「日本再生][地域創生] バイト時給、地方も上昇 2024年8月19日 岐阜県・郡山市44%増 介護職けん引 2019年比で2~3倍も
- honchikojisitenji
- 2024年8月19日
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続木 碧(つづき あお) 2024年8月(研究報告№120)
「巻頭の一言」
アルバイト・パートの時給が地方都市でも急速に上昇しています。少子高齢化による人材不足で、介護や飲食関連の事業者など、都市部以上のペースで待遇改善に動くケースも目立ちます。需給ギャップに苦しむ民間の人材確保を後押ししようと、岐阜県郡上市は、介護職に就く際の補助など、独自の支援策を広げています。日本経済新聞、2024年7月27日、朝刊、2面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
[日本再生][地域創生]バイト時給、地方も上昇 岐阜県・郡山市44%増 介護職けん引 2019年比で2~3倍も
「日本再生」「地域創生」バイト時給、地方も上昇 岐阜県・郡山市44%増 介護職けん引 2019年比で2~3倍も
ここでは、日本経済新聞の2024年7月27日、朝刊2面の記事を紹介します。
[はじめに]
ここでは人材サービスのフロッグ社(東京・千代田、注1)が集めた、求人サイトのデータを活用しました。2024年1月~6月の第1週に募集があったアルバイト時給の中央値を、市区町村別に集計しました。全国平均は1120円で、新型コロナウイルス禍前の2019年同期より120円(12%)上昇しました。最低賃金も、ほぼ同期間で130円上がりました。
都道府県別では東京都が10.9%上昇の1220円で最高でした。地方でも、1500を超える自治体は多く、5年前の2~3倍になったケースもあるのです。
(岐阜県・郡上市)
半年間の求人が1000件以上の自治体に限ると、岐阜県郡上市が2019年比44%上昇の1300円と、最も上昇率が高かったのです。まるたか訪問介護(同市)は、2023年の事業開始時から、時給1300円で介護職のパートを募集しました。田代果穂代表は、岐阜県の950円の最低賃金では、1人も集まらないと話しています。交通費補助や資格手当、家族手当も用意していますが、必要人数を集め切れておらず、一段の充実も検討しているのですと言っています。
郡上市には、2050年には高齢者が人口の半数を超すという予測もあります。全国に展開する介護事業者が参入するなど、担い手の争奪戦もおきており、時給1700円の求人も現れました。在宅介護を20年以上手掛けるノバネットワークス(同市)の田中栄子代表は、特に若い人の採用は難しく、夜間の訪問介護は取りやめましたと話しています。
介護の人材不足は給与の充実だけでは補えない面もあるのです。郡上市は主婦層などの住民が、介護の初任者研修を受ける際に、最大10万円の助成をする制度を始めました。元気な高齢者がチームを組んで介護事業所などで働く仕組みも検討します。山川弘保市長は「介護インフラが無ければ住民が離れていく」と危機感を募らせています。
(神奈川県松田町)
上昇率2位の神奈川県松田町の時給は1430円と横浜市の1200円を上回りました。教育関連の募集が全体を引き上げています。「家庭教師のトライ」を運営するトライグループは、時給1980円の求人を出しています。大学の少ない郊外の住宅地などでは条件を良くするケースもあるのですと言っています。
松田町は「町内に大学生が住めば働く人も増える」として、町内に住む学生に対して、通学にかかる交通費や家賃の補助を開始しています。平塚市にある東海大学とは連携協定を締結しました。
(北海道紋別市)
流氷観光などが人気の北海道紋別市は、時給が33%上がりました。訪日客でにぎわう繁華街の飲食店などの募集が多いのです。1~2日と短期の働き手を求める事業所も増えており、短期バイトを募集するマッチングサイト(注2)の開設なども視野に入れていると言っています。
[この項のまとめ]
賃金動向に詳しい第一生命保険研究所の星野卓也主席エコノミストは「地域による人手不足の深刻度の違いが時給に反映されている」と話しています。今後の時給に影響する2024年度の最低賃金の目安も、全国平均で過去最大となる50円の引き上げが決まりました。星野氏は「さらなる賃金上昇に応えられるように生産性を高める必要がある」としています。日本経済新聞、2024年7月27日、朝刊、2面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2024年7月27日、朝刊、2面記事(桜井祐介)には三つの図表が記載されていました。それを引用します。これを以下の①、②,➂に記します。①バイト時給の上昇率ランキング。(注)2024年上半期アルバイト・パート求人で、募集時給の中央値を2019年同期と比較した上昇率。フロッグ社(注1)の調べ。②地方圏にも上昇率の高い市町は多い。(注)ここでは半年間の求人1000件以上に絞った。➂最低賃金の引き上げでバイト時給は上昇。(注)最低賃金は全国加重平均。出所は厚生労働省。
[図表1]
図表1(注3)には、新聞紙上に日本列島の地図が記載されていました。これはバイト時給の上昇を目指している都道府県について、その上昇率が最大となった処(20%以上))から、上昇率が最も小さかった処(10%未満)へと4段階に分けて色分けして示してありました。
この4段階は、以下です。①バイト時給の上昇率が最大(20%以上)となった地域(第1群、黒色)。②同、上昇率が2番目に大きい値(15%以上~20%未満)に上昇させることができた地域(第2群、黒茶色の斜線)。➂同、上昇率を3番目に大きい値(10%以上~15%未満)に拡大できた地域(第3群、濃いピンク色)。④同、上昇率を大きくすることが、最もできなかった地域(第4群,淡いピンク色の斜線)。
まず、第1群は、バイトの時給の上昇率を最も早く、20%以上に上げることが出来た地域です。この1群に入れたのは、全国1位の神奈川県(黒色で表示)の1カ所だけでした。
続く第2群としては、全国2位の大分県、鹿児島県、沖縄県の3県が先頭に立っていました。この先頭3県に続いて、青森県、京都府、長崎県、鹿児島県の4カ所が続いて頑張っていました。第2群は、この合計7地域(黒茶色の斜線)が中心でした。
これまでは第1群と第2群が牽引者でした。これまで、この人達が最も頼りになる人達だったのですが、なにしろ、この1~2群を合計しても、たった8カ所しかないのです。数が少なすぎるのです。
ですから数が多い第3群(上昇率10%以上15%未満、濃いピンク色)が頼りになる人達にならないと、このプロジェクトの円滑な運営は凄く難しいのです。そのことから,この第3群はとても重要なのです。
第3群のメンバーは以下です。北海道、秋田県、岩手県、宮城県、新潟県、石川県、富山県、長野県、群馬県、栃木県、茨城県、福井県、滋賀県、岐阜県、埼玉県、山梨県、東京都、千葉県、大阪府、奈良県、三重県、和歌山県、愛知県、静岡県、山口県、島根県、鳥取県、広島県、岡山県、兵庫県、佐賀県、福岡県、熊本県、愛媛県、香川県、徳島県、高知県。
この第3群は、37カ所でした。この第1~3群(45カ所)が、日本の社会・経済・産業の成長の未来にとって、とても重要な活動である「バイトの時給を迅速に増加させるプロジェクト」にとって、凄く大切なのです。
最後の第4群(上昇率10%以下、上昇率が最少に止まったグループ、淡いピンク色の斜線)は、明らかに立ち遅れたグループです。でも、この第4群に入っていたのは山形県と福島県の2県だけでした。他の多くのプロジェトで大活躍の山形県が、ここにいるのは意外ですが、なにか特別の理由があったのでしょう。遅れていることを自覚して頑張り始めれば、すぐに追いついてくれると思います。
このプロジェクトでは、明らかに立ち遅れたグループは2カ所だけであり、遅れた人が少ないことは、ブロジェクト運営管理は、全体としてみれば、うまくいっていたのだと思います。でも、反面、第3群の37カ所の中に、落ちこぼれになりそうな人達が多発する恐れもあります。私は、これを凄く懸念しています。
[図表2]
図表2(注4)は「地方圏にも上昇率の高い市町は多い」と題した図表でした。これを以下に記述します。
順位 市町。( )内は都道府県 上昇率(%) 時給金額(円)
1 郡上市(岐阜県) 44.4 1300
2 松田町(神奈川県) 43.0 1430
3 紋別市(北海道) 33.3 1200
4 杵築市(大分県) 31.3 1950
5 高浜町(福井市) 31.0 1100
6 田尻町(大阪府) 30.0 1300
7 幕別町(北海道) 27.8 1150
8 倶知安町(北海道) 26.3 1200
9 砂川市(北海道) 25.3 1190
10 南丹市(京都府) 25.0 1150
(注)半年間の求人1000件以上に絞った。
この図表は、バイト時給の上昇率の高い地方圏の市町を選び出し、上昇率の高い順に10位まで列記してあります。ここでは、半年間の求人1000件以上に絞っています。
なお、図表1で調べた、バイト時給の上昇率の都道府県別ランキングと地方圏の上昇率の高い市町は、必ずしも合致しませんでした。一方、地方圏の北海道が、このベスト10中に4カ所も占めているのに、私は注目しました。このあたりは、もう少し、詳しく調べてみたいと考えています。
[図表3]
図表3(注5)は「最低賃金の引き上げでバイト時給は上昇」と題した図表でした。この図表の左欄には、850円~1150円の「バイト時給ならびに最低賃金」の「円」が列記されており、下欄には2019年から2024年までの「年」が記してありました。
この「バイト時給・最低賃金」の「円」と「年」を用いて、2019年から2024年の「バイト時給・最低賃金」の実績の、折れ線グラフが書いてありました。2019年から2024年にかけての「バイト時給・最低賃金」は、右肩上がりで上昇する折れ線グラフとしての記載でした。これは、厚生労働省の資料からの作成です。
折れ線グラフは上段に「バイト時給を黒線」で、下段に「最低賃金を赤線」で記してありました。
上段の「バイト時給」については、左欄の1000円~1150円と下欄の2019年~2024年を用いて「バイト時給」の実績の折れ線グラフが記してありました。この「バイト時給」は2019年から2021年までは1000円の横這いで、2021年の1000円から2024年の1125円へは一直線に上昇していました。
下段の「最低賃金」については、左欄の850円~1000円と、下欄は同じ2019年~2024年を用いて「最低賃金」の折れ線グラフが記してありました。この「最低賃金」は2019年から2020年にかけては875円から900円に上昇し、2021年にかけては横這いで進み、2021年の900円から2024年の1000円までは、一直線に上昇していました。なお、「最低賃金」は、厚生労働省の資料を用い、全国加重平均で算出しています。日本経済新聞、2024年7月27日、朝刊、2面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
(注1)フロッグ社(人材サービス):株式会社フロッグ (HRog Co.,Ltd.)。所在地。東京都千代田区神田須田町1-18 アーバンスクエア神田ビル7階。
設立2021年1月5日。資本金1000万円。代表取締役メディア統括 菊池 健生。
事業内容、求人ビッグデータ事業。
(注2)マッチングサイトとは、企業や消費者などの第三者であるユーザー同士をつなぐプラットフォームを指す。例えば、Amazonは、商品を販売したい企業とその商品を購入したい消費者をつなぎ、メルカリは、不用品を出品したい消費者とその商品を購入したい消費者をつなぐマッチングサイトである。
(注3) 日本経済新聞2024年7月27日朝刊2面に記載された図表1、①バイト時給の上昇率ランキング。(注)2024年上半期のアルバイト、バート求人で、募集時給の中央値を2019年同期と比較した上昇率。フロッグ調べ。
(注4) 日本経済新聞2024年7月27日朝刊2面に記載された図表2、②地方圏にも上昇率の高い都市は多い。(半年間の求人1000件以上に絞った)
(注5) 日本経済新聞2024年7月27日朝刊2面に記載された図表3、➂最低賃金の引き上げでバイト時給は上昇。(最低賃金は全国加重平均。出所は厚生労働省。)
(1)日本経済新聞、2024年7月20日 朝刊(2面)。
[付記]2024年8月12日:.
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