「日本再生][地域創生] 障害者活躍 企業も育つ 2024年5月27日栃木の紙関連会社 開発の要に 法定雇用率、39道府県で達成
- honchikojisitenji
- 2024年5月31日
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続木 碧(つづき あお) 2024年5月(研究報告№110)
「巻頭の一言」
働く障害者が増えています。民間企業での障害者の雇用者は2023年6月1日時点で64万2178人と前年より4.6%増えました。雇用者に占める割合も2.33%と過去最高でした。構造的な働き手不足もあって、障害者の活動の場はさらに広がりそうです。収入面を含めて安心して安定的に働ける環境の整備が、一段と重要になります。日本経済新聞、2024年5月18日、朝刊、2面記事(吉野真由美、奈良部光則)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生] 障害者活躍 企業も育つ 栃木の紙関連会社 開発の要に 法定雇用率、39道府県で達成
「日本再生」「地域創生」障害者活躍 企業も育つ 栃木の紙関連会社 開発の要に 法定雇用率、39道府県で達成
ここでは、日本経済新聞の2024年5月18日朝刊2面の記事を紹介します。
[はじめに]
国は一定規模以上の事業所に対し、従業員の一定割合の障害者を雇用するよう義務付けています。この法定雇用率(注3)を満たせない事業所には納付金を課します。2023年は前年より9道府県多い39道府県が2.3%の雇用率を達成しました。全国平均も初めて法定雇用率(注3)を上回りました。雇用義務の対象に精神障害者も加えた2018年と比べると、2023年の全国の障害者の雇用率は0.28ポイント(注1)上がりました。都道府県別の伸び率は、沖縄県(0.51ポイント)と最も大きく、長崎県(0.48ポイント)、島根県(0.43ポイント)、栃木県・奈良県(0.39ポイント)が続いていました。
なお、雇用率の上昇を示す単位として「ポイント(注1)」と表記します。雇用率A%がB%に比して大きくなったとき「A-B%が大きくなった」と記さず、「A-Bポイントが大きくなった」と表記します。
[栃木県]
栃木県芳賀町の紙製品加工会社、ヘイコーパックは42人の障害者を直接雇用しています。これは同社の従業員の4人に1人にあたり、半数が正社員、半数は障害の程度に合わせて準社員、パートとして働いています。「全員が戦力」をモットーとして、これを実現することに努力している同社では、過去3年間の平均年収が5%アップし、まだ1人の退職者も出していません。
でも、障害者が安定的に働ける環境づくりは、まだ十分ではないのです。厚生労働省によりますと、身体障害者の平均勤続年数は12年で、精神、発達障害では5年にとどまっています。鈴木健夫社長は「継続して働いてもらうには、やりがいのある仕事を任せることが重要」と強く主張しています。
2023年からは、同社では、障害者中心のチームが、少量多品種の高付加価値品作りに取り組んでいます。消費者がネット経由で好きなデザインを頼む仕組みで、立体的な素材など難しい製作も多いのです。それでも「課題を解決するなかで達成感が生まれ、責任ある顔つきに変わる」と鈴木社長も驚いています。健常者を含めた社員のコミュニケーションが密になり生産性も上がるのです。
国は通常の事業所での勤務が難しい人と雇用契約を結び、一定の支援のもとで働いてもらう「就労継続支援制度A型事業所(注2)という」制度を設けています。
栃木県那須町で人気の菓子「バターのいとこ」を製造するGOOD NEWSは、A型事業所(注2)と連携して就労を促しています。専門の担当者が障害のある従業員と定期的に面談し、出社時間や労働時間などを細かく調整します。仕事に慣れてもらうと同時に1日に働く時間を徐々に増やし、一般社員への登用を進めます。今春も2人が移行しました。
[沖縄県]
障害者雇用の伸び率トップの沖縄県はA型事業所(注2)が、2023年4月時点で126カ所と2013年の2.6倍に増えました。県担当者は「観光業の成長で、ホテルのリネン関連の事業が増えたのではないか」とみています。ただ、A型事業所(注2)の賃金は全国平均で8万円にとどまっており、一般企業への就労先の移行が課題なのです。
[この項のまとめ]
働く障害者は増えています。でも、法定雇用率(注3)を満たす企業は5割にとどまっています。そこで国は、近年、上昇が著しい一般労働者の雇用率に合わせて、法定雇用率を引き上げています。2024年4月に2.5%に引き上げられました。2026年7月には2.8%になります。野村総合研究所の金子柚那シニアコンサルタントは、「労働時間や勤務形態に配慮しながら、中核業務を担える人材を育てる必要がある」と強調しています。そのうえで、「障害者雇用は、社会的責任を果たすためのコストではない。生産性やブランド価値向上などにつながる投資と捉えるべきだ」と、強く語っています。日本経済新聞、2024年5月18日、朝刊、2面記事(吉野真由美、奈良部光則)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2024年5月18日の日本経済新聞の朝刊2面には、三つの図表が記載されていました。①障害者雇用率の伸び。(注)2023年6月1日時点と2018年同時期との比較。出所は厚生労働省。②雇用率の高い自治体。(注)2023年6月1日時点。➂民間企業での障害者の雇用状況。
[図表1]
図表1(注4)には、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「障害者雇用率の伸び」と題した図表でした。ここでは、民間企業が障害者を雇用する雇用率の伸びを大きい順に整理して示しています。民間企業の障害者の雇用の伸び率を大きい処から最小に到るまでの5段階にわけ、日本列島の地図を色分けして示していました。
その色分けは以下です。①民間企業の障害者の雇用の伸び率の最も高い処、0.4ポイント(注1)以上の伸び(黒緑色)。②伸び率0.3~0.4ポイント未満(濃い緑色の斜線)。➂伸び率0.2~0.3ポイント未満(緑色)。④伸び率0.1~0.2ポイント未満(淡い緑色の斜線)。⑤0.1ポイント未満(灰色)。
民間企業の障害者の雇用の伸び率の、最も高い処、0.4ポイント(注1)以上伸びているところ(第1群)は黒緑色に塗ってありました。
これに該当する地域は、第1位の沖縄県、第2位の長崎県、第3位の島根県の3カ所でした。ここが都道府県別にみて、民間企業の障害者雇用の伸び率の最も高い地域です。
民間企業障害者の雇用伸び率が次に高い地域(第2群)は、濃い緑色の斜線で示した処でした。栃木県、奈良県、北海道、青森県、秋田県、新潟県、石川県、千葉県、静岡県、岐阜県、愛知県、三重県、大阪府、和歌山県、広島県、福岡県、愛媛県の17カ所でした。この集団が、先頭集団を、どんどん追ってくれることが、凄く重要です。
この第2群と次に述べる第3群(伸び率0.2~0.3ポイント未満)も積極組です。第3群は緑色に塗ってあったところでした。それは以下です。岩手県、山形県、宮城県、福島県、富山県、群馬県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、滋賀県、京都府、兵庫県、鳥取県、佐賀県、大分県、宮崎県、熊本県、鹿児島県、香川県、徳島県、高知県で、24カ所でした。
この24カ所が、これから大いに伸びて、先行の2集団(第1、2群)を急追してほしいのです。
次の第4群は、京都府と山口県の2カ所です。第5群は伸び率最少の地域(0.1ポイント未満、注1)の処で岡山県1カ所でした。
この色付けした日本列島の地図を概観してみますと1~3群の分布は、日本全国に広く分布しています。この三つの群は、全国を網羅した姿で団結して、障害者雇用率の拡大を推進しています。
日本国の未来のために極めて重要な「民間企業の障害者雇用の伸び率」を拡大する運動は、今、全国的に順調に進んでいるのです。日本国の未来に、希望の光が差し込んでいます。日本経済新聞、2024年5月18日、朝刊、2面記事(吉野真由美、奈良部光則)を参照・引用して記述。
[図表2]
図表2(注5)は「障害者雇用率が高い自治体」と題した図表でした。
ここでは、「障害者雇用率が高い都道府県名と雇用率のベスト10」が記されていました。これを以下に記述します。
図表2 「障害者雇用率が高い自治体」
順位 都道府県・群 雇用率
1 沖縄県(第1群) 3.24%
2 奈良県 (第2群) 3.06
3 長崎県 (第1群) 2.85
4 島根県 (第1群) 2.83
5 佐賀県(第3群) 2.80
6 山口県 (第4群) 2.77
7 大分県 (第2群) 2.72
8 和歌山県 (第2群) 2.71
9 宮崎県(第3群) 2.66
10 鹿児島県 (第3群) 2.62
(注)群は図表1におけるグループ分け。
この図表2は、全国都道府県の障害者雇用率の平均値を並べ、その「平均値」が「高い順」に列記しています。ここでも、図表1における「各県における障害者雇用率の「伸び率」のランク付け(第1群~第4群)も付記してみました。すると、興味深いことが判明したのです。
図表1で、民間企業の障害者の伸び率が最高だった第1群の沖縄県、長崎県、島根県は、当然、このベスト10でも上位に入りましたが、伸び率では第2位集団に属する奈良県も、この障害者雇用率が最も高い自治体のベスト10でも、2位に入ったのです。さらに、「伸び率」で最下位組だった山口県も、このベスト10に入れていたのです。このベスト10には、図表1の第1群、第2群、第3群から等しく3県が入っていました。
このような多様なメンバーを、「障害者雇用促進競争」の牽引者の一員に加えていくことで、この競争も、ますます、面白くなっていくはずだと、私は思っています。日本国の「障害者雇用率が高い自治体を増やす運動」は、希望に満ちた未来を目指して出発しました。日本経済新聞、2024年5月18日、朝刊、2面記事(吉野真由美、奈良部光則)を参照・引用して記述。
[図表3]
図表3(注6)は「民間企業での障害者の雇用状況」と題した図表でした。この図表には、上段と下段に二つの図表が書いてありました。上段は折れ線グラフで下段は棒グラフです。
上段は「2002年から2023年にかけての障害者の「雇用率」と「法定雇用率(注3)」の増加を示す折れ線グラフでした。そのグラフのために右側縦欄には、雇用率ならびに法定雇用率(%)を示す1.0~2.5の「%」が記してありました。また、下欄には「2002年から2023年まで」の「年」が記してありました。この縦横軸を用いて「2002年~2023年にかけての障害者の「雇用率」と「法定雇用率」の推移を示す折れ線グラフが記されていました。
この推移では、2002年に1.5%であった障害者の雇用率は2023年には2.3%まで上昇しました。ここでの雇用率は、右肩上がりの見事な直線をなしていました。この雇用率の上昇に合わせて、法定雇用率(注3)が2012年から2021年の間に4回訂正されましたが、これが青線で付記されていました。各年で実現できた障害者雇用率に合わせて、国にその雇用を義務づける障害者雇用率を、きめ細かく改定しているのです。
また、下段は、2002年から2023年までの「障害者の雇用者数」を示した棒グラフでした。そのグラフのための左側縦欄には、「0~60万人」と雇用者の人数「人」が記されていました。また、下欄は、上段と共通で「2002年~2023年」の「年」でした。この縦横欄を用いて「障害者の雇用者数」の棒グラフが書かれていました。
障害者の雇用者数は2002年の22万人から2023年の62万人へと右肩上がりの上昇を示していました。青色の棒グラフが、右肩上がりに綺麗に並んで記されていました。この棒グラフの列が示めされれば、障害者の雇用者数の実績が、とても分かりやすいのです。日本経済新聞、2024年5月18日、朝刊、2面記事(吉野真由美、奈良部光則)を参照・引用して記述。
(注1)ポイントとは: パーセントの差分を引き算により表したものであり、%の差のことを表したものが「ポイント(pt)」である。
(注2)就労継続支援A型とは、通常の事業所での雇用が難しく、かつ、雇用契約に基づく就労が可能な人に対して、雇用契約を締結して支援を行う事業所である。
(注3)法定雇用率とは:障害者雇用促進法によって定められた、障害者を一定の割合で雇用することを義務付ける基準である。一定数以上の労働者を雇用する企業や行政機関は、法定雇用率を達成しなければならない。法定雇用率は、障害者にも安定した雇用を確保するための法律であり、障害者の社会参加や生活の向上に寄与するものである。
(注4)日本経済新聞2024年5月18日朝刊2面に記載された図表1、①障害者雇用率の伸び。(注)2023年6月1日時点と2018年同時期との比較。出所は厚労省。
(注5)日本経済新聞2024年5月18日朝刊2面に記載された図表2、②障害者の雇用率の高い自治体。(注)2023年6月1日時点。
(注6)日本経済新聞2024年5月18日朝刊2面に記載された図表3、➂民間企業での障害者の雇用状況。
(1)日本経済新聞、2024年5月18日 朝刊(2面)。
[付記]2024年5月27日:.
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