「日本再生]「地域創生」観光回復 地方に潤い 2023年11月13日 富士山や熱海 訪日客戻る 宿泊や飲食 業況最高
- honchikojisitenji
- 2023年11月24日
- 読了時間: 7分
続木 碧(つづき あお) 2023年11月(研究報告№088)
「巻頭の一言」
全国の観光地を支える中小企業の業況が新型コロナウイルス禍の影響を脱し、最高水準にあります。中小企業基盤整備機構の景況調査から、観光に関わりの深い宿泊・飲食業に絞って分析したところ、業況が「良い」との回答が4~6月に初めて2割を超え、7~9月も維持しました。山梨県など7道県では3割台でした。
日本経済新聞2023年10月21日、朝刊、2面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
「地域創生」観光回復 地方に潤い 富士山や熱海 訪日客戻る 宿泊や飲食 業況最高
「地域創生」観光回復 地方に潤い 富士山や熱海 訪日客戻る 宿泊や飲食 業況最高
ここでは日本経済新聞の2023年10月21日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
中小機構の中小企業景況調査は、全国1万8000社に四半期ごとに、調査を実施しています。このうち宿泊・飲食業1900社の結果を抽出しました。調査結果は資本金5000万円以下か常用の従業員100人以下の事業者です。これは全国の大手とは異なります。地域ならではの飲食やもてなしの担い手について、経営状況を読み取ることができます。
業況の良い割合は、4~6月に23.0%、7~9月に21.4%と、数値を遡れる1994年以降で最も高いのです。業況が「良い」から「悪い」の回答割合を差し引いた「業況DI(注1)」は、7~9月でマイナス4.4となお水面下ですが、こちらも浮上しています。
日銀の企業短期経済観測調査(短観)によりますと、資本金10億以上の宿泊・飲食大手も、「業況が良い」が9月に49.0%と最高で、「好況観」が広がっています。
[山梨県]
都道府県別で、地域ならではの飲食やもてなしの経営状態が「良い割合」が、2023年7~9月で最も高かったのは、山梨県で35.3%でした。静岡県、長崎県、新潟県、北海道などでも、3割を超えていました。これは国内での人流回復に加え、1年前の2022年10月に水際対策が緩和されてから、「インバウンドツーリズム、注2)」が急回復していることが景況回復につながっているのです。
富士急行によりますと、「富士山に一番近い鉄道」として山梨県内を走る富士急行線の主な駅では、2023年4~9月の乗降客が、過去最多だった2019年同期を上回りました。河口湖駅(富士河口湖町)などは、10月上旬も欧米などからの観光客で賑わっていました。
客室数が40の河口湖ホテル(富士河口湖町)は、「空き室があればすぐに埋まる状況で、過去最高の業績でした。欧米などの個人客が増え、宿泊単価も上がったのです」と天野隆支配人は言っています。富士吉田市の下吉田駅近くの「本町通り」は、商店街の先に富士山がそびえる風景で知られ、うどん店などの飲食店は「どこも混んでいる」のです。
山梨県はコロナ禍の打撃が大きかった宿泊施設と飲食店について、感染症対策の認証制度を2020年に、いち早く導入し始めていました。これで「安心のブランド」が根付いたのです。
[静岡県]
静岡県内の「インバウンドツーリズム、注2)」を含む宿泊者数は、前年を2割上回る勢いなのです。熱海市でも一時はコロナ前の半分に落ち込んだ宿泊客が、急速に戻ってきました。市はコロナ禍中でも、台湾の旅行博への出展などのPRを絶やさず仕込み続けてきました。これが今、花開いたのです。
JR熱海駅前のすし店「礒丸平和道り店」では、外国人客が3割を占め、稲本知恵店長は「過去で一番多い」と明かしています。
[長崎県]
長崎県は、西九州新幹線が寄与しています。2022年9月の開業から1年間の利用客は242万人で、4年前の同期間の在来線特急を、大幅に上回りました。県は全国旅行支援を「ながさきで心呼吸の旅」として、夏休み中を除き、9月末まで展開しました。旅行代金を1泊5000円割り引くなど、集客を後押ししたのです。
[この項のまとめ]
業況の良い企業の割合は、都道府県で最大4倍も差があるのです。信金中央金庫地域・中小企業研究所の品田雄志主任研究員は、「インバウンドツーリズム(注2)の旅行先が広がり、観光関連の中小企業の業況は、しばらくは堅調でしょう」と観測していますが、「人手不足で営業を短縮する飲食店や客室を一部開けないホテルもあります。従業員の待遇改善やIT(情報技術)投資などが先行きの明暗を分けると思います」と、このことを明確に指摘されています。
日本経済新聞2023年10月21日、朝刊、2面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年10月21日の日本経済新聞の朝刊2面の記事には、三つの図表が記載されていました。①7道県は3割の企業で業況が「良い」
(注)2023年7~9月に中小飲食・宿泊業で業況が「良い」企業の割合。中小企業基盤整備機構「中小企業業況調査」から再集計。②地域差は最大4倍に及ぶ。➂業況の「良い」割合は急上昇。
[図表1]
図表1(注3)は、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、2023年7~9月に中小飲食店、宿泊業での業況が「良い」企業の割合を「黒茶・黒茶の斜線、濃い茶、淡い茶の斜線、淡い茶」で塗り分けて示してありました。これによりますと、同時点で中小飲食・宿泊業で「業況」が最も良い地域は「業況が良い企業の数が30%以上の地域」で、これは黒茶色に塗ってありました。これが実現できていた地域は、1位山梨県、2位静岡県、3位長崎県、以下北海道、山形県、新潟県、沖縄県の合計7道県でした。
2番目に「業況」の良い企業が多い地域は、「良好企業が25~30%の地域」で、黒茶色の斜線で記してありました。これが実現されていた地域は、福島県、茨城県、千葉県、富山県、長野県、島根県、広島県、高知県、熊本県の9県でした。
結局、2023年7~9月にかけて、「業況が良い」と報告した企業が25%以上であった地域は、全国で合計16カ所でした。
一方、業況が良い企業が最も少なかった地域は、「業況が良い企業」が15%以下の地域です。この地域は淡い茶色に染め抜かれていました。これは群馬県、埼玉県、愛知県、福井県、兵庫県、鳥取県、岡山県、大阪府、和歌山県、香川県、徳島県、福岡県、大分県、鹿児島県の1府13県でした。
日本経済新聞2023年10月21日、朝刊、2面記事(桜井裕介)を参照・引用して記述。
[図表2]
図表2(注3)は「地域差は最大4倍に及ぶ」と題した図表でした。これを以下に記します。
図表2 地域差は最大4倍に及ぶ
自治体名 業況「良い」
1 山梨県 35.3%
2 静岡県 33.8
3 長崎県 32.8
4 新潟県 30.7
5 北海道 30.3
5 山形県 30.3
全国平均 21.4
44 岡山県 10.0
45 福井県 9.7
46 大阪府 8.6
47 埼玉県 8.1
この図表には、2023年の7~9月の中小飲食・宿泊業で業況の良かった自治体のベスト5とワースト4が記してありました。
この図表2に記してあるベスト5を、新聞に着色して示してある地図(図表1)で、一瞥してみますと、これは全国に広く分布しています。この各地の景況判断で「業況が良い」と判断された地域が、全国各地に広く分布していることは、日本の未来にとって、とても好ましいことです。これからの日本は、国をあげ、産業・企業の総力を上げ、国民みんなで一致協力して、この活動を強く推進して行かねばなりません。これが日本の未来を、明るい姿に導いてくれるものと、私は信じています。
[図表3]
図表3(注4)は、「業況の「良い」割合は急上昇」と題した図表でした。この図表の左側縦欄には、業況の「良い」割合(%)を示す「0~25%の数値」が記してありました。また、下欄には1994年から2023年までの「年」が記してありました。この縦横軸を用いて、「各年の業況の良い企業の占める割合(%)」を示す棒グラフが記されていました。この棒グラフを見ますと1996年から、2013年にかけては、「良い」と判断された企業の割合は、おおよそ、5~10%の間で上下していました。
これが、2014年から2016年にかけて15%までに、一時急上昇し、これが、2022年にかけて2~3%に急下落しました。
しかし、これが今、一転して2023年の23%へ向けて急上昇しているのです。これは凄く、嬉しい状況です。この上昇が今後も続くのかどうか、今は重大な局面なのです。みんなで頑張って、成長の持続を実現させましょう。
日本経済新聞2023年10月21日、朝刊、2面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
(注1)DI(Diffusion Index):景況感や業況判断の方向感を測るための指標である。内閣府が毎月発表する「景気動向指数」と、日銀が四半期に一回発表する「全国企業短期経済観測調査(短観)」で発表されるDIへの注目度は高く、景気の将来予測などにも用いられる。
(注2)インパウンド:コンピューターネットワークや通信分野における「外から中へ」の意。「ツーリズム」:観光旅行、周遊、観光事業、旅行業務。インバウンドツーリデム:外から中への観光旅行、外国人の訪日旅行、訪日旅行客。
(注3)日本経済新聞2023年10月21日の朝刊2面に掲載された図表1、①2023年7~9月に中小飲食業・宿泊業の業況が「良い」割合を日本列島の地図上に図示。(注)2023年7~9月において、中小飲食・宿泊業で業況が「良い」企業の割合。中小企業基盤整備機構「中小企業業況調査」から再集計。
(注4)日本経済新聞2023年10月21日の朝刊2面に掲載された図表2、②地域差は最大4倍に及ぶ。
(注5)日本経済新聞2023年10月21日の朝刊2面に掲載された図表3、➂業況の「良い」割合は急上昇。
(1)日本経済新聞、2023年10月21日(2面)。
[付記]2023年11月13日:
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