「日本再生][地域創生] 障害復興 徳島備え進む 2024年6月3日事前準備の進捗、全国一位 南海トラフに危機感 高台移転を議論
- honchikojisitenji
- 2024年6月4日
- 読了時間: 10分
続木 碧(つづき あお) 2024年6月(研究報告№111)
「巻頭の一言」
災害への日ごろの備えが重要なのは、一般家庭も自治体も変わらないのです。被災した場合に復興を円滑に進めるため、国は自治体に事前準備の徹底を求めています。全自治体の取組みを、庁内体制の整備など5項目に分けて調べており、2023年の進捗度は、南海トラフ地震が懸念される徳島県がトップでした。首都直下地震が想定される首都圏も進捗度は高く、災害への危機感の差が、対応のバラツキを生んでいます。日本経済新聞、2024年5月25日、朝刊、1面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生]障害復興 徳島備え進む 事前準備の進捗、全国一位 南海トラフに危機感 高台移転を議論
「日本再生」「地域創生」障害復興 徳島備え進む 事前準備の進捗、全国一位 南海トラフに危機感 高台移転を議論
ここでは、日本経済新聞の2024年5月25日朝刊1面の記事を紹介します。
[はじめに]
地震や津波、集中豪雨などの災害への対策は、建物の耐震化や防潮堤の整備といったハード面が注目されがちです。ただ、ハードだけで全てを防ぐのは難しく、避難経路やハザードマップ(注1)の整備・周知、復興に向けた訓練といったソフト面の準備も欠かせないのです。
国は自治体の準備に向けて「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン」を2018年に公表しました。2019年から毎年7月時点の全1788自治体の取組み状況を調べています。復興に向けた①体制②手順➂訓練④基礎データの把握・分析⑤目標と実施方法の策定の5項目が調査対象になっています。
今回は2023年の調査結果から「検討済み」を20点、「検討段階」が10点、未検討・未回答」は0点として進捗度を得点化しました。5項目すべてが「検討済み」の自治体は100点となります。
都道府県内の全自治体平均は、徳島県がトップで、東京都・静岡県が続いていました。
徳島県は全自治体が何らかの取組みを進めており、平均値は53.2でした。一方、全国の平均点は26.1に止まり、1項目も検討していない自治体が600もありました。
(徳島県・徳島県海陽町)
太平洋に面した徳島県海陽町は満点でした。2021年度に南海トラフを想定した事前復興計画を策定しました。災害廃棄物の仮置き場の必要面積や仮設住宅の必要戸数などを算出しました。関連部署を統合して庁内体制を整えたほか、職員が復興手続きを確認する訓練も実施しています。被災後に集落を移転する方法などを町民と話し合うワークショップ(注2)も開きました。
同町は高齢化が急速に進み、人口も6300人と5年間で10%減りました。「災害で住民が出ていくと本当に町が消滅しかねない」と、三浦茂喜町長の危機感は強いのです。同町長は「被災しても、スムーズに復興できるという未来を示すことが、人口流出を抑える」とみています。町内に住む43歳の女性は「どこまでも不安は残るのですが、子どもたちも訓練に参加するなど、気持ちに余裕ができるのです」と話しています。
徳島県は県の復興指針を策定したほか、計画策定経費の補助など市町村の取組みも支援します。後藤田正純知事は「高台移転の検討を含めて、しっかりと復興の事前準備を進めていく」と強調しています。
(静岡県富士市・和歌山県みなべ町)
同じく南海トラフ地震に備える静岡県内でも、富士市が満点でした。2016年に、いち早く5項目を包含する「事前都市復興計画」を作り、市内で津波や火災などを想定した復興まちづくり訓練も実施してきました。和歌山県でも、事前復興を策定済みの、みなべ町が満点でした。
(石川県)
2024年1月に能登半島地震に見舞われた石川県は、全国平均を上回る31点で、全国13位でした。県の担当者は「平時から被災時に必要な行動などを確認する重要性を再確認しました」と話しています。
(香川県)
一方、進捗度が四国内最下位の香川県は、「四国の他県と違って太平洋に面していない地理特性もあるのです。県内でも自治体の危機感にバラツキがあり、具体的な取り組みは検討途上です。」と担当者は述べています。
[この項のまとめ]
災害復興に詳しい京都大学防災研究所の牧紀男教授は「地震大国の日本では、予想外の差異もありうるのです。気候変動に伴って豪雨災害も増えており、全国どの地域でも、事前準備を怠ってはいけないのです。」と強調しています。日本経済新聞、2024年5月25日、朝刊、1面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2024年5月25日の日本経済新聞の朝刊1面には、三つの図表が記載されていました。①復興準備の平均進捗度(2023年7月)。(注)国土交通省の調査を基に「復興町づくりのための事前準備」の進捗度を自治体ごとに100点満点で算出した。都道府県と市町村を含めた全市自体の平均値。②進捗度100点満点は24自治体。➂復興準備は、訓練やデータ整備で遅れが目立つ。
[図表1]
図表1(注3)には、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「復興準備の平均進捗度(2023年7月)」と題した図表でした。ここでは、国土交通省の調査を基に「復興まちづくりのための事前準備」の進捗度を、自治体ごとに100点満点で算出しました。都道府県と市区町村を含めた全自治体の平均値を求めました。
その平均値の最大であった50点以上から最低であった20点未満までを5段階に分けて、日本列島の地図を色分けして示していました。
その色分けは以下です。①「復興まちづくりのための事前準備」の進捗度が、最も進んでいた処、50点以上(黒緑色)。②進捗度40~50点未満(濃い緑色の斜線)。➂進捗度30~40点未満(緑色)。④進捗度20~30点未満(淡い緑色の斜線)。⑤20点未満(淡い緑色)。
「復興まちづくりのための事前準備」の進捗度を自治体ごとに100点満点で算出し、道府県と市区町村を含めた全自治体の平均値で、最も点が高い処.50点以上のところ(第1群)は黒緑色に塗ってありました。
これに該当する地域は、第1位の徳島県、第2位の東京都の2所でした。ここが都道府県別と市区町村を含めた全自治体の平均値で、最も点が高い処です。
全自治体の平均値が次に高い地域第2群(40~50点未満)は、濃い緑色の斜線で示した処でした。ここでは3位静岡県が牽引者でした。これに愛知県、和歌山県、高知県が続いていました。この4カ所が第2群です。この「復興まちづくりのための事前準備」を牽引しているのは、この第1群と第2群の6カ所です。
次の第3群と第4群は、「復興まちづくりのための事前準備」の活動の中心グループです。第3群(30~40点未満)は、緑色に塗ってあったところでした。それは以下です。
宮城県、石川県、茨城県、埼玉県、神奈川県、奈良県、愛媛県で、7カ所でした。
この7カ所が、これから大いに伸びて、先行の2集団(第1、2群)を急追してほしいのです。
次の第4群(20~30点未満)は淡い緑色の斜線で記した地域で、日本全国に広く分布しています。これは淡い緑色の斜線で記してありました。それは以下です。岩手県、山形県、福島県、新潟県、栃木県、千葉県、山梨県、長野県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、福岡県、大分県、宮城県、熊本県の20カ所です。この4群は、数も最も多く、「復興まちづくりのための事前準備」活動の中核をなす集団です。
第5群は、「復興まちづくりのための事前準備活動」で、少し後れを取ったグルーブです。それは以下です。北海道、青森県、秋田県、群馬県、富山県、岐阜県、福井県、滋賀県、山口県、佐賀県、長崎県、鹿児島県、沖縄県、香川県の14カ所です。
この色付けした日本列島の地図を概観してみますと以下のことが分かりました。
国土交通省の調査を基に「復興まちづくりのための事前準備」の進捗度を自治体ごとに100点満点で算出しました。そして県と市区町村を含めた全自治体の平均値を求めました。その平均値の最大であった50点以上から最低であった20点未満までを5段階に分けて、日本列島の地図を色分けして示しました。
このうち第1~2群の6カ所は、この「復興まちづくりのための事前準備」の進捗度が特別に進展していました。第3群以下とはくっきりと差があり、この活動をどのように進めたら良いかが、すでに明確にわかっている地域です。
第3群と第4群は、この活動推進の中心をなす人々のグルーブで、この2つの群で、34道府県が参加しており、全都道府県の72.3%を占めています。この人達は、数から考えても、大きな影響力を持っているからです。
一方で私は、これからが大変だということも考えているのです。東京都を支える首都圏の栃木県・千葉県・山梨県と、関西圏の大阪府・京都府・兵庫県は日本国を支える重要地域です。これが「ビリ」直前の第4群に止まっているからです。このことは、この活動が本格化するのは、まだ、これからだと言うことを示しています。巨大都市で順調に発進しているのは東京都のみです。
でも日本は、今、この「復興まちづくりのための事前準備」を、全国をあげて推進しています。わが国の未来を考える上で、大きい希望が感じられます。日本経済新聞、2024年5月25日、朝刊、1面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
[図表2]
図表2(注4)は「進捗度100点満点は24自治体」と題した図表でした。これを以下に記述します。
図表2 「進捗度100点満点は24自治体」
進捗度満点の自治体 100点満点は24自治体。主な自治体――岩手県陸前高田市、東京都世田谷区、静岡県富士市、和歌山県みなべ町、徳島県海陽町。
進捗度別自治体数 0 200 400 600(カ所)
100点 ■100点獲得できた自治体24カ所
90 ■
80 ■■■(70カ所)
70 ■■■(70カ所)
60 ■■■■■
50 ■■■■■
40 ■■■■■■■■■■■■(300カ所)
30 ■■■■■■
20 ■■■■■■■■■■■■(300カ所)
10 ■■■
0 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(600カ所)
(注)この図表は2023年の調査結果から作成。
2019年から毎年7月時点の全1788自治体の取組み状況を調べています。復興に向けた①体制②手順➂訓練④基礎データの把握・分析⑤目標と実施方法の策定の5項目が調査対象になっています。
今回は2023年の調査結果から「検討済み」を20点、「検討段階」が10点、未検討・未回答」は0点として進捗度を得点化しました。5項目すべてが「検討済み」の自治体は100点となります。100点満点を取れた自治体は24カ所ありました。
でも、全体から見ると、この活動は、これからが大変なのです。まだ、ひとつもできていないところが、600カ所もあるのです。図表2の進捗度0点は600カ所です。始(開始)から終(終了)まで、やらねばならないことが全て残っている自治体が600カ所もあるのです。
進捗度40点および30点の自治体は、まだまだ、これからだというグルーブですが、これが、それぞれ300カ所あります。70点獲得できれば、もう一息ということですが、このグループは、まだ、70カ所位しかありません。
日本の未来にとって、極めて重要な改革が開始されていますが、見通しがたつまで、ここで大いに頑張らねばなりません。今は、本当に大事な時です。
日本経済新聞、2024年5月25日、朝刊、1面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
[図表3]図表3(注5)は、「復興準備は訓練やデータ整備で遅れが目立つ」と題した図表でした。この図表では、復興準備では、「訓練」や「データ整備」関連での準備が遅れることを書いています。以下に記します。
図表3 「復興準備は訓練やデータ整備で遅れが目立つ」
取組み 問われる事項 進捗度の全国平均( )内は満点
(1)体制 どの部署を主体に進めていくか 10.1点(20)
(2)手順 どの時期に対応が必要なのかの把握 7.9 (20)
(3)訓練 復興訓練の実施 2.0 (20)
(4)基礎データ 災害時に必要なデータの整備 2.9 (20)
(5)目標 目標と実施方針を定めているか 3.2 (20)
合計 26.1(100)
この図表3が示していることは明確です。どの部署を主体に進めていくかについては、
全国平均で、20点満点で10.1得点を獲得できています。これに比べて実際に復興訓練を実施したかについては、進捗度の全国平均は、まだ僅か2.0です。災害時に必要なデータの整備も遅れており、2.9です。ここで、遅れの目立つ項目を、国と地域が力を合わせ、国民みんなが支援して、重点的に強力に推進しなければなりません。
日本経済新聞、2024年5月25日、朝刊、1面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
(注1)ハザードマップは、特定の地域において自然災害のリスクを示す地図である。これは、洪水、地震、土砂災害、台風などの災害が発生する可能性や影響を評価し、住民や行政機関に対して適切な対策を講じるための情報を提供する。ハザードマップは、避難計画や建物の耐震性評価、土地利用計画などに活用される。
(注2)ワークショップとは、参加者が主体的におこなう体験型のイベントや講座を指す言葉である。英語のworkshopは本来「作業場」や「仕事場」を意味するが、日本においては参加者が主体となって実施する体験型のイベントや講座のことを指す。
(注3)日本経済新聞2024年5月25日朝刊1面に記載された図表1、①復興準備の平均進捗度(2023年7月)。
(注4)日本経済新聞2024年5月25日朝刊1面に記載された図表2、②進捗度100点満点は24自治体。
(注5)日本経済新聞2024年5月25日朝刊1面に記載された図表3、➂復興準備は訓練やデータ整備で遅れが目立つ。
(1)日本経済新聞、2024年5月25日 朝刊(1面)。
[付記]2024年6月3日:.
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