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[日本再生][地域創生] 開業融資最多 1.7万件 2024年8月26日 新潟県4割増 伴走型、支援手厚く 昨年度、コロナ前より1割増

  • honchikojisitenji
  • 2024年8月26日
  • 読了時間: 10分

 

続木 碧(つづき あお)  2024年8月(研究報告№121)                                                                                                   

「巻頭の一言」

 個人の独立開業に伴う資金需要が増えています。日本政策金融公庫などの2023年度の融資件数は、新型コロナウイルス禍前の2019年度より10%増えて最高となりました。サービス関連を中心に拡大し、女性の開業も増えています。都道府県別では個人の需要に寄り添った開業支援を続ける新潟県が、4割増と最も伸びました。日本経済新聞、2024年8月3日、朝刊、2面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。

 

[日本再生][地域創生]開業融資最多 1.7万件 新潟県4割増 伴走型、支援手厚く 昨年度、コロナ前より1割増

 

 

「日本再生」「地域創生」開業融資最多 1.7万件 新潟県4割増 伴走型、支援手厚く 昨年度、コロナ前より1割増

 

 

ここでは、日本経済新聞の2024年8月3日、朝刊2面の記事を紹介します。

 

 

[はじめに]

 日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融公庫が創業7年以内の個人に融資する「新規開業資金」のうち、創業前の融資実績を分析しました。無担保で年2%程度という低金利が特徴で、創業を目指す多くの個人が活用しています。

 全国の2023年度の融資件数は1万7972件と2019年度より10%増え、2008年の日本政策金融公庫設立以来最多となりました。理容美容や飲食など生活に密着した業種が伸び、女性の活用も多いのです。都道府県別では32自治体が2019年度を上回りました。新潟県は216件と46%増加し、静岡県、岐阜県がこれに続きました。

 一方、10年近く前には900万円超だった平均融資額は522万円に減りました。同公庫は「創業を働き方の一つと捉え、投資を無理のない範囲に抑える人が多い」と見ています。

 

[新潟県・新潟市]

 新潟市の中心街、古町には「マイネームイズアイスクリーム」という、ユニークな店があります。新潟県産のコメや枝豆に由来する植物性ミルクを使ったアイスを提供しています。都内の広告関連会社に勤めていた青柳万凛さん(29)が夫婦で2023年8月に開業したのです。

 きっかけはコロナ下のリモートワーク(注1)でした。自由な働き方を求めてフリーランス(注2)となり、妻の家庭がある新潟へ移住しました。広告関連の仕事を続けながら、夫婦の夢だったというアイス店の開業を目指しました。ここで背中を押してくれたのが新潟市の総合支援策でした。青柳さんは、新潟市の総合支援策は、「店のコンセプトを磨くための壁打ち役になってくれた」と言っています。補助金や融資の申請書類も丁寧に添削してくれました。

 同じ古町のマッサージ店「整体うらら」は、パートで働いていた畑間早恵さん(51)が2022年に開業した店です。自ら整体を受けた経験から痛感したと言い、息子の進学を機に開業をしました。空き店舗を使った市のチャレンジショップ事業(注3)を活用しました。家賃が安いため整体を学びながら少しずつお客さんを増やせると期待したのです。

 新潟市に相談のあった人による開業数は2023年度に80件でした。中原八一新潟市長は、「丁寧な伴走型の創業支援に取り組んできたことで、市民の間でも機運が高まってきたのです」と話しています。

 新潟県も県内8地域に創業支援施設を開設し、学生らの企業を後押ししています。新潟駅前の「スナップ新潟」は新潟大学の学生からの相談を受付けし、地縁のある先輩起業家を紹介します。現役の新潟大学生が2021年に起業したサウナ開発のハブサウナなど、5年間で多くの学生起業家を輩出しました。

 花角英世新潟県知事は、2018年の就任以来、公民一体での支援体制の充実など、起業・創業支援に力を入れてきたと強調しています。開業率の低さなどから慎重な人が多いとされてきた県民性も徐々に変わりつつあるのです。

 

[石川県]

 伸び率4位の石川県は女性の起業家に力を入れています。専用サイト「いしかわ起業小町」を開設しました。女性起業家を講師に招いたセミナーや交流会を案内するほか、公共施設への期間限定での出展を申し込めるようにしました。

 

[この項のまとめ]

 創業支援に詳しい一橋大学の岡室博之教授は「自治体は様々な手法を駆使し、その地域に合った多様な創業を支援すべきです。予算や人材が豊富ではない場合は、商工団体や金融機関と連携してセミナーや交流会などソフト面で充実をはかるのも効果的です」と話しています。日本経済新聞、2024年8月3日、朝刊、2面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。

 

 

[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2024年8月3日、朝刊、2面記事(桜井祐介)には三つの図表が記載されていました。それを引用します。これを以下の①、②,➂に記します。①開業融資件数の増減率のランキング(2023年度)。2019年度比。出所は日本政策金融公庫。②東京は件数が多いものの伸びは鈍い。➂融資件数は増えた一方、規模は小さく。(注)平均融資額は沖縄県を除く。

 

 

[図表1]

図表1(注4)には、新聞紙上に日本列島の地図が記載されていました。これは開業融資件数と増減率のランキングを示す図表です。そのランキングは5段階に整理しました。

 

それは以下です。①開業融資件数の増加率が最大(40%以上増)となった地域(第1群、黒色)。②同、増加率が2番目に大きい値(20%以上~40%未満増)を維持することができた地域(第2群、黒青色の斜線)。➂同、増加率が3番目に大きい値(20%未満増)を維持できた地域(第3群、濃い青色)。④減少が続く地域で、減少率を20%未満減までに抑えることが出来た地域(第4群,灰色)。⑤同、減少率が20%以上に達してしまった地域(第5群、淡い灰色の斜線)。

 

まず、第1群は、開業融資件数の増加を最大40%以上増に上げることが出来た地域です。この1群に入れたのは、全国1位の新潟県、第2位の静岡県(黒色で表示)の2カ所だけでした。

 

続く第2群には、全国3位の岐阜県が先頭に立っていました。この岐阜県に続いて以下の諸地域が続いていました。それは以下です。北海道、秋田県、群馬県、石川県、埼玉県、山梨県、福井県、三重県、奈良県、大分県、宮崎県、香川県、高知県。これは先頭の岐阜県を加えて全部で14カ所です。第2群は、この合計14地域(黒青の斜線)の集団でした。

 

次の第3群は20%未満増加のグループ(濃い青色)です。このグループは、増加組の中で、一番増加率が低いグループです。

 

第3群に入っている地域は以下です。栃木県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、山口県、和歌山県、福岡県、佐賀県、長崎県、鹿児島県、沖縄県、愛媛県。すなわち、第3群の構成員は、この16都府県です。

 

結局、増加組は1~3群、合計32都道府県ということになりました。残り15カ所は減少組です。

 

以下に、減少組の第4群、第5群について記します。

第4群は、「開業融資件数の増加が停止して減少した減少組」の中心グループです。第4群には、以下の地域が入っています。青森県、山形県、福島県、茨城県、長野県、富山県、滋賀県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、熊本県、徳島県。第4群は、この13カ所です。

 

最後の第5群は、たった2カ所しかありません。本当に立ち遅れたのは、この2カ所だけでした。東北地方の岩手県と宮城県です。

 

この色付けした地図を見直してみますと、東北地方の遅れが目立ちます。東北5県(青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県)の内、秋田県を除く4県が「開業融資件数増加停止の減少組」なのです。この地図は基本的に黒と青色の系統の色で塗ってありました。

全国地図を眺めていて、東北地方だけが減少組の灰色であり、著しく目立ちました。なお、その他の各地にも、灰色は点々とあります。

 

 

[図表2]

 図表2(注5)は「東京は件数が多いものの伸びは鈍い」と題した図表でした。これを以下に記述します。

 

図表2-1 「東京は件数が多いものの伸びは鈍い」(原図)

順位     都道府県         融資件数      増減率

1      東京都           2694      4.9%

2      大阪府          2034      8.1

3      福岡県           1028     14.7

12     静岡県           399     43.5

16     石川県           257     36.7

22     新潟県           216     45.9

24     岐阜県           207     38.9

45     島根県            72     -2.7

46     徳島県            67     -1.5

47     鳥取県            50     -5.7

 

(注記)この図の題名の意味するところは、「東京の融資件数は2694あるが、増減率にしてみると4.9%しかない」と言っているのだと思います。

 

次の図表2-2では、都道府県別の開業融資件数の「増減率」と「融資件数」を列記し、これを増減率の多い順に記してみました。

 

図表2-2 「東京は件数が多いものの伸びは鈍い」(増減率の多い順に記載)

    都道府県         増減率      融資件数

    新潟県         45.9%     216 

    静岡県         43.5      399

    岐阜県         38.9      207

    石川県         36.7      257

    福岡県           14.7             1028

    大阪府            8.1             2034

    東京都            4.9             2694

    島根県         -2.7        72

    徳島県         -1.5                 67 

    鳥取県         -5.7                50 

 

 図表2-2では、表中の記載順を「増減率」の大きいものからの順序に変えました。そうすると、いろいろなことが、わかりやすくなりました。すなわち、新潟県、静岡県、岐阜県は、「開業融資件数」増加率の検討では、特に重要な地域ですが、さきに分析した図表1では、新潟県と静岡県は第1群、岐阜県は第2群に入っており、重要な存在に位置付けされていました。また、この図表2-1でも重要地域として取り上げられています。石川県は2024年元旦の地震被害の対応で融資件数が増えており、特別な存在です。東京都、大阪府、福岡県は人口が多いので融資件数は多くなるのです。一方、これらの地域では増減率の値は相対的に小さくなります。また、島根県、徳島県、鳥取県は融資件数が著しく小さく、ここの増減率は、開発融資件数の増加が停止し減少に転じる「減少組」(増減率がマイナス(-))なのです。

 

 

[図表3]

図表3(注6)は「融資件数は増えた一方、規模は小さく」と題した図表でした。この図表の上段には「平均融資額」の折れ線グラフ、下段には「融資件数」の棒グラフが記してありました。

上段の「平均融資額」の折れ線グラフは、以下のように記されていました。この図表の右欄には、500万円~900万円の「平均融資額」の「万円」が列記されており、下欄には2010年度から2023年度までの「年度」が記してありました。この「万円」と「年度」を用いて、2010年度から2023年度の「平均融資額」の実績を記す折れ線グラフが書いてありました。

この「平均融資額」は、2010年度の700万円から2014年度の900万円へと急上昇し、2014年度からは、900万円から2023年度の500万円へと、一転して急落していました。この折れ線グラフは、鋭く尖った山形をなしていました。

 

下段の「融資件数」の棒グラフのために、左欄には、0~2.0万件の「万件」が列記されていました。この「万件」と下欄の「年度」を用いて、2010年度から2023年度の「融資件数」の実績を示す青い色の棒グラフが書かれていました。この棒グラフは、2010年度の1.0万件から2014年度の1.5万件に向けて右肩上がりで上昇していました。2014年度から2023年度にかけては、概ね1.5万件の横這いで推移しましたが、2020~2021年度には、1.3万件程度までの落ち込みがありました。

この二つの図表を見ますと、融資件数は、増加しその後横這いですが、融資規模は一時大きくなりましたが、その後、著しく小さくなっています。この論文の標題が示す通りになっています。日本経済新聞、2024年8月3日、朝刊、2面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。

 

 

(注1)リモートワークとは、会社とは別の場所で働く勤務形態のことである。自宅でも働けるため、介護や子育てとの両立も図れる。台風や大雨のような身の危険を感じる自然災害が発生している時には、無理に出社する必要がない勤務体系である。通勤時間の削減により業務効率が高められる。

 

(注2)フリーランスとは、個人で仕事を請け負う人のことである。会社員兼フリーランスとして仕事をしている人もいる。自分のスキルを活かして個人で仕事をしているのであればフリーランスと言うことができる。働き方としての特徴は、固定給ではない点である。

 

 

(注4) 日本経済新聞2024年8月3日朝刊2面に記載された図表1、①開業融資件数の増減率ランキング(2023年度)。(注)2019年度比。出所は日本政策金融公庫。

 

(注5) 日本経済新聞2024年8月3日朝刊2面に記載された図表2、②東京は件数は多いものの、伸びは鈍い。

 

(注6) 日本経済新聞2024年8月3日朝刊2面に記載された図表3、➂融資件数は増えた一方、規模は小さく。(注)平均融資額は沖縄県除く。

 

 

(1)日本経済新聞、2024年8月3日 朝刊(2面)。

[付記]2024年8月26日:

 
 
 

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