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「日本再生]「地域創生」地元大学進学率 50年で最高に 2023年7月31日 地元進学率44% 20年の伸び率は石川県首位 学部増や奨学金優遇で自治体が引き止め

  • honchikojisitenji
  • 2023年8月11日
  • 読了時間: 8分

続木 碧(つづき あお) 2023年7月(研究報告№075)

「巻頭の一言」

 東京への若者の流出を抑えようと、各地の自治体が、地元大学への進学を促進する対策を、強力に進めています。これは、相変わらず状況の悪化が続く、日本の人口減少を食い止める対策として、極めて重要な施策となっています。

 ここでは、石川県が、県内一体となり、改革を進めており、素晴らしい実績を上げています。この活動では、石川県がダントツです。


「地域創生」地元大学進学率 50年で最高に 地元進学率44% 20年の伸び率は石川県首位 学部増や奨学金優遇で自治体が引き止め

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」地元大学進学率 50年で最高に 地元進学率44% 20年の伸び率は石川県首位 学部増や奨学金優遇で自治体が引き止め

ここでは日本経済新聞の2023年7月15日1面の記事を紹介します。


[はじめに]

東京への若者の流出を抑えようと、自治体が地元大学への進学を促す動きを進めています。地元進学者は地元を選ぶ傾向があり、これは人口減対策の一手としても効果を発揮しています。過去20年間に出身高校と同じ都道府県の大学に進んだ「地元進学率」を最も伸ばしたのは石川県でした。また、少子化で地方大学の経営は厳しく、既存の私立大学の効率化も拡がっています。日本経済新聞、2023年7月15日の1面(桜井佑介、石黒和宏)を参照引用して記述。


[2022年度での「地元進学率」は、1971年の調査開始以来で最高に]

文部科学省の学校基本調査から算出したところ、2022年度に全国で高校から大学へ進んだ62万人の地元進学率は、44.8%と、1971年度に調査を始めて以来で最高でした。2002年度比で最も伸びた都道府県は、石川県で14.5ポイント上昇の47.6%でした。群馬県、和歌山県も上昇幅が10ポイントを超えました。

でも、2022年度の地元進学率は愛知県が、71.6%で、最も高かったのです。東京都や大阪府に次いで大学数が多く、就職先の厚みもあることで地元志向が強いのです。

地元進学率が高まる背景には、学費や物価の上昇など経済的な事情もありますが、自治体も後押しに力を入れてきているのが大きいのです。2023年7月15日の日本経済新聞の1面(桜井佑介、石黒和弘)を参照引用して記述。


[石川県]

 石川県には県内大学を振興する専門部署があり、県内大学と高校生に合同進学説明会などを開いています。「出張オープンキャンパス」として、中学・高校で、各大学の教授が模擬授業を頻繁に実施し、県内大学の特色や魅力を発信しています。

 石川県金沢市の星稜高校の進路指導の担当教諭、斉藤暁人さんは「以前は偏差値や知名度で県外の進学先を選ぶ生徒が多かった」と振り返ります。大学の模擬授業により「学問の面白さや教授の個性を感じるようになり、県内大学へ目が向くようになっている」と話しています。

 石川県内には14の大学を含めて、高等教育機関が多いのです。これらの全てが「県内大学の学びの充実のために、2013年度から単位を相互認定しています。対象の授業数は2022年度に計90に達しました。就職時の県外流出にも、手を打っています。地元での就職実績を高めようと、県内企業が職業体験を望む学生を迎える「いしかわインターンシップ」を2014年度に始めました。


[和歌山県・群馬県]

 学生の受け皿となる大学や学部の設置も進学率向上につながります。和歌山県では、和歌山市が2021年設置の県立医科大学薬学部など、公共施設跡を活用した「まちなか大学誘致」を進めました。

 群馬県では2008年の桐生大学など、短期大学を運営してきた学校法人の大学設立が2001年以降に相次ぎました。このことから和歌山県や群馬県は「地元進学率」を急速に伸ばしました。


[高知県・北海道旭川市]

 一方で地方では、定員割れに苦しむ市立大学の閉鎖も増えているのです。そのため、自治体が運営を継ぐ公立化も拡大しています。このような事例は、2009年の高知県香美市の高知工科大学以降、北海道旭川市が、旭川大学を継承して今春開設した旭川市立大学まで、12大学に及びます。また、地元大学への進学者を奨学金などで優遇する自治体は、今、急速に拡大しています。

 

[この項の終りに]

マイナビ(注1)が、2024年春卒業予定の全国の大学生・大学院生に、今春実施した調査によりますと、地元以外の大学に通う学生が故郷での就職を望む割合は、3割でした。これに対して、地元の大学に進んだ学生では、地元就職の希望者は7割を上回っていたのです。石川県の担当者は、「県外に一度出ると、帰ってきてもらうのはハードルが高い」と話しています。


国は地方に若者を引き止める側面支援として、2027年度までの10年間は、東京23区内で大学の定員増を禁じています。しかし、学びの自由を縛るなど批判も強く、情報系の学部・学科で、2024年度から規制を緩める方針です。中央大学が45年にわたり東京都八王子市にあった法学部を今年4月に文京区に移しました。今、首都圏の大学では都心回帰を強めています。

法政大学キャリアデザイン学部の田沢実教授は「進学先は将来の希望をかなえるために検討されるべきだ」とし、地方大学が選択肢となるには、「各地で大学教育の魅力を高める地道な取り組みが欠かせない」と指摘しています。2023年7月15日の日本経済新聞の1面(桜井佑介、石黒和弘)を参照引用して記述。


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2023年7月15日の日本経済新聞1面の記事には、三つの図表が記載されていました。「①高校から地元大学へ進む割合は、過去20年間に37都道府県で増加。(注)2022年度に出身高校と同じ都道府県の大学に進学した割合を2002年度と比較。(出所)文部科学省 学校基本調査。「②愛知県が地元進学率は首位。(注)▲は減少。「➂地元進学率は地方で高まる。」


[図表1]

図表1(注2)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、「地元高校から地元大学へ進む割合の過去20年間における増加の割合を、青色の濃淡で塗り分けて示してありました。この結果、「高校から地元大学へ進学する割合」が、2022年において、最も増加していた地域は、「12.0ポイント以上増加」の地域で、ここでは色が最も濃い青色に色付けされていました。これが実現できていたのは、石川県と群馬県の2県でした。

次に増加が進んでいた地域は、8.0~11.9%の増加の地域で、これは和歌山県、東京都、新潟県、高知県の4都県でした。結局、高校から地元大学へ進む割合の大きい地域は6都県でした。


なお、高校から地元大学へ進学する割合が三番目に多い、4.9~7.9ポイント増加の地域は、かなり多数ありました。

すなわち、高校から地元大学へ進む割合が、かなり多くなっている地域は、青森県、秋田県、栃木県、長野県、静岡県、岐阜県、滋賀県、富山県、福井県、京都府、大阪府、岡山県、広島県、山口県、徳島県、大分県、長崎県であり、17都府県ありました。

高校から地元大学へ進むことを熱心に推進する、この活動は、全国多くの地域で進められており、今、日本で起きている人口減少により進む地域の衰退を防ぎ、地域を再生する強い力になっているのです。2023年7月15日の日本経済新聞の1面(桜井佑介、石黒和弘)を参照引用して記述。


[図表2]

 図表2(注3)は、「地元進学率は愛知県が首位」と題した図表でした。これを以下に記します。


図表2 地元進学率は愛知県が首位

都道府県    変化幅(ポイント)  地元進学率 2022年度(%)

石川県     14.5        47.6

群馬県     14.3        33.5

和歌山県    11.5        18.8

愛知県      2.2        71.6

東京都      8.9        67.9

北海道     ▲4.3        67.1


       (注)▲は減少。



 この図表を良く見てみますと、以下のことがわかります。高校から地元の大学に進む割合が、過去20年間で最も増加した都道府県は、石川県と群馬県で、その増加率(変化幅)は、それが最も大きいグループである「12ポイント以上の増加組」でした。次いで和歌山県は、増加幅が11.5で、変化幅は2番目に大きい第2グループのトップでした。ここで変化幅の先頭に立っている3地域の「地元進学率(2022年度)」は、それぞれ、47.6、33.6、18.8でした。


 この図表2の下段には、別の視点での数値も示してありました。すなわち、過去20年の間で、「地元進学率」が最も増加した地域は47.6~18.8%でしたが、この数値の2022年度での値が大きい処を探すと、もっと大きい地域もあったのです。

 それは、愛知県、東京都、北海道です。この数値を列記しますと、71.6、67.9、67.1%です。

 2022年度の「地元進学率」の上位にいるこれらの地域は、学生の総数が多いため、「地元進学率」を短期間で引き上げるのは、とても、難しいのです。北海道は「地元進学率の実績」では、上位にいますが、地元への進学率の「短期的にみた増減」では、「4.3%の減少地域」でした。

 日本全体での「地元進学率」を、さらに上げて行くには、ここの改善を、どうするのかが大きな課題なのです。


[図表3]

 図表3(注8)は「地元進学率は地方で高まる」と題した図表でした。

 この表の右側縦欄には、20~60%の地元進学率を示す数値が示してあり、下欄には、1971年度から2022年度までの「年度」が記してありました。この縦横の交点に、各年度の地元進学率を記し、首都圏と首都圏以外に分けて「地元進学率」の推移を、折れ線グラフで表記して、比較していました。この比較では、この期間における首都圏の「地元進学率」の大幅な減少が目立ちます。


この図表の中で、今、「首都圏の地元進学率」の足を引っ張っているのは、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県の「減少組」です。近年、地元への進学率が減少している地域は、全国で8箇所ありますが、その内の4箇所を占めている、群馬県・東京都・栃木県を除く首都圏4県に、特別な対策を急ぐ必要があると、今、私は考えています。県を上げて改革を進めて大きな成果を上げている、石川県を、大いに見習った抜本的な改革を進めるべきです。その上で、現在、活性を帯びている「地方での活力」を阻害するのを、なんとしても、防がねばなりません。


(注1) 株式会社マイナビ(Mynavi Corporation):就職転職進学情報の提供や人材派遣・人材紹介などを主業務とする日本の大手人材・広告企業である。


(注2) 日本経済新聞2023年7月15日1面に掲載された図表1「高校から地元大学へ進む割合は、過去20年間に37都道府県で増加。」(注)2022年度に出身高校と同じ都道府県の大学に進学した割合を2002年度と比較。(出所)文部科学省 学校基本調査。


(注3) 日本経済新聞2023年7月15日1面に掲載された図表2「愛知県が地元進学率は首位。」(注)▲は減少。


(注4) 日本経済新聞2023年7月15日1面に掲載された図表3「地元進学率は地方で高まる。」


[参考資料]

(1)日本経済新聞、2023年7月15日(1面)。

[付記]2023年7月31日:



 
 
 

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