「日本再生][地域創生]「動画で情報発信」7割 2024年9月9日 自治体チャンネル活況 群馬県 撮影スタジオ整備
- honchikojisitenji
- 2024年9月9日
- 読了時間: 10分
続木 碧(つづき あお) 2024年9月(研究報告№122)
「巻頭の一言」
自治体が動画を使った情報発信に力を入れています。総務省によりますと2023年度に公式ホームページで映像を配信した自治体は、全体の7割にあたる1275と10年前より4割増えました。動画投稿サイト「ユーチューブ(注2)」の登録者を最も増やした群馬県は、多くの職員が「動画クリエーター(動画作品を作る人(注1)」として活躍しています。日本経済新聞、2024年8月17日、朝刊、2面記事(瀬口蔵弘)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生] 「動画で情報発信」7割 自治体チャンネル活況 群馬県 撮影スタジオ整備
「日本再生」「地域創生」 「動画で情報発信」7割 自治体チャンネル活況 群馬県 撮影スタジオ整備
ここでは、日本経済新聞の2024年8月17日、朝刊2面の記事を紹介します。
[はじめに]
自治体の多くは動画配信に、米グーグル社の世界最大の動画サービス、ユーチューブ(注2)を活用しています。都道府県が持つ公式チャンネルの2024年7月時点の登録者数を、2022年の同時期と比較しました。最も伸ばした群馬県は約5万3000人と2倍になり、茨城県、東京都が続きました。
[群馬県・桐生市]
群馬県は2019年の山本一太知事就任以降、映像による情報発進を強化してきました。2020年に1億円超をかけて県庁内に撮影スタジオ「tsuIunos」を設置しました。県はスポットライトなどの照明器具や音声を調整するデジタルミキサー(注3)など、本格的な機材をそろえました。
職員にはカメラや編集用のパソコンなども貸出します。撮影技術の向上に向けて、県庁の200超の部署が、それぞれ「所属紹介動画」を制作しました。職員が地元の話題のスポットでドラマを撮るなどの活動の幅をひろげています。目指すのは全職員が「動画クリエーター(動画作品を作る人、注1)」として活躍することです。
若者に人気のショート動画にも力を入れるため専門家を担当ディレクター(作品の質の責任者、注4)として非常勤で短期間採用しました。これにより、平均再生数は倍増しました。作品のライフスタイルに多大な影響を与えるインフルエンサー(影響力の大きい人物、注5)が出演するドラマ仕立ての動画なども話題となりました。担当者は「文字を印象的に使うなど試行錯誤を続けている」と話しています。
2024年1月に公開したショート動画も評判になりました。同県桐生市で2018年に廃業した老舗銭湯を、埼玉県から移住してきた女性が復活させた実話を、1分間でまとめました。冒頭に「バツイチ49歳」と大きく表示するなど、自治体動画らしからぬ作り方も受け、このチャンネルの登録者は一気に4000人増えました。
[茨城県]
県域の民放テレビ局がない茨城県は、地域情報の発信に向けて2012年に動画サイト「いばキラTV」を開設しました。当初はテレビの代替として生放送でニュースを配信していましたが、視聴が伸び悩んだため、顧客の希望に現場指揮者が直接応えることのできるオンデマンド(注6)の動画配信体制に切り換えました。運営経費として年1億円を投入しています。
サイトには視聴者の好みに合ったコンテンツ(作品の中味内容、注7)を薦める機能を加えたほか、動画投稿を募集する機能も備えました。見てもらえるサイトへの改善の中から生れたのが仮想キャラクター(仮想の登場人物の性格や性質を描いた、注8))茨(いばら)ひより」です。県公認のバーチャルユーチューバー(注2)として、お薦めスポットでグランピング(ホテルなみのサービスを野外で楽しむこと、注9)をしたり、選挙での投票をよびかけたりしています。広告効果は累計14億円を超えました。
[神戸市]
道府県庁所在地も加えたランキングでは、神戸市が6万人増とトップでした。人気キャラクターの「ガチャピン」とコラボ(共同で制作、注10))した動画が人気でした。ガチャピンが防火を呼びかける動画は再生回数が6400万回を超えました。2022年から動画クリエーター(動画を作る人、注1)やコピーライターなどの専門家を非常勤で採用しました。アレルギーに配慮したレピシ(調理法、注11))や、高齢者向けのスマホ講座など継続視聴を想定した動画も作ります。「紙からデジタルへの転換が進むなか、文字より伝えやすい動画の特性を生かして、市民に必要な情報を伝えたい」と、市の広報戦略部は言っています。
[この項のまとめ]
地域の情報化などを研究する武蔵大学の庄司昌彦教授は、「動画配信は従来型の広報誌などとは異なり、視聴内容の分析を通じて、住民が求めていることが把握しやすい」と説明しています。「自治体の業務改善にもつながるだけに、発信する内容や手法などをさらに磨いてほしい」と話しています。日本経済新聞、2024年8月17日、朝刊、2面記事(瀬口蔵弘)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した、日本経済新聞、2024年8月17日、朝刊、2面記事(瀬口蔵弘)には二つの図表が記載されていました。それを引用します。これを以下の①、②に記します。①公式動画のチャンネル登録者の伸び。(注)2024年7月時点のYouTubeの公式チャンネル登録者を2022年5月と比較。②動画による情報発信が広がっている。(出所)総務省
[図表1]
図表1(注12)は「公式動画チャンネル登録者の伸び」と題した以下の図表でした。
図表1 「公式動画チャンネル登録者の伸び」
伸びの順位 都道府県 登録者の伸び
1 群馬県 2万6700
2 茨城県 2万2000
3 東京都 2万0000
4 熊本県 1万1900
5 千葉県 1万0590
6 神奈川県 1万0100
7 福岡県 9110
8 静岡県 9100
9 埼玉県 7200
9 京都府 7200
(注)2024年7月時点のYouTubの公式チャンネル登録者を2022年5月と比較
図表1では、「公式動画チャンネル登録者の伸びの大きい地域」の、その伸びの大きい順位第1位から第9位までを列記し、各地の登録者数の伸びを記載しています。
日本の社会・産業・経済等の未来の成長を目指した国を挙げた活動では、東京都などの巨大都市は、あまり目立たない事が多かったのです。でも、ここでは、登録者の伸びが2万人に達しており、とても、頑張っていました。
一方、公式動画チャンネルの登録の伸びでは、群馬県がダントツのトップでした。2019年に知事に就任された山本一太氏の日本の未来に対する先行志向が素晴らしく「映像による情報発信」という、今、まさに強化が求められているテーマが、まさに適時適切でした。知事の指導力による、県を上げての熱意の籠もった活動が、大きな成果を上げたのだと思います。また、知事が就任された2019年も絶妙なタイミングでした。これが一年遅れていたら、大分違っていたでしょう。
先陣を切る群馬に続いて、茨城、熊本、千葉、神奈川、福岡、埼玉、京都と、私が期待してきた各地が、勢揃いしていました。この各地はどこも、優れたリーダーの誘致に成功しているのでしょう。ここには、直近の日本の未来に、明るい光が射してきていると思いました。
[図表2]
図表2(注13)は「動画による情報発信が広がっている」と題した図表でした。この図表2には、上下2つの図表が記してありました。上段の図表にはユーチューブ利用率を記す折れ線グラフが記載されています。この図表の右欄には60~100%の「利用率」が記してあり、下欄には2013年度から2023年度の「年度」が記してありました。この「利用率」「年度」を用いて、2013年度から2023年度の「ユーチューブ利用率」の実績を示す折れ線グラフが書いてありました。
下段の図表は「HPで映像を発信している自治体数」と題する棒グラフでした。この図表の左欄には0~1200の「自治体数」が記してあり、下欄には2013年度から2023年度の「年度」が記してありました。この「自治体数」「年度」を用いて2013年度から2023年度の「HPで映像を発信している自治体数」を示す黒い棒グラフが書いてありました。
上段の図のユーチューブの利用率は、2015年の70%から2023年の90%まで、多少の波はありますが毎年順調に増加していました。下段の図の自治体数は、2013年度の900から2018年度1200まで、年々順調に増加していました。2018年度の1200から2023年度までは微増で、2023年度で1210程度でした。このように数値の推移をグラフ化してくれれば、その経過の把握は、とても解りやすいのです。
(注1) クリエイターとは、創造的な仕事に携わっている人のことで、自分の能力やスキルを目に見えるモノとして形にすることを仕事とする人もいる。クリエイターには、自分の価値観を表現する作品を作る人や、クライアントのニーズに応える作品を作る人などもいる。音楽や映像、メディア、ゲーム、小説、漫画などの表現の仕事に関わっている人もクリエイターと呼ぶ。
(注2) YouTubeとは、米グーグル(Google)社の運営する世界最大の動画共有サービスである。利用者が手元の動画データを投稿すると、Webブラウザなどで再生できる形式に変換し、他の利用者が閲覧できるようにWebサイトやスマートフォンアプリ上で公開される。
(注3) デジタルミキサー:音響システムの中には様々な音声ソースがある。マイク、スマホやPCからの音声出力。それとマイクを使って話す人たちもそれぞれ声量や声質が異なる。そういった異なる音声を集約し、調整して最終的にスピーカーから出す音声を決めるのがミキサーの役割である。楽曲制作やコンサートなどでは、楽器ごとに音量や音質を整え、それぞれの楽器が曲としてバランスよく聴けるようにする。これをミキシングと言う。これを実施するのがデジタルミキサーである。デジタルミキサーは、様々な音響機器が混在する中で、まさに音響システムの要といえるものである。
(注4) ディレクターとは:制作物の作品としての質に責任を持つ者のこと。その責務を全うするために、企画・立案・制作に関与して業務全般をつかさどる場合もある。この場合はディレクター職の者がプランナー職・プロデューサー職も兼任することも多い。制作物の経済的責任を持つ「プロデューサー」と対をなすポジションである。
(注5) インフルエンサーとは、「社会に大きな影響力を持つ人物」という意味の英単語で、特に、インターネットを通じた情報発信力があり特定に集団の思想や行動、ライフスタイルなどに強い影響を及ぼす人物のこと。
(注6) オンデマンド(on demand)とは、「要求に応じて」という意味の英語表現で、利用者の要求に応じてその都度サービスや製品を提供する方式のことである。
(注7)コンテンツ (contents)とは、「中身」のこと。英語の関連語彙としては、コンテナ (container) の中身がコンテント (content) であって、語自体には「電子媒体(メディア)の」や「特に、電子的な手段で提供する」という意味は全くない。例えば書籍の「中身の情報」は、小説や評論であって、それがコンテンツである。
(注8) キャラクター(character)は、小説、漫画、映画、アニメ、コンピュータゲーム、 広告などのフィクションに登場する人物や動物など(登場人物)。あるいはそれらの性格や性質のこと。また、その特徴を通じて、読者、視聴者、消費者に一定のイメージを与え、かつ、商品や企業などに対する誘引効果を高めるものの総体。
(注9) グランピング(Glamping)とは、グラマラス (glamorous) とキャンピング (camping) を掛け合わせた造語で、ホテル並みのサービスを野外で愉しむ魅力的なキャンプという意味である。
(注10) 「コラボ」は「コラボレーションの略で、共同制作や共同作業」という意味であり、主に商品の共同開発や芸術分野で使われる。異なる企業やジャンルの人・団体が協力して商品を開発したり、アイデアを出し合ったりすることを指す。
(注12) 日本経済新聞2024年8月17日朝刊2面に記載された図表1①公式動画のチャンネル登録者の伸び。(注)2024年7月時点のYouTubeの公式チャンネル登録者を2022年5月と比較。
(注13) 日本経済新聞2024年8月17日朝刊2面に記載された図表②動画による情報発信が広がっている。(出所)総務省。
(1)日本経済新聞、2024年8月17日 朝刊(2面)。
[付記]2024年9月9日:.
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