「日本再生][地域創生] 地域おこし隊 まち定着 2024年5月20日任期後の定住 7000人超 長野県・南箕輪村 元隊員が村長に
- honchikojisitenji
- 2024年5月20日
- 読了時間: 9分
続木 碧(つづき あお) 2024年5月(研究報告№109)
「巻頭の一言」
都市住民が地方に一時的に住んで活性化に取り組む「地域おこし協力隊」をきっかけとした移住が増えています。最長3年の任期後も同じ地域に住み続ける定住者(注1)は、2023年に7214人です。これは全体の6割で、1年前より14%増えました。
山口県萩市は、地元住民らが暮らし方を指南するなど、地域とのつながりを深める仕組みで定住を後押ししています。日本経済新聞、2024年5月11日、朝刊、1面記事(杉本耕太郎)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生]地域おこし隊まち定着 任期後の定住7000人超
長野県・南箕輪村 元隊員が村長に
「日本再生」「地域創生」地域おこし隊まち定着 任期後の定住7000人超 長野県・南箕輪村 元隊員が村長に
ここででは、日本経済新聞の2024年5月11日朝刊1面の記事を紹介します。
[はじめに]
地域おこし協力隊は、都市部の若者たちが、山村や離島などに移り住み、任期付き公務員などとして地域振興にあたる制度です。主に市町村が隊員の募集や受け入れを担い、国が給与や活動費などを負担します。2009年度に始まり、2023年度は1164自治体が受け入れました。参加者は7200人と過去最多で、国は2026年度までに年1万人に増やす目標を掲げています。
地方の人口減少と高齢化が加速するなか、任期終了後に定住してもらうことは、制度の大きな目的の一つです。2023年3月末までに任期を終えた計1万1123人の定住率は64.9%でした。都道府県別では、伊豆諸島などで受け入れる東京都が83.9%と最高で、山口県、静岡県が70%台で続きました。
[山口県]
山口県萩市は、地元住民らを巻き込んだ移住支援体制の構築に力を入れています。2015年度から、地域ごとに住民1人を「住民移住サポーター」に任命しています。ゴミの出し方などを指南し、近隣住民との付き合い方のコツなども教えています。2021年度からは定住した元隊員が「地域おこしメッセンジャー(注2)」として、現役隊員の悩みや相談に応じる仕組みも整えました。サポーターらには謝礼も用意しています。
定住には、仕事の確保が不可欠ですが、働く場所が乏しいために、やむなく地域を離れる人もいるのです。総務省によりますと、定住者の4割は、飲食・宿泊業などを起業しています。川崎市から萩市に移住した元隊員の宮崎孝英さん(42)もその1人です。3年間の任期中は農山漁村の文化を体験する農泊振興などに携わりました。任期後の2019年には、同じく隊員だった妻と農泊や自転車旅行の企画運営会社を立ち上げました。
隊員時代に培った運営ノウハウや地域住民とのつながりを生かし、現在は外国人を中心に、年間400人の人々を受け入れています。宮崎さんは、「任期を終えた他の隊員の収入源の一つにもしたい」と話しています。実際に定住した元隊員が宮崎さんと連携して観光客に農泊の宿を提供するなど、地域活性化にも一役買っています。
[長野県]
長野県南箕輪村の藤城栄文村長(44)は、東京都出身の元隊員という異色の経歴を持つ人です。子育て環境を重視して、2017年から2年間、隊員として村の移住・定住業務を担当しました。村議を経て2021年の村長選挙で当選しました。総務省は「隊員出身の首長は、ほかに聞いたことがない」と言っています。
藤城氏は「現役の隊員らには『副業でも何でもいいから任期後を見据えて稼ぐ力を高めてほしい』と伝えている」と話しています。村職員として働く隊員が定住を見据えて副業などに時間を割きたい場合は、雇用形態を柔軟にするなどの配慮をしています。
現在は英会話のレッスンや木工製品販売などに取り組む人もいます。森林や林業の専門知識を持つ「森林総合監理士」になった隊員には、任期が終わる来春以降も村の森林管理業務を委託したいと言っています。
[この項のまとめ]
協力隊を巡っては、地域住民や自治体とのトラブルも起きています。協力隊制度に詳しい法政大学の図司直也教授は「地域外の人の受け入れに不慣れな自治体や地域は、短期の交流事業などで経験を積んでおく必要がある」と強調しています。そのうえで「隊員の定住意向を高めるには、隊員と自治体・地域が同じ熱量と方向性を持つことが肝になる」と強く主張しています。日本経済新聞、2024年5月11日、朝刊、1面記事(杉本耕太郎)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2024年5月11日の日本経済新聞の朝刊1面には、三つの図表が記載されていました。①地域おこし協力隊の定住率。(注)任期を終えた人のうち2023年5月時点で活動地の市町村と同一都道府県内に定住している人の割合。出所は総務省。②地域おこし協力隊の定住率が高い都道府県。➂地域おこし協力隊の人数は増加傾向。(注)隊員数は活動中の人数。定住率は、分母はそれまでに任期を終えた人の累計。2015~2019年は隔年調査。
[図表1]
図表1(注3)には、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「地域おこし協力隊の定住率」と題した図表でした。ここでは、協力隊の都道府県別定住率を、大きい順に整理して示しています。都道府県別定住率を日本列島の地図上で、茶色の濃淡で塗り分けて示していました。
各都道府県別の定住率について、その値の最も大きい処から最小に到るまでの4段階にわけ、日本列島の地図を色分けして示していました。
その色分けは以下です。①定住率の最も高い処70%以上の定住率(黒茶色)。②定住率65%以上70%未満(濃い茶色の斜線)。➂増加率60%以上65%未満(茶色)。④60%未満(淡い茶色)。
任期を終えた人のうち2023年5月時点で活動地の市町村と同一都道府県内に定住している人の割合が最も多かった処(70%以上の処、第1群)は、黒茶色に塗ってあった処でした。これに該当する地域は、第1位の東京都、第2位の山口県、第3位の静岡県と、これに続く石川県、北海道、栃木県の6カ所でした。ここが都道府県別にみて、地域おこし協力隊の定住率が最も高い地域です。
地域おこし協力隊の定住率が次に高い地域(第2群)は、濃い茶色の斜線で示した処でした。広島県、熊本県、大分県、青森県、神奈川県、長野県、富山県、和歌山県、愛媛県、高知県の10カ所でした。この集団が、先頭集団を、どんどん追ってくれるのが、とても重要です。
この第2群と次に述べる第3群(60%以上65%未満)も積極組です。この第3群は、茶色に塗ってあった群でした。それは以下です。岩手県、山形県、宮城県、新潟県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、山梨県、岐阜県、福井県、兵庫県、島根県、岡山県、奈良県、福岡県、宮崎県、鹿児島県、香川県、徳島県で、20カ所でした。この20カ所が、これから大いに伸びて先行の2集団(第1、2群)に続いてほしいのです。
最後の第4群は、定住率が最も少ない地域です。それは以下です。秋田県、茨城県、愛知県、滋賀県、三重県、京都府、大阪府、佐賀県、長崎県、沖縄県で、10カ所でした。
この色付けした日本列島の地図を概観してみますと1~3群の分布は、日本全国に広く分布しています。日本経済新聞、2024年5月11日、朝刊、1面記事(杉本耕太郎)を参照・引用して記述。
[図表2]
図表2(注4)は「地域おこし協力隊の定住率が高い都道府県」と題した図表でした。
ここでは、地域おこし協力隊の定住率が高い都道府県を、その定着率の高い順に第10位までを順に列記し、その各地の定着率、任期終了者数、定住者数を列記しています。これを以下に記述します。
図表2 「地域おこし協力隊の定住率が高い都道府県」
順位 都道府県・群 定着率 任期終了者 定住者 都道府県人口順位
1 東京都 (第1群) 83.9% 31人 26人 1位
2 山口県 (第1群) 76.2 143 109 28
3 静岡県 (第1群) 74.8 143 107 10
4 石川県 (第1群) 73.1 104 76 34
5 北海道 (第1群) 72.5 1485 1077 8
6 栃木県 (第1群) 70.2 168 118 19
7 広島県 (第2群) 69.7 195 136 12
8 熊本県 (第2群) 69.0 258 178 23
9 大分県 (第2群) 68.6 318 218 33
10 青森県 (第2群) 68.0 122 83 31
(注)群は図表1におけるグループ分け。
図表2を眺めていますと、北海道の定住者数が突出して多いのが気になりました。私は、北海道は、それだけ人口が多いのではないかと考えました。そこで、各都道府県の人口数の順位を調べてみました。この調査結果を図表2に付記してあります。この結果以下のことがわかりました。北海道は確かに人口は多いのです。でも人口数で8位で、東京都とはかなり差があります。東京都(13,841,665人)、北海道(5,459,867人)。
また、人口の少ない都道府県でも定住率が高い地域があるのです。石川県の人口は47都道府県中の34位でしたが、定住率では、4位で頑張っていました。人口30位台の大分県(33位)、青森県(31位)も、定住率ベスト10に入っていました。さらに、東京都(1位)と石川県(8位)の間の人口2位~7位の地域(人口の多い地域)は、定住率ベスト10に入っていないのです。結局、定住率の髙さと人口の多さは関係ないということです。
東京都が協力隊の定着率で、ダントツトップなのは、東京都は、離島島嶼の観光名所を多く持っており、ここに外国人を中心に、観光客を多く集めているからでした。日本経済新聞、2024年5月11日、朝刊、1面記事(杉本耕太郎)を参照・引用して記述。
[図表3]
図表3(注5)は「地域おこし協力隊の人数は増加傾向」と題した図表でした。この図表には、上段と下段に二つの図表が書いてありました。上段は折れ線グラフで下段は棒グラフでした。
上段は「2015年から2023年にかけての地域おこし協力隊の定住率の増加を示す折れ線グラフでした。そのグラフのために右側縦欄には、定住率(%)の55%~70%の「%」が記してありました。また、下欄には「2009年度から2023年度まで」の「年度」が記してありました。この縦横軸を用いて「2023年度にかけての「定着率の増加」を示す折れ線グラフが記されていました。
この定着率の増加の推移では、2015年度に60%であった定着率は2023年度には65%まで上昇しました。なお、この定着率の調査は、2016年度と2018年度は実施されませんでした。そのため、この2年度のデータはありません。この折れ線グラフは、この2年間のデータのないグラフとなっています。
また、下段は、2009年度から2023年度までの「地域おこし協力隊の隊員数の推移」を示した棒グラフでした。そのグラフのための左側縦欄には、「0~8000人」と隊員の人数「人」が記されていました。また、下欄は、上段と共通で「2009年度~2023年度」の「年度」でした。この縦横欄を用いて「地域おこし協力隊の隊員数」の棒グラフが書かれていました。
隊員数は2009年度の10人から2023年の7200人へと右肩上がりの上昇を示していました。茶色の棒グラフが、右肩上がりに綺麗に並んで記されていました。
この棒グラフは2009年度から2018年度までは、逆立ちの釣鐘状で上昇していました。これが2018年度から3年間、水平飛行し、2019年度から2023年度にかけて再び上昇しています。途中の波はありますが、一貫した上昇基調です。日本経済新聞2024年5月11日、朝刊、1面記事(杉本耕太郎)を参照・引用して記述。
(注1) 定住とは:地域おこし協力隊の隊員が、任期後も同じ地域に住み続けること。
(注2)メッセンジャー(messenger)とは、品物・手紙・伝言などを届けたり伝えたりする人。使者。地域おこしメッセンジャー:地域おこしの伝言などを伝える人、使者。
(注3) 日本経済新聞2024年5月11日朝刊1面に記載された図表1、①地域おこし協力隊の定住率。(注)任期を終えた人のうち2023年5月時点で活動地の市町村と同一都道府県内に定住している人の割合。出所は総務省。
(注4)日本経済新聞2024年5月11日朝刊1面に記載された図表2、②地域おこし協力隊の定住率が高い都道府県。
(注5)日本経済新聞2024年5月11日朝刊1面に記載された図表3、➂地域おこし協力隊の人数は増加傾向。(注)隊員数は活動中の人数。定住率は、分母はそれまでに任期を終えた人の累計。2015~2019年は隔年調査。
(1)日本経済新聞、2024年5月11日 朝刊(1面)。
[付記]2024年5月20日:.
コメント