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「日本再生]「地域創生」登録文化材 10年で1.5倍 2023年12月25日 歴史的建物 稼ぐ拠点に 明治家屋 甲州ワイン発信

  • honchikojisitenji
  • 2023年12月26日
  • 読了時間: 7分

 

続木 碧(つづき あお2023年12月(研究報告№094)


「巻頭の一言」

人口減と高齢化で消失の危機にある歴史的建造物を活用する取組みが活発になっています。国の有形文化財に登録された建造物はこの10年間に1.5倍に拡大しました。「異分野」であるワインやアートと組み合わせて、埋もれていた価値を再構築し、地域の観光資源に生れ変わらせています。日本経済新聞2023年12月9日、朝刊、1面記事(下田恵太、山崎哲哉、上林由宇太)を参照・引用して記述。

 

「日本再生]「地域創生」登録文化材 10年で1.5倍 歴史的建物 稼ぐ拠点に 明治家屋 甲州ワイン発信

 

「日本再生]「地域創生」登録文化材 10年で1.5倍 歴史的建物 稼ぐ拠点に 明治家屋 甲州ワイン発信

 

ここでは日本経済新聞の2023年12月9日1面の記事を紹介します。

 

[はじめに] 

文化財の登録制度は、歴史的に価値がある建造物を、幅広く保護する目的で、1996年に始まりました。従来、価値が高い文化財は、国宝や重要文化財に「指定」され、国の手厚い保護の対象になってきました。

要件が厳格で改修などが制限される指定制度に比べて、「登録」では維持管理の補助は手薄ですが、所有者に対する規制は緩やかです。内部の改修なども比較的に自由にできます。登録されれば固定資産税や相続税が減免される利点があります。

文化庁によりますと、登録有形文化財は、11月1日時点で1万3761件と、2013年4月から4600件増えました。国学院大学の西村幸夫教授(都市計画)は「登録のメリットが浸透してきた」と増加の背景を分析しています。

 

[文化財の登録制度]

文化財の登録制度は、歴史的に価値のある建造物を幅広く保護する目的で1996年に始まりました。従来、価値が特に高い文化財は国宝や重要文化財に「指定」され、国の手厚い保護の対象になってきました。

要件が厳格で改修などが制限される指定制度に比べて、「登録」では維持管理の補助は手薄ですが、所有者に対する規制は緩やかです。内部の改修なども比較的自由にできます。登録されれば固定資産税や相続税が減免される利点があります。

文化庁によりますと登録有形文化財は、2023年11月1日時点で全国に1万3761件と、2013年4月から4600件増えました。国学院大学の西村幸夫教授(都市計画)は「登録のメリットが浸透してきた」と増加の背景を分析しています。

 

[愛媛県大洲市]

歴史的価値はあっても、所有者が保全を諦めた建物が地域には点在します。そこで登録制度を活用し保護するだけでなく、新たな価値を付加する活用例が増えているのです。

城下町の趣が残る愛媛県大洲市の「旧村上家住宅」。豪商だった建物は適切な管理がされず荒廃していましたが、古民家の維持管理を担うKITA(同市)が、所有者から借り受けるなどして修復し、ホテルとして再生したのです。

同住宅は4棟が2023年8月に有形文化財に登録され、今では、ここを目的地にするインバウンド(注1、訪日観光客)が後を絶たないのです。KITAの井上陽祐社長は「国が認めた文化財に泊まれるという魅力を生かせる」と指摘しています。同市の担当者は「稼ぐ拠点にすることが建物保全の最善策だと、所有者に理解してもらえた」と話しています。

 

[大阪府堺市]

 登録件数が全国最多の大阪府では、住民が主体となった保全・活用が広がっています。鉄砲生産が盛んだった堺市は、鉄砲鍛冶屋敷の面影を残す建物が今も多く残ります。これを活用しようと、地元住民らで構成する「街並み再生協議会」が、2014年に市の支援で結成されました。

 同協議会はあんどんの点灯など江戸時代の街の風景を体験するイベントや勉強会を定期的に開催しています。これは文化財の保全に対する住民の理解を深め、登録を促して行く取組みです。同市は「価値のある建物を単独ではなく地域全体で活用する機運を作る」と説明しています。

 

[山梨県甲州市勝沼町]

古くから地域に根付く産業と有形文化財が融合し、新たなにぎわいを生む例もあります。山梨県甲州市勝沼町は、ワイン醸造が盛んな地域です。

店舗などが和風建築である醸造所が4社あり、2019年までに全社建造物が有形文化財に登録されました。

そのひとつ「くらむほんワイン」の旧主屋は明治期に建てられた日本家屋で、以前は養蚕農家が暮らしていました。現在はワインの販売や試飲スペースを設けたほか、奥の座敷ではミニコンサートやワインセミナーを開催しています。甲州ワインの人気もあって、週末は多くの観光客でにぎわっています。

 

[長野県松本市]

長野県松本市では、古い建物をアートの展示空間にする「マツモト建築芸術祭」を、2022年から開催しています。今年は4件の登録有形文化財を含む19カ所が会場となり23日間で8万人以上が来場しました。過去最高益となったカフェもあるほど地域の経済波及効果は大きかったのです。

同イベントの総合ディレクター、おおうちおさむ氏は「アーティストを目当てに来た人にも歴史のある建築に興味を持ってもらえる」と相乗効果を実感しています。日本経済新聞2023年12月9日、朝刊、1面記事(下田恵太、山崎哲哉、上林由宇太)を参照・引用して記述。

 

[まとめ]

 この研究報告の執筆で参照引用した2023年12月2日の日本経済新聞の朝刊1面の記事には、二つの図表が記載されていました。①登録有形文化財は関西を中心に10年間

5割増えた。(注)2013年4月1日時点と2023年11月1日の時点の登録件数を比較。登録抹消による減少分を含む。文化庁提供の資料から作成。②総登録件数が多い自治体。(注)2023年11月1日時点の件数。

 

[図表1]

図表1(注2)は、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「登録有形文化財は関西を中心に約10年間で5割増えた」と題した図表でした。

ここでは2023年11月1日の時点で登録有形文化財の登録件数を都道府県ごとに調べ、その増加件数の大きい順に色分けして示していました。すなわち、ここでは、その件数の大きい順に、「黒茶色、濃い茶の斜線、濃い茶色、淡い茶色の斜線、淡い黄茶色に塗り分けて示してありました。

これによりますと、11月1日の時点で、都道府県別にみて登録の増加が最も多い地域は、その増加件数が201件以上の地域で、黒茶色に塗ってありました。これが実現できていたのは、一位大阪府、2位京都府、3位兵庫県の2府1県の3カ所でした。

次に登録の多い地域は、その増加件数が151~200件の地域で、濃い茶の斜線が記されていました。これが実現できていたのは、東京都、神奈川県、新潟県、長野県、愛知県、滋賀県、三重県、和歌山県、広島県の1都8県でした。

三番目に登録が多い地域は、増加件数が101~150件の地域で、濃い茶色に染めてありました。これが実現できていたのは、宮城県、福島県、千葉県、静岡県、福井県、奈良県、岡山県、徳島県、福岡県の9県でした。

四番目に登録が多い地域は、増加件数が51~100件の地域で、淡い茶色の斜線を記していました。これが実現できていたのは、山形県、栃木県、埼玉県、山梨県、富山県、岐阜県、石川県、鳥取県、香川県、愛媛県、熊本県の11県でした。

これ以外の残りは、登録が50件以下の地域で、このブロジェクトの推進が、最も遅れた地域でした。図表1の色付けした日本地図を眺めますと、この残りの地域の淡い黄茶色は、列島の四隅の残った処のように見えました。すなわち、列島の北端、北海道と本州の最北部の青森県、秋田県、岩手県、また、反対側南側の沖縄県と九州の鹿児島県、宮崎県、大分県、佐賀県、長崎県、四国の高知県、本州の西端山口県、島根県、最後に残ったのが茨城県と群馬県です。

やはり、首都圏+山梨県、関西圏+中部圏などの国の中心市街地から地理的に離れていることが、ハンデになるのでしょうか。日本国を等しく発展させていくために、何か施策がいるのかを、考えてみる必要があるのかもしれません。

でも、このプロジェクトは、国が主導してきたものですから、全国バランスよく進展していると思います。

 

[図表2]

図表2(注3)は「総登録件数が多い自治体」と題した図表でした。これを以下に記します。

 

図表2 「総登録件数が多い自治体」

 

      順位     自治体名(都道府県)      登録件数

       1     大阪府             863

       2     兵庫県             753

          3          京都府                            617

       4     長野県             612

       5     新潟県             558

       6     愛知県             553

       7     滋賀県             500

       8     東京都             448

       9     香川県             448

      10     岡山県             352

 

(注)2023年11月1日時点での件数。

 

 この図表2には、日本全国の自治体(都道府県)の登録件数のべスト10が記してあります。大阪・京都など関西勢が、この活動の出発点をリードしていましたから、関西が先行しています。東京は出遅れていますが、これから猛追するでしょう。

 

(注1)インバウンド: コンピュータネットワークや通信分野における「外から中へ」の意。「ツーリズム 」: 観光旅行、周遊、観光事業、旅行業務。インバウンドツーリズム:外から中への観光旅行、外国人の訪日旅行、訪日旅行客。

 

(注2)日本経済新聞2023年12月9日の朝刊1面に掲載された図表1、①登録有形文化財は関西を中心に10年間5割増えた。(注)2013年4月1日時点と2023年11月1日の時点の登録件数を比較。登録抹消による減少分を含む。文化庁提供の資料から作成。

 

(注3)日本経済新聞2023年12月9日の朝刊1面に掲載された図表2、②総登録件数が多い自治体。(注)2023年11月1日時点の件数。

 

(1)日本経済新聞、2023年12月9日(1面)。

[付記]2023年12月25日:

 
 
 

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