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[日本再生][地域創生] 景観守って人を呼ぶ  2025年2月10日 愛媛 内子町 住民主体で活動 自治体計画、10年で5割増

  • honchikojisitenji
  • 2月10日
  • 読了時間: 9分

 

続木 碧(つづき あお)  2025年2月(研究報告№137)

                                                                               

 

「巻頭の一言」

 歴史のある町並みや自然など、独自の景観を地域活性化に生かす自治体が増えています。建物の髙さや色彩などの基準を定めた「景観計画」を策定した自治体は全国の約4割になりました。景観を守ることは観光誘客に加え、地域住民のつながりを深めることにもなるのです。愛媛県内子町は農林水産業6次化(注1)と融合とさせて地域価値の向上をめざしています。2025年1月18日、日経朝刊、2面記事(森岡聖陽、安倍将隆)を参照・引用して記述します。

 

 

[日本再生][地域創生] 景観守って人を呼ぶ 愛媛 内子町 住民主体で活動 自治体計画、10年で5割増

 

 

「日本再生」「地域創生」景観守って人を呼ぶ 愛媛県の内子町 住民主体で活動 自治体計画は、10年で5割増した

 

ここでは、日本経済新聞の2025年1月18日、朝刊1面の記事を紹介します。

 

 

「はじめに」

2004年制定の景観法は、地域特性に合わせた景観の保全・形成を目指しています。自治体は同法に基づいて対象区域内での建物の髙さや色彩などについて定めた景観計画や条例を制定します。2023年度末に景観計画を策定済の自治体は666と、10年間で5割以上増えました。都道府県別で、策定の割合が最も高かったのは宮崎県で愛媛県、山梨県、静岡県が、これに続きました。

 

 

[宮崎県・愛媛県内子町]

宮崎県は、全国に先駆けて海岸沿い道路などで、植栽を進める条例を制定し、民間とも連携しながら多彩な植物を観光に生かしています。専門職員の派遣などを通じて市町村の計画策定も促してきました。

愛媛県では農村の景観保全に力を入れる内子町の活動が特徴的です。棚田や石垣などが広がる石畳地区ではシンボルだった水車小屋を復元し、農家の住宅を移築した宿も人気を呼んでいます。

若手農家などの有志が結成した「石畳を思う会」が中心になって保全活動を続けて、住民の半数以上が祭りを含めた活動に関わっています。地域の文化や自然遺産を未来に伝える日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産(注2)」にも登録されています。

2020年には、景観保全に取り組む「石畳つなぐプロジェクト」を設立しました。特産の栗を「完熟石畳栗」としてスイーツに生かすなど、農産物の高付加価値化にも取り組んでいます。宝泉武徳代表は「石畳地区の大きな資源である景観を生かして、さらなる経済効果を生み出したい」とチカラを込めています。

 

[愛媛県松山市]

  愛媛県松山市は、代表的な観光施設「道後温泉本館」周辺などで景観計画を作っています。作成にあたっては、地域が中心になって景観を重視する先行事例を学ぶ勉強会を開くなどして、事業者や住民の理解を深めました。旅館や商店街などと協力して建物の概観の統一や看板の自主撤去などを進めるほか、遊歩道なども整備して、歩きたくなる街並みづくりに力を入れています。

 2024年7月には、5年半ぶりに、道後温泉本館の全館営業が再開しました。訪日客を含めた観光誘客に弾みをつけたい考えで、新たな開発計画案も浮上しています。宿泊業者などで構成する道後温泉誇れるまちづくり推進協議会の宮崎光彦会長は、「歴史ある景観と施設の魅力向上とを融合させることで、誘客力をさらに高めたい」と話しています。

 

[岩手県遠野市]

 民話の里として知られる岩手県遠野市は、景観計画に加えて独自の「遠野遺産認定制度」を設けました。これまでに神社や館跡といった歴史のある建物など169件を認定し、維持管理や周辺整備などに取り組んできました。2024年には国際認証団体により、「世界の持続可能な観光地」にも選ばれました。

 

[この項のまとめ]

 国は、景観計画の区域を絞って、より重点的に施策を大幅に増やす目標を掲げています。だが一方で、厳しい髙さのルールを設けられることには、反対の声もあるのです。

 景観を生かしたまちづくりに詳しい、国学院大学の浅野聡教授は「訪日客の増加もあり、その土地ならではの景観を磨く必要性は増しています」と指摘しています。そのうえで、「住民や事業者の理解を得ながらルールを設ける区域と自由な開発を認める区域を使い分け、民間活力を引き出すことが必要になります」と力説しています。2025年1月18日、日経朝刊、2面記事(森岡聖陽、安倍将隆)を参照・引用して記述。

 

 

[まとめ]

この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2025年1月18日の朝刊、2面記事(瀬口蔵弘)には、三つの図表が記載されていました。①「景観計画を策定した自治体の割合。(注)2023年度、国土交通省調査。②「地域に合った取組みが広がる。➂「全体の4割が策定済み。(注)全体は47都道府県と1741市区町村の合計。

 

 

[図表1]

図表1(注6)は、2025年1月18日の日経新聞紙上に、日本列島の地図として記載されていました。この図表は「景観計画を策定した自治体の割合」と題した図表でした。この図表では、2023年度に国土交通省が実施した調査結果に基づいて、都道府県別の景観計画の実施率を記して、日本列島の地図上にまとめました。

ここでは下記の5群に分けて、茶色系の色彩で塗り分けて記述していました。

(1)  景観計画作成の実施率8割以上(黒、第1群)。

(2)  同実施率6割以上8割未満(濃い茶色の斜線、第2群)

(3)  同実施率4割以上6割未満(茶色、第3群)

(4)  同実施率2割以上4割未満(淡い茶色の斜線、第4群)

(5)  同実施率2割未満(灰色、第5群)

 

次に、この第1群から第5群の地域の姿を示します。

 

第1群は、2023年度の国土交通省の調査において、最も景観計画が進んでいた処(8割以上が実施済であった処)を、第1群としました。これは、全国での景観計画策定第1位の宮崎県、第2位の愛媛県、第3位の山梨県とこれに続く静岡県の4カ所(黒色)でした。

 

第2群は、「6割以上8割未満の景観計画策定が実施済の処(濃い茶色の斜線)でした。

それは、群馬県、福井県、滋賀県、神奈川県、大分県、長崎県の6カ所でした。

 

第3群は、「4割以上6割未満の景観計画策定が実施済の処(茶色)で、東京都、岐阜県、大阪府、島根県、山口県、熊本県、沖縄県の7カ所でした。

 

第4群は、景観計画の策定が「2割以上4割未満」で、策定率は、最低の直前のグルーブでした。でも、このグループへ参加している都道府県数は、22カ所あり、その数は5群の中で一番多かったのです。これは以下です。

青森県、岩手県、秋田県、新潟県、茨城県、千葉県、埼玉県、長野県、富山県、石川県、愛知県、三重県、奈良県、京都府、兵庫県、鳥取県、岡山県、広島県、福岡県、佐賀県、香川県、徳島県、高知県の22カ所でした。

 

第5群は、景観計画の策定が「2割未満」であり、最も少ない地域でした。それは北海道、宮城県、山形県、福島県、島根県の5道県でした。

 

 この調査で、今、全国各地で熱心に進められている「景観計画」の策定の進捗状況が良く判りました。このブロジェクトで、今、先陣を切っているのは、第1群の宮崎県、愛媛県、山梨県、静岡県です。この4県のなかには、山梨、静岡が入っていますが、これらは、これまで常に先陣をきっていた諸地域とは異なる地域であり、新鮮な感じを受けるのです。今後、日本の社会・産業の改革では、多彩な顔ぶれが、続々と登場してくるでしょう。私は、とても、楽しみにしています。

 

 

[図表2]

図表2(注7)は、「地域に合った取組みが広がる」と題した図表でした。これも日本経済新聞の2025年1月18日の朝刊に掲載されていた図表です。これを以下に示します。

 

図表2「地域に合った取組みが広がる」

市町名・地域名               主な取組み

宮崎県宮崎市  日南海岸      地域住民らと道路沿いに花木を植栽

愛媛県松山市  道後温泉本館周辺  通り沿い建物のファサード(正面)整備に補助金

静岡県伊豆市  湯ヶ島地区など   主要通りに面する自動販売機は原則建物と一体に

栃木県宇都宮市 大谷地区      建築物の外壁の一部に大谷石を使う

三重県伊賀市  上野城下町     全域に15m以下の髙さルール

 

(1)  宮崎県宮崎市:自治体は地域住民と協力して、多彩な花木を植栽しました。まちの中心部が、美しい花木で彩られました。地域活性化に大きな力になっています。

(2)  愛媛県松山市:道後温泉本館周辺建物の正面ファサードの整備に、補助金をだしました。まちの中心部が、華やかに美しくなり、地域活性化が進みました。

(3)  静岡県伊豆市:湯ヶ島地区などの主要通りに面する自動販売機は、原則建物と一体にしました。これでまちの中心部は活気に満ちた姿になり、地域活性化に大きく寄与しました。

 

[図表3]

図表3(注8)は、「全体の4割が策定済み」と題する図表でした。図表の左欄には0、100、200、300、400、500、600、700と自治体数が記してありました。また下欄には、2024年度、2010、2015、2020、2023年度と「年度」が記載してあります。この図表右欄の「自治体数」と下欄の「年度」を用いて、策定済み自治体数の棒グラフを描いています。

 この策定済み自治体数のグラフは、2004年度のほぼゼロに近い出発点から19年後の、2023年度の650自治体へと、雄大な曲線をなして一貫して増加しています。

また、この曲線は2本の直線の連なりと見ることもできます。すなわち、その前半の11年間、2004年度の、ほぼ0自治体から2015年度の540自治体までと、後半の2015年度の540自治体から2023年度の650自治体までの2本の直線に分割して見ることができます。この2本の直線の、1年あたりの増加数を比較してみますと、前半は、49.9自治体/年であり、後半は12.2自治体/年でした。すなわち、後半は、その増加率は前半の1/4(24.4%)に減少していました。

このブロジェクトは、今後、このまま、減少が続くのでしょうか、それとも、再び増加に転じるのでしょうか、いまがその分岐点にあると思われますが、私は、是非、もう一度、増加に転じてほしいと願っているのです。日本は、景観を磨こうとする地域が、今後、また増大し始めて、社会・経済がどんどん、拡大発展して行ってもらいたいのです。

 

 

(注1)6次化とは1次産業を担う農林水産業者が、自ら2次産業である「加工」や3次産業の「販売・サービス」を手掛け、生産物の付加価値を高めて農林水産業者の所得を向上する取り組みを指す。「6次産業=1次産業(農林漁業)×2次産業(加工)×3次産業(販売・サービス)」 と、1次産業にほかの産業を掛け算して6次産業としているのである。

 

(注2)日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産」。日本ユネスコ協会連盟は、「未来遺産運動」の一環として、失われつつある豊かな文化や自然を、子どもたちの未来に残そうとする「市民による活動」を「プロジェクト未来遺産」として登録し、地域から全国へ発信し、日本全体で応援している。

 

(注3)日本経済新聞2025年1月18日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。

図表1①「景観計画を策定した自治体の割合。(注)2023年度、国土交通省が調査。」

 

(注4)日本経済新聞2025年1月18日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。

図表2②「地域に合った取組みが広がる。」

 

(注5)日本経済新聞2025年1月18日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。

    図表3➂「全体の4割が策定済み。(注)全体は47都道府県と1741市区町村の合計。」

 

 

(1)   日本経済新聞、2025年1月18日 朝刊(2面)。

[付記]2025年2月10日:

 
 
 

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