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[日本再生]「地域創生」関東山梨 M字カーブ改善 2023年4月28日 東京都 奨励金で育休環境整備 保育所充実 就労を後押し

掲載が遅れてしまい、申し訳ございませんでした。出張、私事が続き、時間がありませんでした。

続木 碧(つづき あお) 2023年4月(研究報告№063)

「巻頭の一言」

この研究報告は、「M字カーブ改善」の第2偏です。


「地域創生」関東山梨 M字カーブ改善 東京都 奨励金で育休環境整備 保育所充実 就労を後押し


[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」関東山梨 M字カーブ改善 東京都 奨励金で育休環境整備 保育所充実 就労を後押し

ここでは日本経済新聞の2023年4月1日39面の記事を紹介します。


[はじめに]

出産・育児の適齢期に女性の労働力率(注2)が低くなる「M字カーブ(注3)」について、関東・山梨は全国に比べて落差が大きいなかで、企業や行政が改善に向けて取り組んでいます。希望の働き方を選べる職場環境の整備や育児休業の奨励、保育所の設置などで労働力を確保しようとする動きが広がっています。(2023年4月1日の日本経済新聞の39面(松隈未帆、田原悠太郎、上月直之、田中博文)を参照引用して記述)。


[労働力落差と労働力率]

「労働力落差(注4)」は20代後半の「労働力(注1)」から、底となる30代の労働力(注1)をマイナスしたものを指します。関東・山梨の各都県の労働力落差では、山梨県が最も低い5.1ポイントで、群馬県(5.9)、茨城県(6.7)と続きます。そして、都市部の方が落差が大きく、埼玉県は11.8ポイント、神奈川県は13.7ポイントであり全国で最も落差が大きかったのです。


[群馬県]

 関東では比較的落差が小さかった群馬県では、民間による職場環境の整備が目立ちます。2005年に創業した訪問介護やデイサービスを手掛けるCOCO―LO(ココロ、群馬県桐生市)は、仕事と育児の両立がしやすい職場環境を整えてきました。

 育児や介護の家庭の事情に応じて、従業員自ら、正社員や準正社員、パートなどから勤務体制を選択でき、勤務時間も4.5~7.5時間から選べます。一人ひとりの希望の働き方に柔軟に応じた結果、従業員90人に対して、勤務形態は40パターンを超えました。

 年に一度、より働きやすい環境になるために、どんな制度が必要かについて社内でアンケートを取ります。その結果から毎年新しい休暇制度が発表されます。授業参観のための休暇やひとり親が取れる子育て休暇などが生れました。雅楽川陽子社長は「自分の意見が通ったと実感すれば、社員の会社に対する主体性も生れます。社内の風通しの良さにもつながります」と話しています。


[茨城県]

 茨城県は「若い人に魅力的な働き先を生み出すことが、若者の県外流出を防ぐことにつながる」として、女性活用に、積極的な県内への企業誘致を進めています。誘致に成功した米化粧品大手エスティ・ローダーの下妻工場(茨城県・下妻市)では、工場が本格稼働する2023年に企業内保育所を開業する予定です。


[東京都]

30代の女性の労働力率(注2)の低下は、出産・育児による離職が大きな要因となっているのです。東京都は大企業に比べて遅れがちな中小企業でも育休制度の整備を促そうと、2018年度から女性従業員が1年以上の育休から復職した実績のある中小企業に対して、125万円を支払ってきました。これは効果が大きかったのです。

 初年度はわずか17社の利用に止まっていましたが年々利用が拡大し、2021年度は1100社に支給し、育休環境の整備に大いに寄与しました。男性版も、育休取得率の上昇に伴い、年々利用率が増えているのです。

 就業継続には子どもの預け先の確保も欠かせないのです。都は保育所などの整備に力を入れており、23区の待機児童は、2022年4月の時点で32人と5年前の5665人から激減しています。


[埼玉県]

 首都圏で労働力落差(注4)が大きい理由について、埼玉労働局の担当者は「保育所の確保が難しかったり、三世代同居率がひくく、祖父母に子どもの世話をお願いしづらかったりすることがあるのではないか」と分析しています。

 埼玉県は現在離職している人が復職できるようなスキルの取得を促しています。2022年度に、女性のデジタル人材育成推進事業に着手しました。出産や子育てで離職している女性を対象に、IT(情報技術)スキルの習得をサポートし就職活動支援しました。

 県の担当者は「今後ますますデジタルトランスフォーメーション(DX、注5)が進むなか、ITスキルを持っていた方が、就職が巧くいくと考えたのです」と話しています。2023年度は非正規雇用で働く女性でキャリアアップを目指す人も、対象に含めて取り組みを進めていく考えです。(2024月1日の日本経済新聞の39面(松隈未帆、田原悠太郎、上月直之、田中博文)を参照引用して記述)。


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2023年4月1日の日本経済新聞39面の記事には、一つの図表が記載されていました。①都市部では女性の労働力落差が大きい(図表1、注6)。


[図表1]

図表1(注6)は「都市部では女性の労働力落差が大きい」と題する表で、関東・山梨の自治体名(都県名)と労働力落差(注4)が、その落差(ポイント)の小さい順に、表に記してありました。これを以下に示します。


図表1 都市部では女性の労働力落差が大きい


   自治体名                労働力落差(ポイント)       

    山梨県                 5.13

    群馬県                 5.93

    茨城県                 6.76

    栃木県                 7.00

    東京都                11.54

    千葉県                11.64

    埼玉県                11.84

    神奈川県               13.71


(注)2000年国勢調査より作成。20代後半女性の労働力率から、底となる30代女性の労働力率をマイナスした。


この図表1を眺めて見ると以下のことがわかります。山梨、群馬、茨城、栃木の4県と比べて、東京、千葉、埼玉、神奈川の4都県の労働力落差が著しく大きいのです。これは、全国的に見ても、東京都とこれに隣接する3県の労働力の落差は格段と大きいのです。

このことを、東京都などは、強く認識しており、東京都は、この落差を減少させるための極めて適切な対策を講じていました。産業活動で重要な役割を演じている中小企業は、どうしても、育休制度などが遅れがちなのです。そこで、女性従業員が1年以上の育休から復職した実績のある中小企業に対して、25万円を支払ってきたのです。それによる効果が、今、急速に出てきています。

これは全国的にみても、中小企業の育休の促進に大いに効果があるのです。国をあげて強力に実施するべきです。今こそチャンスです。みんなで頑張りましょう。


(注1) 労働力: サービスという生産物を作るために投入される人間の能力。肉体的なもののみならず、知的なものも含む。

(注2) 労働力率: 生産年齢人口に対する労働力人口の比率をさす。労働力率は,生産年齢に達している人口のうち,労働力として経済活動に参加しているの比率である。先進国ほど低く,家計や地域別にみると所得の高い層ほど低い。長期的にみると,進学率上昇により若年者の労働力率は低下し,主婦を中心とする中年女性の労働力率は上昇傾向にある。労働力率:就業者数と完全失業者数とを合わせた労働力人口が、15歳以上の人口に占める割合。労働力人口÷15歳以上の人口(生産年齢人口)×100の数値で示す。

(注3) M字カーブ: 労働分野において、女性の年齢階級別の労働力率(注2)を示す指標を表す語である。グラフ化した時のその形がアルファベットの「M」の字の形に似た曲線を描くことから、こう名付けられた。

女性の年齢階級別の労働力率(15歳以上の人口に占める働く人の割合)をグラフで表すと、学校卒業後の20歳代でピークに達し、その後30歳代の出産育児期に落ち込み、子育てが一段落した40歳代で再上昇する。これをグラフに表すと、アルファベットの「M」に似た曲線を描く傾向が見られる。このことから,この曲線を「M字カーブ」と呼ぶ。このグラフは女性の就業状況の特徴を表している。

このM字カーブと呼ばれる現象は、日本のほか、韓国において、そのM字の底が深い特徴的な現象を示しているが、欧米諸国では見られない。

(注4) 労働力落差:20代後半のピーク時代の「労働力」から、底となる30代の労働力をマイナスしたものを指す。

(注5) デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation:DX):「情報技術の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という仮説。2004年にスウェーデンウメオ大学教授、エリック・ストルターマンが提唱した。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的であるが、おおむね「企業がテクノロジー(IT)を利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」という意味合いで用いられる。なお、本用語はビジネス用語としては一般的に「DX」と表記される。英語の接頭辞「trans-」には「across(を超えて)」という意味があり、「DX」と表記されることが多い。

デジタルトランスフォーメーション(Di+gital Transformation):企業がAI、IoT、ビッグデータなどのデジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出だけでなく、基幹システムからの脱却や企業風土の変革をも実現させることを意味する。

(注6) 日本経済新聞2023年4月1日(39面)に掲載された図表1、「都市部では女性の労働力落差が大きい。」(注)2000年国勢調査より作成。20代後半女性の労働力率から底となる30代女性の労働力率をマイナスした。


[参考資料]


(1) 日本経済新聞、2023年4月1日(39面)


[付記]2023年4月28日。

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