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木材の経年変化


木材は年月を経ると色が変わってきます。木材の種類や材の部位によって変わりますが、一般的に、屋外や屋内でも太陽光を直接受けるところでは、まず暗・濃色化という色の変化が起こり、色が濃く暗くなっていきます。この状態が進むと、次に色が薄く明るくなっていきます。さらに、雨が当たるような場所では色が黒ずんでいきます。これは黒カビが表面に発生して黒ずむのです。屋外では、色が薄くなった木材に黒ずみが合わさり、さらに粉塵など大気汚染物質にさらされることも加わって、木材は灰色っぽくなっていきます。その後、雨や粒塵交じりの風によって春材部分(年輪の幅の広い薄い色の材の部分)の方が強く浸食されて、表面が凸凹の木目が形成されます。

このような経年変化を防止するためには、木材を防腐加工すること、保護塗料を塗装することも必要です。

写真は、2020年8月和歌山県の田辺駅前のtanabe・en+(タナベ・エンプラス)という交流施設です。これはオープン後3年経った2023年10月の写真ですが、二階部分の外壁のヒノキの光が当たり雨が掛かる部分は淡色化し黒ずみも進んでいます。一階部分の外壁と比べてみてください。

地域の創造を進める上で、その拠点施設として地域の木材を使ったものを作る場合が増えており、たいへんありがたいことだと思います。その際、外観の木質感を出すために外装を防腐加工した木材ではなく無垢の木材にしているものが見られます。また、休憩用ベンチなどを無垢木材で設えたものもよく見かけます。これらは、太陽光を受け雨がかりになりがちなため上記のような経年変化が進みます。コストの問題になりますが、十年に一度程度はメンテナンスが必要になることには留意が必要です。そのままにしておくと木材は劣化し、取り換えなければならなくなります。今は優れた木材保護塗料が開発されており、それにより変色、劣化が進むまでの年数は伸びていますので、木材を使った地域創造の効果をずっと保つためには、ぜひ、施用して欲しいと思います。

最近、マスコミで、25年程経った公共木造施設で、劣化した木材の取り換えなどの改修費が3億円かかるということが大きく報じられています。25年前ですから、木材の美しさを強調するために使われた無垢の木材の劣化を遅らせるような良い木材保護塗料はまだ開発されていなかったのでしょうが、もっと早く木材のメンテナンスに意を用いて欲しかったです。箱もの行政と言われる行政の典型的な問題点ですが、せっかくの地域創造を目的とした施設ですから逆にイメージダウンをもたらすようではいけません。そして、世の中の人達にやっぱり木造は使えないと思われないようにしていかなければならないと思います。




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