[日本再生][地域創生] 子育て支援 神戸市1位 2025年1月13日 180都市調査、競争激化 成長に応じ切れ目なく,産後ケア・学童支援拡充
- honchikojisitenji
- 1月21日
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続木 碧(つづき あお) 2025年1月(研究報告№134)
「巻頭の一言」
自治体の子育て支援競争が激しさを増しています。保育無償化や待機児童ゼロといった注目の政策に加え、支援メニューの量と質を高めて移住者獲得や人口流出抑制につなげています。日本経済新聞社などが主要都市の取組みを調査・採点したところ、2024年は子どもの成長に応じた切れ目のない支援を充実させる神戸市が初めてトッブとなりました。
2024年12月14日、日経朝刊、2面記事(桜井祐介、日経クロスウーマン久保田智美)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生] 子育て支援 神戸市1位 180都市調査、競争激化、 成長に応じ切れ目なく,産後ケア・学童支援拡充
「日本再生」「地域創生」子育て支援 神戸市が1位 180都市を調査、競争激化、成長に応じて切れ目なく,産後ケア・学童支援を拡充
ここでは、日本経済新聞の2024年12月14日、朝刊2面の記事を紹介します。
「はじめに」
日本経済新聞は、日経BPの情報サイト「日経xwoman(クロスウーマン)」と共同で、東京23区や県庁所在地など180都市を対象に9~10月に調査し、155市区から回答を得ました。認可保育所の入りやすさや学童保育への取組みなど43項目を採点しました。10回目となる「共働き子育てしやすい街ランキング」を作成しました。今日は、これを参照してブログを書きます。
[兵庫県・神戸市]
神戸市は2021年は35位、2022年も35位でしたが、2023年には4位に躍進しました。久元喜造市長は「かっては子育てに力を入れていないのではないかという批判もありました。いまは基本に立ち返ってやるべきことをやっています」と強調しています。
神戸市は、一時金支給や家賃補助など保育士の処遇などを改善し、保育園の定員増の壁となる人材の確保を後押ししています。2022年度には待機児童ゼロを実現し、保育士の配置も手厚くしています。保育事業者がお互いの施設を視察して良い点を取り入れたり、共同で保育士の研修をしたりと、働きたいと思ってもらえる職場づくりにも力を入れています。
全国的に待機児童問題が解消に向うなか、神戸市は母親の産後ケアや学童保育の拡充など、子どもの成長に応じた切れ目ない支援に力を入れています。業務効率化にも前向きで、この調査では保育サービスへのICT(情報通信技術、(注1))導入など、利便性でも高い得点を得ました。2021年には一時保育施設を備えたコワーキングスペース(注2)の提供を始めました。ここでは育児休業中や再就職準備中の女性の利用が多いのです。2025年2月には、3カ所目を開設する予定です。
「赤ちゃんの夜泣きは大変でしょう。ちゃんと眠れていますか」――。神戸市は2024年11月、子どもが生まれた全世帯を対象とした見守り事業を始めました。子育て経験のある女性らが担当世帯を毎月訪れ、おむつなどを配ると同時に悩みごとの相談に応じています。生後5カ月の心晴ちゃんがいる服部健一さん(31)、碧さん(28)夫婦は、「子育ての先輩に気軽に相談できて安心感がある」と笑顔でした。
[子育て支援を通じて移住者獲得を目指す自治体増加]
全国的に少子高齢化や人口減少が続くなか、子育て支援を通じて移住者獲得や定住促進を目指す自治体が増えています。今回の調査の平均点も60.3と3年連続で上昇しました。最高点と最低点の差も2021年の59点から、2024年には43点まで縮みました。保育無償化など経済的な負担の軽減に力を入れる自治体が多くなるなか、子育て支援で他の自治体との差を出すためには、一段と総合力が問われるようになっています。
[北海道・札幌市]
2021年に112位だった札幌市は、2022年に31位、2023年に12位と順位をあげ、今回は8位となりました。子育て中の孤独感を軽減するため、ボランティアが未就学児のいる世帯を訪問する事業などを通じて評価が高まったのです。手続きの効率化など利便性向上でも高評価を得ました。
[栃木県・宇都宮市、千葉県・松戸市]
宇都宮市は、独自の不妊治療助成など手厚い施策を展開しており2年連続して2位となりました。2023年の首位から3位になった千葉県松戸市は、手続きの効率化の項目で点が伸びなかったのです。
[この項のまとめ]
東京大学の山口慎太郎教授は「経済的な支援だけにとどまらず、サービスの質や利用しやすさの向上が不可欠」としたうえで、「財政状況による地域差が開きすぎないように国が支援することも欠かせない」と話しています。2024年12月14日、日経朝刊、2面記事(桜井祐介、日経クロスウーマン、久保田智美)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2024年12月14日の朝刊、2面記事(桜井祐介、久保田智美)には、表が2枚記載されていました。①共働きしやすい街 2024年ランキング(得点)。(注)カッコ内は2023年の順位。得点は100点満点。②最近3年間の上位自治体の推移。(注)調査項目や配点は、年によって異なる。
[図表1]
表1(注3)は、「共働き 子育てしやすい街 2024年ランキング(得点)」と題した表でした。これは日本経済新聞の2024年12月14日の朝刊に掲載されていた図表です。これを以下に示します。
図表1「共働き 子育てしやすい街 2024年ランキング(得点)」
順位 2023年順位 自治体名 得点
1 (4) 神戸市 82
2 (2) 宇都宮市 79
3 (1) 千葉県松戸市 77
3 (6) 東京都豊島区 77
3 (12) 東京都板橋区 77
3 (12) 東京都福生市 77
7 (8) 北九州市 75
8 (12) 札幌市 73
8 (27) 静岡市 73
8 (3) 愛知県豊橋市 73
8 (20) 愛知県豊田市 73
12 (27) 東都都新宿区 72
12 (27) 東京都中野区 72
12 (20) 東京都練馬区 72
15 (47) 水戸市 71
15 (7) 東京都市川市 71
15 (20) 東京都葛飾区 71
19 (8) 福島市 70
19 (47) 東京都荒川区 70
19 (55) 奈良市 70
19 (25) 福岡市 70
(注)カッコ内は2023年順位、得点は100点満点。
日経新聞と日経BPの情報サイト「日経クロスウーマン」は、東京23区や県庁所在地など、180都市を対象として調査を実施しました。そして、許認可保育所への入りやすさや学童保育への取組みなど43項目を、100点満点で採点しました。2024年の調査は10回目になりますが、この調査結果をまとめて「共働き 子育てしやすい街 ランキング」を作成しました。このランキングを一表にまとめたのが表2です。
この表2では、ランキングの得点1位から19位までの23自治体を、列記してあります。また、1年前の2023年とを比較するため、2023年の順位をカッコ内に示しました。それと、自治体名、アンケートで得られた得点が表中に列記してあります。
この結果、2024年のアンケート1位は神戸市で、得点は82点でした。2位は宇都宮市で79点、3位には、千葉県松戸市と東京23区などの4カ所が77点で並びました。東京都は、この上位ランキング第1位~第19位の中で、9カ所を占めました。特に私が注目したのは、「東京23区」が7カ所も占めたことです。すなわち、東京都豊島区、板橋区(3位)、新宿区、中野区、練馬区(12位)、葛飾区、荒川区(19位)が、上位のランキングに入ったのです。
この上位ランキング地域では、以下の諸点に力を入れています。
(1)一時金支給や家賃補助など保育士の処遇を改善し、保育園の定員増の壁となる人材の確保を後押ししています。
(2)2022年度には待機児童ゼロを実現し、保育士の配置も手厚くしています。
(3)保育事業者がお互いの施設を視察して良い点を取り入れたり、共同で保育士の研修をしたりと働きたいと思ってもらえる職場づくりにも、力を入れています。
(4)全国的に待機児童問題が解消に向うなか、神戸市は母親の産後ケアや学童保育の拡充など、子どもの成長に応じた切れ目ない支援に力を入れています。
(5)業務効率化にも前向きで、この調査では保育サービスへのICT(情報通信技術、(注1))導入など、利便性の改善でも高い得点を得ました。
(6)2021年には一時保育施設を備えたコワーキングスペース(注2)の提供を始めました。育児休業中や再就職準備中の女性の利用が多く、2025年2月には、3カ所目を開設します。
[図表2]
表2(注4)は、「最近3年間の上位自治体の推移」と題した図表でした。これも日本経済新聞の2024年12月14日の朝刊に掲載されていた図表です。これを以下に示します。
図表2「最近3年間の上位自治体の推移」
順位 2022年 2023年 2024年
1 東京都豊島区 千葉県松戸市 神戸市
2 千葉県松戸市 宇都宮市 宇都宮市
3 愛知県豊橋市 愛知県豊橋市 千葉県松戸市
など4市区
4 東京都羽村市 神戸市
36 神戸市
(注)調査項目や配点は年によって異なる。
表2は、2022年から2024年までの3年間における「子育て支援競争」で、上位になった自治体の順位の推移を示したものです。
2024年の子育て支援競争でのトップは、神戸市(太字)でした。神戸市は2022年、全国36位でしたが,2023年に3位に躍進し、2024年にトップに立ちました。2023年にトップだった千葉県松戸市(太字)は3位に転落しました。松戸市は「手続きの効率化」の項目で、伸びなかったのです。2位は2023年に続いて2年間、宇都宮市(太字)でした。宇都宮市は独自の不妊治療などの手厚い施策を展開しています。
日本国の現在の「子育て支援競争」は、神戸市、宇都宮市、千葉県松戸市の3強が、激しいトップ争いを展開しています。来年に向けてもこの3強の激戦が続くものと思われます。東京23区は、今後も切磋琢磨して、ますます改善を進めて行くでしょう。
(注1) 情報通信技術(Information and Communications Technology、略称:ICT)とは、情報技術(IT)を拡張した用語であり、ユニファイド・コミュニケーションの役割を強調し、電話線やワイヤレス信号による通信とコンピュータ、そして主要な企業アプリケーション、視聴覚システムなどを統合し、ユーザーが情報をアクセス、保存、送信、操作できるようにする技術である。
ユニファイド・コミュニケーション(Unified communications)は、さまざまな通信・伝達手段を連携させ、共通の利用基盤として提供するシステムやサービスの総称。電話、テレビ電話、遠隔会議、電子メールなどの利用基盤を経由させることで、統合的な管理・利用が可能となる。
(注2)コワーキング(Coworking)とは、事務所スペース、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行う共働ワークスタイルを指す。一般的なオフィス環境とは異なり、コワーキングを行う人々は同一の団体には雇われていないことが多い。通常、在宅勤務を行う専門職従事者や起業家、フリーランス、出張が多い職に就く人など、比較的孤立した環境で働くことになる人が興味を持つことが多い。
コワーキングは独立して働きつつも価値観を共有する参加者同士のグループ内で社交や懇親が図れる働き方であり、コスト削減や利便性といったメリットだけではなく、才能ある他の分野の人たちと刺激し合い、仕事上での相乗効果が期待できるという面も持つ。
コワーキングスペース:コワーキングを行うことを考慮して整備された場所。コワーキング=コワーキングスペース。同意義で用いられることもある。
(注3)日本経済新聞2024年12月14日の日経朝刊2面には、二つの図表が掲載されている。
図表1①「共働き子育てしやすい街 2024年ランキング(得点)」。(注)カッコ内は2023年の順位、得点は100点満点。
(注4)日本経済新聞2024年12月14日の日経朝刊2面には、二つの図表が掲載されている。
図表2②「最近3年間の上位自治体の推移。」(注)調査項目や配点は年によって異なる。
(1)日本経済新聞、2024年12月14日 朝刊(2面)。
[付記]2025年1月13日:
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