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「日本再生」[地域創生] 祭り・芸能 官民受け継ぐ 2024年6月17日 長野100社参画、担い手確保 無形民俗文化財2000件

  • honchikojisitenji
  • 2024年6月17日
  • 読了時間: 9分

 続木 碧(つづき あお)  2024年6月(研究報告№113)


「巻頭の一言」

 長く受け継がれてきた祭りや年中行事を、未来に残そうという動きが、全国各地で広がっています。少子高齢化で担い手不足が深刻になるなか、国などは保存に向けて2000超の「無形民俗文化財(注1)」を指定しています。地域に根ざした祭りなどは、訪日客を含めた観光客にもつながります。長野県では地元企業100社と自治体、住民がタッグを組み「地元の誇り」を受け継ごうと懸命です。日本経済新聞、2024年6月8日、朝刊、2面記事(藤井太郎)を参照・引用して記述。

 

 

[日本再生][地域創生]]祭り・芸能 官民受け継ぐ 長野100社参画、担い手確保 無形民俗文化財2000件超

 

「日本再生」「地域創生」祭り・芸能 官民受け継ぐ 長野100社参画、担い手確保 無形民俗文化財2000件

 

 

ここでは、日本経済新聞の2024年6月8日朝刊2面の記事を紹介します。

 

 

[はじめに] 

 国は地域で伝えられてきた祭りや舞踏、生活用具などを「重要無形民俗文化財(注1)」に指定し、用具を修理する費用などを助成します。人間の「わざ」やその保持者を認定する「重要無形文化財」(人間国宝)とは異なります。

 建造物や工芸品など、形のある文化財を対象とする「国宝」や「重要文化財」は、歴史的な背景もあって関西や東京に多いのです。これに対して民俗文化財は全国の農山村に点在します。住民の生活と切り離せないものも多く、都道府県も独自に指定して支援します。

 2024年時点の指定数は国が333、都道府県は1701です。指定数の合計は2034と、10年前と比べて112増えました。2024年の合計数を都道府県別にみますと、80件の和歌山県が最多で、福岡県と鹿児島県が74件で、これに続いていました。

 

[長野県]

  農山村の生活に根ざした文化を皆でつなぎたい」と南信州民俗芸能継承推進協議会の平松三武会長(77)は力を込めて語ります。長野県の国の指定数(注2)は全国8位です。長野県飯田市を中心にする南信州地域には、国指定の「和合の念仏踊り」、県指定の「清内路の手作り花火」など、民俗文化財が集結しています。ただ、10年前の調査では「人材がいない、多くが10年後の存続に不安がある」とされました。

 そこで、2015年に長野県が音頭をとって協議会を設置しました。2016年には「南信州民俗芸能パートナー企業制度(注3)」を始めました。これには金融機関や製造業など105社・団体が登録しています。パートナー(注3)は、祭りなどに参加する従業員に休暇取得を促したり、ボランティアを派遣したりします。

 パートナー(注3)の飯田信用金庫(飯田市)は、民俗芸能の紹介動画を制作しました。今年度は所員が親しめるように学ぶ場も設ける計画です。同信用金庫で地域連携を担当してきた岩戸久義氏は「民俗芸能は観光振興にもつながる」と魅力の対外発信にも、とても前向きです。

 

[和歌山県]

 全国的に担い手の不足は深刻です。合計指定数(注2)が1位の和歌山県でも、豊作祈願のために隔年に開いてきた2つの伝統舞踏の一般公開が、2019年を最後に休止されました。日本民俗学会の大石泰夫会長(国学院大学教授)も「継承の一番の課題は資金よりも人である」と強く主張しています。

 

[福岡県]

 福岡県も「住民がきずなを深めるお祭りがなくなると、地域の衰退に直結しかねない」と危機感を募らせています。2023年には「地域伝統行事お助け隊(注4)」を立ち上げました。

ここでは登録したボランティアが、派遣要請のあったお祭りなどに参加するのです。人材をプールして継続支援する全国でも珍しい取組みです。

 お助け隊には県民を中心に250人が登録しています。2024年5月に福岡県田川市で開かれた「川渡り神幸祭」には、みこしの担ぎ手など7人が参加しました。みこしを担ぐ会の杉原功一会長は「担い手の確保には新しい人が欠かせないのです」と話しています。お助け隊として参加した会社員の生熊竜一さん(56)は「外からではなく担ぎ手として見る景色は特別だった」と感慨深げです。福岡県は学生にも登録を促すなど、さらに充実させたい考えです。

 

[この項のまとめ]

 日本民俗学会の大石泰夫会長は、「全国で生活文化が均質化するなか、祭りや民俗芸能は、地域の特色を伝える重要な要素なのです」と強調しています。「それだけに、行政や企業の取組みに加えて、伝承者たちが地域やコミュニティを超えて、助け合っていかなければ、共倒れになるのです」と力を込めて強調しています。日本経済新聞、2024年6月8日、朝刊、2面記事(藤井太郎)を参照・引用して記述。

 

 

[まとめ]

 この研究報告の執筆で参照引用した2024年6月8日の日本経済新聞の朝刊2面には、三つの図表が記載されていました。①国と都道府県が指定した無形民俗文化財件数(2024年)。(注)文化庁と都道府県の資料を基に作成。2県にまたがるものは両方を含めた。②指定件数が多い都道府県。➂指定件数(全国)。

 

 

[図表1]

図表1(注5)には、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「国と都道府県が指定した無形民俗文化財件数(注1)」と題した図表でした。ここでは無形民俗文化財件数を合算して計算しました。出所は文化庁と都道府県の資料を基にして作成しました。2県にまたがるものは両方を含めました。

無形民俗文化財件数が「最大であった60件以上から、最低であった20件未満まで」を4段階に分けて、日本列島の地図を色分けして示していました。

その色分けは以下です。①無形民俗文化財件数が「最大であった60件以上(黒紫色)。

②件数が40件以上60件未満(濃い紫色の斜線)。➂件数が20件以上40件未満(紫色)。④件数が20件未満(淡い紫色)。

 

最も件数が多かった処.60件以上のところ(第1群)は黒紫色に塗ってありました。

これに該当する地域は、第1位の和歌山県、第2位の福岡県、第3位の鹿児島県とこれに続く以下の7カ所でした。青森県、秋田県、千葉県、東京都、岐阜県、福井県、広島県。

この10都県が無形民俗文化財件数60件以上で、最も多かった地域です。

 

無形民俗文化財件数が、次に多かった第2群(40件以上60件未満)は、濃い紫色の斜線で示した処でした。これは岩手県、宮城県、福島県、埼玉県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、奈良県、兵庫県、鳥取県、島根原、大分県、熊本県の14県でした。

結局、この無形民俗文化財件数拡大運動を牽引していたのは、この第1群と第2群の24都県でした。

 

次の第3群(20件以上40件満)は、紫色に塗ってあったところでした。それは以下です。

山形県、新潟県、富山県、石川県、茨城県、栃木県、群馬県、神奈川県、山梨県、京都府、岡山県、山口県、佐賀県、長崎県、宮崎県、沖縄県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県の20府県でした。

この20カ所が、これから大いに伸びて、先行の2集団(第1、2群)を急追してほしいのです。

 

第4群はこの活動で後れを取ったグルーブです。それは以下です。北海道、滋賀県、大阪府の3カ所です。関西の雄、大阪府は遅れました。日本経済新聞、2024年6月8日、朝刊、2面記事(藤井太郎)を参照・引用して記述。

 

 

[図表2]

図表2(注6)は「指定件数が多い都道府県」と題した図表でした。これを以下に記述します。

 

 

               図表2 「指定件数が多い都道府県」

 

順位   都道府県     件数          例

 1   和歌山県     80(件)    那智の扇祭り

 2   福岡県      74       博多祇園山笠行事

 2   鹿児島県     74       与論の十五夜踊

 4   東京都      71       板橋の田遊び

 4   岐阜県      71       長良川の鵜飼漁の技術

 4   広島県      71       壬生の花田植

 7   福井県      70       敦賀西町の綱引き

 8   秋田県      65       男鹿のナマハゲ

 9   青森県      64       青森のねぶた

10   千葉県      62       佐原の山車行事

 

 

 この図表2では、無形民俗文化財(注1)としての指定件数の多い順に、都道府県を並べて示してあります。結果としては、図表1の分析で、指定件数が最も多かった処として、第1群とした10都県が、この図表2の順位1~10に、全て入りました。図表1の第1群の分析でベスト10とした10都県と図表2のベスト10は完全に一致したのです。

 

 私が常に気を掛けている、東京都、大阪府、京都府ですが、東京都はまずまずやっています。大阪府は、ここでは完全に脱落組となりました。京都府は図表1では第3群で、なんとか頑張っているように見えます。

 

 東京都、大阪府、京都府の三大都市は、無形民俗文化財指定では、今、どんな状態になっているのでしょうか。日本の人口減少、地域消滅の危機など、日本の未来の大きな問題に対する対策を考える上で、私は、3大都市の、今の極端な大差に大きな不安を持つのです。

 

 図表1の第2群にいる14県のうち、どこが第1群の10都県を追いあげてくるのか。それが全国の農山地の未来に、どれだけ波及してくるのか、それと3大都市の、今の、極端な現状の姿を、重ね合わせて見てしまうから悩むのです。私は、今、思い悩んでいます。

 

 

[図表3]

図表3(注7)は「指定件数(全国)」と題した図表でした。この図表には、上段と下段に二つの図表が書いてありました。上下段とも折れ線グラフです。

 

上段は「2014年から2024年にかけて、都道府県が指定した無形民俗文化財の指定件数の増加を示す折れ線グラフでした。そのグラフのために左側縦欄には、都道府県の指定件数を示す1600~1750「件」が記してありました。

また、下欄には「2014年から2024年まで」の「年」が記してありました。この縦横軸を用いて「2014年~2024年にかけての都道府県が指定した指定数の伸びを、折れ線グラフで示してありました。

この推移では、2014年に1650件弱だった指定件数が、2024年には1700件にまで増加する様子が折れ線グラフで示してありました。ほぼ右肩上がりの直線で上昇していました。

 

また、下段は、2014年から2024年までの国の指定件数を示す折れ線グラフでした。そのために右側縦欄には、「250~350件」と指定件数の「件」が記されていました。また、下欄は、上段と共通で「2014年~2024年」の「年」でした。この縦横欄を用いて無形民俗文化財の国の「指定件数」の推移を示す折れ線グラフが記されていました。国の「指定件数」の推移は2014年の300件弱から2024年の350件弱へと右肩上がりで上昇していました。このように、折れ線グラフを並べて示めされれば、都道府県と国の指定件数の実績が、とても分かりやすいのです。日本経済新聞、2024年6月8日、朝刊、2面記事(藤井太郎)を参照・引用して記述。

 

 

(注1)重要無形民俗文化財は、衣食住生業信仰年中行事などに関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術など、人々が日常生活の中で生み出し継承してきた無形の民俗文化財のうち、特に重要なものとして国が指定したものである。この指定制度は、1975年に日本文化財保護法の改正によって実現し、1976年5月4日に第1回として30件が指定されて以来、2024年3月31日現在で、合計333件が指定されている。なお、現在、重要無形民俗文化財は都道府県でも指定している。

 

(注2)合計指定数とは、特定の条件を満たすデータだけを合計して算出するための関数である。具体的には、ExcelのSUMIF関数を使うことで、指定した条件に合致するデータの合計を求めることができるこの関数は、ビジネスから家庭用まで幅広く役立つ。例えば、売り上げ実績データから特定支店の売り上金額を合計したり、支出額データから特定用途を指定して金額を合計する際に活用できる。

 

(注3)南信州民俗芸能パートナー企業:南信州の民俗芸能を確実に未来へ継承するため、民俗芸能保存・継承団体の取組に支援してもらえる企業・団体を、県が「南信州民俗芸能パートナー企業」と呼んだのである。ここでは企業・団体の人たちは、民俗芸能の継承活動を支援することを目的として、 民俗芸能継承推進協議会事務局と協定を締結した。この論文では、単に、パートナー企業・パートナーと呼んだとき「このパートナー企業」を指す。

 

(注4)地域伝統行事お助け隊:これまで地域の人たちによって大切に守り、受け継がれてきた祭りや風習などの伝統行事も、担い手不足により継続が難しくなってきている。地域伝統行事お助け隊は、そうした伝統行事を支援する人たちを登録し、ボランティアとして派遣する制度である。

 

(注5)日本経済新聞2024年6月8日朝刊2面に記載された図表1、①国と都道府県が指定した無形民俗文化財(2024年)。(注)文化庁と都道府県の資料に基づき作成。2県にまたがるものは、両方を含めた。

 

(注6)日本経済新聞2024年6月8日朝刊2面に記載された図表2、②指定件数が多い都道府県。

 

(注7)日本経済新聞2024年6月8日朝刊2面に記載された図表3、➂指定件数(全国)。

 

 

(1)日本経済新聞、2024年6月8日 朝刊(2面)。

[付記]2024年6月17日:.

 
 
 

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