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伝統的な地場産物と技術

  • honchikojisitenji
  • 2024年12月1日
  • 読了時間: 2分

写真は、鹿児島県福山町の黒酢の熟成現場です。このような壷(アマン壷というらしいです)の中でほぼ1年、そして壷を変えて2~5年と発酵、熟成させて、透明の酢が、黒褐色の黒酢になっていくのです。玄米と水と麹を原料に、壷の中で糖化、アルコール発酵、酢酸発酵させ、そしてこの地域の酵母菌などが棲みついた壷による熟成によってアミノ酸をたくさん含んだうま味のある黒酢になるのだそうです。

陶器の壷ですから、ワインやウイスキー樽のように長い年月の間に木の成分が染み出してくるわけではないと思うのですが、この並んでいる壷には酵母菌や乳酸菌、酢酸菌が棲みついており、その菌の働きにより熟成が進みます。壷での発酵はたぶん中国から伝来した技術だと思うのですが、薩摩焼酎、奄美黒糖焼酎、琉球泡盛なども壷発酵で作られて来ました。鹿児島にはつぼ漬けという大根の漬物もありますね。


一方、こちらは日本酒の発酵に使われる大桶の制作現場。天然秋田杉を使っています。

この桶は7年?程使われた中古の桶で、一旦分解し、九州のつくり酒屋さんの注文で、底板を屋久杉に仕替える工作をしている所だそうです。

日本では、酒も酢も味噌も醤油も木桶で発酵させてきたのではないでしょうか。でも、熟成させるのには壷が使いやすいのでしょうが、短期間の発酵には木桶が向いているのではないでしょうか。しかし、今は、プラスチックやステンレスの桶が使われるのが普通になってしまいました。それでも、蔵ごとに違う酵母菌などが棲みついていて、違う味わいは創り出せているのかもしれません。

しかし、木の違いは風味の違いをもっと際立たせるものと思います。

灘の生一本を作る桶の材料として木目の詰まった吉野杉の育成が進んだことはよく知られています。スギの木は地域地域で変異に富んでおり、吉野、秋田、屋久など異なる地域のスギで作られた桶は、木から染み出る成分によって、それぞれ風味の異なるお酒を醸し出すでしょう。

この工場は、秋田のつくり酒屋さんの蔵を改造して木桶を制作しているのです。今、このような大きな木桶を作ることができるのは数か所しかないとのこと。

伝統工芸と伝統文化の接点の仕事です。

 
 
 

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