「日本再生][地域創生] 子どもの体力 大分県躍進 2024年6月10日体育に遊び、自発性育む 運動×ビンゴで40位→2位、全国は低迷
- honchikojisitenji
- 2024年6月11日
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続木 碧(つづき あお) 2024年6月(研究報告№112)
「巻頭の一言」
全国の自治体が、子どもの体力の低下に歯止めをかけようと知恵を絞っています。小学生の全国体力テストの平均点は、2022年度に過去最低でした。大分県は子どもが自主的に運動に取り組めるようにした授業改革を通じて、改革を進めています。日本経済新聞、2024年6月1日、朝刊、2面記事(瀬口蔵広、津金大輝)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生] 子どもの体力 大分県躍進 体育に遊び、自発性育む 運動×ビンゴで40位→2位、全国は低迷
「日本再生」「地域創生」子どもの体力 大分県躍進 体育に遊び、自発性育む 運動×ビンゴで40位→2位、全国は低迷
ここでは、日本経済新聞の2024年6月1日朝刊2面の記事を紹介します。
[はじめに]
スポーツ庁は2008年度から全国の小学5年生と中学2年生を対象に、「全国体力・運動能力・運動習慣等調査(全国体力テスト、注1)」を実施しています。50メートル走やボール投げ、反復横とびなど8種目で男女別に合計点(80点満点)を算出しています。今回は、小中学、男女の計4種類を合算して320点満点で評価しました。
2023年度の総合点は195.2で、2022年度に比べて0.4改善しましたが、新型コロナウイルス禍前の水準には戻っていないのです。遊ぶ場所や遊び仲間の減少などが影を落としているのです。
[大分県]
一方、都道府県別では、福井県の総得点が、この活動の先進地として、総合点が209.9と、トップを維持しています。しかし、第2位の大分県も、大いに注目されるのです。大分県は、テストが始まった2008年度に比べて15.36も上昇し、都道府県ランキングも40位から2位に大躍進したのです。
大分県は、2008年のスポーツ庁の活動開始をきっかけに、体育授業の改革を進めてきました。キーワードは「わかる」「できる」「楽しい」です。2009年度からモデルとなる小学校に体育専科教員を配置しました。担任と一緒に授業を進めることで、一般の教員の運動に対する理解を深めることにも、つなげているのです。
大分県臼杵市の体育専科教員、藤沢貴紀さん(35)は「子どもが、みな同じゴールに向うのではなく、自発的にやってみたいと思わせることが重要」と強調しています。跳び箱もただ置くのではなく、配置を工夫するなどのような要素を加えるだけで、子どもたちの目の色が変わると言っています。
休み時間にも体を動かしてもらおうとビンゴゲーム(注2)も取り入れました。一輪車、縄跳びなど自分で選んだ遊びを通じて、ビンゴ(ビンゴゲームの勝者の姿=ビンゴ、注2)を完成させるのです。大分県は2013年度から授業外の運動を「一校一実践」として推奨し、体を動かすことの習慣化を目指しています。当初は6人だった体育専科教員は2023年度には24人に増えました。この24人が大分県内各地の小学校で指導にあたっています。
[福井県]
2008年度のテスト開始当初からトップクラスを維持する福井県も「子どもが自発的に体力向上に取り組む雰囲気を重視しています。これは福井県の保険体育課が、常に留意してきたことなのです。福井県内では、休み時間にマラソンや縄跳びなどに取り組むことを、校内アナウンスで促す学校も多いのです。県の調査では小学校5年生の一週間の平均運動時間は男子、女子ともに全国平均を上回っています。
福井県は、授業以外での運動機会も増やそうと、2024年4月から小学生向けサイト「ハピリュウスポーツ広場」の運用を始めました。福井県では、ここで縄跳びなどの個人の運動の結果を記録し、県内のランキングを見ることもできるのです。県の担当者は、「子どもたちの運動意欲をかき立て、コロナ禍で減った運動機会を取り戻したい」と意欲を燃やしています。
[高知県]
2008年度に全国最下位だった高知県も、2023年度には18位にまで挽回しました。新たな体育の指導資料を作成し、子どもたちが楽しく取り組める工夫を教員たちに徹底しています。2022年の改定版では、子どもの発展段階に応じた指導ができるように「いろいろステップ」や「動物歩き」など120種類の運動を紹介しています。地域とのつながりも重視しており、よさこい踊りなどの外部講師派遣にも力を入れています。
[この項のまとめ]
子どものスポーツ学を専門とする中京大学の中野貴博教授は、「子ども時代に運動を通して様々な人と接することで、成人後のコミュニケーション能力や主体性も高まるのです。」と語っています。そして「地域の活力を高めるためにも、気楽に外で遊んだり運動したりできる環境の整備が欠かせません。」と話しています。日本経済新聞、2024年6月1日、朝刊、2面記事(瀬口蔵広、津金大輝)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2024年6月1日の日本経済新聞の朝刊2面には、三つの図表が記載されていました。①体力テストの成績ランキング(320点満点)。(注)点数は小中学校男女の「体力合計点」を合算。出所はスポーツ庁「全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」、2023年度。②9自治体で体力合計点が上がった。➂柔軟性を除く種目で低下傾向にある。
[図表1]
図表1(注4)には、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「体力テストの成績ランキング(320点満点)。」と題した図表でした。ここでは点数は、小中学校男女の「体力合計点(注4)」を合算して計算しました。出所はスポーツ庁「全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果(2023年度)」です。
その成績ランキングの得点が「最大であった205点以上から、最低であった190点未満まで」を5段階に分けて、日本列島の地図を色分けして示していました。
その色分けは以下です。①成績ランキングの得点が最も大きかった処、205点以上(黒茶色)。②得点が200点以上205点未満(濃い茶色の斜線)。➂得点が195点以上200点未満(茶色)。④得点が190点以上195点未満(淡い茶色の斜線)。⑤190点未満(淡い茶色)。
最も得点が高い処.205点以上のところ(第1群)は黒茶色に塗ってありました。
これに該当する地域は、第1位の福井県、第2位の大分県、第3位の茨城県の3カ所でした。ここが最も得点が高い処です。
次に得点の高い地域の第2群(200点以上205点未満)は、濃い茶色の斜線で示した処でした。これには岩手県、新潟県、富山県、石川県、埼玉県が入っていました。この5カ所が第2群です。この「全国体力・運動能力、運動習慣等調査活動」を牽引しているのは、この第1群と第2群の8カ所です。
次の第3群は、この活動の中心グループです。この第3群(195点以上200点未満)は、茶色に塗ってあったところでした。それは以下です。青森県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、千葉県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、三重県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、宮崎県、熊本県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県で26カ所でした。
この26カ所が、これから大いに伸びて、先行の2集団(第1、2群)を急追してほしいのです。
次の第4群(190点以上195点未満)は、淡い茶色の斜線で記した地域です。それは以下です。宮城県、東京都、京都府、滋賀県、長崎県、鹿児島県、沖縄県の7カ所でした。ここでは東京都と京都府は、少し遅れをとったグループの「すぐ上にいる」という状況でした。
第5群は、この活動で後れを取ったグルーブです。それは以下です。北海道、神奈川県、愛知県、大阪府の4カ所です。重要都市、大阪府、愛知県、神奈川県は立ち遅れてしまいました。日本経済新聞、2024年6月1日、朝刊、2面記事(瀬口蔵広、津金大輝)を参照・引用して記述。
[図表2]
図表2(注5)は「9自治体で体力合計点が上がった」と題した図表でした。これを以下に記述します。
図表2 「9自治体で体力合計点が上がった」
都道府県 2008年度 2023年度 上昇幅
大分県 40位 2位 15.36
高知県 47 18 11.51
奈良県 45 30 8.64
福岡県 41 19 6.06
和歌山県 39 21 5.69
徳島県 38 27 4.72
東京都 44 38 3.67
三重県 37 35 1.8
北海道 46 45 1.6
私は、この図表を眺めて,大いに啓発を受けました。私は、これまで、「体力合計点」と言う言葉を知りませんでしたが、これはスポーツ庁が2008年度から全国で実施している「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」を実施する場合に「人間の体力」を総合的に計算する方法(注3)なのです。
本文で丁寧に報告しましたが、大分県と高知県は、県をあげ、自治体と民間が一致協力して、小学校と中学校の生徒の体力向上のため、様々な努力を積み重ねているのです。そして凄い成果を上げているのです。それが「体力合計点の上昇幅」の1位と2位という成績に現れたのです。
大分県、高知県は2008年度に、体力合計点が47都道府県中40位、47位と最下位に近かったのですが、2023年度までに2位、18位へと大躍進しました。そして、この8年間で、その上昇幅は、15.36、11.51と大きく伸びたのです。
2008年度の時点で、この両県は「自分たちは遅れている」と強く認識し、これが大きな力となって、この改善活動がすごく進展したのでしょう。
でも、私は驚きました。この状態は、ここに記載されている9自治体は、2008年度には、皆「ビリ」に近かったのです。
すなわち、高知県は、47都道府県の47位で本当の「ビリ」で、次いで「ビリから2位」の北海道が46位で続いています。さらに、45位(奈良)、44位(東京)、41位(福岡)、40位(大分)、39位(和歌山)、38位(徳島)と、38位から47位の間で、43と42が抜けているだけで総揃いなのです。
本文で特記した福井県は、この9地区には入っていませんでした。福井県は2008年度当時、すでにトップでしたから「2008年度と2023年度の間の成長幅の大きい処」には、入れないことになるのです。このような処は、福井県以外にも沢山あるのでしょうか。福井県には、今後も伸び続けてもらわねばならないのです。私は、福井県以外にも、このような地域が、他にあるのなら、その詳細を知りたいと思います。日本経済新聞、2024年6月1日、朝刊、2面記事(瀬口蔵広、津金大輝)を参照・引用して記述。
[図表3]図表3(注6)は、「柔軟性を除く種目で低下傾向にある」と題した図表でした。「全国体力・運動能力、運動習慣活動」では、小学生および中学生にたいして、夥しい種類の体育教育活動が実施されています。この種目によって、「体力合計点」の伸びの大きい種目、遅い種目と、かなりの差があります。この図表3では、これを一覧表として示しています。以下に記します
図表3 「柔軟性を除く種目で低下傾向にある」
体育種目 小学生 中学生
男子 女子 男子 女子
50m走 × × ○ ×
握力 × × × ×
上体起こし × ○ × ×
長座体前屈 ○ ○ ○ ○
反復横とび × × ○ ○
20mシャトルラン × × × ×
持久走 × ×
立ち横とび × ○ ×
ボール投げ × × × ×
(注)持久走は中学校のみで20mシャトルランとの選択方式。
このデータは、2023年度の2008年比の値を示す。
この図表3(注6)のデータは、2023年度の2008年度比の状況を示しています。この図表の左側縦欄の各体育種目は、上側横欄の小・中学校別及び男女別に関して、「体力総合点(注3)」の伸びを促進している(○印)、または伸びを抑制している(×印)現状を示しています。この×印の体育種目には、伸びを付与する努力が必要なのです。
国・自治体、民間企業は、一致団結して、この抑制する体育種目(×印)を改善し、促進するもの(○印)を増やす努力を重ねています。
これは日本の子どもの体力を強化し、成長後成人の体力を強健にするものであり、日本の未来に対して極めて重要な改革です。今、国民みんなが力を合わせて、強力に推進しなければなりません。日本経済新聞、2024年6月1日、朝刊、2面記事(瀬口蔵広、津金大輝)を参照・引用して記述。
(注1)全国体力・運動能力・運動習慣等調査(全国体力テスト):この調査は、全国的な子供の体力・運動能力の状況を把握・分析することにより、国や教育委員会が、子供の体力・運動能力の向上に係る施策等の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校が体育・保健体育の授業等の充実・改善に役立てる取組を通じて、子供の体力・運動能力の向上に関する継続的な検証改善サイクルを確立することを目的としている。
(注2)ビンゴ (bingo) とは、ゲームの一種である。25マスに番号が書かれたカードを用いて、条件を満たしたものを勝者とする。また、勝利条件を満たした状態のことを「ビンゴ」という。
(注3) 体力合計点とは、スポーツ庁が実施している「全国体力・運動能力、運動習慣等調査と実践」を実施する場合に、人間の体力を計算する手法である。その計算方法は、種目ごとの測定値を10点満点で換算し、計8種目の80満点での一人一人の「体力合計点」から平均値を算出する。
(注4) 日本経済新聞2024年5月25日朝刊1面に記載された図表1、①体力テストの成績ランキング(320点満点)。
(注5)日本経済新聞2024年5月25日朝刊1面に記載された図表2、②9自治体で体力合計点が上がった。
(注6)日本経済新聞2024年5月25日朝刊1面に記載された図表3、➂柔軟性を除く種目で低下傾向にある。
(1)日本経済新聞、2024年5月25日 朝刊(1面)。
[付記]2024年6月3日:.
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