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「日本再生][地域創生] 大学発信5年で9割増 2024年7月1日 富山4倍 元経営者知事旗振り 起業の裾野、地方に広がる

  • honchikojisitenji
  • 2024年7月3日
  • 読了時間: 9分

 

続木 碧(つづき あお)  2024年7月(研究報告№115)

 

「巻頭の一言」

 大学の研究成果などを生かして起業する「大学発スタートアップ(注1)」が増えています。経済産業省の調査では、2023年度は4288社と5年前より9割増えました。学校数あたりの起業数は富山県が最も伸びました。民間出身の知事のトップダウンによる支援体制の強化などが奏功しており、これまでの大都市中心から全国へと、起業の裾野が広がっています。日本経済新聞、2024年6月22日、朝刊、2面記事(牛山知也)を参照・引用して記述。

 

 

[日本再生][地域創生] 大学発信5年で9割増 富山4倍 元経営者知事旗振り 起業の裾野、地方に広がる

 

「日本再生」「地域創生」大学発信5年で9割増 富山4倍 元経営者知事旗振り 起業の裾野、地方に広がる

 

 

ここでは、日本経済新聞の2024年6月22日朝刊2面の記事を紹介します。

 

 

[はじめに]

 経済産業省の「大学発ベンチャー実態等調査(注2)」から都道府県別のベンチャー企業を抽出しました。これを各都道府県の大学数(短大・高等専門学校を含む)で割り、2023年度と新型コロナウイルス禍前の2018年度とを比較しました。伸び率1位は4・0倍富山県で、奈良県が2・6倍、岐阜県が2.5倍で続きました。

 

 

[富山県]

 「起業したことでスピード感を持って製品化できた」と、2022年に富山大学発スタートアップ(注1)第1号に認定されたラボテクス(富山市)の仁井見英樹代表取締役は実感しています。同氏は同大学で教職員が起業できる制度が始まった2021年に創業しました。通常は数日かかる医薬品の無菌検査を1日で終える検査キットを2022年に製品化しました。同大医学部教授でもある仁井見氏は「社会に直接役立つ実用化研究を手掛けたい」という思いを抱いてきたのです。企業との共同研究にも取り組んできましたが、製品化には、多くの意思決定プロセスが必要でした。

 仁井見氏は大学から「お墨付き」を得たことで、起業の際に課題となる資金調達にもプラスに働くとみています。「大学の研究設備が使えるメリットも大きい」のです。富山県の支援対象にも選ばれ、経営の専門家らの指導も受けて、迅速な製品化にこぎ着けました。

 富山県は2021年度までは、大学発のスタートアップ数が最下位でした。2020年に経営者出身の新田八朗知事が就任しました。2022年に公表した県の成長戦略の柱にスタートアップ支援を位置付けました。2026年度までに新規株式公開1社、大学発スタートアッブ10社以上という目標を掲げました。

 富山大学でスタートアップ支援を担う学術研究・産額連携本部の大森清人教授は、「年間3~5件ほどを、継続的に事業化したい」と話しています。同氏は、少子化が急速に進むなか、将来的な学生確保に向けた、大学のアピールにもつながるとみています。「教員や学生の意識を変え、新事業に取り組む地元企業の期待にも応えたい」と言っています。

 

[奈良県]

 奈良県も奈良先端科学技術大学院大学発のスタートアップ(注1)が1.6倍の25社に増えました。2023年就任の山下真知事は2024年1月に支援体制の強化を表明しました。「研究経過をすぐにビジネスに結びつけたい」と意気込んでおり、大学の研究成果の事業化に向けた資金援助などに乗り出しています。

 

[この項のまとめ]

 トップダウンなどで、これまでの遅れを取り戻そうとしている富山県、奈良県の両県に対し、「先進している諸県」では地方銀行などによる支援の動きが広がっています。大学あたりの企業数が東京都に次いで2位の茨城県は、大学別で5位に入っています。

 地元の常陽銀行などは2019年に10億円規模の支援ファンド「つくばエクシードファンド」を立ち上げました。これまでに11社に投資し、スマートロック開発のフォトシンスが株式公開にこぎ着けました。2023年末には後継ファンドも立ち上げ、すでに3社に投資しています。

 米国などでは多くの大学発スタートアップがイノベーション(注3)を生み出し、産業の活性化にも貢献しています。日本では都市部を中心に拡大してきましたが、大学や自治体などの支援体制や地域産業とのつながりが、十分とは言えない地域も残っていたのです。野村総合研究所の本田和大シニアコンサルタントは、「無理に数を追うのではなく、起業後の成長をしっかり支援できる体制を整えていくべきだ」と話しています。日本経済新聞、2024年6月22日、朝刊、2面記事(牛山知也)を参照・引用して記述。

 

 

[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2024年6月22日、朝刊、2面記事(牛山知也)には三つの図表が記載されていました。それを引用します。以下です。①大学スタートアップの増減率。(注)国の資料を基に作成。2023年のスタートアップ企業数を大学数で割り、2018年と比較。②大学別のスタートアップ企業数。➂日本の企業数は増加しているが、米国には及ばない。

 

[図表1]

図表1(注5)には、新聞紙上に日本列島の地図が記載されていました。これは「大学発スタートアッブの増減率」と題した図表でした。これは、国の資料を基に作成したものです。2023年度のスタートアップ企業数を大学数(短大、高専を含む)で割り、2018年度と比較したものです。

ここでは「大学発スタートアッブの増減率」を4段階に分けて、日本列島の地図を色分けして示していました。その色分けは以下です。①「大学発スタートアッブの増減率」2.5倍以上(黒色)。②「大学発スタートアッブの増減率」2倍~2.5倍未満(黒色の斜線)。➂「大学発スタートアッブの増減率」1.5倍~2倍未満(濃い緑色)。④「大学発スタートアッブの増減率」1.5倍未満(淡い緑色)。

 

「大学発スタートアッブの増加率」が最も大きかった処。増加率2.5倍以上の処(黒色、第1群)は、第1位の富山県と第2位の奈良県の2カ所でした。この2県が「大学発スタートアッブの増加率」が最も大きかったところです。

「大学発スタートアッブの増加率」が、次に大きかった処第2群(増加率2倍~2.5倍未満)は、黒色の斜線で示した処でした。これは第3位の岐阜県が筆頭で、これに次の8地点が続いていました。青森県、秋田県、東京都、愛知県、大阪府、兵庫県、佐賀県、長崎県。すなわち、この8都府県が第2群でした。

 

次の第3群は、「大学発スタートアッブの増加率」が、次に大きかった処(増加率1.5倍~2.0倍未満)です。これは、この増加率競争で、中堅どころを占めるグルーブです。濃い緑色に塗ってありました。そのメンバーは以下です。北海道、岩手県、山形県、栃木県、群馬県、千葉県、神奈川県、静岡県、京都府、大分県、沖縄県、愛媛県、香川県、徳島県、高知県。すなわち、この15道府県が第3群を占めていました。

最後の第4群は、この増加率競争で遅れをとってしまったグループ(淡い緑色)です。そのメンバーは以下です。宮城県、福島県、新潟県、茨城県、埼玉県、山梨県、長野県、石川県、福井県、滋賀県、三重県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、宮崎県、熊本県、鹿児島県。このグループは21県あり、この4群の内、数では最も多かったのです。最近、様々な産業改革の競争レースの報告を書いていますが、この「大学発スタートアッブの増加率」の競争が、立ち遅れ組が最も多かったのです。これは、まだこれからが大変な産業改革だと思われます。日本経済新聞、2024年6月22日、朝刊、2面記事(牛山知也)を参照・引用して記述。

 

[図表2]

図表2(注6)は「大学別スタートアップ企業数」と題した図表でした。これを以下に記述します。

 

 

                図表2「大学別スタートアップ企業数」

 

順位    大学名      スタートアップ企業数

1    東京大学        420

2    慶応義塾大学      291

3    京都大学        273

4    大阪大学        252

5    筑波大学        236

6    東北大学        199

7    東京理科大学      191

8    早稲田大学       145

9    名古屋大学       143

10   立命館大学       135

 

  この図表は、2023年度の各都道府県市区町村のスタートアップ起業数を大学数で割り、各大学別の生成スタートアップ数の多い順に、並べたものです。この図表では、その第1位から第10位までの10校を列記してあります。

このスタートアップ企業の生成でトップを占めたのは、東京大学(注4)の420で、「ダントツ」の首位でした。次いで慶応義塾大学、京都大学、大阪大学、筑波大学が続いており、この5校が、この活動の牽引者であると思われます。

 

 

[図表3]

図表3(注7)は「日本の企業数は増加しているが米国には及ばない」と題した図表でした。この図表の左欄には、2000~7000の活動スタートアッブの「企業数」が記してありました。この図表には、上段と下段に二つの図表が書いてありました。上下段とも折れ線グラフです。また、下欄には2018年から2022年までの「年」が記してありました。

 

この二段仕立ての下段には、2000~4000の「スタートアップ企業数」と、2018年~2022年の「年」を用いて、日本におけるスタートアップ活動企業数の推移を示す折れ線グラフが書いてありました。このグラフによれば、日本のスタートアップ企業数は、2018年の2000件強から、2022年の4000件弱への増加を示す直線で示されていました。これば綺麗な一直線の上昇線でした。

 

 一方、上段には米国での推移が示されていました。米国では、2018年の6000件強から2022年の7000件弱にかけて、多少の凹凸のある平行線で記されていました。

 この二本の線を比べると、明らかに米国の方が企業数は多いのです。一方、2018年から2022年の間の5年間の伸び率は、日本の方が大きいのです。日本は、この5年間、顕著な右肩上がりの上昇を示していましたが、米国は微増の平行線でした。

 

 この二本の「活動企業数」の推移を示す「データ線」を並べて書いてみますと、日米両国のスタートアッブ活動企業の推移を、明瞭に知ることができます。日本経済新聞、2024年6月22日、朝刊、2面記事(牛山知也)を参照・引用して記述。

 

 

(注1)スタートアップとは、革新的なビジネスモデルによって、社会に変革をもたらし、短期間で急成長ができる企業のことである。スタートアップには、オリジナリティ(独創性)があり、既存の市場に挑戦し、新市場の開拓を目指している。

 

(注2)大学発ベンチャー実態調査:経済産業省は、「令和5年度大学発ベンチャー実態等調査」の結果(速報)を取りまとめた。2023年10月時点での大学発ベンチャー数は4288社と、2022年度に確認された3782社から506社増加し、企業数及び増加数ともに過去最高を記録した。この年は、私立大学のベンチャー数の躍進が見られた。

 

 

(注4)東京大学のスタートアップ企業数とその分野:2021年度までに把握できた東京大学関連ベンチャーの累積創出数は487件である。東京大学関連ベンチャーの業種はICTなどが1/3を占めており、残りの1/3はデバイス、素材、エネギーなどである。                  

 

(注5)日本経済新聞2024年6月22日朝刊2面に記載された図表1、①大学発スタートアップの増減率。

 

(注6)日本経済新聞2024年6月22日朝刊2面に記載された図表2、②大学別のスタートアップの企業数。

 

(注7)日本経済新聞2024年6月22日朝刊2面に記載された図表3、➂日本の企業数は増加しているが米国には及ばない。

 

 

(1)日本経済新聞、2024年6月22日 朝刊(2面)。

[付記]2024年7月1日:.

 
 
 

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