[日本再生][地域創生] ジオパーク 観光に 2024年12月16日 新潟・糸魚川、来訪者2倍に、火山・地層、認定47地域
- honchikojisitenji
- 2024年12月17日
- 読了時間: 10分
続木 碧(つづき あお) 2024年12月(研究報告№133)
「巻頭の一言」
火山や岩石、地層といった太古の昔から形成されてきた自然を伝えるジオパーク(大地の公園、注1)が広がっています。2008年に認定が始まった「日本版ジオパーク」は全国47地域に増え、地域ブランドの向上などにつなげています。国内最初のジオパークの一つである新潟県糸魚川市は日本列島を東西に分ける断層を核に、住民が地元への愛着を深める契機にすると同時に観光振興にも生かします。2024年12月7日、日経朝刊、2面記事(藤井太郎)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生] 日本語教室 生活の礎築く 長崎の3町 共同で教師役確保 空白地、4年で2割減
「日本再生」「地域創生」 日本語教室 生活の礎築く 長崎の3町 共同で教師役確保 空白地、4年で2割減
ここでは、日本経済新聞の2024年12月7日、朝刊2面の記事を紹介します。
「はじめに」
「フォッサマグナ(注2)の深さは?」「ヒスイ文化の記述で誤ったものは?」――。糸魚川市などが2009年から実施する「糸魚川ジオパーク検定(注4)」の設問です。今年も200人以上が受験し、これまでに2300人以上が合格しました。
[新潟県 糸魚川市]
日本列島がアジア大陸から離れる時にできた大地の裂け目であるフォッサマグナ。糸魚川市にはその西縁の断層「糸魚川-静岡構造線が通ります。市はその知名度を地域振興に役立てようと、1994年に「フォッサマグナミュージアム(注3)」を建設しました。構造線を露出させて地層を見学しやすくした公園も整備しました。
国連教育科学文化機構(注5)の支援で「世界ジオパークネットワーク」が設立されたのは2004年です。日本では2008年に日本ジオバーク委員会が発足し、同年に糸魚川市などを日本ジオパークに認定しました。また、同市は2009年には世界ジオパークにも選ばれました。ジオパークでは自治体や民間が連携して、観察路や案内板の整備、拠点施設での情報発信、ガイドツアーなどに取り組んでいます。現在は、約50カ国に200あまりの世界ジオパークがあります。
日本ジオパークの連携組織が1~2月全国1万人超を対象に実施したアンケート調査では、訪れたことのある日本ジオパークのトップは、熊本県の阿蘇(6.3%)でした。都道府県ごとに訪問率を集計すると、6つのバークがある北海道が1位で、鹿児島、秋田、新潟が続きました。
糸魚川市の場合は、北陸新幹線効果もあり、2023年のミュージアムの来館者は8万6000人超と認定前の2倍に増えました。市観光協会は宿泊や飲食など受け入れ体制の充実を進める考えで、プロガイドの養成講座も始めました。米田敏市町は「ジオパーク認定は市民が地元に愛着を持つ要素になった。観光面でのアピールもさらに高めたい」と話しています。
[北海道]
北海道の洞爺湖有珠山ジオパークは糸魚川と同じく日本初の世界ジオパークの一つです。エリアの伊達市や洞爺湖町など4市町村には2023年度に577万人の観光客が訪れました。噴火を繰り返す有珠山との共生が大きなテーマで、減災学習の講師やジオツアーガイドを務める「洞爺湖有珠山マイスター(注6)」が約70人います。今年から有珠山の立ち入り禁止区域にも入れる「アドベンチャーツアー」も始めました。料金は1万円前後で、訪日客向けに英語でのツアーも開きます。
[秋田県、男鹿市・大潟村]
ジオパークは認定後も4年に一度、活動の充実度や持続可能性を再評価されます。「ゴジラ岩」で知られる秋田県の男鹿半島・大潟ジオパーク(男鹿市・大潟村)は2019年の再審査で「安定的な管理運営体制が確保されていない」とされました。男鹿市は専門知識のある市職員を事務局に配置し、秋田大学の研究者らをアドバイザーに迎えました。教員向けの研修プログラムも開発しており、教育旅行の問い合わせや受け入れが増えています。
[この項のまとめ]
ジオパークに詳しい高知大学の新名阿津子准教授は「日本のジオパークは、教育を中心に成果が出てきているが、民間を含めた連携が弱い地域も多い」と指摘しています。「それぞれのジオパークのコンセプトに合った観光コンテンツの開発などに地域をあげて取り組むことが大切だ」と述べています。2024年12月7日、日経朝刊、2面記事(藤井太郎)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2024年12月7日の朝刊、2面記事(藤井太郎)には、図表が2枚記載されていました。①訪れたことのあるジオパーク。(注)日本ジオパークの調査を基に立地する都道府県別に集計。複数の県で構成するジオパークの訪問率は全ての県に含めた。②訪問率の高い日本ジオパーク。(注)★は「ユネスコ世界ジオパーク」にも認定。
[図表1]
2024年12月7日の日経新聞紙上に、日本列島の地図として記載されていた「訪れたことのあるジオパーク」が、掲載されていました。これは、この訪問の状況を5段階に分け、茶色系の色彩に塗り分けて記述していたものです。
その段階分けは以下です。
(1) 第1群。ジオパーク訪問、6%以上。(黒色)。
(2) 第2群。同訪問、4%以上6%未満。(濃い茶色の斜線)。
(3) 第3群。同訪問、2%以上4%未満。(濃い茶色)。
(4) 第4群。同期間、2%未満。(淡い茶色の斜線)。
(5) 第5群。灰色。0。
第1群(黒色、6%以上)は、ジオパークでの訪問率が第1位の北海道、第2位の鹿児島県、第3位の秋田県で、これに、新潟県、山口県、熊本県が続いていました。第1群は6カ所です。
第2群(濃い茶色)は、訪問率が4%以上6%未満のところで、以下の9カ所が入りました。
青森県、富山県、神奈川県、静岡県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県、高知県。
第3群(茶色)は、訪問率が2%以上4%未満のところで、以下の15カ所が入りました。
岩手県、宮城県、福島県、茨城県、群馬県、長野県、千葉県、埼玉県、東京都、福井県、奈良県、和歌山県、大分県、長崎県、宮崎県。
第4群(淡い茶色の斜線)は、訪問率2%未満のところで、以下の3カ所が入っていました。
山形県、石川県、愛媛県。
第5群は「0」と表記した地域で14カ所ありました。これまで0表記は、一つ二つの時はありましたが、こんなに多量に生じたのは始めてです。
これは以下です。栃木県、山梨県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県、大阪府、岡山県、
広島県、福岡県、佐賀県、香川県、徳島県、沖縄県。
東京・大阪・京都の三大都市は、京都(2群)、東京(3群)、大阪(5群)と、スタートダッシュに差が付きました。また、大阪の「0」には驚きました。そのほかにも、ここも「0」かと驚く地域があります。
[図表2]
図表2(注8)は、「訪問率の高い日本ジオパーク」と題した図表でした。これは日本経済新聞の2024年12月7日の朝刊に掲載されていた図表です。これを以下に示します。
図表2「訪問率の高い日本ジオバーク」
ジオパーク 訪問率 特徴 図表1の群
阿蘇(熊本) ★ 6.3% 世界最大のカルデラ(火山噴火でできた凹地) 第1群
が広がる
箱根(神奈川) 5.2 火山活動が続く大涌谷やカルデラ湖の芦ノ湖 第2群
がある国際観光地
伊豆半島(静岡)★ 5.1 波に削られてできた洞窟「龍宮窟」はパワー 第2群
スボットとしてもPR
山陰海岸(京都、 4.9 マグマが冷え固まった岩石層「玄武洞」は玄 第2群
兵庫、鳥取) ★ 武岩の名の由来に
立山黒部(富山) 4.9 世界有数の豪雪地帯。冬には「雪の大谷」が 第2群
つくられる
洞爺湖有珠山(北 4.2 有珠山噴火の被害を受けた建物や道路を災害 第1群
海道)★ 遺構として保全
(注)(★はユネスコ世界ジオパークにも認定。)
ここで取り上げてしいる代表的なジオパークは、北海道と熊本県が第1群。神奈川県、静岡県、京都府、兵庫県、鳥取県、富山県が第2群でした。図表2にとりあげられていた8カ所は、全て第1群と第2群でした。第3群~第5群はありませんでした。
第1群については、北海道、熊本県は図表2の6カ所の中に入っていましたが、鹿児島県、秋田県、新潟県、山口県の4県は、図表2には、入っていませんでした。このジオパークのプロジェクトでは、この4カ所は、とても重要です。日本の未来を考える上でも、きわめて重要だと、私は考えています。私は、この4カ所について、重点的に調べて整理しておきたいと考えています。
また、秋田県男鹿市、大潟村については、特に注目しています。詳しい情報をお持ちの方がおられましたら、ご提供いただきたいのです。
(注1) ジオパーク(大地の公園)。ジオパークとは、「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」とを組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を丸ごと楽しむことができる場所をいいます。 それぞれの地域にある大地(ジオ)の上で、動植物や生態系(エコ)が広がり、その中で私たち人(ヒト)は生活して、文化や産業などを築いている。
ジオパークとは、地球科学的な価値を持つ遺産を保全し、教育やツーリズムに活用しながら、持続可能な開発を進める地域認定プログラムである。ジオパークは、地球・大地を意味するジオと公園を意味するパークとを組み合わせた言葉である。中国では、中国の制度で登録されている「地質公園」がユネスコ世界ジオパークに認定されているため、中国においては、ユネスコ世界ジオパークは世界地質公園と訳されている。日本においては、ジオパークを地質公園とは訳していない。これは,日本語で地質公園とすると、ジオパークの制度を正しく表現しないためである。日本ではそのままジオパークの語を用いるとともに、意味を説明する際には「大地の公園」と表現している。
(注3)フッサマグナミュージアムは、新潟県糸魚川市の美山公園にある糸魚川市立の博物館。糸魚川市は、糸魚川静岡構造線の直上に位置し、極めて多岐にわたる種類の岩石・鉱物、地質構造等が観察できる場所である。フォッサマグナミュージアムは、こうした地域の特徴を生かした博物館である。
テーマは「奴奈川姫伝説から辿る台地の多様性が育んだ人々の暮らし」。糸魚川ジオパークのほぼ中央を糸魚川-静岡構造線が通過しており、その東西によって地質や地形の成り立ちが異なっている。また、ジオパーク内には24か所のジオエリアが設定されている[。
糸魚川ジオパーク検定とは、糸魚川の地形や地質、歴史文化と人との関わりを学ぶ検定試験である。初級・上級・達人級にレベル分けされている。
(注5) 国連教育科学文化機構は、国際連合の経済社会理事会の下におかれた、教育、科学、文化の研究・活動分科会である。
(注6)洞爺湖有珠山マイスターは、西胆振地域が有珠火山と共生するための「人づくりの仕組み」として、北海道胆振支庁が呼びかけて設置した有識者や関係機関等による検討委員会が、作成したものである。今後、この制度に基づく試行運用を行い、さらに検討を重ねて、本格実施に向け、よりよい形に仕上げて行くこととしている。最終的な制度の構築や継続的な運用に当たっては、何より地域住民の理解と参加が必要である。この制度が、火山と共生する「人づくり」を広げる契機となることが期待されている。
(注7)日本経済新聞2024年12月7日の日経朝刊2面には、二つの図表が掲載されている。
図表1①「訪れたことがあるジオパーク」。(注)日本ジオパークの調査をもとに、立地都道府県別に集計。複数県で構成するジオパークの訪問率は全ての県に含めた。
(注8)日本経済新聞2024年12月7日の日経朝刊2面には、二つの図表が掲載されている。
図表2②訪問率の高いジオパーク。(注)★は「ユネスコ世界ジオパーク」に認定。
(1)日本経済新聞、2024年12月7日 朝刊(2面)。
[付記]2024年12月16日:
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