山での農業
- honchikojisitenji
- 8月2日
- 読了時間: 3分
山村部の農業は平地が少なく、山の斜面を農地として使うことになります。
斜面の農地としては、焼畑移動耕作が思い浮かびます。日本には今でも焼き畑が続けられているところがありますが、面積当たりの収穫量は決して多くないため、より多くの人口を扶養するため食料を増産したり、年貢や現金収入が必要になる社会では、次第に、常畑化し、更には水稲(お米)の作付けへと変わってきました。斜面ですから、水はけは良い一方、農地として使おうとすると水持ちを改善し、肥料を投入しても流出しないようにしなければなりません。そのために、棚田や段々畑という農地利用が進みました。

棚田百選に選ばれた吉賀町の棚田です。水を留めるために、農地を平らにしなければなりません。さらに、急斜面を目いっぱい農地にするために石垣を積んでいます。西日本では良く見られる石垣の光景ですし、家屋を建てる際にも石垣を積んで土地を平らにしてきました。石垣を積むのも大変な重労働だったと思いますが、お米を取る水田にするためには不可欠ですし、畑にするにしても、斜面での農作業はそれ以上の重労働だったかもしれません。平らにすることの効用は大きいのでしょう。体験学習、体験観光ということで、棚田を活用して地域の創造にも一役買っているそうです。
こちらは斜面に切り開かれた茶畑です。自家用に栽培されているそうですが、この畑は、地域おこし協力隊で茶の栽培をしている方の畑で、そのお茶は村内の道の駅などで売られています。日本で圧倒的シェアを取っているやぶきた茶ではなく、地域の在来品種のお茶だそうです。栽培している方は抹茶の栽培にチャレンジされていますが、日除けに伝統的な藁を使うために、別の場所で稲作も始められています。藁は、コンバインで刈り取ると裁断されてしまうために、手刈りでしなければならないそうです。

一反歩くらいの小さな区画ですが、20~30mくらいの高低差があります。高い手前側が抹茶栽培にチャレンジしている畑。真ん中の茶色くなっているところは、断幹して新しい幹を出そうとしている列だそうです。ここも機械が入らないので、手摘みの茶畑なんです。一番茶が摘み終わり二番茶の芽が伸びるのを待っているそうですが、今年の高温少雨で芽が伸びてこないと心配されていました。水が欲しいと言っておられました。全体で五反歩ほどの茶園の敷地には町の水道の貯水槽があるのですが、その水をもらうことはできず、雨を待つしかないようです。陽射しが強くとても暑いですし、今は、写真の右に隣接したクリの木に熊もやってくるようで、山間地での農作業の難しさが良く分かる場所でした。でも、ここまでしてやらなければ地域を盛り上げることはできないのか、と本当に悩ましく思います。
コメント