[日本再生][地域創生] 伸ばせ健康寿命 知恵比べ 2025年2月17日 静岡県リスク見える化で首位 全国、男性72.57歳/女性75.45歳
- honchikojisitenji
- 2月17日
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続木 碧(つづき あお) 2025年2月(研究報告№138)
「巻頭の一言」
全国の自治体が、住民の健康寿命を伸ばそうと知恵を絞っています。介護などを必要とせずに、日常生活が送れる期間が長くなれば、地域の元気につながるうえ社会保険費なども抑制できます。静岡県は、県民の健康に関するドックデータ(注1)を活用して、きめ細かい健康増進活動を続け、2022年には男女ともに全国一となりました。2025年2月1日、日経朝刊、2面記事(瀬口蔵広)を参照・引用して記述します。
[日本再生][地域創生] 伸ばせ健康寿命 知恵比べ 静岡県リスク見える化で首位 全国、男性72.57歳/女性75.45歳
「日本再生」「地域創生」伸ばせ健康寿命 知恵比べ 静岡県リスク見える化で首位 全国、男性は72.57歳、女性は75.45歳に
ここでは、日本経済新聞の2025年2月1日、朝刊2面の記事(瀬口蔵広)を紹介します。
「はじめに」
厚生労働省は3年ごとに実施する、国民生活基礎調査(注2)などから、健康寿命(注3)を算出します。2024年12月に公表した2022年時点の健康寿命は、全国平均で男性が72.57歳、女性が75.45歳でした。男性は前回の2019年より0.11年短くなり、女性は0.07年延びました。健康寿命と平均寿命の差は男性が8.49年、女性が11.63年で、いずれも短くなりました。
[都道府県別の男女平均の健康寿命]
2022年の都道府県別の男女平均の健康寿命をみますと、静岡県が75.22歳とトップで、山梨県(74.82歳)、石川県(74.79歳)が続きました。健康寿命が1年長い自治体は、1人あたりの医療費が年3万1千円少なくなるとされています。国は2040年までに2016年時点より3年以上伸ばし、男性が75.14歳以上、女性77.79歳とする目標を掲げています。
[静岡県]
静岡県は生活習慣病予防に向けて、40~74歳が受診する75万人分の特定検診データを活用します。この結果、県東部は、メタボリックシンドローム(注4)の人が目立ち、西部は糖尿病予備軍が多いなど、地域によって違いがあることを示しました。そのため、各市町と、保険指導の重点項目などを、話し合いを始めています。
野菜摂取量の少なさが全国平均より高い脳卒中による死亡率につながっていることも分析しています。このため、2022年度から「野菜マシマシプロジェクト」を始めました。野菜嫌いの人でも食べやすいギョーザを開発したほか、野菜摂取量を手の平で測る機器の貸出を進めています。2021年には、静岡社会健康医学大学院大学を設置し、データを活用した保険施策推進に向けた人材の育成を進めています。
[滋賀県]
健康寿命の自治体別データの公表が始まった2010年に比べて、2.98年と健康寿命を最も伸ばしたのは滋賀県です。「健幸都市」を宣言する草津市は、全長7キロメートルに及ぶ草津川の跡地を、遊歩道や自転車道などがある公園として整備しました。コンピューターでスポーツや運転などが楽しめるeスポーツ(注5)も活用します。自宅からオンラインでも参加でき、様々な人との交流機会を生みます。脳の活性化などが期待できると言われ、地域の住民団体などにeスポーツアトバイサー(注5)も派遣しています。
[青森県]
「短命県」の汚名返上に取り組む青森県も健康寿命を2.38年延ばしました。弘前市と弘前大学は、地域住民の健康状態をデータ化して啓発活動に生かすプロジェクトを続けています。2024年度は1200人の市民を対象に、血液やレントゲンなど3000項目を検査しました。企業の関心も高く、マツダなど40社以上が参画しています。
[フレイルの検知 介護予防]
中部電力は、健康な状態と介護が必要な状態の中間とされるフレイル(虚弱、注6)の検知サービスを2023年に始めました。スマートメーター(注7)を通じて取得した各家庭の30分ごとの電力使用量を人工知能で分析しました。起床や睡眠、家事や外出といった行動を推定してフレイル(注6)の予兆をみつけて、介護予防につなげています。三重県東員町での実験では、8割以上の精度で検知に成功したと言われています。長野県松本市など13自治体が導入しており、2025年度は50自治体での採用を目指しています。
[この項のまとめ]
高齢者の健康問題に詳しい京都大学の近藤尚巳教授は、「住民同士のつながりが豊かな地域ほど、要介護認定の新規発生数も少ないという研究がある」と指摘しています。そして「健康寿命を伸ばすには、足腰を鍛えるといった体力づくりに加え、就労の場や趣味などを通じた交流機会の創出も重要だ」と強調しています。2025年2月1日、日経朝刊、2面記事(瀬口蔵広)を参照・引用して記述します。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2025年2月1日の朝刊、2面記事(瀬口蔵弘)には、三つの図表が記載されていました。①「健康寿命ランキング。(注)厚生労働省の資料から、男性・女性の公表値の単純平均値と比較。➂国の目標値の達成は容易ではない。
[図表1]
図表1(注8)は、2025年2月1日の日経新聞紙上に、日本列島の地図として記載されていました。この図表は「健康寿命ランキング」と題した図表でした。この図表では、2024年12月に公表した2022年時点の都道府県別の健康寿命(注3)を示しています。ここで健康寿命値は、厚生労働省の資料からの男性・女性の公表値を単純平均して算出しています。これを都道府県別の健康寿命として、日本列島の地図上に記しました。
ここでは健康寿命のランキングを緑色系の色彩で塗り分けて記述しています。
(1) 健康寿命ランキング第1群、75~76歳、黒緑色。
(2) 健康寿命ランキング第2群、74~75歳未満、濃い緑色の斜線。
(3) 健康寿命ランキング第3群、73~74歳未満、緑色。
(4) 健康寿命ランキング第4群、72~73歳未満、淡い緑色の斜線。
次に、この第1群から第4群の各地域の姿を示します。
第1群は、2023年度の国土交通省の調査において、最も健康寿命の高齢化が進んでいた処(75歳~76歳であった処)を、健康寿命ランキング第1群(黒緑色)としました。しかし、実際に(75歳~76歳)で第1群に入れていた処は、全国での健康寿命第1位の静岡県の75.82歳の1カ所だけでした。全国第2位の山梨県は74.82歳で、全国健康寿命ランキング第2群なのです。
健康寿命ランキング第2群は、74~75歳未満の地域で濃い緑色の斜線で色付けしてありました。ここでは全国第2位の山梨県、第3位の石川県は、それぞれ74.82歳、47.79歳であり、両県は、この第2群の先陣を切っていました。
この第2群に入っていたのは、以下の各地です。山梨県、石川県、北海道、秋田県、群馬県、栃木県、埼玉県、神奈川県、千葉県、長野県、岐阜県、福井県、滋賀県、三重県、島根県、山口県、佐賀県、大分県、宮崎県、鹿児島県、香川県の21カ所でした。
健康寿命ランキング第3群は、73~74歳未満の地域で緑色で色付けしてありました。
ここに入っていたのは、以下の各地です。青森県 山形県、宮城県、新潟県、福島県、茨城県、富山県、東京都、京都府、大阪府、三重県、和歌山県、兵庫県、鳥取県、岡山県、広島県、福岡県、長崎県、熊本県、愛媛県、徳島県、高知県の22カ所でした。
健康寿命ランキング第4群は、72~73歳未満の地域で淡い緑色の斜線で色付けしてありました。この群は、健康寿命の年齢が最も若いグループです。ここに入っていたのは岩手県、高知県と沖縄県の3カ所だけでした。
この調査で、今、全国各地で熱心に進められている「健康寿命」の策定プロジェクトの、進捗状況が良く判りました。このブロジェクトで、今、先陣を切っているのは、第1群を牽引している静岡県(全国健康寿命第1位)でした。そして、これに続いている、全国第2位の山梨県と第3位石川県は、この第2群の先頭を牽引していたのです。これは日本国の未来に向けた改革の過去には前例がない、きわめて新鮮なリ-ダー群でした。
[図表2]
図表2(注9)は、「健康寿命が延びた県」と題した図表でした。これは日本経済新聞の2025年2月1日の朝刊に掲載されていた図表です。これを以下に示します。
ここでは、最近「健康寿命が延びてきた県6カ所」を抽出し.この6地域の健康寿命の「延びた延伸値」を列記しています。ここでは厚生労働省の資料から抽出し、男性・女性の公表値を単純平均して比較したものです。
図表2を下記に示しします。
図表2「健康寿命が延びてきた県6カ所」
県 名 健康寿命の延伸値
1.滋賀県 2.98年
2.香川県 2.72
3.埼玉県 2.70
4.長崎県 2.69
5.広島県 2.64
5.大分県 2.64
ここでは、近年「健康寿命」の導入が延びてきた地域を抽出し.この地域の健康寿命の「延びた値」「延伸値」を列記して示していました。ここでは厚生労働省の資料からデ-タを抽出し、2022年時点の2010年比の男性・女性の公表値を単純平均して比較しています。
また、先に示した図表1でも、健康寿命のランキングを分析していました。ここでは健康寿命の進展度を、第1群~第4群と4群にわけていました。この群分けデータを図表2に、付記してみます。
図表2府図「健康寿命が延びた県、図表1の6県のランキングを付記」
県 名 健康寿命の延新値 図表1における健康ランキング
1.滋賀県 2.98年 健康寿命ランキング 第2群
2.香川県 2.72 健康寿命ランキング 第2群
3.埼玉県 2.70 健康寿命ランキング 第2群
4.長崎県 2.69 健康寿命ランキング 第2群
5.広島県 2.64 健康寿命ランキング 第2群
5.大分県 2.64 健康寿命ランキング 第2群
しかし、ここでの6県、滋賀県、香川県、埼玉県、長崎県、広島県、大分県は、図表1の群分けでは、全て、健康長寿ランキング、第2群 74~75歳の群に入っていました。そして、この健康長寿ランキング、第2群より上位の第1群に、入っているのは静岡県(75.82歳)1カ所だけなのです。ですから、結局、図表2にとりあげられた6県は、図表1のランキングでも、事実上、最上位の群に属していると言えるのです。
私は、この図表2の6県が、それぞれ、どのような努力をして、健康寿命をこれだけ伸ばしたのかを知りたいのですが、ここには、そのデータはなく判りません。どこかにそのデータが公表されていないか、是非さがしてみたいと思っています。
[図表3]
図表3(注10)は、「国の目標達成は容易ではない」と題する図表でした。図表の左欄には68、70、72、74、76、78歳と健康寿命が書かれていました。
また下欄には、2001年、2004、2007、2010、2013、2016、2019、2022、2040年目標の「年」が記載してあります。この図表右欄の「健康寿命」と下欄の「年度」を用いて、上欄「女性」、下欄「男性」の健康寿命の折れ線グラフを描いていました。
この上欄の「女性」の健康寿命の折れ線グラフでは、2001年の73歳付近のスタートから2022年の75.45歳に向って、右肩上がりの折れ線グラフが書かれていました。そして、ここから2040年目標年の77.79歳以上に向けて点線が書かれています。一方下欄の「男性」の健康寿命の折れ線グラフは、2001年の70歳弱のスタートから2022年の72.57歳に向けて、右肩上がりの折れ線グラフが書かれています。そして、ここから2040年目標年の75.14歳以上に向けて点線が書かれていました。その上で、その説明として国の目標達成は容易ではないと記されています。すなわち、2022年以降、2040年目標年に向っては、2001から2022年までに比べて、右肩あがりの、必要人数の量の上昇率が、急拡大しています。これは容易なことではないと言っているのです。
(注1) ビッグデータ(Big Data)とは、人間では全体を把握することが困難な巨大なデータ群のことである。明確な定義は存在しないが、一般的にはVolume(量)、Variety(多様性)、Velocity(速度あるいは頻度)の「3つのV」を高いレベルで備えていることが特徴とされている。また近年では、これにVeracity(正確性)とValue(価値)を加えた「5つのV」をビッグデータの特徴とするとも言われている。これらのビッグデータを、収集、蓄積、分析することで、さまざまな成果が生み出せる。活用範囲が幅広いため、あらゆる分野・業界でビッグデータの利活用が期待されている。
(注2)国民生活基礎調査は、保健、医療、福祉、年金、所得など、国民生活の基礎的な事柄について調査することを目的とした厚生労働省の調査である。1986年から毎年実施されており、3年ごとに大規模な調査を行い、中間の各年は簡易な調査を行っている。調査の結果は、厚生労働行政の企画や運営に必要な基礎資料として利用されている。
(注3)健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことを意味する。健康寿命は、ある健康状態で生活することが期待される平均期間を表す指標である。厚生労働省によると、2019年の日本人の健康寿命は、男性が72.68歳、女性が75.38歳である。
(注4) メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に脂質代謝異常、高血圧、高血糖のうち2つ以上が合併する病態である。この状態は、心臓病や脳卒中などの生活習慣病になりやすく、重篤な病気を予防するためには生活習慣の改善が必要である。メタボリックシンドロームの診断基準は、ウエスト周りが男性で85㎝以上、女性90㎝以上であることと、血圧・血糖・脂質の値の3つのうち2つ以上が基準値を超えることである。
(注5) eスポーツは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉である。コンピューターゲーム、 ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称である。
「フレイル」は「Frailty(虚弱)」を日本語に訳したもので、医療や介護という枠を超えた新たな概念として日本老年医学会が2014年に提唱した。
フレイルになる原因は大きく分けて3つある。1つ目は身体的要素である。「筋力の低下」「栄養素の不足」「運動器の障害」などが、これに該当する。2つ目の原因は精神・心理的要素である。「認知症」や「うつ」などの進行によって意欲が低下したり、人との交流が減少するとフレイルを悪化させる。3つ目は「独居」や「閉じこもり」などの社会的要素である。孤独になることで認知機能の低下や運動機会の減少を招く。そのような状態にならないように、適切な予防に常に努力しなければならない。
(注7)スマートメーターとは、電力使用量をカウントするメーターのことである。電気使用量をデジタルで計測する機能が搭載されている。30分ごとの電気の使用量を計測することができ、メーターの指示数を遠隔で取得できる。
(注8)日本経済新聞2025年2月1日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。
図表1①「健康寿命ランキング」(注)厚生労働省の資料から、男性・女性の公表値を単純平均して比較。
(注9)日本経済新聞2025年2月1日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。
図表2②「健康寿命が延びた県。(2022年、2010年比)。
(注10)日本経済新聞2025年2月1日の日経朝刊2面には、三つの図表が掲載されている。
図表3➂「国の目標達成は容易ではない。」
(1) 日本経済新聞、2025年2月1日 朝刊(2面)。
[付記]2025年2月17日:
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