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[日本再生][地域創生]「交通網再生へ計画 1000超」2024年9月23日 自治体、事業者・住民と連携、大分県玖珠町 バス運賃下げ利用者増

  • honchikojisitenji
  • 2024年9月25日
  • 読了時間: 13分

 

続木 碧(つづき あお)  2024年9月(研究報告№124)                                                                                                   

「巻頭の一言」

 全国的にバスや鉄道の廃線が増える中、自治体が交通網の維持・確保に知恵を絞っています。事業者や住民と連携して、今後あるべき姿を示す「地域交通計画」の作成数は、今年4月末で1052まで増えました。自治体あたりの作成数が最多の大分県では、計画に基づいたバス運賃の引き下げなどで利用者を増やす動きも出てきました。日本経済新聞、2024年8月31日、朝刊、1面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。

 

[日本再生][地域創生] 「交通網再生へ計画 1000超」自治体、事業者・住民と連携、大分県玖珠町 バス運賃下げ利用者増

 

 

「日本再生」「地域創生」 「交通網再生へ計画 1000超」自治体、事業者・住民と連携、大分県玖珠町 バス運賃下げ利用者増

 

 

ここでは、日本経済新聞の2024年8月31日、朝刊1面の記事を紹介します。

 

 

[はじめに]

 地方圏では急速な人口減少などで路線バスの9割以上が赤字に陥っています。運転手の確保なども容易ではなく、公共交通の維持の厳しさは増しています。国は2020年の法改正で、運営体制や路線網などの再構築に向けたグランドデザイン(注1)となる地域計画の作成を自治体の努力義務としました。最近では、地域計画は、県や自治体が共同作成するケースもあるのです。

 

[大分県・玖珠郡玖珠町・九重町]

 自治体あたりの計画数を都道府県別にみますと、大分県が1.11と自治体数を上回って最多となり、広島県、富山県が、これに続きました。

 大分県は県が主導して東部や中部など6圏域別に計画を作ったほか、多くの自治体(市町村)に単独でも作成させています。大分県地域交通・物流対策室は、「市町村の合併もあり、広い面積に人口が分散している自治体が多く、交通網の維持への危機感が強い」と説明しています。大分県玖珠町(くすまち)は、2021年3月に県と共同で西部圏(日田市、九重町、玖珠町(くすまち)の計画を作りました。同町は人口減少が続くうえ、高齢化率も約40%と県平均を上回ります。宿利政和町長は「何とか利用者を増やして公共交通を守りたい。このままでは郊外になるほど移動手段がなくなり、町民は住み慣れた場所に住み続けられなくなる」と話しています。

 地域計画に沿って今年4月には、「ゾーン制運賃(注2)」を導入しました。従来、町のコミュニティバス(注3)と民間の路線バスは、目的地が同じでも運賃が異なるなどの弊害がありました。新運賃はJR豊後森駅など中心区域内は、大人が150円で区域外は300円としました。大分交通グループの玖珠観光バスは、長距離区間で600円を超えることもあったのですが、半額以下となりました。

 コミュニティバスの運賃も、距離に応じて最大200円だったのですが、一律150円となり、4~7月の利用者は、前年同期を上回りました。宿利町長は「バスの減収分は町が補填するうえ、利用者を一定数確保すれば地域計画に基づいた国の補助もある」と強調しています。「分かりやすい運賃は、増加する訪日客の呼び水にもなる」と期待しています。

 玖珠町と同じ西部圏の九重町は、3月に町単独の地域計画を作りました。路線バスの幹線から延びる枝線の改善が大きな柱で、10月にはコミュニティバス(注2)のデマンド交通への転換を始めます。日野康志町長は「バス停まで歩くのもつらいという高齢者が増えました。自宅前まで迎えに行くデマンド交通で、高齢者の外出を促したい」と話しています。

 

[広島県福山市・岡山県笠岡市]

 広島県福山市は県境を接する岡山県笠岡市と共同で、今年3月に地域計画を作りました。両市内はバスやタクシーの運転手不足が深刻化しており、交通空白地が広がりかねないのです。福山市は、計画に基づいて交通事業者などと「共創プラットフォーム(柱4)」を設立し、「ライドシェアー(柱5)」などの新たな交通サービスの導入を検討し始めました。

 

[この項のまとめ]

国は2024年末に1200の地域計画作成を目標としています。東京大学の中村文彦特任教授は「住民の理解を得てこそ持続可能な公共交通を実現できる」と指摘しています。「遠回りのように見えるかもしれないが、実証運行や体験乗車会などを通じて住民の意見を聞く機会を重ねていくことが、実効性のある計画作りにつながる」としています。日本経済新聞、2024年8月31日、朝刊、1面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。

 

 

 

[まとめ]

この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2024年8月31日の朝刊、1面記事(桜井祐介)には、三つの図表が記載されていました。①地域交通計画の作成数。(注)国土交通省資料。2024年4月末時点。②多くで自治体数に及ばず。➂今年度末で1200件が目標。日本経済新聞、2024年8月31日、朝刊、1面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。

 

 

[図表1]

図表1(注6)については、新聞紙上に日本列島の地図が記載されていました。これは「地域交通計画」の作成に関する図表です。すなわち、それは「地域交通計画」の計画数を示すものであり、この図表では、自治体あたりの計画数を、その数値の大きい順に、5段階に分けて示していました。

 

それは以下です。①自治体あたり「地域交通の計画」の策定の目標である「計画数1件以上」を達成した地域。(第1群、黒緑色)。②作成した計画書数が2番目に多い(0・75以上1件未満)の地域。(第2群、濃い緑色の斜線)。➂作成した計画書数が3番目に多い(0.5以上0.75件未満)の地域。(第3群、濃い緑色)。④作成した計画書数が4番目に多い(0.25以上0.5件未満)の地域。(第4群、淡い緑色の斜線)。⑤作成した計画書が0.25件未満に止まった地域。(第5群、著しく淡い緑色)。

 

 

まず、第1群は、「自治体の計画数が1件以上」の計画が出来た地域です。この第1群に入れたのは、自治体当たり計画数が、全国第1位の大分県と第2位の広島県(黒緑色で表示)の2カ所でした。

 

続く第2群は、自治体の計画数が、0.75以上1未満のところに入っている人たちです。ここに入っているのは、全国第3位の富山県と、これに続く石川県、新潟県、秋田県、宮城県、栃木県、静岡県、兵庫県、島根県、山口県、佐賀県、長崎県、千葉県の13県(濃い緑色の斜線)でした。第2群のリーダーは富山県で、首都圏のエース千葉県は、この重要なグループの最後尾を締める重責を担っていました。

 

次の第3群は、自治体の計画数が0.5以上0.75未満のグループ(濃い緑色)です。このグループに入っていたのは福岡県,北海道、岩手県、宮城県、福島県、埼玉県、神奈川県、岐阜県、福井県、滋賀県、愛知県、三重県、京都府、岡山県、宮崎県、熊本県、鹿児島県、香川県、愛媛県、高知県の20道府県でした。第3群の人たちは第2群を追走し、再生への第一歩を踏み出してきた人たちです。ここでは、福岡県が牽引者です。現在、福岡の計画数は0.72で、すぐ前方に0.75以上の第2群が走っています。もう一歩で追いつける距離間隔です。

 

第4群は、自治体の計画数が、0.25以上0.5未満の(淡い緑色の斜線のグルーブ)でした。第4群に入っている地域は以下です。青森県、山梨県、長野県、奈良県、大阪府、和歌山県、徳島県、沖縄県、山形県、群馬県、鳥取県で、合計11府県でした。

 

次の第5群は、自治体の策定した計画数が0.25未満(著しく淡い緑色)のクループです。この第5群に入っていたのは、東京都のみでした。

 

 

この図表1を通観していて、私は以下のことを感じました。

 

私は、この大分県と広島県の2県を、この改革プロジェクトの第1群としました。また、この第1群の後を追従し、衰退から再生への第一歩を踏み出している人達もいます。図表1で、「第3位富山県」と記している富山をリーダーとする20地域の人達です。また、首都圏のエース千葉県も、この第2群の「0.75以上1未満」のぎりぎりの「0.75」を保ち、この改革運動でのリーダー集団である第2群の最後尾につけて走っています。

 

第1~第2群の15地域は、人口減少で衰退が続く全国各地の再生を、牽引する人達です。今、ここで、この人たちに、力の限り頑張ってもらわねばなりません。

 

そして続く第3群の20道府県は、「俺達もやらなければ」と立ち上がった人達でした。ここは福岡県が牽引者です。福岡県は現在の計画数が0.72で、すぐ目の前に、0.75の第2群の最後尾が見えています。福岡県は、ここで先行集団に追いつくことが出来るのでしょうか。これに、現在の「計画数」が95で、「数」のうえではダントツトップの北海道がついています。

 

 

[図表2]

図表2(注7)は「多くで自治体数に及ばす」と題した図表でした。これを以下に記します。

 

図表2 「多くで自治体数に及ばず」

 

     順位   都道府県   計画数   自治体あたりの計画数

      1   北海道    95      0.53

      2   福岡     44      0.72

      3   千葉     41         0.75

     17   広島     24      1.00

     19   大分     21      1.11

     33   東京     15      0.24

     33   大阪     15      0.34

     45   山形      9      0.25

     45   群馬      9      0.25

     47   鳥取      5      0.25

 

 

今、日本国は、 人口減少が続いており、日本各地に絶滅する集落が続出するのではないかと、各地が危機感につつまれています。この中で、自治体あたりの「交通再生の計画数」を増加させ地域の人口を減少から増加に転じさせたいと、血の滲むような努力をしている人達のことを、前項でのべました。

ここでは、それについて、見事な成功例も現れてきていましたが、まだまだ、その数は少ないのです。図表2の標題が示しているように、「多くで自治体数に及ばず」なのです。そこで、全国の都道府県の「自治体当たりの計画数」の多い順でベスト10を書いてみました。それが図表2です。

 

ここで、この図表の内容について考えてみます。計画数の最多は、北海道の95で「数」としては、ダントツトップでした。日本の全都道府県の中で、土地面積が圧倒的に広く、それが有利だったと思いますが、北海道が「数」をこれだけ拡大できたのには、それなりの理由があるはずです。これを徹底的に調べて、日本各地は、それを学ばねばなりません。

 

第2位に福岡県が入りました。福岡県は、前項の感想の中でも、注目しておきましたが、福岡は、第3群のリーダーなのです。第3群は、現在は第1~第2群に先行を許していますが、この群はここでの第1群~第5群の中で、参加地域数が最も多く、このプロジェクトで、凄く重要度の高い集団なのです。そして、入っている顔ぶれをみますと、期待されている大物揃いなのです。

 

福岡は、現在の計画数が0.72です。すぐ目の前を、0.76の第2集団の最後尾が見えています。ここで、福岡が第2集団に追いつき、追い越していけるのか、それは、このプロジェクトの中の最大集団、第3群の全体が、どうなるかに、大きく関係します。すなわち、ここは、このプロジェクト全体の鍵になるのです。

 

第3位は、千葉県ですが、その存在の重要性も、すでに述べました。このプロジェクトで、千葉は首都圏の企業群全体に、大きな影響をもたらす存在だと、私は感じています。

次の東京・大阪が、今後、どうなるのかは、当然、大注目ですが、現在、47道府県の「ビリの3県」になっている「山形・群馬・鳥取」の3県についても私は、関心を寄せています。今、最も自由な立場にいる、この人たちが、今後、どのような大活躍が出来るのか、私は、むしろ、この点に注目しています。

 

 

[図表3]

図表3(注8)は「今年度末で1200件が目標」と題した図表でした。この図表の左欄には、0~1200件と計画数(件数)が列記してありました。また、下欄には、2014年度から2024年度までの「年度」が記してありました。この「計画件数」と「年度」を用いて、2014年度から2024年度までの「計画数の実績」を濃い緑色の棒グラフで示してありました。

 

この棒グラフの列は、2014年度の、殆どゼロから2024年度の1200件に到るまでの「計画数の実績」を示していました。それは、ほぼ一直線に順調に増加していました。なお、2024年度の1200件は、政府の大目標値です。このプロジェクトにおいて「自治体当たりの計画数」の拡大は「まだまだ」ですが、この10年間の拡大は、見事な急成長の実現なのです。

 

 

[おわりに]

現在の日本国の最大の問題点は、「人口の減少」と「地域の消滅」です。この大問題の解決のために、国や自治体の指導及び支援のもとで、事業者や住民が連携して、今後のあるべき姿を示す「地域計画」を策定することが、極めて重要であることが、わかってきました。ここでは「各自治体あたりの計画数」が、どれほど策定できるかが日本国の未来の成否を決めることになります。

この研究報告では、全国の47都道府県と、その市区町村が、第1群から第5群の五つの群に分かれ、この内、第1~3群の35地域が、特に力を入れて取り組み始めていることがわかりました。この内、第1群に属する大分県と広島県は、県内の市町村独自でも、地域計画の策定を始めており、その一部では、人口の増加も始まっていました。

この動きが全国に波及していって、大きなうねりが産みだせれば、日本の未来は、俄かに明るいものとなります。第2~3群の35地点を中心にして、これを爆発的に発進させるには、どうすれば良いのか、これが勝負を分ける状況になっているのです。日本全国の皆さんには、ここで力一杯頑張っていただきたいのです。

 

 

(注1)  グランドデザイン(grand design)とは、理想上での大枠の合意であり、事業などが計画される場合には、それが壮大な図案や設計であって、また長期間にわたって遂行されるようなものであるはずである。 また、この言葉は政策経営が行われる場所で使われる言葉である。

このグランドデザインという言葉は、政府などが行う都市開発などの大規模事業を意味していることが多く、例えば国土交通省が計画を進めている2050年までを視野に入れた中長期の計画の名称は「国土のグランドデザイン」となっている。これは政府のみならず企業や大学などの民間組織が長期の大規模な計画を行っている場合にもこの言葉が使われる。

 

(注2) ゾーン運賃制は、都市内をいくつかのゾーンに分類し、乗車してから下車するまでに通過するゾーンの数で運賃を決める方式のことを言う。 一般的には、その都市を中心に、ほぼ同心円で区切ってゾーンを設定し、それぞれのゾーン内では距離に関係なく均一の運賃を払うことになる。

 

(注3) コミュニティバス(community bus)とは、地域住民の移動手段を確保するために地方自治体等が運行するバスである。狭隘路など交通空白地帯の解消のため、また交通事業者が赤字路線から撤退した後、高齢者障害者学生児童などの交通弱者の交通手段が失われないよう、市区町村等が費用を負担してバスを委託運行することが多い 。

 

(注4)共創プラットフォームとは、異なる組織や個人が、新しいアイデア、製品、サービス、プロジェクトを共同で開発、実現するための環境のことを指す。共創プラットフォームを利用することで、異なるバックグラウンドや専門知識を持つ人々が集まり、アイデアを共有し、意見交換を行い、共同でプロジェクトを進めることができるようになる。共創を行いたいと思っても、なかなか自社の事業やリソース、プロジェクトの構想とマッチする連携相手を見つけるのには手間がかかる。プラットフォームを利用することで、ニーズがマッチする企業に出会いやすくなる。

 

(注5)ライドシェアリング(Ridesharing)とは、ウェブサイトモバイルアプリを介し、専用の貸切車両を運転する運転手と乗客をマッチングさせるサービスとなり、タクシーとは異なり、路上から合法的には、呼び止めることが出来ない車両である。世界では、ライドシェアリングカンパニー、交通ネットワーク会社とも称され、専用の車両はアプリタクシー、eタクシーの名でも知られている。日本では「ライドシェア」の名称が使われている。

ライドシェアリングの合法性は国や管轄地域によって異なり、フランスドイツデンマ-クオランダギリシャブルガリアハンガリーモロッコトルコルーマニア韓国タイなどの国々ではサービスが行われたものの、各種の問題が表面化したことで完全に禁止され、違法なタクシー事業(白タク)とみなされている地域もある。

 

(注6)日本経済新聞2024年8月31日、日経朝刊に記載された図表1、①地域公共交通計画の作成数。(注)国土交通省資料、2024年4月の時点。

 

(注7)日本経済新聞2024年8月31日、日経朝刊に記載された図表2、②多くで自治体数に及ばず。

 

(注8)日本経済新聞2024年8月31日、日経朝刊に記載された図表3、③今年度末で1200件が目標。

 

 

(1)日本経済新聞、2024年8月31日 朝刊(1面)。

[付記]2024年9月23日:.

 
 
 

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