドサービスなどが、プラットフォームの一例である。
(注3)宅地建物取引士とは、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者、いわゆる士業の一種である。宅地建物取引業者が行う、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の取引に対して、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実に、法に定める業務を行う不動産取引の専門家である。
(注4)リアルタイム(Real time)とは、日本語で「即時に」や「同時に」、「実時間」という意味の言葉である。リアルタイムシステム(Real-time system)は、数値計算や制御などを命令された時に、その処理を設定された期限通りに遂行するシステムのことである。
(注5)空き家等対策の推進に関する特別措置法(空家等対策特別措置法)とは、2015年に施行された、増え続ける空家に対する適切な対応を定めた法律である。定めている内容は、空き家の定義、空き家所有者や市町村の責務、空き家の対応方法や特定空き家の指定手順などである。法律制定の背景には、空き家が増え続ける一方で、責任の所在や行政の対応方法が確立されていない現実があった。
(注6)日本経済新聞2025年1月11日の日経朝刊1面には、三つの図表が掲載されている。
図表1①「空き家率の変化(2023年、2018年比)」。(注)空き家には賃貸、販売用及び二次的住宅は含まない。出所は総務省。
(注7)日本経済新聞2025年1月11日の日経朝刊1面には、三つの図表が掲載されている。
図表2②「空き家率を改善した自治体の主な取組み」。
(注8)日本経済新聞2025年1月11日の日経朝刊1面には、三つの図表が掲載されている。
図表3➂「年々空き家が増えている」。
(1) 日本経済新聞、2025年1月11日 朝刊(1面)。
[付記]2025年2月3日:
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