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「日本再生][地域創生] バス停圏外 奈良県半減 2024年6月24日 乗客数公表「乗って残す」意識喚起 空白地で公営運行

  • honchikojisitenji
  • 2024年7月3日
  • 読了時間: 9分

 

続木 碧(つづき あお)  2024年6月(研究報告№114)


「巻頭の一言」

 民間の路線バスの廃止・縮小などで、自宅近くにバス停が無い人が増えています。公費を投入しコミュニティバス(注1)を走らせるといった対策が広がっており、奈良県は2010年に比べてバスへのアクセス困難者を半減させました。多くの自治体は運行負担の「見える化」など、財政負担を抑えながら持続性を持たせる交通弱者対策に知恵も絞っています。日本経済新聞、2024年6月15日、朝刊、2面記事(桜井佑介)を参照・引用して記述。

 

 

[日本再生][地域創生]バス停圏外 奈良県半減 乗客数公表「乗って残す」意識喚起 空白地で公営運行

 

「日本再生」「地域創生」バス停圏外 奈良県半減 乗客数公表「乗って残す」意識喚起 空白地で公営運行

 

 

ここでは、日本経済新聞の2024年6月15日朝刊2面の記事を紹介します。

 

 

[はじめに] 

 国土交通省の国土数値情報に登録された2022年時点のバス停情報などと、2020年時点の人口データを組み合わせて独自分析しました。デマンドバス(需要応答型交通システム、注2)など運行形態の多様化が進むなか、国交省のデータは、主に路線バスを対象として、24万のバス停を登録しています。

 今回はバス停から半径1キロメートル(徒歩15分程度)圏外に住む人を、バスへのアクセス困難者と定義し、市区町村別に集計しました。

 2022年時点のアクセス困難者は約600万人で、路線バスの廃止などで、2010年時点に比べて30万人増えました。

 

 

[奈良県]

 アクセス困難者の割合を都道府県別にみると、15道府県が2010年より困難者を減らしました。減少幅のトップの奈良県は、4.7ポイント減の5.6%と、ほぼ半減させました。上位自治体は民間バスの撤退などで生じた空白地を、コミュニティバス(移動手段を確保するため公的機関が運行するバス、注1)などで埋めるケースが目立ちます。

 奈良県香芝市は、アクセス困難者を2010年より約4万人減らして、ほぼゼロにしました。同市は大阪のベットタウンですが、民間バスは採算を取りやすいエリアに限定されており、市は2016年から、地域の住民の移動を確保するために、地方自治体が運営するバスであるコミュニティバス(注1)の運行を始めました。

  なお、このコミュニティバスは、運賃収入で事業を成り立たせるだけではなく、まちづくりや、外出支援と連携した政策的なバスサービスなのです。

「このバスのおかげで気楽に出かけられます」。6月上旬、市役所前のバス停で話を聞いた80歳の女性は、利便性を実感している様子でした。運賃は100円です。2023年度は4万5000人が利用しましたが、運行経費は運賃では賄えていないのです。市はデマンド交通(需要応答型交通システム、注2を参照)と合わせて、年8000万円を支出しています。人口8万人の香芝市にとっては、小さな負担ではないのです。そこで市当局は、6月からバス停ごとの乗降者数の公表に踏み切りました。累計乗降者数を市のホームページなどで公表し、通年で週平均2人を下回る場合は、ルートの見直しやバス停の廃止などを検討します。三橋和史市長は「公金で空(から)のバスを走らせるわけにはいかないのです。市民には『乗って残す』という当事者意識を、もってもらわねばなりません。」と話しています。

 奈良県生駒市もコミュニティバス(注1)でアクセス困難者を減らしました。2022年度は7万6000人が利用しましたが、市は3000万円を支出しています。市民からは、さらなる充実を求める声も出ていますが、小柴雅史市長は「住民主体で実現したバスでないと、使い続けてもらえない」と強調しています。

 

[富山市]

 住民に運賃以外の負担を求める動きは全国に広がっています。富山市には、市民団体などが自主的にコミュニティバス(公的機関運行バス、注1)を走らせる場合は、運行経費の55%を地域が負担するルールがあるのです。さらに沿線住民に対して1所帯400円といった負担を求めることを収支計画に盛り込むよう求めています。

 

[この項のまとめ]

 地域交通に詳しい明治大学の木村俊介教授は「自治体の財政難は深刻で、公共交通だけに際限なく公金を投入することは出来ません。」と言っています。「フランスでは交通税で地域の足を確保しています。日本もコミュニティが自発的に負担金を出したり、市町村が公平に税を徴収したりするなど、それぞれの地域にあった方法を探るべきです」としています。

 

 

[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2024年6月15日、朝刊、2面記事(桜井佑介)には三つの図表が記載されていました。それを引用します。以下です。①15道府県がバスアクセス困難者を減らした(注)路線バスやコミュニティバスの停留所から半径1キロ圏外の住民の割合を2022年と2010年のバス停で比較した。出所はバス停が国土交通省。人口が総務省。②上位の多くは、自治体の運行などでバス停が増加。➂アクセス困難者を大幅に減らした市町村も。

 

 

[図表1]

図表1(注3)には、新聞紙上に日本列島の地図が記されていました。これは「15道府県がバスアクセス困難者を減らした」と題した図表でした。ここでは「減らしたバスアクセス困難者数」を合算して計算しました。(注)これは路線バスやコミュニティバス(公的機関運行バス、注1)の停留所から半径1キロ圏外の住民の割合を2022年と2020年のバス停で比較しました。出所はバス停が国土交通省。人口が総務省。

ここでは、バスアクセス困難者が、減少したところ、または増加したところを5段階に分けて、日本列島の地図を色分けして示していました。

その色分けは以下です。①バスアクセス困難者が3ポイント以上減少(黒色)。②困難者が3ポイント未満の減少(黒色の斜線)。➂以下には減少はありませんので、増加についてランクの整理をしました。➂バスアクセス困難者の増加の中での最少の増加。3ポイント未満の増加。(青色)。④次に増加が少なかった処。3~6ポイント未満の増加(淡い青色)。⑤最も増加が多かった処。6ポイント以上の増加。(淡い青色の斜線)。

 

バスアクセス困難者の減少が、最も多かった処、3ポイント以上の減少(第1群)は黒色に塗ってありました。

これに該当する地域は、第1位の奈良県、第2位の秋田県、第3位の新潟県の3県でした。この3県がバスアクセス困難者の減少が、最も多かった地域です。

バスアクセス困難者の減少が次に多かった第2群(3ポイント未満の減少)は、黒色の斜線で示した処でした。これは北海道、茨城県、群馬県、山梨県、愛知県、三重県、大阪府、兵庫県、山口県、福岡県、鹿児島県、香川県の12道府県でした。

結局、このバスアクセス困難者の減少を実現できていたのはこの第1群と第2群の15道府県でした。ですから、第3群以降は、増加組について、増加数の少ない処から多いところへの流れを整理します。

 

次の第3群は、バスアクセス困難者の増加組のなかで、最も増加数が少ない3ポイント未満の増加のグループです。これは青色に塗ってあったところでした。そのメンバーは以下です。青森県、岩手県、宮城県、福島県、栃木県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、静岡県、富山県、石川県、福井県、京都府、島根県、広島県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、沖縄県、愛媛県の22都府県でした。

この22カ所が、これから大いに伸びて、先行の2集団(第1、2群)を急追してほしいのです。この第3群には、東京都、京都府をはじめとして強力なメンバーが多数入っています。

 

第4群はこの活動で、大分後れを取ったグルーブで、3~6ポイント未満の増加組。それは以下です。岐阜県、滋賀県、鳥取県、岡山県、熊本県、徳島県、高知県の7カ所です。

 

最後の第5群は、遅れをとった3県です。山形県、長野県、愛知県です。日本経済新聞、2024年6月15日、朝刊、2面記事(桜井佑介)を参照・引用して記述。

 

 

[図表2]

図表2(注4)は「上位の多くは自治体運行などでバス停が増加」と題した図表でした。これを以下に記述します。

 

 

              図表2「上位の多くは自治体運行などでバス停が増加」 

 

順位  県名   減少率       バス停増減率  図表1の群分け

1   奈良県  4.7(ポイント)  8.4(%) 第1群

2   秋田県  4.6       24.8    第1群

3   新潟県  3.9       18.7    第1群

4   群馬県  2.2       -1.5    第2群

5   茨城県  2.1        0.6    第2群

6   山梨県  1.6        3.7    第2群

7   三重県  1.5        4.8    第2群

8   鹿児島県 1.2        5.5    第2群

9   香川県  1.1       13.8    第2群

10  山口県  0.9        4.8    第2群

 

     (注)バス停増減率の(-)は減少。その他は増加。

 

 この図表の順位1、2、3は、バスアクセス困難者の減少が最も大きかった第1群の3カ所でした。また、第4位から10位までの7カ所は全て、図表1の第2群でした。図表2に、これを付記しています。

 

 図表2をみて、以下のことが言えます。この図表の減少ベスト10で、1位~10位を占めており、バスアクセスの減少率の大きい自治体と判定された10自治体は、図表1の分析でも、第1群と第2群に含まれていました。また、バスの増減率では、群馬県が-0.6%の微減となった唯一の例外を除けば、全てが「バス停増加」となっていました。自治体による運行などによりバス停数は増加傾向にあるのです。

 

[図表3]

図表3(注5)は「アクセス困難者を大幅に減らした市区町村も」と題した図表でした。この図表には、上部に「0~80自治体」と「自治体数」を示す目盛が記してありました。この下に横向きの茶色の棒グラフが列記されており、減少率のポイントの大きさごと、「50ボイント以上」「40~50ポイント未満」「20~30ボイント未満」「10~20ボイント未満」「10ポイント未満」と横書きの棒グラフが並んでいました。

そのそれぞれの横棒グラフの長さを、上欄の自治体数目盛と照合すると、それぞれの自治体数がわかります。

 一番上に、減少率50ポイント以上と書いた横棒グラフがあり、これは30自治体が存在するのを示していました。そして、その主な市区町村として、秋田県大潟村、新潟県弥彦村、石川県宝達志水町、奈良県香芝市、福岡県大川市が記してありました。ここで、ここに存在する30市区町村を全て明記して、示してくれると良かったのですが、残念ですがそれはありませんでした。

 

次いで「減少率40~50未満」として、「一番短い茶色の横書き棒グラフ」があります。その棒グラフの長さから照合してみると「5自治体」位です。次いで「30~40未満」は、そのグラフの長さから見れば「20自治体」。「20~30未満」は「30自治体」。「10~20未満」は「70自治体」。「10未満」は、「628」と記してありました。

この茶色の横棒グラフが列記してあることにより、全国の自治体が、「アクセス困難者」を、どれ位、減らしたかを、その概要を知ることが出来ました。日本経済新聞、2024年6月15日、朝刊、2面記事(桜井佑介)を参照・引用して記述。

 

 

(注1)コミュニティバス(community bus)とは、地域住民の移動手段を確保するために地方自治体等が運行するバスである。狭隘路など交通空白地帯の解消のため、また交通事業者が赤字路線から撤退した後、高齢者障害者学生児童など交通弱者の交通手段が失われないよう、市区町村等が費用を負担してバスを委託運行を実施することが多い。コミュニティバスは:運賃収入だけで事業を成り立たせるのではなく、まちづくりや外出支援と連携した政策的なバスサービスである。

 

(注2)デマンド型交通は、正式には DRT(Demand Responsive Transport:需要応答型交通システム)と呼ばれ、路線バスとタクシーの中間的な位置にある交通機関である。事前予約により運行するという特徴があり、運行方式や運行ダイヤ、さらには発着地の自由度の組み合わせにより、多様な運行形態が存在する。デマンドバス:デマンド型交通で運営されるバス。

 

(注3)日本経済新聞2024年6月15日朝刊2面に記載された図表1、①15道府県がバスアクセス困難者を減らした(注)路線バスやコミュニティバスの停留所から半径1キロ圏外の住民の割合を2022年と2010年のバス停で比較した。出所はバス停が国土交通省。人口が総務省。

 

(注4)日本経済新聞2024年6月15日朝刊2面に記載された図表2、②上位の多くは自治体運行などでバス停が増加。

 

(注5)日本経済新聞2024年6月15日朝刊2面に記載された図表3、➂アクセス困難者を大幅に減らした市町村も。

 

 

(1)日本経済新聞、2024年6月15日 朝刊(2面)。

[付記]2024年6月24日:.

 
 
 

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