[日本再生][地域創生] 地価上昇、住民に還元 2024年11月25日 固定資産税収増 栃木県・壬生町 交通の空白地解消へ
- honchikojisitenji
- 2024年11月26日
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続木 碧(つづき あお) 2024年11月(研究報告№130)
「巻頭の一言」
地価上昇も、企業誘致で増える固定資産税収を生かし、子育て支援などを充実させる自治体が増えています。2022年度は9割弱が2021年度より税収を伸ばし、東京23区と30市町村は10年連続の増収となりました。企業進出が進む栃木県壬生町は、10年間に59%増えており、公共交通網の整備といった課題の解決に生かしています。2024年11月2日、日経朝刊、1面記事(瀬口蔵弘)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生] 地価上昇、住民に還元 固定資産税収増 栃木県・壬生町 交通の空白地解消へ
「日本再生」「地域創生」 地価上昇、住民に還元 固定資産税収増 栃木県・壬生町 交通の空白地解消へ
ここでは、日本経済新聞の2024年11月2日、朝刊1面の記事を紹介します。
[はじめに]
固定資産税は個人や企業が持つ土地や家屋、製造装置などにかかる地方税で、市町村が1月1日時点の所有者に課しています。東京23区は東京都が徴収します。
2022年度は9兆6660億円と10年間で12.7%増えており、市町村税全体の40%強を埋めています。
土地に対する税額は、公示地価などに基づいて決まり、基本的に地価が上がると税収も増えます。多くの自治体で地方税が増えると国からの地方交付税が減りますが、一定程度は市町村に自主財源として残り、独自施策などに活用できます。
[栃木県壬生町]
栃木県壬生町は、2022年の固定資産税収が、31億円と10年前より11億円増えました。関連企業の多さから「おもちゃのまち」と呼ばれるなど、積極的に企業誘致を進めてきました。2016年には産業用ロボットのファナックが進出しました。会員制量販店コストコも2022年に新店を開きました。
同町によりますと2022年は、転入者が転出者を100人上回る社会増となりました。固定資産税を含めた地方税収は堅調で、2013年度からはインフラ整備などに使う都市計画税の徴収はやめています。小菅一弥町長は「好調な税収を生かして住民の利便性をさらに高める」と話しています。
念頭に置くのが町内に多い公共交通空白地の解消です。2024年度は関連予算として8000万円を計上しました。デマンド交通(注1)やコミュにティバス(注2)が運行を始めています。「町内にバスを走らせたい。東武鉄道の駅と近隣のJR駅を結ぶなどして人をさらに呼び込み,税収増と地域活性化の好循環を生み出す」と意気込んでいます。
[茨城県阿見町]
壬生町と同じく10年連続増収の茨城県阿見町は、JR常磐線や首都圏中央連絡自動車道の近隣で宅地などの開発が進んでいます。人口は10年間で4%、固定資産税も28%増加しました。好調な税収を生かして子育て支援に力を入れています。18歳までの医療費は無料で、小学校に入学する児童にはランドセルを贈ります。2026年度には子育て世帯の育児相談や交流の場として「子育て支援総合センター」を新設します。
同町の人口は5万人を超えており、市移行を視野入れています。市となることで県が担う事務事業の一部が移管されれば、「福祉面などで、よりきめ細かな住民サービスができるようになる」と同町の担当者は言っています。
[北海道・倶知安町]
北海道・倶知安町は、スノー・リゾート(注3)として、訪日客などからの人気が急上昇しました。外国資本による活発な不動産投資などもあって、2022年の固定資産税収は20億円と10年前から倍増しました。ただ、急激に開発が進んだことで、コミ処理などの行政負担も拡大しています。町は従来の税収の増加分だけでは追いつかないとして、2019年に町独自の税金として「宿泊税」を導入しました。
[この項のまとめ]
固定資産税は、市町村にとって重要な財源です。地方財政に詳しい国士館大学の岩元浩一教授は「高まった財政力を生かして多様な行政ニーズに対応することができれば、地域の元気を生み出せるはずです」と話しています。2024年11月2日、日経朝刊、1面記事(瀬口蔵弘)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2024年11月2日の朝刊、1面記事(瀬口蔵弘)には、図表が2枚記載されていました。①固定資産税収の増減(市区町村の合計)。(注)総務省のまとめ。2022年度-2012年比。②10年間増収が続く主な自治体。2022年度-2012年度比。
[図表1]
図表1(注4)は、2024年11月2日の日経新聞紙上に、日本列島の地図が記載されていました。この図表は「固定資産税の増減(市区町村の合計)」と題した図表でした。この図表では、各都道府県別の固定資産税の増減(市区長村の合計)を、下記の5群に分けて茶色系の色彩に塗り分けて記述していました。
(1) 30%以上の増加(黒色、第1群)。
(2) 20%以上30%未満の増加(濃い茶色の斜線、第2群)。
(3) 10%以上20%未満の増加(濃い茶色、第3群)。
(4) 0%以上10%未満の増加(淡い茶色の斜線、第4群)。
(5) マイナス(青色、第5群)。
このまとめを実施したデータは総務省のデータで、2022年度の固定資産税を増減の比較は2012年度比で実施していました。
第1群。2022年度の固定資産税が、2012年度と比較して、30%以上増加した地域(固定資産税の増加が最大だった地域)を、第1群、黒色と認定しました。それは全国一の増加地域。沖縄県の一カ所だけでした。
第2群は、その増加率が全国第2位から4位の地域、すなわち、増加率が20%以上30%未満の濃い茶色の斜線の地域でした。すなわち、宮城県、福島県、東京都の3カ所が該当する地域でした。日本における最大の大都市、東京都は、この第2群に入っていました。
第3群は、10%以上20%未満の増加(茶色)の地域でした。第3群は、そのカ所数は、かなり多くなります。これは以下です。
北海道、岩手県、富山県、千葉県、埼玉県、神奈川県、愛知県、滋賀県、京都府、大阪府、岡山県、広島県、福岡県、宮崎県、熊本県、鹿児島県、の16カ所が入っていました。
この第3群には関西の雄、大阪府と京都府が入っていました。また、東京を囲む首都圏の諸県と、愛知、岡山、広島、福岡、熊本など全国の主要な都市がここに入っていました。
でも、九州に4カ所入っていましたが、四国には一つも入っていませんでした。このブロジェクトの進捗度は、進んでいる地域と立ち遅れている地域の格差があります。
第4群は、0%以上10%未満の増加(淡い茶色の斜線)の地域です。ここは増加としては最も少ない地域ですが、地域数(都道府県数)は最も多いのです。そのため、この日本地図は、淡い茶色一色に見えました。この淡い茶色の中に、黒っぽい第1群・第2群と、目立つ第3群の派手な茶色が点在していました。この地域は以下です。
第4群は、青森県、秋田県、山形県、新潟県、石川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、静岡県、長野県、滋賀県、福井県、三重県、奈良県、和歌山県、兵庫県、鳥取県、島根県、山口県、大分県、佐賀県、長崎県、愛媛県、香川県、高知県の26カ所でした。
第5群はマイナスの地域です。徳島県、1カ所でした。
この地図を概観して私は、以下のことを感じました。まず感じたのは、美しい淡い茶色です。私は第4群を、この色に染めていましたので、日本列島が、この色に輝いて見えたのです。
2022年度の固定資産税収が、2012年度に比して、30%以上増加した第1群の沖縄県は、九州西南の海上の「黒い点」として存在していました。第2群は、東京都から北へ延びて「黒っぽい」影を落としていました。そして、第3群の「とっても目立つ茶色」が、北は北海道から南は九州まで、日本列島全体を網羅して広がっていました。
全国47都道府県は、30%以上の増加(第1群)から、最も増加が少ない、0%以上10%未満の増加の第4群まで4段階の増加と、マイナスを加えて、5段階にわけて色付けされていました。各段階の構成数は、第1群(1)、第2群(3)、第3群(16)、第4群(26)第5群(1)で、第1、2、5群は数がすくなく、第3群、第4群は大群でこの二つの群が中心になっている状況でした。しかし、第4群は、0%以上10%未満で、増加率が小さい1群であるため、結局、第3群が、この産業改革を鍵を握っていると、私は感じています。
なお、図表1の分析で、沖縄県は、全国ダントツトップの第1群となりました。沖縄県が、これだけの成果をあげたのは、県内の多くの市町村が協力し、この偉業を成しとげたのだと思っています。私は、沖縄県については、あらためて、調査・分析を進めたいと考えております。
[図表2]
図表2(注5)は、「10年間増収が続く主な自治体(2022年の2012年比)」と題した図表でした。これは日本経済新聞の2024年11月2日の朝刊に掲載されていた図表です。これを以下に記します。
図表2「10年間増収が続く主な自治体(2022年の2012年比)」
都道府県 市町村 増加率 図表1で設定した群分け
(1)北海道 倶知安町 116.7% 第3群
(2)宮城県 気仙沼市 99.6 第2群
(3)岩手県 山田町 89.3 第3群
(4)栃木県 壬生町 58.7 第4群
(5)千葉県 流山市 56.4 第3群
(6)沖縄県 八重瀬町 47.8 第1群
(7)鹿児島県 大崎町 40.0 第3群
(8)宮崎県 日向市 30.3 第3群
(9)茨城県 阿見町 27.7 第4群
(10)福岡県 行橋市 21.0 第3群
(11)埼玉県 和光市 18.7 第3群
(12)大阪府 大阪市 18.1 第3群
(13) 滋賀県 守山市 16.7 第3群
(14) 千葉県 八千代市 16.5 第3群
ここでは、10年間増収が続く市町村について、増加率の大きい順に、1位から14位までを順に並べて示し、その市町村が属する都道府県名を付記してありました。さきの図表1の分析で、固定資産税の増減を第1群から第5群まで、群分けしましたので、これを図表2に付記してみました。
この研究報告では、各地の市町村の内、固定資産税収が堅調だった3町をとりあげ、その実績を報告しています。それは栃木県壬生町、茨城県阿見町、北海道倶知安町の3町です。図表2に付記した第1~第5群をみますと、ここに取りあげた14市町は原則第1群~第3群です。この栃木県壬生町と茨城県阿見町は第4群ですが、特別のものとして付記されていました。
(注1) デマンド交通とは、あらかじめ決まった時間帯や停留所を回るのではなく、予約を入れて指定された時間に指定された場所へ送迎する交通サービスのことである。利用者のニーズに柔軟に運行する公共交通システムであり、予約に応じて所定のバス停まで迂回させる運行方式である。
(注2) 「コミュニティバス」は、日本では、法的に明確に定義されている概念ではないが、2008年に国土交通省が自動車局長名で地方運輸局・沖縄総合事務局に発出した通知文書の添付書類である「コミュニティバスの導入に関するガイドライン」においては、コミュニティバスを「交通空白地域・不便地域の解消等を図るため、市町村等が主体的に計画し、以下の方法により運行するものをいう」として定義づけており、その類例として以下の2つを挙げている。(1)一般乗合旅客自動車運送事業者に委託して運送を行う乗合バス。(2)市町村自らが自家用有償旅客運送者の登録を受けて行う「市町村運営有償運送」。いずれも道路運送法(昭和26年法律第183号)に位置づけられた運行形態であり、前者は第3条第1項に、後者は第78条第2項に位置づけがある。
(注3) リゾート(Resort)とは、大勢の人が休暇・余暇を過ごす場所のこと。行楽地。保養地。スノー・リゾートとは良質な雪のあるリゾート地。冬の楽しみと言えばやっぱりスノー・リゾートという方が多いと思う。近年、日本国内にあるスノー・リゾートは海外からも注目され、各国の富裕層が訪れる一大観光地になりつつある。ゲレンデのパウダースノーを満喫したあとは、好みのスタイルの宿でゆっくりと疲れを癒そう。
(注4) 日本経済新聞2024年11月2日の日経朝刊1面には、二つの図表が掲載されている。
図表1①固定資産税収の増減(市区町村の合計)。(注)総務省のまとめ。2022年度-2012年度比。
(注5) 日本経済新聞2024年11月2日の日経朝刊1面には、二つの図表が掲載されている。
図表2②10年間増収が続く主な自治体。2022年度-2012年度比。
(1)日本経済新聞、2024年11月2日 朝刊(1面)。
[付記]2024年11月25日
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