「日本再生]「地域創生」温泉観光 個人客が沸かす 2024年1月22日 山梨グランピック施設続々 入湯税収 コロナ前の86%
- honchikojisitenji
- 2024年1月22日
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「日本再生]「地域創生」温泉観光 個人客が沸かす 2024年1月22日
山梨グランピック施設続々 入湯税収 コロナ前の86%
続木 碧(つづき あお) 2024年1月(研究報告№096)
「巻頭の一言」
新型コロナ禍に苦しんだ温泉地が再び熱を帯びています。利用時にかかる入湯税の2022年度の税収は2019年度の86%まで回復しました。人口あたりの税収をみますと最多の山梨は、富士山麓のキャンプ施設などが温泉施設を整備し、訪日客を含めた個人や家族客を取り込んでいます。全国でも団体から個人へという旅行スタイルの変化に柔軟に対応する地域の好調が目立ちます。
日本経済新聞2023年1月6日、朝刊、2面記事(桜井佑介)を参照・引用して記述。
「日本再生]「地域創生」温泉観光 個人客が沸かす 山梨グランピック施設続々 入湯税収 コロナ前の86%
「日本再生]「地域創生」温泉観光 個人客が沸かす 山梨グランピック施設続々 入湯税収 コロナ前の86%
ここでは日本経済新聞の2024年1月6日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
入湯税は、環境衛生施設や観光振興などに使う目的税です。入湯税は温泉施設が入湯客から徴収して市区町村に納めるものです。1人150円が標準となります。日帰り入浴も対象とする自治体が多いのです。2022年度に収入があった約1000自治体の入湯税収は計194億円と2021年度より4割弱増えました。
[市区町村別では神奈川県箱根町が最多で大分県別府市、静岡県熱海市が続く]
市区町村別では神奈川県箱根町が最多です。これに大分県別府市、静岡県熱海市など、有名な温泉地が続きます。一方、都道府県単位の2022年度実績を人口で割った1人あたり税収は、山梨県が759円と全国平均の4.8倍で最も多く、大分県、長野県が、これに続いていました。
[山梨県]
山梨県では、首都圏からの団体客などに人気の石和温泉(笛吹市)が代表的な温泉地です。1990年代には、同市が県内の入湯税の6割を占めていました。しかし、社員旅行などが減る一方で、個人客に支持された富士山麓の市町村が台頭しました。2022年度には富士河口湖町が、シェア16%と笛吹市(14%)を抜いてトップになりました。
星野リゾートは、「日本初のグランピングリゾート(注1)」とする「星のや富士」を2015年に開業しました。住宅会社のグローバルハウス(山梨県昭和町)も2022年に富士河口湖町の森にトレーラーハウスと戸別の湯船を備えた「ふじ・ふもとの森温泉」を開きました。
宿泊業の古名屋(甲府市)は、2023年に富士河口湖町で各戸に温泉を備えた貸しコテージ(注2)を新設しました。半野仁信取締役は「個人の訪日客が4割を占める」と説明しています。渡辺英之町長は「町内に温泉を備えたクランビング施設(注1)が増え富士山観光に来た訪日客でにぎわっている」と観光振興への手応えを感じています。
[大分県]
「おんせん県」を標榜する大分県も、貸し切り施設が人気です。県内の入湯税収の6割を占める別府市では、老舗のみょうばん湯の里が「家族湯」を貸し切り湯に切り換えました。「家族以外でも利用したい」といった若い客層の要望に応えたのです。飯倉里美社長は「団体客は温泉に入らずに土産を買うだけのことも多いのです。個人客が温泉を楽しめるようにして客単価を上げたい」と話しています。
別府市の長野恭紘市長は「温泉資源を有効活用するためにも、付加価値をさらに高める必要がある」と強調しています。同市は2022年度に4億円を超えた入湯税収の9割近くを市営温泉の維持補修や観光振興に充てます。由布院がある由布市など県内の他市町村との連携にも力を入れていきます。
[この項のまとめ]
温泉を生かした地域活性化が進む一方で、入湯税の落ち込みが止まらない自治体もあります。群馬県みなかみ町の水上温泉は、かっては首都圏などからの団体客でにぎわっていました。しかし、大型の宿泊施設が相次いで廃業しました。同町は温泉街中心部の廃業館について、活用事業者の公募を始めました。
入湯税は自治体の貴重な財源です。2022年度は7町村で地方税に占める割合が10%を超えました。立教大学の西川克准教授は「元気な温泉地はそぞろ歩きが楽しめるなど地域全体で魅力を発信している」と指摘しています。「若者などの心をつかみ、安定した集客を実現するには、地域一体での取組みが欠かせない」と強調しています。温泉という活性化の熱源を生かすには、時代に合ったニーズを的確に捉える戦略眼が問われているのです。
日本経済新聞2024年1月6日、朝刊、2面記事(桜井佑介)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2024年1月6日の日本経済新聞の朝刊2面の記事には、三つの図表が記載されていました。①温泉利用に伴う入湯税収入(2022年度)。(注)人口1人あたりの入湯税収入を都道府県別に集計。出所は総務省。②入湯税収は箱根が最多(2022年度)。➂全国の入湯税収は急速に回復している。
[図表1]
図表1(注4)は、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「温泉利用に伴う入湯税収入(2022年度)」と題した図表でした。
ここでは人口一人あたりの入湯税収入を都道府県別に集計しています。そして一人当たりの入湯税収入が「500円以上」から「100円未満」の4段階にわけて、日本列島の地図上に色分けして示しています。ここでは、一人当たりの入湯税収入の多い順に、4段階の色模様に塗り分けて示してありました。都道府県別にみて、一人当たり入湯税収入が多い順に、「黒茶色、濃い茶色の斜線、濃い茶色、淡い茶色に塗り分けて示してありました。
ここでは都道府県別にみて、一人当たり入湯税収入が最も多い地域は、「500円以上」の地域で、黒茶色に塗ってありました。これが実現できていたのは、一位山梨県、2位大分県、3位長野県で、合計3県でした。
次に、一人当たり入湯税収入が多かった地域は、濃い茶色の斜線で示してあった処で、その入湯税収入が「300~500円未満」の地域でした。これが実施できていた地域は、かなり沢山ありました。一見して、北海道から東北全体、本州の中部以北に、この地域は広く広がっていました。ここでの好調組は、以下です。
北海道、岩手県、秋田県、山形県、福島県、新潟県、群馬県、栃木県、静岡県、岐阜県、石川県、福井県、和歌山県の1道12県でした。
これ以下は、一人当たりの入湯税収入が「100~300円未満(18カ所)」と「100未満(13カ所)」の処で、31カ所がこのクループです。全体の半分以上の72.2%が、入湯収入300円未満の出遅れ組なのです。
なお、関東・中部以北の本州は、このブロジェクトでは出だし好調なのですが、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の首都圏1都3県が立ち遅れ組(100円未満)に入っていました。この首都圏は、これまで多くの改革テーマで、日本を牽引してきた地域です。ここが、なぜ、立ち遅れたのかは、不明ですが、国をあげ国民みんなの力を合わせ、この地域を先導者に、連れ戻さねばなりません。
[図表2]
図表2(注5)は「入湯税収は箱根が最多(2022年度)」と題した図表でした。これを以下に記します。
図表2 「入湯税収は箱根が最多(2022年度)」
順位 自治体名 収入額
1 箱根町(神奈川県) 5.5億円
2 別府市(大分県) 4.3
3 熱海市(静岡県) 3.6
4 札幌市(北海道) 3.1
5 伊東市(静岡県) 3.0
6 日光市(栃木県) 2.9
7 神戸市(兵庫県) 2.7
8 登別市(北海道) 2.4
9 函館市(北海道) 2.2
10 大阪市(大阪府) 2.1
この図表2は、市区町村別の一人当たりの入湯税収入について、収入額が多い順に記しています。トッブには箱根町がきました。以下、別府、熱海、日光、登別、函館と世界に名が轟いている温泉地が名を連ねています。
入湯税の収入は、今後、急速に拡大すると思われます。これを拡大させる政策は、大分明確になってきました。これは各地での競争が激化することでしょう。各地で競争し、国を上げて拡大に向けて総力を結集して行かねばなりません。これは今後の日本の経済力が延伸して行けるかどうかの鍵をにぎると思います。
[図表3]
図表3(注6)は「全国の入湯税収入は急速に回復している」と題した図表でした。これを以下に記します。
この図表は、左側縦軸に0~250億円の入湯税収入の目盛を置き、下側横欄に1992年度から2022年度の「年度」をとって、この縦横軸に沿って「収入額」の棒線グラフを書いてありました。一見して、1992年度から2000年度にかけては、200億円から250億円に急速に収入額は増加しています。その後、下落に転じ、2012年に230億円にまで下落し、ここで安定しました。2020年度に120億円に、また、急転落しましたが、現在,急回復しています。
日本経済新聞2023年1月6日、朝刊、2面記事(桜井佑介)を参照・引用して記述。
(注1)グランピング施設:グランピングとは、「Glamorous(グラマラス)」と「Camping(キャンピング)」を合わせた造語のことで、「魅力に満ちたキャンプ」 のことである。グランピング施設:グランピングを行う施設。
(注2)コテージとは、直訳すると「小さい家」「別荘」である。家具・家電が備え付けられている宿泊施設のことを指す。キッチン、リビング、寝室、バス、トイレなど部屋が分かれていて、水道、ガス、電気がすべて整っている。一戸建てを一棟貸しで利用する貸別荘に近いタイプの宿泊施設である。温泉地に建てられた天然温泉付きのコテージや、グランピング施設やキャンプ場でコテージステイができるところも増えてきている。コテージでは、初心者でもアウトドアや自然体験を手軽に楽しめる。宿と違って食事は基本出てこないので、自分たちで用意する必要がある。
(注3)日本経済新聞2024年1月6日の朝刊2面に掲載された図表1、①温泉利用に伴う入湯税収入(2022年度)。(注)人口1人あたりの入湯税収入を都道府県別に集計。出所は総務省。
(注4)日本経済新聞2024年1月6日の朝刊2面に掲載された図表2、②入湯税収は箱根が最多(2022年度)。
(注5)日本経済新聞2024年1月6日の朝刊2面に掲載された図表3、➂全国の入湯税収は急速に回復している。
(1)日本経済新聞、2024年1月6日(2面)。
[付記]2024年1月22日:
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