top of page
honchikojisitenji

[日本再生][地域創生]「地方公務員の離職を防げ」2024年9月30日 福岡県 若手案をもとにDX推進 2022年度、5年前より46%増

 

続木 碧(つづき あお)  2024年9月(研究報告№125)                                                                                                   

「巻頭の一言」

 全国の都道府県が職員の離職の抑制に力を入れています。2022年度の自己都合の退職者は全国平均で2017年度より46%増えました。全国の都道府県は、働きやすい職場づくりを目指して、20~30歳代の新しい職場への定着を目指しています。この結果、福岡県では、若手職員による改善提案制度や長時間勤務の削減などを通じて、退職者の増加を抑えました。日本経済新聞、2024年9月7日、朝刊、2面記事(牛山知也)を参照・引用して記述。

 

[日本再生][地域創生] 「地方公務員の離職を防げ」 福岡県 若手案をもとにDX推進 2022年度、5年前より46%増

 

 

「日本再生」「地域創生」 「地方公務員の離職を防げ」 福岡県 若手案をもとにDX推進 2022年度、5年前より46%増

 

 

ここでは、日本経済新聞の2024年9月7日、朝刊2面の記事を紹介します。

 

 

[はじめに]

総務省の「地方公務員の退職状況等調査」から、定年退職などを除く自己都合の退職者を抽出しました。2022年度実績を、都道府県データの公表が始まった2017年度と比べると、全ての都道府県で退職者が増えました。特に県庁職員などの行政職や教育職の退職の増加が目立ちます。都道府県別では、鳥取と福岡が増加率を1割未満にとどめたのに対し、熊本は増加率が2.6倍、秋田も3.8倍となったのです。

 

(福岡県)

 福岡県は2017年に「県庁における、はたらき方改革の取組み方針」を制定しました。2021年度に始めた若手職員による提案制度には3年間で8600件の改善案が寄せられました。代表例がデジタルトランスフォーメーション(DX、注1)の活用です。

 ここでは、補助金の手書き申請のオンライン化、チャット(注2)の活用によるペーパーレス化、デジタル機器の整備といった現場ならではの提案が多いのです。担当者は「業務の効率化に加え、自らの意見が実現することで、若手のモチベーション(注3)の向上にもつながる」と言っています。

 長時間労働の是正では、執務室で退勤処理をした後も、サービス残業を続けるといったことがないように、県庁玄関で出退勤を管理するシステムを導入しました。職員への迷惑行為「カスタマーハラスメント(注4)」の防止に向けたマニュアルや掲示用ポスターも用意しました。

 ワークライフバランス(注5)にも気を配ります。連続休暇の取得促進はもちろん、今年1月からは育休を取得した職員の同僚にボーナスを加算する制度も始めました。1~3月だけでも育休をとった99人の同僚300人が、対象になりました。県人事課の水ノ江秀子係長は「若手を中心とした退職者増加への危機感は強いのです。DX(注1)活用などをさらに推し進めなければなりません」と話しています。

 

(鳥取県)

 退職の増加率が最も小さかった鳥取県も、働き方改革を進めています。2010年に「子育て王国とっとり」を掲げており、県庁の男性職員の育休休暇取得率は、2021年度まで3年連続で全国トップとなりました。2024年度からは、職員がより活躍しやすい組織に向けて、人材育成を強化する「県庁改革プラン」を進めています。

 

(秋田県)

 全国ワーストの秋田県は、教育職、警察職の退職増加が目立ちました。秋田県教育庁は「若手の中には経験不足などで悩みを抱えている人も多いのです。研修などによるコミュニケーション改善や負担軽減を進めていきたい」としています。

 

[この項のまとめ]

国家公務員は,過酷な労働環境が、「ブラック霞が関」とも皮肉られています。キャリア官僚と呼ばれる総合職のうち、採用後10年未満の退職者は、2022年度に177人と5年前の2倍以上に増えました。

地方公務員は、地元出身者も多く、地域に貢献できる安定した職場として人気が高かったのです。しかし、民間との人材争奪戦も激しくなり、新卒採用の応募者は減少傾向になっているのです。企業が、法知識や実務経験が豊富な公務員を、好待遇で中途採用するケースも増えているのです。

地方公務員の離職増は、住民生活に直結した行政サービスの低下や地域活力の減少につながります。早稲田大学の稲継裕昭教授は「地方公務員も地元に骨を埋める意識は薄れ、転職が当たり前になっています。転職を防ぐ取組みは、人材獲得力の向上にもつながります」と話しています。そして「若手の抜擢人事を可能にするなど、トップダウンで働きがいのある職場づくりを急がねばなりません」と、これを強く指摘しています。日本経済新聞、2024年9月7日、朝刊、2面記事(牛山知也)を参照・引用して記述。

 

 

[まとめ]

この研究報告の執筆で参照・引用した、日本経済新聞、2024年9月7日の朝刊、2面記事(牛山知)には、三つの図表が記載されていました。①職員の退職を抑えた自治体。(注)国の資料を基に作成。都道府県別の2022年の普通退職者(在職期間の通算を伴う退職等を除く)を2017年度と比較した増加率。②行政職の増加が目立つ。(注)▲マイナス。➂40歳未満の退職者が多い(2022年度)。日本経済新聞、2024年9月7日、朝刊、2面記事(牛山知也)を参照・引用して記述。

 

 

[図表1]

図表1(注6)について。新聞紙上に日本列島の地図が記載されていました。2022年度の自己都合の退職者は、2017年度に比べて46%増えました。各自治体は、この退職者の増加率の拡大防止に努力していますが、この努力の成果を、増加率、0~25%未満(第1群)から75%以上(第4群)の4段階に整理して、退職増加率の小さい順に、図表1として記載しています。

 

それは以下です。①2022年度を2017年度と比べて、自己都合退職の増加率が「0~25%」と最も小さかった地域、(第1群、黒緑色)。②退職者の増加率が2番目に少ない(25~50%未満)の地域。(第2群、濃い緑色の斜線)。➂退職者の増加率が3番目に少ない(50~75%未満)の地域。(第3群、濃い緑色)。④退職者の増加率が最も大きかった(75%以上)の地域。(第4群、淡い緑色)。

 

 

第1群は、自己都合の退職者の増加率が、0~25%と、最も小さい値に抑えられた地域です。この第1群に入れたのは、自己都合退職率の少なさで全国第1位の鳥取県、第2位の福岡県、第3位徳島県と、これに続く埼玉県、福井県、兵庫県、佐賀県(黒緑色で表示)でした。すなわち第1群の合計は7地点でした。首都圏からは埼玉県、関西圏からは兵庫県が入っていました。

 

第2群:第2群のメンバーは、以下の17地点です。青森県、岩手県、新潟県 富山県 石川県、茨城県、栃木県、東京都、神奈川県、静岡県、岐阜県、滋賀県、奈良県、大阪府、山口県、鹿児島県、香川県。

 

第2群には、北海道は入っていませんでした。九州と四国には、僅かに一カ所ずつです。でも日本列島の中核をなす本州では全土に、第2群の地点が、適切に分布しています。第1群の7カ所は、何といっても、このプロジェクトで、日本国を牽引する牽引者ですが、これを追う第2群の17カ所は、これに負けない重要なグループなのです。日本国の中心をなす本州は、この第2群が、しっかりと抑えています。

この第2群は、自己都合の退職者の増加が進む中で2022年度の自己都合対象者を2017年度に比べて25~50%未満の増加率(濃い緑の斜線)で抑えています。日本国の現状としては、まずまずの数値に抑えているのです。

 

第3群:第3群のメンバーは、以下の10地点です。北海道、宮城県、山形県、群馬県、長野県、三重県、岡山県、広島県、大分県、愛媛県。

 

第3群になると、2022年度の自己都合退職が、2017年度比で、50~75%増に達していました。私は、この数値を見た時、この人達は、すっかり立ち遅れてしまったなと思ったのです。でも良く見直してみますと、なかなか、粒のそろった面々が並んでいるのです。

日本列島の中核である本州では、東北・関東・中部・中国地方に、それぞれ頼りになりそうな地域が鎮座していて、九州は「大分」、四国は「愛媛」と、しっかりとした柱が立っています。第1~2群のリーダー達を支えて、この第3群が全国の活動に、厚みをつけてくれていると感じました。

 

第4群:第4群のメンバーは以下の13地点です。秋田県、福島県、千葉県、山梨県、愛知県、京都府、和歌山県、島根県、長崎県、宮崎県、熊本県、沖縄県、高知県。

 

第4群は、2022年度の自己都合退職者が、2017年度比75%以上の増加になってしまったグループです。私は、これを見た時、当初は、この人たちは、すっかり遅れをとってしまったなと思ったのです。でも、この13の地域を、一つ一つじっくりと見て考えを巡らしてみて、そんなことはないと、思い直しました。この人達が、難しい問題に挑戦し、見事に解決し、その問題解決の先導者になって行った姿が、私の脳裏に走馬灯のように次ぎ次ぎと思い浮んだのです。

立ち上がりはゆっくりでしたが、ここには、やり手の面々が並んでいるのです。このプロジェクトが本格的に動き出したのは、今年(2024年)に入ってからです。間もなくエンジンがかかって、勢いよく走り出すでしょう。国民みんなも背中を強く押して支援しましょう。

 

この図表を眺めていて、私は以下のことを痛感しました。このプロジェクトの経過を見ていて、最も貴重だと思ったのは、最重要グループ第1群の選出結果でした。これが大変に立派だったのです。

ここで第1群の先頭に立っている鳥取県は、人口減少の抑制と地域消滅の阻止に、早くから強力に取り組んできました。鳥取が際立った動きを始めたのは、今から14年前の2010年です。この重い歴史がありますから、活動が広く厚く、掛け声だけが先行しやすい、この種の活動の中で、しっかりと根を張った動きをしています。

次いで、福岡県は、最近、凄い勢いで、活動が具体化しました。県全体の動きも凄いのですが、県内の市町村の個別の動きが、更に凄いのです。また、県民一人一人が国を牽引する推進者になっているのです。日本は、戦後の高度成長を達成したあと、長期にわたり停滞してしまいましたが、今、みんなで立ち上がろうとしています。この状況の中で福岡モデルは、その中核モデルになるはずです。

 

そして第1群に入った7地区は、みんな新鮮なのです。埼玉、兵庫は、日本国を牽引してきた先導者の常連ですが、鳥取・福岡・徳島・福井・佐賀は、次世代の日本国を牽引する大リーダーとしては、まことに新鮮な存在なのです。第1群が、このように新鮮ですから、第2~4群に、私が頼りにしてきた期待の地方自治体が、ぞろぞろと残っていたのです。国を挙げて改革に挑む国として、日本国は素晴らしい体制を築きました。

 

 

[図表2]

図表2(注7)は「行政職の増加が目立つ」と題した図表でした。これを以下に記します。

 

図表2 「行政職の増加が目立つ」

                職種          退職者数         増減率

          全体         1万7894人          46.5%

                  一般行政                   3087      96.0

       医療職         966     ▲20.8

                 福祉職                  153       82.1

       消防職         241      97.5

                教育職                7557      76.3

                警察職                3206      17.5

         (注) ▲はマイナス。

 

近年、全国の都道府県職員の自己都合退職者が増えています。そこで、各都道府県は職員離職抑制に力を入れています。しかし、これは職種によってかなり違います。そこで、主な職種として、(1)一般行政職、(2)医療職、(3)福祉職、(4)消防職、(5)教育職、(6)警察職を取り上げて、2022年度の2017年度比の退職者数と増減率を一覧表にして示しました。これが図表2です。ここでは、医療職が退職者減であるのを除き、全職種が増加でした。

ここまでに取り上げた(1)~(6)の職種の人数の合計数は、1万2123人で、全体に占める比率は67.8%でした。そして、この中心である一般行政職の自己都合退職数は96.0 %なのです。教育職も75.3%でした。これが、現在の日本の苦しい現状です。

 

 

[図表3]

図表3(注8)は「40歳以上の退職が多い」と題する図表でした。調査の結果、40歳未満が75.3%と退職者が多く、60歳以上は1.6%と僅かでした。原データは、これを円グラフで示しています。

すなわち、自己都合の退職は、30歳未満、30~40歳未満の人が多く、40~50歳未満、50~60歳未満、60歳以上の高齢者の自己都合退職は少ないのです。

 

 

(注1)  デジタルトランスフォーメーション(digital transformation)は、デジタルテクノロジー(コンピュータ技術)を使用して、ビジネスプロセス文化顧客体験を新たに創造して、変わり続けるビジネスや市場の要求を満たす過程である。

 

(注2) チャット (Chat) とは、インターネットを含むコンピュータネットワーク上のデータ通信回線を利用したリアルタイムコミュニケーションのこと。Chatは英語での雑談のことであり、ネットワーク上のチャットも雑談同様に会話を楽しむための手段である。

 

 

 

(注5) ワーク・ライフ・バランス(work–life balance)とは、ひとりひとりの人が自分の時間を、仕事とそれ以外で、どのような割合で分けているか、どのようなバランスにしているか、ということである 。

 

(注6) 日本経済新聞2024年9月7日、日経朝刊に記載された図表1、①職員の退職を抑えた自治体。(注)国の資料を基に作成。都道府県別の2022年度の普通退職者(在職期間の通算を伴う退職等を除く)を2017年度と比較した増加率。

 

(注7) 日本経済新聞2024年9月7日、日経朝刊に記載された図表2、②行政職の増加が目立つ。(注)▲はマイナス。

 

(注8) 日本経済新聞2024年9月7日、日経朝刊に記載された図表3、③40歳未満の退職が多い。(2022年度)。

 

 

(1)日本経済新聞、2024年9月7日 朝刊(2面)。

[付記]2024年9月30日:.

閲覧数:1回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page