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「日本再生]「地域創生」民泊10県コロナ前2倍超 2023年10月16日 民泊10県コロナ前2倍超 栃木県は那須の別荘地人気 4~5月国内客増 訪日客回復が課題

続木 碧(つづき あお) 2023年10月(研究報告№084)

「巻頭の一言」

 住宅などを優良な宿泊に提供する「民泊」が、地方で広がっています。別荘の1棟貸しが好調な栃木県を筆頭に、民泊の宿泊者は10県でコロナ禍前の2倍以上になりました。急回復するはずの訪日客の滞在の、受け皿としても期待されています。日本経済新聞2023年9月23日、朝刊、1面記事(上月直之)を参照・引用して記述。


「地域創生」民泊10県コロナ前2倍超 民泊10県コロナ前2倍超 栃木県は那須の別荘地人気 4~5月国内客増 訪日客回復が課題

 

「地域創生」民泊10県コロナ前2倍超 民泊10県コロナ前2倍超 栃木県は那須の別荘地人気 4~5月国内客増 訪日客回復が課題

ここでは日本経済新聞の2023年9月23日朝刊の2面の記事を紹介します。


[はじめに]

日本の民泊には3種類あります。すなわち、2018年施行の住宅民泊事業法(民泊新法、注1)に基づくサービス、旅館業法の簡易宿所によるサービスのほか、国家戦略特区での特区民泊があります。簡易宿所は営業日数に制限がないのに対し、新法での民泊は年間180日以内に限られますが、開設要件が緩く始めやすいのです。

観光庁がまとめた民泊新法に基づく民泊物件への4~5月の宿泊者数は25万人ほどでした。これはコロナ前の2019年4~5月の7割強でした。訪日客の誘引の遅延が尾を引く、東京都や大阪府といった大都市圏など15都道府県では、4年前を下回りましたが、他の7割の県では、着実に増加しました。


[栃木県]

栃木県は、3倍強にと宿泊者数が、全国で最も伸びたのです。牽引役は御用邸でも知られる高原リゾートの那須町です。別荘の一棟貸しが人気を呼び、県内に240棟ある新法に基づく民泊の半数が同町に集まっています。

 日本駐車場開発グループの藤和那須リゾートは、別荘所有者からの受託と自社開発の170棟を民泊として運営しています。この宿泊の9割は家族客を中心とした日本人です。

 今年の9月上旬の週末、首都圏から訪れた長峰源樹さんは、友人とそれぞれの家族10人で借りた別荘で,バーベキューを楽しみました。宿泊料は1泊6万円ほどです。「建物が程よく離れ、小さい子供の声で迷惑をかける心配もないのです。また、滞在してみたい」と長峰さんは満足そうでした。


[大分県]

 大分県は宿泊者が全国4位で、2.5倍になりました。温泉地の湯布院にある「我楽珍」は、築30年の一軒家です。中国出身の芸術家でもあるジョ・ケイケツさんがキッチンや浴室を自ら改修し、民泊を始めました。ここの宿泊客の半分は、日本人です。その他は韓国や台湾などアジアからの客で、最近は利用者が100人を超えています。10月からは、日本人従業員を2人増やし、朝・夕食の提供や茶道など日本文化の体験プランを始めます。現在は、1~2泊が大半ですが、ジョ・ケイケツさんは、「訪日客の長期滞在を増やしたい」と熱望しています。


[この項のまとめ]

 民泊は、収容人数は限られるものの,少ない投資で開業しやすく、旅館やホテルの不足を補えます。観光政策に詳しい東京女子大学の矢ケ崎紀子教授は「短期間に地方滞在の受け皿を整備でき、空き家の活用にもつながる」と、その効用を語っています。自治体も支援に動いています。宮城県は70万円を上限に、トイレの交換や内装の改修など民活開業に伴う費用の半額を補助しています。2020~2022年度に数十件の事業が、この補助を費用に利用しました。全国の民泊物件は、2020年4月に、2万1000軒ありました。その後2割近くが減りましたが、足元では2万軒にまで回復しました。

 民泊仲介大手の米エアビーアンドビーによりますと、2020年3月以降、香川県まんのう町など70以上の市町村で、新たな民泊が利用されました。古民家への関心も高く、2022年に予約サイトを設けた「歴史ある建物」という区分に「日本だけの登録は500軒以上ある」と同社の担当者は言っています。

 地方では民泊物件の運営に責任を負う管理業者が足りないのです。政府は本年7月に、業者の要件を広げましたが、本格解禁から5年の民泊がさらに根付くには、管理業者のサービス内容の一層の明確化が求められるのです。東京女子医大の矢ケ崎教授は「地域がどんな宿泊者を誘客したいのかを明確にし、個性的なオーナーや体験型コンテンツといった魅力の発信が是非とも必要」と指摘されています。日本経済新聞2023年9月23日、朝刊、1面記事(上月直之)を参照・引用して記述。

 

[まとめ]

 この研究報告の執筆で参照引用した2023年9月23日の日本経済新聞の朝刊1面の記事には、一つの図表が記載されていました。①民泊の宿泊者は地方で増加している。(注)都道府県ごとの宿泊数を、2023年4~5月と2019年4~5月で比較した。観光庁の資料から作成した。


[図表1]

図表1(注2)は、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、2023年4~5月の都道府県ごとの宿泊数と2019年4~5月の数を比較して増加率(倍)を「青色の濃淡」で塗り分けて示してありました。2023年4~5月の民泊宿泊者の増加が最も大きかった地域は「3倍以上の増加」の地域で、最も濃い青色に色付していました。これが実現できていたのは、1位栃木県、2位茨城県の2県でした。

次に二番目に多かった地域は「2倍以上3倍未満」の地域で、これは濃い青色の斜線で記してありました。これは和歌山県、秋田県、新潟県、福井県、三重県、大分県、熊本県、高知県の8県でした。結局、民泊の宿泊者数が増加が多い都道府県は、この10カ所でした。

また、民泊の宿泊者数が減少した地域は、灰色に染めてありました。その地域は、北海道、東京都、埼玉県、山梨県、富山県、石川県、岐阜県、京都府、大阪府、福岡県、佐賀県、宮崎県、沖縄県の1都1道2府10県の14地域でした。


この図表1を、良く観察してみますと、以下のことが判りました。民泊の宿泊者の増加が大きい地域は、地方が先行しており、全国に点在しています。東京都、大阪府、京都府などの大都市圏は、そろって減少組でした。

この図を丁寧に観察すれば、コロナの鎮静化後の民活の活性化が、まず先行しているところと、今、立ち遅れているところが、良くわかります。今後、全国をくまなく活性化させていくための方策を丁寧に計画する必要があります。また、大都市圏については、別の対策が必要と思われます。日本経済新聞2023年9月23日、朝刊、1面記事(上月直之)を参照・引用して記述。


(注1) 住宅民泊事業法: 2017年6月16日に公布され、2018年6月15日に施行された日本法律である。通称は「民泊新法」。この法律は、日本における観光旅客宿泊をめぐる状況に鑑み、住宅宿泊事業を営む者に係る届出制度並びに住宅宿泊管理業を営む者及び住宅宿泊仲介業を営む者に係る登録制度を設ける等の措置を講ずることにより、これらの事業を営む者の業務の適正な運営を確保しつつ、国内外からの観光旅客の宿泊に対する需要に的確に対応してこれらの者の来訪及び滞在を促進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。この法律において「住宅宿泊事業」とは、旅館業法第3条の2第1項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として国土交通省令厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が年間で180日を超えないものをいう。

(注2) 日本経済新聞2023年9月23日の朝刊1面に掲載された図表1、①民泊の宿泊者は地方で増加している。(注)都道府県ごとの宿泊数を、2023年4~5月と2019年4~5月で比較した。観光庁の資料から作成した。


(1)日本経済新聞、2023年9月23日(1面)。

[付記]2023年10月16日:

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