地域の創造に必要な需要
- honchikojisitenji
- 2024年2月12日
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昨年秋に、山形県白鷹町に伺いました。
白鷹町は森林資源と木材生産を地域の創造に活用しようとしている町です。
町役場の庁舎が入る白鷹町まちづくり複合施設です。木造の施設を地域で産出したスギを使って建てています。
庁舎内に併設された図書館です。柱や梁の木構造がしっかり表わされています。
この施設は、令和2年度木材利用優良施設等コンクールで、内閣総理大臣賞を受賞しています。
この町では、町の森林資源を活かすために、基盤となる木材の乾燥加工施設「おきたま木材乾燥センター」株式会社を作りました。昔は、どこにでも川の山からの出口のあたりに必ず製材工場があったものですが、戦時・戦後復興の伐り過ぎによって、伐って使うことのできる資源が長期間なくなってしまい、そのような製材工場もどんどんと廃業してしまいました。残った製材工場も設備投資を行なえなかったため、白鷹町のある置賜地域には木材乾燥施設がなかったのです。大規模な木造公共施設を建てるための木については、乾燥の度合いやたわみや強さの度合いを示すことができる木材であることが必要となります。そうでなければ安全な建物として設計できないからです。この乾燥施設の整備を起点に、特別養護老人ホームなど各種公共施設が町産スギ材を使って整備されています。
そして伐採された森林は、再び植林され育林されています。白鷹町には緑の循環システムが構築されているのです。
現在、白鷹町は、このような基盤整備の次の段階として、木材生産量の拡大のため森林の経営の集積に取り組んでいます。生産対象となる森林をまとめて、民間企業による計画的な経営のもとで、木材を安定的に生産できるようにしていこうとしています。無秩序な伐採で資源が費消されて森林が荒廃していくことがないように、そして、持続的に林業が行えるように、今、集積が始まっているところです。
しかし、木材生産量の拡大のためには、まず安定的な需要が必要です。需要を確実に拡大していけるかどうかがこの白鷹町の地域創造の取組の成否に関わるのです。まずは手を尽くして町外、域外の需要を捉え、安定した質の木材を安定して供給して使い手の信頼を得ていかなければなりません。
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