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「日本再生][地域創生] 国が新区分、全国7700社 2024年7月15日 「中堅」製造業、成長の核に 福井県の眼鏡会社 補助使い新会社視野

続木 碧(つづき あお)  2024年7月(研究報告№117)

 

「巻頭の一言」

 国が新たに法的に位置づけた「中堅企業(注4)」が地域経済を牽引しています。全国の中堅企業は、7749社と新型コロナウイルス禍で10年前より1割減りましたが、眼鏡関連などの製造業が存在感を持つ福井県は増えました。国は中堅企業を重点的に支援することで、地域での賃上げや産業活性化を進めます。日本経済新聞、2024年7月6日、朝刊、1面記事(桜井佑介、西堀卓司)を参照・引用して記述。

 

 

[日本再生][地域創生] 国が新区分、全国7700社 「中堅」製造業、成長の核に 福井県の眼鏡会社 補助使い新会社視野

  

「日本再生」「地域創生」国が新区分、全国7700社 「中堅」製造業、成長の核に 福井県の眼鏡会社 補助使い新会社視野

 

 

ここでは、日本経済新聞の2024年7月6日朝刊1面の記事を紹介します。

 

 

[はじめに]

 中小企業基本法(注1)では、製造業の場合で「資本金3億円以下または従業員300人以下」を「中小企業(注2)」と位置づけ、国や自治体が補助金などで支援しています。でも、これまでは、中小企業に当てはまらない規模の企業は支援が受けにくいといった課題がありました。

 この中にあって経済産業省は、産業競争力強化法(注3)を、2024年5月に改正しました。従業員2000人以下で中小ではない企業を「中堅企業(注4)」と定義したのです。そのうえで、①設備投資支援②賃上げ実施時の税優遇➂M&A(合併・買収)への税優遇――といった支援策を用意しました。

 帝国データバンクと連携して、同社の147万社の企業データベースから全国の中堅企業(注4)をリストアップしました。リストアップしてみますと、5月時点で7749社と、中堅企業は10年前より867社減っていました。これは「コロナ禍で資本を取り崩したり、優遇処置のある「中小企業」を選んだりした企業が増えたからです。中堅企業数は全体の0.5%しかないのですが、でも総売り上げでは16%を占めています。

 

[福井県]

 都道府県別では、福井県が中堅企業が34社で、10年前比13%増と、全国で唯一の中堅企業数増加組でした。中堅企業が10年前と比べて増加したのは、福井県ただ1県だけで、あとは、全国全てで減少なのですが、この減少組のなかで、注目を集めているのが東京都です。日本を代表する大都市東京都は、中堅企業の減少率最少のグループに止まっており、頑張っているのです。もう一息で、中堅企業増加組に参入できるポジションにいるのです。

 私は、この改革運動に関して、東京都の今後の動きに大きな期待を寄せています。東京都に続いて岐阜県、富山県、神奈川県、島根県が頑張っています。経済産業省は、2021年の経済センサス(注5)を基に、全国で9000社が中堅企業に該当するとしています。

 「まさにこうした支援策がほしかった」眼鏡メーカー、シャルマン(福井県鯖江市)の堀江耕地社長は、中堅企業の新区分を大歓迎しています。鯖江市は国内の眼鏡フレーム生産で9割以上を占めているのですが、中小メーカーが多いのです。この中で年商200億円のシャルマンは、地域で中心となる存在なのです。堀川社長は「レザー接合など技術には自信があるのですが、消費者にアピールするための「ブランド力の向上」が不可欠であると考えています」と話しています。

 将来的には、製造現場を見学できる新工場の整備を視野にいれており、中堅企業向けの支援策活用も検討しています。鯖江市の佐々木勝久市長も「自治体は中小企業支援で手いっぱいです。国が中堅支援に力をいれれば、産地活性化への相乗効果も大きいと思います」と大いに期待しています。

 東証スタンダード上場(注6)で「中堅企業に該当する」プラスチック製品製造のフクビ化学工業(福井市)も、設備投資補助に期待してきます。2027年度までに総額105億円の投資を計画しており、成長分野強化のための新工場建設も計画しています。多比良幸一常務執行役員は「大規模な投資を心配する株主もいるのですが、国の支援があれば理解を得やすくなるでしょう」と話しています。

 

[岐阜県]

 福井県に次ぐ、期待されるポジションにいる岐阜県も、製造業が存続感を発揮しています。リスパック(岐阜市)はコンビニの弁当などに使うプラスチックの容器で国内シェア3位で、従業員は1000人を超えています。今春に植物由来のバイオ素材を使う専用工場も稼働させるなど環境対応にも、とても熱心です。

 大松栄太郎社長は「大企業のような資本力はないのですが、中小向けの補助金などは受けづらかったです」と話していました。新区分を歓迎すると同時に「現状の支援メニューは中小向けに比べて新味が乏しい。中堅ならでの施策も検討していただきたい」注文もつけています。

 

[この項のまとめ]

 経済産業省産業創造課は「中堅企業は地方経済に与える影響力が大きい。今後も支援メニューを充実させて成長を後押しします。」と強調しています。「自治体も中堅企業の人材確保や資金調達、ブランディング(注7)などを積極的に支援してほしい」と呼びかけています。日本経済新聞、2024年7月6日、朝刊、1面記事(桜井佑介、西堀卓司)を参照・引用して記述。

 

[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2024年7月6日、朝刊、1面記事(桜井佑介、西堀卓司)には一つの図表が記載されていました。それを引用します。以下です。図表1、①中堅企業の増減率ランキング。

 

[図表1]

図表1(注8)には、新聞紙上に日本列島の地図が記載されていました。これは中堅企業が自動増加しているところを別格として、まず出して、次ぎに減少段階に止まる地域では、もう少しで自動増加が出来る処と、まだ程遠い処を、色分けして示してありました。

 

日本列島の地図を色分けは以下です。ここでは中堅企業の増加をすでに達成した福井県は、まず第1群としました。次に、中堅企業の増加はまだ達成できず、減少が続いている地域では、まもなく目標達成できそうな処と当面困難な処を4段階に分けました。

 

この各段階の色分けは以下です。①「中堅企業の増加が実現した第1群(福井県の事例、黒色)。②「中堅企業の減少が続く企業の中で、一番達成目標に近い第2群、(10%未満の減少、明るい空色)。➂この次に目標に近い第3群(10~20%未満減少、明るい空色の斜線)。④当面困難な第4群(20~30%未満減少、黒青色)。⑤もっとも遅れている第5群(30%以上の減少、黒青色の斜線)。

 

ここでは、第1群は、計画に沿って中堅企業を増加できたグループですが、これが出来たのは、福井県の1カ所でした。

 

次の第2群は次に実現しそうなグループで、(10%未満の減少、明るい空色)でした。このグルーブは、全国第2位の東京都、3位の岐阜県とこれに続く、富山県、島根県でした。第2群は、この1都3県の4カ所です。

 

 その次の第3群(10~20%未満減少、明るい空色の斜線)は、この研究プロジェクトにおいては、かなり大事なグループです。ここで、第1群、第2群は、この「中堅企業を増やして行くプロジェクト」で、今、大いに頼りになるグループですが、なにしろ、2群の合計でも5都県しかないのです。数があまりにも少ないのです。

数が多い第3群がたよりになる人達にならないと、このプロジェクトの円滑な運営は難しいのです。そのことから第3群は重要です。

第3群のメンバーは以下です。北海道、宮城県、埼玉県、千葉県、長野県、静岡県、愛知県、石川県、滋賀県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、広島県、山口県、福岡県、宮城県。すなわち、第3群は、17道府県の17カ所でした。この第1~3群(22カ所)が、日本の社会・経済・産業の成長の未来にとって、最も重要なグループです。

 

これ以下の第4群、第5群は、立ち遅れたクループです。他のプロジェクトと比べて立ち遅れた人々の数が多いのです。これか一番苦しいところです。

 

第4群(20~30%未満、黒青色)は、以下のメンバーです。新潟県、群馬県、栃木県、和歌山県、鳥取県、香川県、徳島県、愛媛県。すなわち、この8県です。この諸県は、これまで述べてきた様々な産業改革で、孤軍奮戦頑張ってきた人達です。これから頑張って第3群と一体となって、プロジェクトを推進してくれるものと、私は期待しています。

 

第5群(30%以上減少、黒青色)は、今は、最もおくれているメンバーです。この第5群は、青森県、秋田県、岩手県、山形県、福島県、茨城県、山梨県、奈良県、岡山県、高知県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県の15県です。他の諸改革では、先導者を経験した人たちです。この人達が、この位置にいるのは残念ですが。反面、この先は楽しみだとも言えるのです。

 

この色塗りした図表1を眺めていますと、この第1~5群は、地域が偏在しているように見えます。第4~5群を黒っぽい色に染めたため、東北かち新潟、北関東、九州・四国が黒く染まって重々しい空気を醸しだしています。その間にある「明るい空色」の地域と対象的です。今、中堅企業を増加させようと、きびしい努力している、地図で黒く見える地域(東北・北陸と九州・四国)を、国をあげて、みんなで支援して、背を押していかねばなりません。

 

(おわりに)

 大企業と中小企業の中間領域にいる人達を「中堅企業」と定義して、ここに国の集中支援を「ぶつける」、この国家戦略は、まことに有望です。でも、これは2カ月前の5月に始まったばかりの対策ですから、まだ、人材や支援金の投入など、具体的な動きが凄く遅いのです。今、思い切った加速が必要です。「1日でも早く始める」「1刻でも早く、新プロジェクトを動かす、人を配置し、金銭の投入」をしなければなりません。

私は、この「急速投入資源の原資として」、「東京都」に注目しています。東京都は、この画期的な「中堅企業プロジェクト」で、今、絶好のポジションにいるのです。東京都は、今、日本全国の「中堅企業増加活動」の最優秀(福井県)に次ぐ第2位にいるのです。

本来、早い動きを示すのが難しい巨大組織である「東京」はその中で、「中堅企業の自動生成」が、もう一歩で始まる場所として、重要資源が集まり始めているのです。今、ここで「一瞬でも早く」大改革のスタートの「号砲」のピストルを鳴らさねばなりません。今、岸田首相と小池東京都知事のお二人の「リスクを恐れぬ決断と行動」が、重たい鍵となっているのです。どうか、明日の朝にでも、重たい扉を、強い力で押して開いてください。日本経済新聞、2024年7月6日、朝刊、1面記事(桜井佑介、西堀卓司)を参照・引用して記述。

 

 

(注1)     中小企業基本法とは,中小企業に関する施策について、その基本理念、基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、中小企業に関する施策を総合的に推進し、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上を図ることを目的として制定された、日本の法律である。

 

(注2)     中小企業とは、以下の①と②のいずれかに該当する者。①資本金の額または出資の総額1億円以下の会社。②常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人。

 

(注3)     産業競争力強化法は、2013年に成立し、2014年に施行された日本法律である。

この法律は、日本経済を再興すべく、日本の産業を中長期にわたる低迷の状態から脱却させ、持続的発展の軌道に乗せるために、経済社会情勢の変化に対応して、産業競争力を強化することが重要であることに鑑み、産業競争力の強化に関し、基本理念、国及び事業者の責務を定めるとともに、規制の特例措置の整備等及びこれを通じた規制改革を推進し、併せて、産業活動における新陳代謝の活性化を促進するための措置、株式会社産業革新投資機構に特定事業活動の支援等に関する業務を行わせるための措置及び中小企業の活力の再生を円滑化するための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。この法律において「産業競争力」とは、産業活動において、高い生産性及び十分な需要を確保することにより、高い収益性を実現する能力をいう。

 

(注4)     中堅企業とは:経済産業省は、産業競争力強化法を2024年5月に改正した。単体で従業員2000人以下で中小企業でない企業を「中堅企業」と定義した。

 

2024年2月14日の日本経済新聞朝刊1面に「中堅企業を税優遇」という記事があった。経済産業省は従業員2000人以下の企業を「中堅企業」と新たに位置づける。これには、どのような狙いがあるのか。

経産省は中堅企業を地域経済のけん引役としてみている。対象企業はおよそ9000社である。海外に軸足を置いている大企業に比べると、地域に根ざした企業が多いのが特徴である。大手アウトドアメーカーのスノーピークや、「ガリガリ君」で知られる赤城乳業などが中堅企業に該当する。

法改正案では中堅企業向けの税優遇枠を新設する。積極的に賃上げをした企業の法人税負担を軽くする賃上げ促進税制について、大企業は7%以上の賃上げが税優遇の対象となるが、中堅企業なら4%以上の賃上げで対象とする。賃上げのほか、積極的に設備投資やM&A(合併・買収)を行う企業にも税優遇枠を設ける。

現在は従業員300人以下または資本金3億円以下の企業が中小企業に区分され、これ以外は大企業に区分されていた。このため中小企業向けのゼロゼロ融資などの支援を受けられ なかった。中堅企業は政策の空白地帯となっていたのである。経産省は賃上げなどの動きを広げ、地域経済の底上げを狙っている。

 

(注5)     経済センサスとは: 統計法で基幹統計として定められている「経済構造統計」を得るための調査名称である。【英】Census=国勢調査

 

 

(注7)     ブランディングとは 独自のブランドを作り、これに対する信頼や共感を通じて自社の価値向上や他社との差別化などを目指すマーケティング戦略の一つである。

 

(注8)    日本経済新聞2024年7月6日朝刊1面に記載された図表1、①中堅企業の増減率ランキング。

 

 

(1)日本経済新聞、2024年7月6日 朝刊(2面)。

[付記]2024年7月15日:.

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