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[日本再生][地域創生] 奨学金肩代わり 若者を呼ぶ2025年3月31日返還自治体、5年で倍 山形県鶴岡市 最大200万円、定住狙う

  • honchikojisitenji
  • 4月1日
  • 読了時間: 8分

更新日:5月2日

 

続木 碧(つづき あお)  2025年3月(研究報告№143)

                                                                               

「巻頭の一言」

 大学時代などに借りた奨学金の返還を肩代わりする自治体が増えています。2024年度には全体の半数近い816市区町村が支援制度を設けており、5年間で倍増しました。地元での居住や勤務を条件にすることで、若年人口の定着や人手不足の解消につなげています。山形県は全35市町村が導入しており、鶴岡市は独自施策と合わせて最大200万円を支給しています。2025年3月15日、日経朝刊、2面記事、(桜井祐介、森岡聖陽)を参照・引用して記述。

 

[日本再生][地域創生] 奨学金肩代わり 若者を呼ぶ 返還自治体、5年で倍 山形県鶴岡市 最大200万円、定住狙う


「日本再生」「地域創生」 奨学金肩代わり 若者を呼ぶ 返還自治体、5年で倍 山形県鶴岡市 最大200万円、定住狙う。

 

ここでは、日本経済新聞の2025年3月15日、朝刊2面の記事(桜井祐介、森岡聖陽)を紹介します

 

 

「はじめに」

 日本学生支援機構(注1)の調査では、大学学部生の55%が何らかの奨学金を受給しています。労働者福祉中央協議会(注2)によりますと、同機構からの平均借入額は300万円を超えており、社会人になってからの負担が重いと感じる人は多いのです。

 内閣官房の調査から2024年6月1日時点で奨学金返還支援制度がある市区町村を抽出し、都道府県別の割合を集計しました。トップは100%の山形県で、秋田県と富山県の80%で2位でした。

 

[山形県・鶴岡市]

 山形県は県内市町村と支給額を折半する制度を2015年度に始めました。卒業後に県内で居住・就職すれば最大124万8000円を給付します。吉村美栄子知事は「進学と就職時の人口流出が大きく、将来を担う若者が1人でも多く地元に戻って定着してほしい」と、その狙いを話しています。

 鶴岡市は県との共同支援に上乗せして、四年制大学の場合で最大201万6000円を給付します。卒業後に市内で就職してから3年以上経過した人を対象に、奨学金の返還分に相当する金額を10年間にわたって分割支給します。

  同市内の県立致道館高校では300人のうち9割が県外に進学します。奨学金を利用する学生も多いのです。皆川浩市長は「県内最高水準の支援にしたことで利用者は明らかに増えた」と話しています。これまでに60人以上が市内企業に就職しました。「今の若い世代は、昔よりも地方への関心が強いのです。若者が何を望んでいるかをしっかり把握して、地方回帰の流れを強くしていきたい」と言っています。

 

[静岡県・伊東市]

静岡県伊東市は医療・介護の専門人材の確保に向け、地元出身者以外も対象とした奨学金返還支援制度を2028年に導入しました。

  看護婦などの資格を持ち、同市に居住・勤務することを条件に、月2万円まで最長10年間支給します。これまでに50人以上が利用しています。

 新潟県出身で都内の大学を卒業した管理栄養士の本間史華さんも制度を使って伊東市民病院に就職しました。就職時には、都内の病院も選択肢だったのですが「伊東市の支援が最も充実していたのが、決め手になった」と言っています。同院には10人以上が支援策を活用して就職しています。福岡晶和総務課長は「年々採用が厳しくなっていましたが、制度の希望者が大きく増えました」と話しています。

 

[鹿児島県・長島町]

 ブリの養殖が盛んな鹿児島県長島町は、地元の信用金庫と連携し、最大500万円を借りられる「ぶり奨学金」を2016年に始めました。高校がないため、中学卒業後に地元を離れる子どもが多いのです。「ぶり奨学金」は高校生や大学生らが対象です。利子は町が負担し、卒業後10年以内に同町に戻って暮らせば元金の返還もいらないのです。出世魚のブリにちなんでおり、2023年度までに2300人以上が利用しているのです。

 

[この項のまとめ]

 桜美林大学の小林雅之特認教授は「自治体が奨学金の返還支援を充実させることは、地方の人口減少に歯止めをかける効果が期待できる」と評価しています。そのうえで、「国は自治体の財政力によって格差が生じないように支援策を拡充する必要があります。Uターンする人がどれだけ増えたかなど、費用対効果もしっかり検証するべきです」としています。2025年3月15日、日経朝刊、2面記事、(桜井祐介、森岡聖陽)を参照・引用して記述。

 

 

[まとめ]

 この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2025年3月15日の朝刊

2面記事(桜井祐介、森岡聖陽)には、二つの図表が記載されていました。①「奨学金の返還支援策がある市区町村の割合。(出所)内閣官房、2024年。②「主な支援策。」

 

 

[図表1]

 図表1(注3)は、2025年3月15日の日経新聞紙上に、日本列島の地図として記載されていました。この図表は「奨学金の返還支援策がある市区町村の割合」と題した図表でした。

 ここでは、「奨学金の返還支援策がある市区町村の割合」を5段階に分けて整理し、これを日本列島の地図の上に、緑色系の色彩で塗り分けて記述していました。これは以下です。

 

(1)  第1群,「奨学金の返還支援策がある市区町村の割合」が80%以上の処。

(2)  第2群,「奨学金の返還支援策がある市区町村の割合」が60~80%未満の処。

(3)  第3弾,「奨学金の返還支援策がある市区町村の割合」が40~60%未満の処。

(4)  第4群,「奨学金の返還支援策がある市区町村の割合」が20~40%未満の処。

(5)  第5群,「奨学金の返還支援策がある市区町村の割合」が20%未満の処。

 

次に、この第1群から第5群の各地域について述べます。



[第1群]

  実際に運営中で、「奨学金の返還支援策がある市区町村の割合」が80%以上あり、第1群に入っていたのは以下の地域です。

 その第1位は山形県で、その割合は100%でした。また第2位は秋田県と富山県で80%でした。第1群に入っていたのはこの3ヶ所でした。

 このプロジェクトの第1群にいる各地は、とても、異例でした。特に秋田県は、いつもは人口減少が最大となり、絶滅に直面している地域として、常に注目されていましたが、このプロジェクトでは、成績最優秀の第1群の第2位に入り、その割合も驚きの80%でした。山形県は、多くのプロジェクトで上位にいましたが、それにしても、第1群、第1位100%とは、お見事です。富山県もあまたの大物を凌いで2位とは、頑張りました。

 

[第2群]

 第2群は、「奨学金の返還支援策がある市区町村の割合」が60~80%未満の処で、濃い緑色の斜線で示した地域でした。これは以下です。北海道、岩手県、新潟県、長野県、静岡県、石川県、福井県、滋賀県、鳥取県、島根県、大分県、宮崎県、鹿児島県、愛媛県、香川県の15カ所でした。

 

[第3群]

 第3群は、「奨学金の返還支援策がある市区町村の割合」が40~60%未満の処で、淡い緑色で示した地域でした。これは以下です。福島県、茨城県、栃木県、千葉県、山梨県、京都府、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、長崎県、徳島県、高知県の13府県でした。ここには、東北地方から関東地方までと、京都から西の山口までが並んでいました。

 

[第4群]

 第4群は、支援のある市区町村が20~40%未満のところで、淡い緑色の斜線で示した地域でした。これは以下です。ここは、その割合が最少の次ぎに小さい地域です。ここでは、全国的に広がった分布を示しています。これは以下です。青森県、宮崎県、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、大阪府、和歌山県、福岡県、熊本県の13都府県でした。このプロジェクトでは東京都と大阪府は、この位置にいました。

 

[第5群]

 第5群は20%未満の最少の地域で、奈良県、佐賀県、沖縄県の3カ所だけでした。

 

 

[図表2]

 図表2(注4)は、「各地の主な支援策」と題した図表でした。これは日本経済新聞の2025年3月15日の朝刊に掲載されていた図表です。これを図表2として下記に示します。

 

図表2「各地の主な支援策」

   

  都道府県・市区町村名  各地の主な支援策

1   北海道苫小牧市      市内大学を卒業し市内で就職し居住すると最大年20

              万円を5年補助。

2  福井県越前町     町内に定住する場合、最大年20万円を5年補助。

3  和歌山県紀美野町   町内で就職または起業して定住すれば29歳まで最大年

              24万円補助。

4  鹿児島県志布志市   市内に定住する場合、34歳まで最大24万円補助。

 

 日本各地で、人口減少が進み、地域の存続が危ぶまれており、各地の自治体では、地域再生に、全力を傾注しています。そして、その効果が確実に出始めており、立派な成果が稔るものと思います。日本各地が地域再生を達成して、発展し続ける社会を成立させていくことを祈願しています。

 

 

(注1)日本学生支援機構は、日本育英会、国の機関、日本国際教育協会、内外学生センター、国際学友会、関西国際学友会が統合されてできた、文部科学省管轄の独立行政法人です。憲法、教育基本法に定める「教育の機会均等」の理念のもと、経済的理由で修学が困難な優れた学生等に学資の貸与及び給付を行っています。

 

(注2)労働者福祉中央協議会  (National Council of Workers’ Welfare)は労働者福祉社会保障制度の改善をめざして、労働組合生活協同組合労働金庫、福祉団体、全国47都道府県に組織されている地方労福協などの団体で構成する労働者福祉活動のための中央組織である。

 

(注3)日本経済新聞2025年3月15日の日経朝刊2面には、二つの図表が掲載されている。図表1①「奨学金の返還支援がある市区町村の割合。(出所)内閣官房、2024年。

 

(注4)日本経済新聞2025年3月15日の日経朝刊2面には、二つの図表が掲載されている。図表2②「主な支援策。」

 

 

(1)   日本経済新聞、2025年3月15日、朝刊(2面)。

[付記]2025年3月31日:

 
 
 

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