top of page

[日本再生][地域創生] 日本酒世界を酔わす 2025年2月24日 岐阜県 海外PR、酒蔵と協働 輸出量10年で9割増

  • honchikojisitenji
  • 2月24日
  • 読了時間: 11分

 

続木 碧(つづき あお)  2025年2月(研究報告№139)

                                                                               

 

「巻頭の一言」

 地域の酒蔵が日本酒の輸出に力を入れています。和食ブームなどを背景に人気が高まり、2024年の輸出量は米国や中国向けなどを中心に、10年前より9割増えました。歴史や風土を反映する日本酒を広めることは、地域文化の発信にもつながり、訪日客にもアピールできるのです。岐阜県は酒蔵と二人三脚で海外PRを進めて輸出拡大に弾みをつけています。2025年2月8日、日経朝刊、2面記事(藤井太郎、古宇田光敏)を参照・引用して記述します。

 

 

[日本再生][地域創生] 日本酒世界を酔わす 岐阜県 海外PR、酒蔵と協働  輸出量10年で9割増。

 

 

「日本再生」「地域創生」日本酒世界を酔わす 岐阜県 海外PR、酒蔵と協働して輸出量を10年で9割増加させた。

 

ここでは、日本経済新聞の2025年2月8日、朝刊2面の記事(藤井太郎、古宇田光敏)を紹介します。

 

 

「はじめに」

 日本酒の輸出は、新型コロナウイルス禍などの影響はあったものの、長期的には増加傾向です。2024年の輸出額は434億円と前の年より6%増えました。国内消費の低迷もあって2023年の出荷量に占める輸出の割合は、7%と10年前の2.5倍になりました。全ての酒蔵をカバーしきれてはいないのですが、国税庁の調査によりますと、2023年の都道府県別輸出量は、大手が集まる兵庫県が最も多く、京都府、山口県の順でした。

 

[岐阜県]

 「県庁と酒蔵の信頼関係が大きな強みです」と、岐阜県大垣市の三輪酒造の三輪研二社長は話しています。「にごり酒」を主力に欧米や東南アジアなど20カ国・地域に輸出しており、海外むけが、15%を占めています。

 岐阜県は米ニューヨーク州や香港、欧州各地で日本酒のPRイベントを開いてきました。酒蔵の意見を取り入れ、輸入業者だけでなく、採用決定権をもつ、ソムリエ(注1)も飲食会に招くなど、取引につながりやすくする工夫を重ねています。日英仏中の4カ国語で県内の45蔵を紹介するカタログも作りました。同県の輸出量は5年前より8割増え、2023年は全国6位でした。

 三輪社長は「海外の顧客とのつながりを、さらに深めたい」として、訪日客の取り込みもにらんで、酒蔵見学ツアーの事業化も検討しています。県の担当者は「岐阜の豊かな自然を象徴する日本酒を入り口に、足を運んでもらうきっかけにしていきたい」と話しています。

 

[山口県]

 山口県を引っ張るのは「獺祭(だっさい)」のブランドで知られる旭酒造(岩国市)です。2000年前後から輸出に乗り出し、2023年には米ニューヨーク州に酒蔵を開きました。2023年9月期の175億円の売上高のうち、68億円を輸出が占めており、酒蔵としては日本一です。桜井一宏社長は「日本勢同士でシェア争いをするのではなく、海外での日本酒市場そのものを大きくしたい」と強調しています。6月には、社名を「獺祭」に変更し、ブランド力に磨きをかけて、海外でのさらなる販売拡大を目指しています。

 

[宮城県]

 宮城県は、欧州市場に狙いを定め、県内の酒蔵の「MIYAGI STYLE」と題した販促を、2021年度から展開しています。従来はアジアを主力市場に想定していましたが、「ブランド力向上には欧州で認められる必要がある」と判断したのです。

 宮城県は、欧州でソムリエ(注1)向けの試飲会などを、積極的に開催してきました。その結果、イタリアでは、取引のある飲食店が75店まで拡大しました。今、スペインでの展開も計画しています。出荷を担う、山形県寒河江市の酒類卸商は「和食だけでなく、チーズと合わせるなど、現地料理のレストランにも、採用が拡大している」と述べています。

 

[この項のまとめ]

 2024年末には、日本の「伝統的な酒作り」が「国連教育科学文化機関(ユネスコ、注2)」の「無形文化遺産(注3)」に登録されました。同じく無形文化遺産となっている「和食」の広がりもあって、これまで関心が薄かった酒蔵が、輸出に目をむける機会が急増してきているのです。

 東京農業大学の徳岡晶文教授は「多様な酒蔵があることは日本酒の魅力の1つだが、規模が小さいと継続的に輸出する余力が乏しいのも現実」と指摘しています。「ITの進化などで小さい蔵でも言語の壁などは低くなっている。酒蔵が自らの酒のスト-リ-を現地で伝えられるように、情報発信などの支援を一段と強化する必要がある」と話しています。2025年2月8日、日経朝刊、2面記事(藤井太郎、古宇田光敏)を参照・引用して記述。

 

 

[まとめ]

この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2025年2月8日の朝刊、2面記事(藤井太郎、古宇田光明)には、三つの図表が記載されていました。①「2023年の日本酒の輸出量。(出所)国税庁アンケート調査。沖縄県は回答が1社だけのため非公開。②日本酒に関連する近年の動き。➂日本酒の輸出は増加傾向。(出所)財務省 貿易統計。

 

 

[図表1]

図表1(注6)は、2025年2月8日の日経新聞紙上に、日本列島の地図として記載されていました。この図表は「2023年の日本酒輸出量」と題した図表でした。この図表では、2023年時点の都道府県別の日本酒の輸出を示しています。

 

ここでは2023年の日本酒輸出量を、1000キロリットルから100キロリットルまでの4段階に分けて、これを日本列島の地図上に、青色系の色彩で塗り分けて記述しています。

(1)  日本酒輸出量ランキング第1群、1000キロリットル以上、濃い青色。

(2)  日本酒輸出量ランキング第2群、300キロリットル以上、1000キロリットル未満、濃い青色の斜線。

(3)  日本酒輸出量ランキング第3群、100リットル以上、300キロリットル未満、

青色。

(4)  日本酒輸出量ランキング第4群、100キロリットル未満、淡い青色の斜線。

(5)  非公開。

 

次に、この第1群から第4群の各地域の姿を示します。

 

第1群は、2023年度の国税庁の調査において、最も日本酒の輸出量が多かった処(濃い青色に染めた1000キロリットル以上あったところ)を、日本酒輸出量ランキング第1群としました。

実際に1000キロリットル以上の輸出があって、第1群に入れたところは、第1位兵庫県、第2位京都府、第3位山口県の3カ所でした。

 

日本酒輸出量ランキング第2群は、300キロリットル以上、1000リットル未満の濃い青色の斜線のところでした。ここに入ったのは、以下の地域です。それは秋田県、山形県、新潟県、静岡県、長野県、奈良県の6県でした。

 

 この第1群と第2群の9カ所が、この日本酒輸出競争のレースを牽引していますが、ここでのレースの牽引者は、この研究報告で報告してきた幾多の産業改革のリーダーとは、一味違うようです。日本の産業改革も、大きな転換点にきています。戦後の復興で、さまざまな点で、見事な改革が達成されましたが、実施しなければといいながら、後回しにした多くのものが残りました。ようやく、それに手がついたのです。

 

日本酒輸出競争のランキング第3群は、100キロリットル以上、300キロリットル未満、青色のグループでした。ここに入っていたのは、以下の各地です。青森県、茨城県、群馬県、東京都、神奈川県、山梨県、富山県、石川県、滋賀県、三重県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、大分県、佐賀県、長崎県、宮崎県、熊本県、鹿児島県、愛媛県、香川県、徳島県、高知県の24カ所でした。

 

日本酒輸出競争ランキング第4群は、100キロリットル未満、淡い青色の斜線のグルーブでした。ここに入っていたのは、以下の各地です。北海道、岩手県、宮城県、福島県、栃木県、埼玉県、千葉県、長野県、福井県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の13カ所でした。

 

 

 この調査で、今、全国各地で熱心に進められている「日本酒の輸出」の推進プロジェクトの進捗状況が良く判りました。このブロジェクトで、今、先陣を切っているのは、第1群を牽引している兵庫県、京都府、山口県の3カ所です。また、第2群の秋田県、山形県、新潟県、静岡県、長野県、奈良県の6カ所も、このプロジェクトの牽引者の中に含めておいた方が良いと思います。それにしても、この9カ所としてみても、私がこの研究報告で、まとめてきた産業改革のリーダーの全体像とは1味も2味も違っています。これは日本国の未来に向けた改革の過去には前例がない、きわめて新鮮なリ-ダー群でした。

 

 

[図表2]

図表2(注7)は、「日本酒に関する近年の動き」と題した図表でした。これは日本経済新聞の2025年2月8日の朝刊に掲載されていた図表です。これを以下に示します。

 

 ここでは、2013年から2024年までの間の日本酒に関する重要な動きを、時系列に沿って列記しています。図表2を下記に示しします。

 

 

図表2「日本酒に関する近年の動き」

 

   年              重要な動き

1.2013年  「和食」がユネスコ(注2)無形文化財(注3)に登録

2.2015   地域ブランドを守る地理的表示(GI、注4)として登録               

3 2020   国税庁などが「日本産酒類輸出共同事業体(注5)」を設立。

3.2021   輸出用限定で少量でも製造を認める免許制度を設立。

4.2024   「伝統的酒作り」がユネスコの無形文化財に登録(注3)。

 

 日本の伝統的な「和食」や「酒づくり」が、重要な「無形文化財(注3)」として世界で認められるようになったのは、2013年に「和食」が、ユネスコ(注2)の無形文化遺産に登録されたのが原点(注3)です。 

 次いで2015年には、農林水産物・食品の名称を保護する「地理的表示保護制度(注4)」が始まり、「夕張メロン」や「米沢牛」などが、代表的な名品として、世界で急速に広まっていったのが大きかったのです。また、2020年に、国税庁などが中心となり、「日本酒類輸出促進コンソーシアム(共同事業体)」を設立しました。これで自治体・産業界・民間が一体となった輸出促進が本格的に始まりました。そして翌2021年には、輸出限定で、少量でも製造を認める免許制度が創設されました。これで日本酒が、古来から日本各地で伝承されてきた特別の存在として、世界で注目を集めるようになってきたのです。

 2013年に「和食」のユネスコ無形文化遺産で始まった「日本の代表的な文化遺産」の世界への発信は、9年の年月を経て、「日本のサケ=日本酒」を世界中が注目する逸品として、熱烈な愛好家を世界中に広めるに至ったのです。今、そのファン層の拡大は、世界中で急拡大しています。

 

 

[図表3]

図表3(注8)は、「日本酒の輸出は増加傾向」と題する図表でした。この図表は上下2段に分かれ、上段には、日本酒の輸出の増加量、下段に日本酒の輸出の増加金額の推移を示すグラフが記されていました。この上段の右欄には、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5万キロリットルと、日本酒の「輸出量」が列記されていました。

また、その下欄には、2014年、2016、2018、2020、2022、2024年の「年」が記載してありました。この上段の図表の右欄の「日本酒の輸出の増加量」と下欄の「年」を用いて、日本酒の輸出量の推移を示す折れ線グラフが書かれていました。

この折れ線グラフでは、2014年の1.5万キロリットルから始まり、2024年の3.1万キロリットルに向って、右肩上がりの直線が描かれていました。すなわち、日本酒の輸出量は、今、順調に右肩上がりで増加しています。

 

次に、下段に記してあります日本酒の輸出額の棒グラフの方ですが、こちらは少し様子が違います。この棒グラフを並べた図表では,2014年から2020年までの棒グラフ列は、100億円から220億円に到る、緩やかな増加を示しています。そして2021年から2024年までは、2021年に、400億円に急膨張し、その後2024年まで、ほぼ水平飛行です。すなわち、日本酒の輸出の輸出金額の方は、2014年から2020年までは、緩やかな拡大の時代で、2021年に売上金額が急ジャンプし、以下、増減のない安定期が続いているのです。

 

私は、2025年以降の日本酒の輸出が、今後、どんな推移を示すのか、強い関心を持っています。この二つのグラフから考えますと、輸出量は、折れ線グラフ沿って、この先も増加させていきたいと思います。また、輸出金額も、今横這いの金額を、今後は、当然のこと伸ばして行かねばなりません。

でも、このプロジェクトは、今、重要な転換点にあるのです。日本国の経済・社会が、今後、順調に延びて行けるかには、このプロジェクトが、とても大きな影響を与えるでしょう。国をあげ、産業・企業をあげ、国民みんなが力をあわせて、頑張って行かねばなりません。

今、訪日外国人の増加がとても順調です。このチャンスを逃さず、さらに急拡大させて行く必要があります。日本酒は、そこでの大事なリーディングインダストリーなのです。

 

 

(注1)ソムリエ(sommelier)は、レストランなどで客の要望に応えてワインを選ぶ手助けをするワイン専門の給仕人である。広義では、アルコール飲料を提供する飲食サービス業従事者全般を指す

 

(注2)国連教育科学文化機関(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization、略称: UNESCO、ユネスコ)は、国際連合経済社会理事会の下におかれた、教育科学文化の発展と推進、世界遺産の登録などを目的とした国際協定である。ユネスコ活動の普及と理解促進のため、世界の著名人をユネスコ親善大使に任命し、様々な活動を行っている。本部はパリにある。

 

(注3)無形文化遺産:(intangible cultural heritage)は、民俗文化財口承伝統などの無形文化財を保護対象とした、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の事業の一つ。2006年に発効した無形文化遺産の保護に関する条約(以下、無形文化遺産条約)に基づく無形文化遺産に対して、「ユネスコの世界遺産」は建築物など有形文化財を対象とする。これまでに対象とされた無形文化遺産は、各国の音楽、舞踏、祭り、儀式のほか、日本和紙 (2014年)和食(2013年)など伝統習慣、工芸など多岐にわたる。

 

(注4)地理的表示保護制度とは、農林水産物・食品等の名称を保護する制度をいう。具体的には、品質、社会的評価などが確立した特性が、産地と結び付いている農林水産物・食品等の名称を登録することにより保護するものである。 実例としては「夕張メロン」や「米沢牛」が地理的表示として保護されている。

 地理的表示は、農林水産物などの産品の名称からその生産地を特定して、産品と生産地を紐づける名称の表示のことであり、英語の“Geographical Indication”から「GI」とも呼ばれる。

 

(注5)日本産酒類輸出促進コンソーシアム(共同事業体)は、国税庁及び関係機関を運営主体とするコンソーシアムである。酒類製造者・酒造組合と輸出商社・卸売事業者のマッチング支援を行う。また、関係機関と連携をして、輸出に関する助言や情報提供、専門家による個別相談など、日本産酒類の輸出に役立つ情報を提供する。

 

(注6)日本経済新聞2025年2月8日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。図表1①「2023年の日本酒輸出量。(注)国税庁のアンケート調査。沖縄県は回答が1社のため非開示。

 

(注7)日本経済新聞2025年2月8日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。図表2②「日本酒に関連する近年の動き」。

 

(注8)日本経済新聞2025年2月8日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。図表3➂「日本酒の輸出は増加傾向。」

 

 

(1)   日本経済新聞、2025年2月8日 朝刊(2面)。

[付記]2025年2月24日:

 
 
 

Comments


持続的な地域の創造

©2022 持続的な地域の創造。Wix.com で作成されました。

bottom of page