「日本再生]「地域創生」2040年 人口推計超え3割 2024年2月5日 千葉県流山市9万人増 育児支援実る 2013年時点と比較、市町村で明暗
- honchikojisitenji
- 2024年2月5日
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続木 碧(つづき あお) 2024年2月(研究報告№098)
「巻頭の一言」
日本の総人口の1億人割れが現実味を帯びるなか、国立社会保障・人口問題研究所(社人研、注1)が、2023年に公表した地域別の将来人口推計では、3割の市区町村が、10年前の推計値を上回りました。出産・育児支援や企業誘致などで実績を上げる自治体が、予想を覆す健闘を見せています。一方、東北地方などでは人口減が推計値を超えて加速するケースが目立ちます。自治体間のせめぎあいがはげしさを増してきています。
日本経済新聞2023年1月27日、朝刊、2面記事(瀬口蔵弘、勝莉菜乃)を参照・引用して記述。
「日本再生]「地域創生」2040年 人口推計超え3割 千葉県流山市9万人増 育児支援実る 2013年時点と比較、市町村で明暗
「日本再生]「地域創生」2040年 人口推計超え3割 千葉県流山市9万人増 育児支援実る 2013年時点と比較、市町村で明暗
ここでは日本経済新聞の2024年1月20日1面の記事を紹介します。
[はじめに]
社人研(注1)は、国勢調査による人口を基に、出生や死亡などの変動要因を加えた将来推計人口を5年ごとに算出しています。2023年度公表の2040年時点の日本全体の推計人口は、1億1280万人と2020年の実績と比べると、663市区町村、30都道府県が上振れしました。人口流入が続く東京都が17.9%増えるなど首都圏の自治体の推計値超えが目立ちます。
[千葉県・流山市]
上振れ幅が2位の千葉県(11.2%増)では、6割の市町村で推計人口が上回りました。中でも流山市は、2040年の人口が、23万6000人と9万人(62.9%)も増えています。2005年のつくばエクスプレス開業で、住宅や商業施設の開発が進んだことが大きいのです。
流山市は、「母になるなら、流れ山市。」というキャッチコピーを掲げるなど、首都圏に住む若い子育て世帯の転入を促してきました。子どもの成長に伴う住み替えの希望などに応える相談窓口も開設しました。駅を利用する共働き世帯などの負担を減らそうと「駅前送迎保育ステーション」を設けて、保育園までバスで送り迎えしています。
全国的に低下傾向がある合計特殊出生率(注2)も、2022年に1.50と全国平均の1.26を上回りました。人口は2020年に20万人を超えました。米国で都市計画の仕事をしていた井崎義治市長は、まちづくりのポイントを「緑ある快適な住環境や教育体制」と強調しています。今年は小学校を2校新設するなど、人口増を見据えた基盤整備を進めています。
[宮城県大衡村]
仙台市近郊の大衡村も50.3%増えています。トヨタ自動車グループが2010年ごろから生産投資を拡大しているのです。村は増えた税収を生かして、子育て支援を拡充してきました。18歳までの医療費のほか、入園費や通園費、給食費や保育料も無料にしました。子育て世帯の受け皿となる住宅団地も造成しました。2023年の15歳未満の人口は2010年比で6%増えました。今後は台湾の半導体大手も進出予定です。
[山梨県早川町]
日本一人口が少ない町である山梨県早川町は、41.4%増えました。人口減対策として2012年度から給食費や教材費を含めて義務教育費を完全無料としました。2023年には16歳になる年度始めから36カ月間、月5000円を給付しています。
[島根県]
島根県も県内の7割以上の自治体が上振れしました。讃岐諸島の知夫村、海士町、西ノ島町では島外から生徒を招く「島留学」が押し上げています。人口減で危ぶまれた高校の存続に向けて「島まるごと学校」として2008年に開始しました。現在は入学希望者が定員の2倍に達しています。
2020年からは就労型お試し移住制度として、1年間の「大人の島留学」と3カ月間の「島体験」も始めました。2023年は150人が訪れています。海士町の担当者は、「島に残ることを前提にしていない」と述べていますが、現在、2割の人が島に残っていると言われています。
[この項のまとめ]
社人研(注1)の推計では、2070年の日本の人口は、現在の7割の8700万人まで減ると言われています。京都大学の広井良典教授は「若い世代の地方への関心は以前よりも高いのです。自治体が教育や雇用などを切磋琢磨しながら充実させて、地域に人が分散すれば、多様なアイディアが生れて、社会全体の活力も高まっていくと思います。」と話しています。
日本経済新聞2023年1月20日、朝刊、2面記事(瀬口蔵弘、勝莉菜乃)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2024年1月20日の日本経済新聞の朝刊2面の記事には、三つの図表が記載されていました。①2040年推計人口の変化(2013年推計と2023年推計を比較)。(出所)国立社会保障・人口問題研究所(注1)「日本の地域別将来推計人口」。②2040年人口推計の増減率(2013年時と2023年時を比較)。(注)人数は100人未満切り捨て。震災の影響で、福島県の市町村は比較できない。▲は減少。➂2070年には人口9000万人割れ。4割は高齢者になる。
[図表1]
図表1(注3)は、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「2040年推計人口の変化(2013年推計と2023年推計を比較)」と題した図表でした。
ここでは都道府県のデータを「2013年時と2023年時を比較」して集計していました。
そして「各都道府県」の2040年人口の推計値の「2013年時と2023年時を比較」した増減率を、①10%以上の増加。②5%以上10%未満の増加。➂0%以上5%未満の増加。④減少の4段階にわけて、日本列島の地図上に色分けして示していました。そして、増加率の高い処から減少へ向けて、その増加率の高い順に「黒茶色、濃い茶色の斜線、茶色、青色(減少)に塗り分けて示してありました。
ここで増加率が最も大きい地域は、「10%以上の増加」の地域で、黒茶色に塗ってありました。このグループは1位東京都、2位千葉県、3位埼玉県の3地域でした。
増加率が、次に大きかった地域は、濃い茶色の斜線で示してあった処で、その増加率は「5%以上10%未満の増加」の地域でした。これは神奈川県、大阪府、福岡県、島根県の4カ所でした。このグループも増加率最大のグループに続き、日本の大都市が続いています。島根県だけが特例のようです。
次は増加率が最も小さいグループ「0%以上5%未満の増加」のグループです。それは以下の各地です。すなわち、北海道、宮城県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、富山県、石川県、福井県、京都府、兵庫県、鳥取県、岡山県、広島県、香川県、佐賀県、熊本県、沖縄県の21カ所が、このグループです。このグループは、東北を除く本州の大部分と北海道で、多くを占めています。
このあとに残ったのが,2040年の減少地域でした。東北地方の大部分と四国と九州の過半、それに、本州の一部に散在していました。日本経済新聞2023年1月20日、朝刊、2面記事(瀬口蔵弘、勝莉菜乃)を参照・引用して記述。
[図表2]
図表2(注4)は「2040年の推計人口の増減率(2013年時と2023年時を比較)」と題した図表でした。これを以下に記します。
図表2 「2040年推計人口の増減率(2013年時と2023年時を比較)」
市区町村 2023年推計(人) 増減率
上位 東京都千代田区 7万7900人 66.7%
千葉県流山市 23万6500 66.2
福岡県福津市 7万2500 62.6
東京都台東区 23万9400 52.3
茨城県つくばみらい市 5万5100 51.4
宮城県大衡村 5800 50.5
下位 奈良県曽爾村 600 ▲33.2
北海道鹿部町 2300 ▲35.2
長野県平谷村 200 ▲51.3
熊本県球磨村 900 ▲52.6
(注)人数は100人未満切り捨て。震災の影響で、福島県の市町村は比較できない。
▲は減少。
この図表2は、2013年と2023年のデータを比較して、これを基にして、2040年の推計人口を計算し、その増加率または減少率を示したものです。増加率が最も大きかったのは東京都千代田区で、次いで千葉県流山市、福岡県福津市が続いていました。この図表では6位の宮崎県大衡村までを紹介していますが、みんな増加率50%以上を達成しています。
人口の増加競争では、やはり人口の大きい都市が有利なようです。しかし、その中で宮城県大衡村は、5800人の小さな村で50%を超える人口増を達成しました。
ここでは、トヨタ自動車グルーブが2010年ごろから、生産投資を拡大してくれていました。これが大きかったのですが、このチャンスを村の振興に生かした村民の方々が素晴らしかったのです。
村は、この増えた税収を生かして、子育て支援を拡充しました。18歳までの医療費のほか、入園費や通園費、給食費や保育料も全て無料にしました。子育て世帯の受け皿となる住宅団地も造成しました。この結果2023年には、15歳未満の人口が2010年比で6%も増えたのです。今、台湾の半導体大手が進出を進めています。
このほかにも、このような努力で人口増を達成したところが、今、急速に増えています。そのような事例を丁寧に調査して、広く各地の同じような立場にいる人々に教え、支援していかねばなりません。日本は、今、すごく重大な時期を迎えているのです。
[図表3]
図表3(注5)は「2070年には人口9000万人割れ。4割は高齢者になる」と題した図表でした。この図表には、上段と下段に二つの図表が書いてありました。上段は折れ線グラフで下段は棒グラフです。上段は「2022年から2070年にかけての高齢化率の推計値」の推移を示す折れ線グラフでした。そのグラフのために右側縦欄には「高齢化率(%)」の(25~40)の数値が記してありました。また、下欄には「2022年から2070年まで」の(年)が記してありました。この縦横軸を用いて「2070年にかけての高齢化率の推移の推計値」を示す折れ線グラフが記されていました。この高齢化率(%)の推移の推計値では、2022年に3割だった高齢化率は2070年には4割にまで増大します。なお、2030年から2050年にかけて、高齢化率の推計値は上昇しています。そのため、高齢化率の推計値の折れ線グラフは、右肩あがりで、つぶれたS字型をなしていました。
また下段は、「2070年までの総人口の推計値の推移」を示した棒グラフでした。そのグラフのための左側縦欄には「0~1.2億人」と総人口が記されていました。また下欄は、上段と共通で「2022年~2070年」の(年)でした。この縦横を用いて、総人口の推計値の推移の棒グラフが書かれていました。この棒グラフは、2022年から2070年にかけて、総人口の実績と推計値が、一貫して減少する姿がオレンジ色の棒グラフで書かれています。なお、この人口減少の推計値は、2030年から減少量が拡大します。そのため2022年に1億2000万人いた総人口は、2070年には9000万人にまで減少するのです。ここでは日本の未来について、きわめて深刻な姿が予測されています。
日本経済新聞2023年1月20日、朝刊、2面記事(瀬口蔵弘、勝莉菜乃)を参照・引用して記述。
(注1)国立社会保障・人口問題研究所(National Institute of Population and Social Security Research:IPSS)は、厚生労働省の施設等機関である。人口研究・社会保障研究はもとより、人口・経済・社会保障の相互関連についての調査研究を通じて、福祉国家に関する研究と行政を橋渡しし、国民の福祉の向上に寄与することを目的としている。
(注2)合計特殊出生率(Total fertility rate、略称:TFR)とは:人口統計上の指標で、 15~49歳までの既婚・未婚を問わない全女性の年齢別出生率を合計したもので、女性人口の年齢構成の違いを除いた「その年の出生率」を意味する。年次比較、国際比較、地域比較に用いられている。一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に産むとしたときの子供の人数に相当する。この指標によって、異なる時代、異なる集団間の出生による人口の自然増減を比較・評価することができる。
(注3)日本経済新聞2024年1月20日の朝刊2面に掲載された図表1、①2040年人口推計の増減率(2013年時と2023年時を比較)。(出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」。
(注4)日本経済新聞2024年1月20日の朝刊2面に掲載された図表2、②2040年人口推計の増減率(2013年時と2023年時を比較)。(注)人数は100人未満切り捨て。震災の影響で、福島県の市町村は比較できない。▲は減少。
(注5)日本経済新聞2024年1月20日の朝刊2面に掲載された図表3、➂2070年には人口9000万人割れ。4割は高齢者になる。
(1)日本経済新聞、2024年1月20日(1面)。
[付記]2024年2月5日:
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