「日本再生]「地域創生」地方文化 免税店で味わう 2023年12月4日 個人客に商機 特産・高額品に期待 福井など13県で店舗最多
- honchikojisitenji
- 2023年12月7日
- 読了時間: 9分
続木 碧(つづき あお) 2023年12月(研究報告№091)
「巻頭の一言」
新型コロナウィルス禍で減った免税店の店舗数が増加に転じています。訪日客の定番の観光地を巡る団体旅行だけでなく、地域の文化や食などに関心が高い個人旅行も増加しています。為替の円安が加わり、地方都市でも訪日需要を取り込むチャンスが広がっているのです。2023年3月末の免税店の店舗数は福井県など13県で過去最多となり、自治体も地域の特産品などを売り込もうと支援しています。日本経済新聞2023年11月18日、朝刊、2面記事(桜井祐介、津兼大輝)を参照・引用して記述。
「地域創生」地方文化 免税店で味わう個人客に商機 特産・高額品に期待 福井など13県で店舗最多
「地域創生」地方文化 免税店で味わう個人客に商機 特産・高額品に期待 福井など13県で店舗最多
ここでは日本経済新聞の2023年11月18日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
免税店は訪日客などに、特定の物品を消費税免税で販売できます。家電製品や化粧品などを大量購入する「爆買い(注1)」に代表される訪日消費の伸びを受け、東京都など都市部を中心に店舗数が急増しました。
観光庁が半年ごとに公表する免税店数は、コロナによる訪日客の急減で、2020年9月末の5万5134店をピークに減少に転じましたが、2023年3月末は半年前より3%増加しました。免税品販売額は2019年には、過去最高の1兆円を記録したのです。2020~2022年は大幅に減ったものの2023年1~9月は4000億円にまで回復しました。
けん引役は地方です。2020年9月に比べた2023年3月末の店舗数を都道府県別に見ますと、大都市圏の多くは依然としてマイナスですが、地方圏では、ブラスの自治体が目立つのです。
日本経済新聞2023年11月18日、朝刊、2面記事(桜井祐介、津兼大輝)を参照・引用して記述。
[増加率トップの福井県]
免税店の増加率がトップの福井県は、2024年3月の北陸新幹線金沢-敦賀間の開通による訪日客の増加に備え、2021年から観光事業者への訪問活動を開始しました。ここでは訪日需要を取り込むための免税対応の重要性を、説いて回っています。
JR福井駅前の商業施設「ハピリン」は、テナントなどの免税手続きを一括して手掛けるカウンターを設置しました。同施設で地元の特産品を扱う「福福館」の運営を受託する大津屋(福井市)は、「地酒などの食品に加え、越前漆器といった伝統工芸品の販売にも期待したい」と言っています。ここでは購買力のある訪日客むけに、1本数万円の越前打刃物といった高級品の需要も見込めそうなのです。
敦賀駅前で名物の「へしこ」など海産物土産を販売する「まるさん商店」は2023年9月に免税許可を得ました。運営会社の藤江正高社長は「自家製の干物などの加工場も新たに整備していきたい」と話しています。
[増加率2位の山梨県]
免税店は訪日客のパスポート情報や購入記録を国税庁に電子送信する必要がありま す。免税店の増加率が2位の山梨県は、店舗の負担軽減に向けて手続き支援システムの導入を促しています。2022年度には導入費用をなどを最大60万円補助する対策を実施し、地場産業の宝飾品店やワイナリーなどが、これを活用しました。
ワイン製造のルミエール(山梨県笛吹市)は、2023年8月、ワイナリー併設の売店で免税販売を始めました。本田茂樹社長は「(純国産の)ワインへの関心が高まっており、高価格の赤ワインに人気がある」と手応えを感じています。顧客の来訪も増えており、「すべてのワイナリーが免税販売できるように産地全体で取組みたい」と言っています。
[この項のまとめ]
スイスに本拠をおく免税サービスの世界大手,グローバルブルーのジャック・スターン最高経営責任者は、「日本は世界有数の免税市場で、来年は過去最高を更新する可能性が高い」とみています。スターン氏は「フランスもパリ以外の地方都市が免税品販売の15%程度を占めています。日本も地方で販売を伸ばすには、地域文化のアピールと同時に、宿泊や小売りの官業の整備も重要です」と話しています。
環境まちづくりに詳しい立教大学の東徹教授も「団体客から個人客へのシフトは、多様な観光資源に光があたり、地方にもチャンスが広がる」としています。そのうえで「免税店の拡大と同時に、訪日客とのコミュニケーションを円滑にする人材の配置などの体制整備も重要です」と指摘しています。日本経済新聞2023年11月18日、朝刊、2面記事(桜井祐介、津兼大輝)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年11月18日の日本経済新聞の朝刊2面の記事には、三つの図表が記載されていました。①免税店数は地方圏で増加が目立ってきた。(注)2023年3月末の免税店数の2020年9月末比増減率。出所は観光庁。②店舗が集中する東京や大阪は減少(2023年3月末▲は減)。➂全国の店舗数は2年半ぶり増加。
[図表1]
図表1(注2)は、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「免税店は地方圏で増加が目立ってきた」と題した図表でした。ここでは都道府県別の免税店の増減率を「黒茶、赤、淡い青の斜線、濃い青の斜線」で塗り分けて示してありました。
これは2023年3月末の免税店数の2020年比増減率を示したものです。これによりますと、都道府県別の増加率の最大の地域は、5%以上の増加の地域で、黒茶色に塗ってありました。そして、これが実現できていたのは、一位福井県、2位山梨県、3位熊本県の3県でした。
免税店数の増加率が次に大きかった地域は「赤色」で塗ってあった処で「5%未満の増加」の地域でした。すなわち、これが実現できていたのは、青森県、秋田県、栃木県、群馬県、埼玉県、岐阜県、愛知県、石川県、島根県、佐賀県、宮崎県の11県でした。
一方、免税店数減少率が、最も大きかった地域は、濃い青色の斜線で示してあった処で「5%以上の増加の地域」でした。すなわち、これが現実の問題となっていた地域は、新潟県、千葉県、京都府、大阪府、和歌山県、岡山県、香川県、愛媛県、高知県、長崎県、鹿児島県の2府9県でした。私は、この中で千葉県が気になりました。千葉県は、私が連載している、日本の今後の経済成長を支えて行く数多くのプロジェクトの中で、いつも牽引者になっていた地域でした。この地域が一番遅れているグルーブに入っているのは、私は、とても残念でした。でも、もう今は、後れを取り戻そうと、頑張り始めていることでしょう。次ぎの中間報告では、頭角を現わしていると思います。
この図表1(注2)を見渡してみますと、この華やかな色づけをされた日本地図の中で、この免税店の増加活動を牽引している3県、福井県、山梨県、熊本県の黒々とした「黒茶色」の3カ所が、本州の中心部と九州に堂々と鎮座しているのが目立ちます。そして、この地図の色付けでは、2番目に増加率の大きい地域を「赤」に色付けをしましたので、これがとても華やかに見えました。この赤色の地は、大別して「4つの地域+1」をなしていました。すなわち、①首都圏+山梨、②中部・関西圏、➂九州、④東北北部、そして+1(島根)です。なお、北海道と四国には免税店の増加した県はありませんでした。日本経済新聞2023年11月18日、朝刊、2面記事(桜井祐介、津兼大輝)を参照・引用して記述。
[図表2]
図表2(注3)は「店舗が集中する東京や大阪は減少(2023年3月末、▲は減)」と題した図表でした。これを以下に記します。
図表2 「店舗が集中する東京や大阪は減少(2023年3月末、▲は減)」
順位 都道府県名 免税店の増減率 免税店数
1 福井県 16.1%増 100店
2 山梨県 8.5 307
3 熊本県 5.4 568
25 東京都 ▲2.7%減 1万4145
37 大阪府 ▲5.3 5613
42 京都府 ▲7.0 1794
45 香川県 ▲10.6 262
46 和歌山県 ▲12.2 173
47 新潟県 ▲16.0 353
図表2は、日本国の47都道府県が免税店の増加を目指して競争すると考えて、全国の都道府県の順位を1位から47位まで定め、その順位、都道府県名、免税店の増減率、免税店数を列記して示したものです。
ここでは、以下のように作表しました。まず、免税店の増加率が大きい順に、1位から3位までを並べました。これは、先に示した図表1(注2)の免税店の増加の5%以上の地域です。これは、福井県、山梨県、熊本県の3カ所しかありませんでした。
次は最下位争いを繰り広げている3地域を、45位から47位に並べました。そして両者の間に「店舗が集中するため免疫店の減少は避けられない」とした3大都市(東京・大阪・京都)を入れました。
これで日本の未来の「経済力の成長」に大きな影響をする「免税店数の増減」を、検討するための大変わかりやすい図表が出来たのです。でも私が、ここで驚いたのは、東京都の免税店数の「多さ」です。多いとは思っていましたが、その多さが、私の想像をはるかに超え、桁外れだったのです。
この東京都の現状は、免税店が2.7%の減少です。図表1の分析では、「5%未満の減少」であり、軽度の減少組に入りますが、私は東京都は、免税店の増加地域を目指して必死に努力しており、もう一息で増加組に入れるところにきていると感じています。
東京都のように免税店数が著しく多い都市が、「僅かでも減少し続けている」と、「ほんの僅かでも増加し続けている」とでは、国全体の免税店増加プロジェクトの未来が、今後、どんな姿になっていくかを占う上で、大きな違いが出てくるでしょう。
ここでは、「東京都が免税店増加都市になってくれれば」ではなく、「東京都をなんとしても免税店増加都市にする」と、強い覚悟を固めて、国をあげて強力に推進しなければなりません。これを東京都に任せるのではなく、日本全国で国を挙げて、全国の企業、国民みんなで、総力を上げて実施して行かねばならないのです。
これが具体的に動き始めれば、日本人の未来に向けた夢と希望が、大きく変わってくるでしょう。私は、日本の未来に向けて、最重要なテーマを、ここであらためて発見しました。日本経済新聞2023年11月18日、朝刊、2面記事(桜井祐介、津兼大輝)を参照・引用して記述。
[図表3]
図表3(注4)は「全国の店舗数は2年半ぶりに増加」と題した図表でした。この図表の左側縦欄には「免税店舗数の増加数」の(0~5万店)が記してありました。また、下欄には「2014年から2023年まで」の(年)が記してありました。この縦横軸を用いて「全国免税店の店舗数(万店)」を示す棒グラフが作成されていました。
この全国免税店の店舗数は、2014年の「5000店」から2019年の「5万店」にまで、急上昇しました。そして、2019年から2022年までの4年間における全国の免税店数は、5万店強程度で推移しました。そして2023年3月には、各地の地方都市で、過去最高を記録するまでの勢いがついてきたのです。
2014年から2023年にむけた免税店数の拡大は、全体として見れば、順調に拡大してきたと言えると思います。そして、この2023年春から夏にかけてでは、各地の熱意のある地域が中心となって、免税店数を拡大させる大きな波が、うねりのように起きているのです。
「訪日外国人数の急拡大」と、これを引き起こす「免税店数の急増」は、日本の今後の経済成長を、強力に拡大していくために、「極めて重要な鍵」となることが、今、ここにきて明確になりました。そして2023年の年末は、この急改革が出発する重要な瞬間となったのです。みなさん、強い緊張感をもって、来るべき新年を迎えましょう。私も新鮮な緊張感を持って、新しい年を迎えます。日本経済新聞2023年11月18日、朝刊、2面記事(桜井祐介、津兼大輝)を参照・引用して記述。
(注1)爆買いとは:家電製品や化粧品などを大量購入すること。大量に購入することにより購入コストの低減などをはかること。
(注2)日本経済新聞2023年11月18日の朝刊2面に掲載された図表1、①免税店数は地方圏で増加が目立ってきた。(注)2023年3月末の免税店数の2020年9月末比増減率。出所は観光庁。
(注3)日本経済新聞2023年11月18日の朝刊2面に掲載された図表2、②店舗が集中する東京や大阪は減少(2023年3月末▲は減)。
(注4)日本経済新聞2023年11月18日の朝刊2面に掲載された図表3、➂全国の店舗数は2年半ぶり増加。
(1)日本経済新聞、2023年11月18日(2面)。
[付記]2023年12月4日:
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