「日本再生]「地域創生」高校生の英語、実践で磨く2024年3月4日 都立 講師と1対1、会話力向上 「英検準2級」割合12ポイント増
- honchikojisitenji
- 2024年3月4日
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続木 碧(つづき あお) 2024年3月(研究報告№100)
「巻頭の一言」
日本人の英語力不足が指摘されるなか、若い世代の英語教育を充実させる動きが全国で広がっています。東京都は、高校中級程度とされる英検準2級レベル以上に達した公立高校生の人数の割合を、2022年度までの7年間で最も伸ばしました。外国人講師と1対1で話す機会を設けるなど、会話を中心とした「使える英語力」の育成に力を入れています。
日本経済新聞2023年2月17日、朝刊、2面記事(丹田拡志、平片均也、高田哲生)を参照・引用して記述。
「日本再生]「地域創生」高校生の英語、実践で磨く 都立 講師と1対1、会話力向上 「英検準2級」割合12ポイント増
「日本再生]「地域創生」高校生の英語、実践で磨く 都立 講師と1対1、会話力向上 「英検準2級」割合12ポイント増
ここでは日本経済新聞の2024年2月17日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
英検は5級から1級まで7段階あり、準2級は「日常生活に必要な英語を理解し使用できる」と位置付けています。文部科学省の調査では、2022年度の準2級レベル以上の公立高校生の数の割合は全国平均で48.7%でした。現在のような公表形式となった2016年度より、12.3%伸びました。
調査は英検取得者だけでなく、担当教諭が取得者と同程度の英語力があると判断した生徒も含めています。国は50%としていた目標を、2023年度に60%に引き上げました。
[東京都]
2022年度の都道府県別データを見ますと、東京都の準2級レベル以上の生徒の数は、55.9%で、2016年度より22.1%増加しました。全国順位も36位から4位に浮上しました。都はコミュニケーション能力向上に重点を置いた教育を進めています。2016年度にはタブレット端末(注1)を使って、外国人講師と1対1で話すオンライン英会話を開始しました。2023年度には、すべての都立高校で導入しました。
町田市の成瀬高校は、2023年度に1、2年生が5回ずつオンライン英会話を受講しました。浅沼善宣主任教諭は「回数と時間に限りはあるのですが、初対面の外国人に英語が通じたという成功体験が得られることは大きいのです」と話しています。東京都は公立中学校でも「スピーキングテスト」を導入し、結果を都立高校の入試にも活用しています。
[奈良県]
生徒の語学力向上には、指導力の強化も欠かせません。伸び幅2位の奈良県は、県立高校の英語担当の全教員に英検1級以上の英語力を身につけてもらう研修を実施しています。2023年度は、英語を母国語とするネーティブ講師(注2)とともに3日間、英語だけを使う内容としました。教員採用試験でも、英検準1級以上の取得者などの一部試験を免除しています。
[愛媛県]
愛媛県は、2019年度に14人だった県採用の外国語指導助手(ALT、注3)を2023年度までに34人に増やしました。ALTは授業での指導のほか、放課後などには、肯定側と否定側に分かれて討論するディベートの大会(注4)に出場する生徒らを支援します。打ち合わせなどを通じて「日本人の指導力向上にも貢献している」と愛媛県高校教育課は言っています。
[北陸3県]
2022年度の取得割合が上位の北陸3県は「読む・書く・聞く・話す」の4技能を満遍なく伸ばすための実践型授業に力を入れています。海外の学生らとの交流会なども、とても活発です。
福井県は、生徒が英語で意見や考え方を表現するなど、4技能統合型の授業づくりを進めています。職業系学科を持つ高校を中心に、生徒がタブレット(注5)でのビデオ通話で、海外の若者らと交流する授業もあります。ALT(指導助手、注3)との交流も多いのです。
福井県教育委員会は、「英語を話す機会が増え、生徒のモチベーション(やる気、注6)の向上につながっている」とみています。
石川県も「話す」技能の中でも、「やりとり」に重点を置いた英語教育充実事業を進めています。
[この項のまとめ]
スイスの語学学校運営会社、EFエデュケーション・ファーストが実施した、英語を母国語としない113カ国・地域を対象にした、2023年、「英語能力指数」のランキング付けで、日本は、過去最低の87位でした。
英語教育に詳しい敬愛大学の向後秀明教授は、「自治体の予算は限られるのですが、普及が進む情報端末やALT(外国人指導助手、注3)」の活用などを通じて、生徒が英語を使う場面を増やすことが重要です」と強調しています。「高校生の英語力が高まれば、訪日客への対応やSNSでの発信などを通じて地域社会の活性化も期待できるのです」と話しています。
日本経済新聞2023年2月17日、朝刊、2面記事(丹田拡志、平片均也、高田哲生)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照・引用した2024年2月17日の日本経済新聞の朝刊2面、①「高校生の英語力は向上している」。(注)2022年度の英検準2級レベル相当以上の生徒の割合を2016年度と比較した伸び幅。文部科学省のデータに基づく。②「2022年度は北陸3県が上位を独占した(生徒の割合)」。(注)少数点第2位以下で順位付け。➂英語教員の語学力も上昇傾向にある。(英検準1級レベル以上の高校教員の割合。)(注)2020年度は調査なし。
[図表1]
図表1(注7)は、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、ここには「高校生の英語力は向上している」と題した図表が記されていました。ここでは、2022年度の準2級レベル相当以上の生徒の数の割合を、2016年度と比較した伸び幅を都道府県ごとに計算しています。それは、文部科学省のデータに基づいています。
そして「各都道府県」別の「生徒の数の割合」の伸び幅を、大きい順に5段階にわけ、日本列島の地図を色分けして示していました。
その色分けは以下です。「2020年度の英検基準準2級レベル相当以上の生徒の数の割合を2016年度と比較した伸び幅」が、①20%以上(黒茶色)、②15~20%未満(黒茶色の斜線)、➂10~15%未満(濃い茶色)、④5~10%未満(淡い茶色の斜線)、⑤5%未満、(淡い茶色)で分けて、地図に記載していました。
ここで「各対象となる生徒の伸び幅」が最も大きかった処(20%以上の伸び)は、黒茶色に塗ってあった処で、第1位東京都の1カ所のみでした。
さらにこれに続いて、生徒の伸び幅が大きかった処(15~20%未満の伸び)は黒茶色の斜線で示してあり、これは第2位の奈良県と第3位の愛媛県、さらに以下の地域が続いていました。
それは岩手県、秋田県、神奈川県、静岡県、石川県、福井県、滋賀県、奈良県、大阪府、和歌山県、鳥取県、山口県、愛媛県、高知県です。
次に続いて伸び幅が大きかった処(10~15%未満の伸び)は以下です。
これは北海道、青森県、宮城県、山形県、茨城県、群馬県、富山県、長野県、山梨県、愛知県、京都府、兵庫県、岡山県、広島県、三重県、徳島県、福岡県、佐賀県、長崎県でした。
ここで、5段階の最後の段階、「対象となる生徒の数の伸び幅が最も小さい処(5%未満の処)を先に述べますと、これは岐阜県、大分県、沖縄県の3カ所のみでした。結局、この改革活動で、著しく遅れているのは、僅か3カ所なのです。
ここで、いよいよ残されたのは、5~10%未満の地域です。それは以下です。
これは福島県、新潟県、栃木県、埼玉県、千葉県、島根県、広島県、香川県、長崎県、宮崎県、熊本県、鹿児島県でした。この12地点が、この活動が遅れている地域です。
このように、区分して塗り分けた地図を、概観してみますと以下のことが言えると思います。
(1)この英検準2級以上の生徒の数の5年間の伸び幅が、著しく大きかった処は東京都(20%以上の伸び幅)1カ所のみ。
(2)「所定の生徒の数の伸び幅が大きかった処」第二グループ(15~20%未満の伸び幅、14カ所)と第三グルーブ(10~15%未満の伸び幅)17カ所)。合計31カ所。
(3)「同伸び幅が小さかった処(5~10%未満の伸び幅)12カ所。
(4)「同伸び幅が著しく小さかった処(5%未満)3カ所。
各グループに選出された地名、特徴などを比較検討してみますと、第二、第三グループは、両者の間の差は、あまり認められず、両者を合体させて「伸び幅が大きかった処」とした方が、むしろ自然であると思われます。
結局、英検準2級以上の高校生の数の2016年度~2022年度間の伸び幅が小さかった遅れている都道府県の数[(3)(4)]は、全国の30%強に止まっており、ここ7年間の高校生の英語力は、順調に向上してきたと言えると思います。
でも、栃木県、埼玉県、千葉県の首都圏の3県が、この遅れている地域の中に残っており、これが、今後に向けて大きな課題だと、私は感じております。
日本経済新聞2023年2月17日、朝刊、2面記事(丹田拡志、平片均也、高田哲生)を参照・引用して記述。
[図表2]
図表2(注8)は「2022年度は北陸3県が上位を独占した(生徒の割合)」と題した図表でした。これを以下に記します。
図表2「2022年度は北陸3県が上位を独占した(生徒の割合)」
順位 都道府県名 準2級レベル相当以上 2級レベル相当以上
1 福井県 60.8% 26.0%
2 富山県 60.5 26.7
3 石川県 57.7 15.2
4 東京都 55.9 30.8
5 秋田県 55.8 16.9
6 神奈川県 55.8 26.2
7 兵庫県 54.0 25.3
8 静岡県 53.6 22.3
9 奈良県 52.6 21.9
10 岡山県 51.2 18.7
(注)小数点第2位以下で順位付け
東京都の英検準2級以上の生徒は、2022年度には、大いに増加しました。2016年度の全国36位から4位(55.9%)に急浮上しました。北陸3県(福井県、富山県、石川県)は,これを上回り全国1~3位を占めました。
また、秋田県が5位に入っており、私は、これを大変、喜んでいます。秋田県は、人口減少率全国一位で、長らく苦しんでいましたが、若手の英語力の増強活動で、全国上位に出てきたのです。若者の活躍で、元気な県として台頭してきてくれることを期待しています。
以下、神奈川県、兵庫県、静岡県、奈良県、岡山県と、ここには各地の期待の星が並んでいます。
また、英検の一つ上の段階である、英検2級で東京都が30%台に入ったことも、嬉しいニュースです。また、この2級以上に関して、富山県、神奈川県、福井県、兵庫県が、20%台後半に入っており、より高度の技術者の層の厚さを見せ始めています。
日本経済新聞2023年2月17日、朝刊、2面記事(丹田拡志、平片均也、高田哲生)を参照・引用して記述。
[図表3]
図表3(注9)は「英語教員の語学力も上昇傾向にある(英検準1級レベル以上の高校教員の割合)」と題した図表でした。
この図表の左側縦欄には、0~80%の英検準1級以上の割合(%)が記してありました。また、下側の横欄には、2013年度、15、17、19、22年度の「年度」が記してありました。この縦横欄を用いて、「英検準1級レベル以上の高校教員の割合(%)が、黒茶色の棒線グラフで記してありました。この「割合」は、2013年の50%から2022年の70%強まで、年々、順調に拡大していました。
この図表3は,英語教員の語学力が、この10年間、着実に上昇していることを、明確に示しています。
日本経済新聞2023年2月17日、朝刊、2面記事(丹田拡志、平片均也、高田哲生)を参照・引用して記述。
[最後のまとめ]
この研究報告を執筆していて、日本が、「英語を母国語としない113カ国を対象とした、2023年の「英語能力指数」のランキングで、過去最低の87位に低落した」という記事を読みました。これにより、私は強いショックをうけました。私は、ここに書いたような研究報告(ブログ)を長きにわたって書き続けており、毎年このランキングが、じりじりと低下していくのを、無念の思いで見続けてきました。
それが、とうとう、落ちるところまで落ちたのです。113カ国の中での87位は、先進国では、事実上の「ビリ」です。
でも、一方で、今日の研究報告は、夢多き論文でもありました。日本人の英語力の不足が永年指摘されてきた中で、若い世代(中高生)の英語教育を充実させる流れが、ここへきて、怒濤のように沸き上がってきていたのです。そのことに気がついて、筆を持ち直してみると、以下のようになるのです。
今、日本では、中高生中心の若い世代の英語力が、急上昇し始めたのです。2022年の英語検定準2級(以下、略して「英検準2」)のレベルに達した若者の数が、近年,どの位増えたかを調べた調査が行われました。2016年を基点として2022年度を見ると、全国47都道府県の68.1%にあたる32都道府県で、この7年間で、対象の英検準2の若者の数が、10%以上増えたのです。このような大沸騰を全国的に広く発生させるのは、非常に難しいのですが、この32都道府県は、全国に広く分布しており、この英検準2の若者の急増は、まさに「沸騰的」とも言うべき、すごい動きなのです。
そして2022年度は、特に凄い状態になっています。日本を代表する東京都は、特に大躍進しました。東京都の英検準2の若者の数は55.9%に達し、2016年度より22.1%増加しました。全国順位も36位から4位に躍進しました。
しかも凄いのは、この東京都を超える県が3県もあるのです。福井県(60.8%)、富山県60.5)、石川県(57.7)と、北陸3県は、そろって爆進する東京都を上回りました。以下、秋田県、神奈川県、兵庫県、静岡県、奈良県、岡山県も(50%)を超えました。
また、英検の一段上のレベルの「英検2級」でも、このレベルに達した若者の数は、東京都は30.8%で、30%を超えており、富山県、神奈川県、福井県、兵庫県も25%を超えています。すなわち、より高度な語学技術者へ進む若者の意欲は旺盛なのです。
この研究報告は、日本国の英語ランキング転落のショックから始まりましたが、私は、最近起きている英検準2の大膨張の熱気を、はからずも掘り起こしました。この熱気を、今後も、そのまま持続できれば、遠からず「非英語国の英語大国、日本」の実現も夢ではないのです。
これは今後一層はげしくなって行く、ハード・ソフト技術競争で打ち勝ち、輸出の振興や他国との心のつながりを強化するなど、日本国の国際競争力の力強い拡大につながって行くものと思います。
私は、今日は、はからずも、大きな夢を抱きました。でも一方で今は、「進む」も「退く」も、紙一重の際どい時代です。みんなで力を合わせて頑張りましょう。
日本経済新聞2023年2月17日、朝刊、2面記事(丹田拡志、平片均也、高田哲生)を参照・引用して記述。
(注1) タブレット端末とは:薄い板状のコンピュータの総称。多くはタッチ-パネル式入力で,無線ネットに接続する。携帯性に優れ,音楽や動画・ゲームなどを楽しむことができる。
(注2)ネーティブ講師とは、英語を母語とする講師を指す。具体的には、アメリカ、オーストラリア、イギリスやカナダ出身の講師である。
(注4)ディベートとは:ある与えられた命題の下で、肯定側と否定側にわかれ議論を戦わせ、審判を説得する競技のことである。多くの場合、ディベートでは「政府は~政策をとるべきである」という命題が用いられ、その政策の効果について、メリットがデメリットを上回れば肯定側、そうでなければ否定側が勝つこととなる。本場アメリカでは、ディベートは高等教育の一環として普及しており、大会で優秀な成績を残すと名門大学への入学が認められる。
(注5)コンピュータにおけるタブレット(tablet)とは、板状のパーソナルコンピュータ(もしくはコンピュータ周辺機器)を指すカテゴリー名称である。2010年4月にAppleのiPadの販売が開始された。これは厚さ1.5cm、重さが680g、バッテリー駆動時間が10時間で、ウェブの閲覧、電子メールの送受信、写真の鑑賞と共有、ビデオや音楽の視聴、ゲーム、電子書籍の読書など様々な機能を使うことができるもので、499ドルという手頃な価格で提供され爆発的な勢いで普及した。
(注6)モチベーションとは:人が行動を起こす際の要因や目的、きっかけ、やる気、意欲のことを指す語である。 モチベーションは、欲求から行動へと変わるプロセスを表す概念でもあり、外発的動機づけと内発的動機づけの二種類がある。 ビジネスシーンでは、モチベーションは「やる気、意欲」の意味合いで使われることが多い。
(注7)日本経済新聞2024年2月17日の朝刊2面に掲載された図表1、①「高校生の英語力は向上している」。(注)2022年度の英検準2級レベル相当以上の生徒の割合を2016年度と比較した伸び幅。文部科学省のデータに基づく。
(注8)日本経済新聞2024年2月17日の朝刊2面に掲載された図表2、②「2022年度は北陸3県が上位を独占した(生徒の割合)」。(注)少数点第2位以下で順位付け。
(注9)日本経済新聞2024年2月17日の朝刊2面に掲載された図表3、➂英語教員の語学力も上昇傾向にある。(英検準1級レベル以上の高校教員の割合。)(注)2020年度は調査なし。
(1)日本経済新聞、2024年2月17日(2面)。
[付記]2024年3月4日:
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