「日本再生][地域創生]にぎわう公園街に活力 2024年5月6日 和歌山市 民間運営、来園2倍 1人あたり面積1割増
- honchikojisitenji
- 2024年5月6日
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続木 碧(つづき あお) 2024年5月(研究報告№107)
「巻頭の一言」
大型連休で公園に足を運ぶ人も多いでしょう。海外に比べて少ないと言われることもありますが、国や自治体が整備する「都市公園(注1)」は徐々に広がっています。2022年度末の一人当たり面積は、全国平均で10年前より1割増えました。岡山県矢掛町は、子どもらに人気の設備をそろえ、人口6倍の来園者を集めています。民間資金やノウハウを生かす取組みも全国で広がっており、地域の魅力向上への期待も高まっています。日本経済新聞2024年4月27日、朝刊、2面記事(藤井太郎、田村広済)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生] にぎわう公園街に活力 和歌山市 民間運営、来園2倍 1人あたり面積1割増
「日本再生」「地域創生」にぎわう公園街に活力 和歌山市 民間運営、来園2倍 1人あたり面積1割増
ここでは日本経済新聞の2024年4月27日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
公園は自然を守るために一定区域を指定する「自然公園(注1)」と、国や自治体が整備する「都市公園(注1)」などに大別できます。都市公園は近隣の小規模な公園から遊具などが充実した大規模公園まで、全国に11万カ所あります。
国土交通省によりますと、2022年度末の都市公園などの住民1人当たりの面積は10.8平方メートルで、2012年末より8%増えました。政令指定都市を含めた都道府県別の伸び率は、宮城県が28%増とトップで、和歌山県(26%)、岡山県(21%)が続きます。1人あたり面積は、北海道が30平方メートルで最大でした。
[岡山県]
岡山県矢掛町は7ヘクタールの「矢掛町総合運動公園」を、2014年までに21億円かけて16.6ヘクタールに拡張しました。住民らの要望を受けて,子どもがはだしで遊べる芝生広場や専用ソリで滑る人口芝ゲレンデなどを整備しました。広域集客(注2)にも成功しており、クルマで1時間程度の岡山市に住む30代の男性は「子どもがヘトヘトになるまで楽しめる」と満足げです。
同町はかっては、山陽道の宿場町として栄え、近年は古民家などを再生した「町ごとホテル」としても注目を集めています。山岡敦町長は「来園者には江戸時代の面影が残るエリアにも足を運んでもらい、相乗効果で町全体を活性化したい」と期待しています。
[和歌山県]
伸び率2位の和歌山県では、和歌山市が2018年に都市公園として「四季の郷公園」の運用を始めました。2020年には自治体の資金で民間が施設を整備・運営する仕組みを活用して、レストランや農産物直売所などを整備しました。
市は2017年の都市公園法改正で導入された「パークPFI(注3)」も活用しています。今夏にはJA三井リースなどが宿泊施設やバーベキュー施設などを開きます。
バークPFIは、民間の資金やノウハウを活用して施設の整備をし、収益の一部が公園整備に還元されます。運営期間が通常より延びるなど民間にもメリットがあり、2022年度末で全国131カ所に広がりました。
[北海道旭川市]
都市公園は、住民のつながりを生む場にもなります。北海道旭川市は2015年、旭川駅周辺の12ヘクタールの敷地に、「あさひかわ北彩都ガーデン」を開きました。コンセプトは「市民が守りそだてるガーデン」です。花壇の手入れや見学ツアーには、100人のボライティアが手伝っています。
市民参加の懇談会で利用促進策を検討し、動物を模した立体花壇などを整備しました。2022年の来園者は11万6000人と2017年より3割増えました。婚活イベントなどにも利用されており、市公園みどり課の星孝幸課長は「全国的に有名な旭山動物園も一緒に楽しんでもらえるように、地域外も誘っていきたい」と話しています。
[この項のまとめ]
都市公園に詳しい東京都立大学の坂井文教授は「日本は大規模な公園だけでなく、身近な小規模公園の整備にも力を入れており、海外に比べて劣っているわけではない」と説明しています。そのうえで「公園を質量ともに充実させるためには、市民と一緒に育てていくという視点が一段と重要になる」と強調しています。日本経済新聞2024年4月27日、朝刊、2面記事(藤井太郎、田村広済)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2024年4月27日の日本経済新聞の朝刊2面には、三つの図表が記載されていました。①1人当たり都市公園面積の伸び率(2022年度末、2012年度比)(注)国土交通省「都公園等整備現況」をもとに計算。②1人当たり面積の都道府県ランキング(2022年度末)。➂海外に比べて水準は低い。
[図表1]
図表1(注4)には、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「1人当たり都市公園面積の伸び率(2022年、2014年比)」と題した図表でした。ここでは、2022年において市町村の都市公園面積の伸び率(%)を2014年と比べて都道府県ごとに集計しています。この伸び率を日本列島の地図上で、緑色の濃淡で塗り分けて示していました。
各都道府県別の伸び率について、その値の最も大きい処から、伸び率最小をへて「減少」に到るまでの4段階にわけ、日本列島の地図を色分けして示していました。
その色分けは以下です。①伸び率の最も高い処20%以上の増加(黒色)。②増加率10%以上20%未満(濃い緑色の斜線)。➂増加率10未満(緑色)。④減少(灰色の斜線)。
ここで各都道府県において、2014年比で「公園面積の増えた市町村の割合」が、最も伸びた処(20%以上の増加、第1群)は、黒色に塗ってあった処でした。これに該当する地域は、第1位の宮城県、第2位の和歌山県、第3位の岡山県の3カ所でした。ここが公園面積の伸びた市町村の割合が最も高い地域です。
公園面積が増加した市町村の割合が、次に高かった処(10%以上20%未満)は、濃い緑色の斜線で示した処(第2群)でした。岩手県、山形県、福島県、新潟県、長野県、
岐阜県、福井県、神奈川県、静岡県、山口県の14カ所でした。この集団が、先頭集団を、どんどん追ってくれるのが、まず重要なのです。
この第2群と次に述べる第3群(10%以上20%未満)も増加組です。この第3群は、濃い緑色に塗ってあった群でした。先に示した第2群は積極的に改革を進めた先導者で、この第3群は、少々立ち遅れた人達ということになります。それは以下です。
北海道、青森県、岩手県、秋田県、富山県、石川県、愛知県、東京都、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県、三重県、滋賀県、京都府、岡山県、鳥取県、島根県、山口県、福岡県、徳島県、愛媛県で、21カ所でした。この21カ所が、これから大いに伸びて先行の2集団(第1、2群)に続いてほしいのです。
最後の第4群は、都市公園の面積が減少している地域です。ここでは増加率はマイナスです。増加率マイナス(減少)の地域は、大分県と長崎県の2カ所でした。
日本経済新聞2024年4月27日、朝刊、2面記事(藤井太郎、田村広済)を参照・引用して記述。
[図表2]
図表2(注5)は「1人当たり面積の都道府県ランキング(2022年度末)」と題した図表でした。
ここでは、2022年末における各市町村の1人当たりの都市公園面積を都道府県ごとに集計し、そのベスト10を記していました。これを以下に記述します。
図表2 「1人当たり面積の都道府県ランキング(2022年度末)」
順位 都道府県・群 2022年度末の1人当たり面積
1 北海道(第3群) 30.0平方メートル
2 山形県(第2群) 22.5
3 秋田県(第3群) 21.9
4 宮崎県(第3群) 20.7
5 宮城県(第1群) 20.3
6 島根県(第3群) 19.8
7 青森県(第3群) 19.0
8 香川県(第2群) 18.6
9 福井県(第2群) 17.7
10 岡山県(第1群) 17.5
(注)群は図表1におけるグループ分け。
私は、この図表2を概観して眺めていて、考え込みました。この図表2の順位は、各市町村の1人当たりの都市公園面積を、都道府県ごとに集計した数値の大きい順に記しています。ここでの第1位は北海道、第2位は山形県、第3位は秋田県、第4位は宮崎県でした。
でも、この順位と、図表1で分析した「公園面積の増えた伸び率」の最大だった、都道府県の最優秀3県(宮城県、岡山県、和歌山県)は、ここでの4位までには入ってないのです、(宮城県5位、岡山県10位、和歌山県10位以下)。
すなわち、北海道、秋田県、宮崎県は図表1の分析では、第3群に属しており、少々、おくれをとってしまった地域になっていました。このことを丁寧に分析すれば、今後、国全体の都市公園の拡大を進める政策を推進するための貴重な視点が、見えてくるはずだと思うのです。私は、今後データを改めて集めて研究して行きたいと思っています。
日本経済新聞2024年4月27日、朝刊、2面記事(藤井太郎、田村広済)を参照・引用して記述。
[図表3]
図表3(注6)は「海外に比べて水準は低い」と題した図表でした。この図表の上部には、0~80平方メートルの1人当たり公園面積が記してありました。そして、その下に、広い公園面積を実現している、世界の先進地域と日本の公園面積が、対比した横線棒グラフで記してありました。ここでは、その内容を、分かりやすい、別の表として示します。
図表3 「海外に比べて水準は低い」
国名・都市名(データの年) 1人あたりの公園面積
ストックホルム(2007年) 80平方メートル
ベルリン(2007) 27
ウイーン(2003) 22
ニューヨーク(2007) 19
パリ(2009) 16
ソウル(2007) 16
日本平均(2023) 15
東京23区(2023) 3
世界の先進地域と比べてみますと、日本の水準は、まだ低いことが解ります。特にダントツトップのストックホルムとは、大きな差があります。東京23区は、とても小さく立ち遅れています。日本は島国で、ひろく世界をみるのを怠りやすいのです。ひろく世界をみて、どこを目指すのかを考えていかねばなりません。
日本経済新聞2024年4月27日、朝刊、2面記事(藤井太郎、田村広済)を参照・引用して記述。
(注1) 都市公園とは、都市計画法に基づき地方公共団体や国により設置される公園又は緑地のことを指す。自然公園とは区別されている。「都市公園」は、遊び、運動、レクリエーション、防災等、さまざまな目的に向けて整備される。自然環境を保護するために、一定区域を公園に指定している「自然公園」とは異なる。「人の営み」と「自然の営み」のどちらを重視するかという違いとも言える。
(注2)広域集客:市街地が分散する都市部において、市町域を超えた広域的な範囲からの集客を許容する区域として設定し、特に規模の大きい集客施設を誘導する。このような広い範囲の集客を計画し実施することを広域集客と呼ぶ。
(注3)公園PFI(Private Finance Initiative)とは、都市公園法の改正により新しく創設された公募設置管理制度のことである。この制度は、公園管理者が設置する都市公園内で飲食店、売店等の公園施設(公募対象公園施設)と広場や遊具等(特定公園施設)の設置・管理を行う民間事業者を公募により選定することで、都市公園の利便、魅力の向上を図ることができる制度である。民間のノウハウを活用することで、カフェやショップなどの集客施設や、保育所やデイサービスセンターなど、地域の人が集う施設が続々と生まれている。
(注4)日本経済新聞2024年4月27日の朝刊2面に掲載された図表1、①1人当たり都市公園面積の伸び率(2022年度末、2012年度比)(注)国土交通省「都公園等整備現況」をもとに計算。
(注5)日本経済新聞2024年4月20日の朝刊2面に掲載された図表2、②1人当たり面積の都道府県ランキング(2022年度末)。
(注6)日本経済新聞2024年4月13日の朝刊2面に掲載された図表3、➂海外に比べて水準は低い。
(1)日本経済新聞、2024年4月27日(2面)。
[付記]2024年5月6日:.
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