[日本再生][地域創生] 地域通貨デジタルで再起 2024年10月21日 前橋決済情報で人流分析へ 発行数、4年で7倍
- honchikojisitenji
- 2024年10月21日
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続木 碧(つづき あお) 2024年10月(研究報告№127)
「巻頭の一言」
特定エリアで流通する地域通貨が、再び広がっています。2000年代には紙による発行が相次いだのですが、多くが利便性の高い電子方式に移行しました。2020年以降は新型コロナ禍の景気対策としても注目され、デシタル地域通貨(注1)の種類を示す2023年末の発行数は、2019年末の7倍に増えました。2万人が利用する前橋市は消費活性化に加え、決済データを交通政策などの街づくりにも生かそうとしています。日本経済新聞、2024年9月28日、朝刊、2面記事(藤井太郎)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生] 地域通貨デジタルで再起 前橋 決済情報で人流分析へ 発行数、4年で7倍
「日本再生」「地域創生」 地域通貨デジタルで再起 前橋 決済情報で人流分析へ 発行数、4年で7倍
ここでは、日本経済新聞の2024年9月28日、朝刊2面の記事を紹介します。
[はじめに]
専修大学の泉留維教授が自治体の公開情報などからまとめたデータを基に、都道府県単位での地域通貨の発行状況を集計しました。泉教授によりますと、デジタル地域通貨は、貨幣のように流通するものから、商品券やポイントカード形式のものまで幅広いのです。
2000年代に地域通貨は紙の発行が急増しましたが、その後は印刷や保管の手間などから、廃止が相次ぎました。2020年以降は、運用コストが抑えられて、利便性も高いスフマホアプリなどを使ったデジタル方式が台頭しました。2019年末に30だったデジタル地域通貨の全国発行数は、2023年末には230になりました。都道府県別では、福岡県が26でトップになり、東京都と兵庫県が14、群馬県が13で続きました。
[群馬県前橋市]
「『めぶくPay』がきっかけで来店するお客さんもいます」。前橋市のカフェ、LAUGH COFFEEの神戸篤樹代表は話しています。「めぶくPay(注3)」はスマホアプリを使ったQRコード決済サービス(注2)です。支払い額の3%を利用者にポイント還元します。加盟店から手数料はとりません。市が費用を負担しており、2024年度は2億円を予算化しました。
前橋市のほかジンズホールディングスや群馬銀行、日本通信などが設立した「めぶくグラウンド(注3)」が運営します。2023年12月に始まったばかりですが、9月初めで約1万9000人が登録しました。加盟店は1300を超え、累計決済金額は17億円に達しました。
「めぶくPay(注3)」はマイナンバーカードで個人認証する独自開発の「めぶくID(注3)」を活用します。スマホの手軽さと安全性を兼ね備えており、利用者や小売店などの安心にもつながるのです。「めぶくグラウンド(注3)」の取締役でもある日本通信の福田尚久社長は「市民一人一人に最適なサービスを提供したい」と力を込めて語っています。
10月以降は個人が特定できないようにした決済デ-タを、市や事業者に提供して良いかを利用者が選べる機能を加えます。了承が得られたデータは市内の人の流れの分析などに生かす計画です。細谷精一副市長は「将来的に交通政策や民間の出店計画などにも活用し、誰もが住みやすいスマートシティー(注4)を目指す」と語っています。
[北海道苫小牧市]
北海道苫小牧市の「とまチョップポイント」は、市民との接点の拡大に力を入れています。ウオーキングやゴミ拾いといった健康・環境分野を中心とした催しなどでためたポイントを、市内の150店で1ポイント1円として使えるのです。システムを提供するフェリカポケットマーケッティング(東京・文京)の納村哲二社長は「市民の居場所づくりや孤立防止などに役立てたい」と話しています。
[長野県上田市]
導入がうまく進まないケースもあるのです。長野県上田市は、2021年に始めた「もん」の実証実験を、今年3月で打ち切りました。利用者が店舗を訪れるなどしてためたコインで特別メニューを注文できるといった仕組みだったのですが、思うようには利用が広がらなかったのです。
[この項のまとめ]
自治体財政が厳しくなるなか,利用拡大に直結するポイント還元などには限界があるのです。泉教授は「経済面だけでPayPayなどの民間サービスに伍していくのは容易ではない」と指摘しています。「地産地消に活用するなど、地域にとっての意義を訴求できるかが、生き残りのカギになる」としています。日本経済新聞、2024年9月28日、朝刊、2面記事(藤井太郎)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2024年9月28日の朝刊、2面記事(藤井太郎)には、図表が3枚記載されていました。①デジタル通貨の発行数(2023年末)。(出所)専修大学の泉留維教授。②様々な特徴を持った通貨が生れている。➂発行総数が急増している。日本経済新聞、2024年9月28日、朝刊、2面記事(藤井太郎)を参照・引用して記述。
[図表1]
図表1(注5)について。新聞紙上に日本列島の地図が記載されていました。この図表では、特定エリアで流通する地域通貨を青色系の色彩で塗り分けて示していました。
ここでは地域通貨の発行数を4段階に分けて記載しています。それは以下です。①2023年度に、地域通貨の発行数が16以上あった地域、第1群(黒青色)。②地域通貨の発行数が11以上15以下で二番目に多かった地域、第2群(濃い黒青色の斜線)。➂発行数が6以上10以下で3番目に多かった地域。第3群(濃い青色)。④第4群は、全国47都道府県の内、第1~3群の13地域を除いた34地域(全体の72.3%、淡い青色の斜線)。
第1群は、2022年度に、地域通貨の発行数が最も多く、16以上あった地域です。それは全国第一位だった福岡県、ただ、1カ所でした。
第2群は、発行数が11以上15以下であった地域(濃い黒青色の斜線)で、その数は4カ所ありました。この第2群を黒っぽい黒青色の斜線で染めていたため、これを塗った地図は、どっしりと黒っぽく見えました。これを列記すると以下です。この第2群には、東京都、兵庫県、群馬県、大阪府の4カ所が入っていました。
第3群は、地域通貨の発行数が6以上10以下の地域です。そのメンバーを列記しますと以下です。それは、北海道、神奈川県、埼玉県、千葉県、静岡県、佐賀県、熊本県、香川県の8カ所です。
第4群は、いよいよ、地域通貨の発行が0以上5以下の最少の地域です。この第4群は全国47都道府県から、第1~3群の13カ所を除いた残りの全部である34カ所でした。すなわち、この34カ所(全国都道府県の72.3%)が、発行数0~5の最少発行地なのです。このプロジェクトは、まだ、始まったばかりなのです。開始早々の今のリーダーは、福岡・東京・兵庫・群馬・大阪ですが、これから活性化する地域が、どんどん出てきて、メンバーは、激しく変わって行くでしょう。現状では、福岡と群馬が注目されます。
[図表2]
図表2(注6)は、「様々な特徴を持つ通貨が生れている」と題した図表でした。これを以下に記します。
図表2 「様々な特徴を持つ通貨が生れている」
名前 地域 特徴
とま チョップポイント 北海道苫小牧市 ごみ拾い大会などでポイントを集め、買 い物につかえる。
めぐむ Pay 前橋市 独自の個人認証を活用。データの活用も 目指す。
サンセットコイン 静岡県西伊豆町 自分の釣った魚をコインに交換して、 飲食などにもつかえる。
さるぼぼコイン 岐阜県高山市 利用者同士の送金や自動車税などの納付 にも対応。
ロマン 福岡県八女市 路線バス乗車などで貯めて、特別な体験 につかえる
[図表3]
図表3(注7)は、「発行総数が急増している」と題した図表でした。この図表の左欄
は、0~250と発行数(件数)が列記してありました。また、下欄には2019年度か
ら2023年度の5年間の「発行総数の実績」を濃い黒青色の棒グラフで示してありまし
た。
この棒グラフの列は、2019年度の30から2023年度の230に到るまでの「発行総数の実績」を示していました。それは、ほぼ一直線に順調に増加していました。このプロジェクトにおいて「発行総数の拡大」は、まだまだ、この先も続きそうですが、この5年間の発行数の急拡大は、まことに見事に現実化しているのです。
(注1) デジタル地域通貨とは、特定の地域内で使用できる電子通貨で、一般的にはスマホ用アプリを使用して決済を行うものである。
(注2) QRコード決済サービスとは、 スマートフォンのカメラ機能や決済端末を利用して、QRコードを読み取ることで、利用代金の支払いができる決済方法のことである。
(注3) 「めぶくPay」は、QRコード決済サービスの代表的な一例である。前橋市は電子地域通貨「めぶくPay」の運用を開始した。市は公的な給付金を電子地域通貨で支給するほか、クレジットカードや銀行口座からのチャージも可能にした。地域内の消費を促して地元経済を活性化し、アプリの決済データを政策立案やビジネスに役立てる。
めぶくPayは、官民が共同出資して設立しためぶくグラウンド(前橋市)が運営するスマート フォン向けアプリ「めぶくアプリ」をダウンロードして使う。市独自のデジタル個人認証「めぶくID」と連動し、登録にはマイナンバーカードを用いる。市民はアプリを通じて行政からのポイントや給付金を受け取ることができる。
めぶくPayに登録した市民全員に市が最大1500円分のポイントをプレゼントするほか、抽選で1万人に1万円分のポイントを贈る。チャージした電子通貨は、市内の加盟店でQRコード決済での支払いに使える。
(注4) スマートシティとは、情報通信技術(ICT)を活用して、さまざまなサービスやインフラを効率化して、持続可能で快適な環境の実現を目指した都市である。スマートシティの実現によって、交通渋滞の緩和や高齢者をケアしやすい環境の整備、自然災害への対策強化など、さまざまな社会の課題を解決することか可能である。
(注5) 日本経済新聞2024年9月28日、日経朝刊には、以下の図表が掲載されている。図表1、①デジタル地域通貨の発行数(2023年末)。(出所)専修大学の泉留維教授。
(注6) 日本経済新聞2024年9月28日、日経朝刊には、以下の図表が掲載されている。図表2、②様々な特徴を持った通貨が生れている。
(注7) 日本経済新聞2024年9月28日、日経朝刊には、以下の図表が掲載されている。図表3、➂発行数が急増している。
(1)日本経済新聞、2024年9月28日 朝刊(2面)。
[付記]2024年10月21日:.
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