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「日本再生]「地域創生」先進教育・開業支援 人呼ぶ 2024年3月25日 高知県や長野県 街づくりで独自色 地方市町村14%、流入増

 

続木 碧(つづき あお2024年3月(研究報告№101)


「巻頭の一言」

少子高齢化とともに、人口流出が加速する地方圏で、移住者など新たな住民の呼び込みに成功する自治体があります。国の地方創生策が始まる10年前に比べて、人口流入が増えた市町村は、地方の一割超です。沖縄県や高知県などは2~4割を占めました。先進的な教育や開業支援など、特色ある地域つくりが効果をあげているのです。

日本経済新聞2023年3月16日、朝刊、2面記事(杉本耕太郎)を参照・引用して記述。

 

「日本再生]「地域創生」先進教育・開業支援 人呼ぶ 高知県や長野県 街づくりで独自色 地方市町村14%、流入増

 

「日本再生]「地域創生」先進教育・開業支援 人呼ぶ 高知県や長野県 街づくりで独自色 地方市町村14%、流入増

 

ここでは日本経済新聞の2024年3月16日2面の記事を紹介します。

 

[はじめに] 

国は東京圏(1都3県)への過度な人口の偏りが地方をさらに衰退させるとして、2014年に始めた地方創生(注1)で、一極集中の是正を掲げました。新型コロナウイルス禍で、一時減った東京圏への人口流入は再び拡大しました。総務省が1月に発表した2023年の人口移動報告によりますと、東京圏での転入は、52万人と2年連続で増え、転出を引いた転入増加は12万人と、4年ぶりに10万人を超えました。

一方、流れに抗して人を招く地域はあるのです。人口移動報告で2020~2023年と、地方創生が始まる前の2010~2013年の日本人の転入超過数を、全国の市区町村で比べてみますと、転入超過が増えたか転出超過が転入増加に変わった自治体は、東京圏を除く地方で14%、207市町村ありました。

流入が増えた市町村の割合は、道府県では、沖縄県(44%)や福岡県(28%)、高知県(24%)、山梨県(22%)、長野県(22%)が高いのです。自然環境や暮らしやすさに加え、移住支援策が奏効しているところも多いのです。

 

[福岡県大刀洗町]

福岡県南部にある人口1万6000人の大刀洗町は、200人の転出超過を300人の転入超過に変えました。所得などの条件を満たせば2~3LDKが月5万円前後という、町営賃貸マンションを、2016年から、民間資金の活用により、3棟整備しました。保育料は第3子から無料としています。民間の「街の幸福度調査」で、2023年度に九州・沖縄の首位になりました。

 

[高知県香美市]

 転入超過が200人の高知県香美市は、教育で独自色を出しています。探究心に富んだ子どもを育てようと、教育プログラム「国際バカロレア」(注2)を2021年に、市立大宮小学校に、国内の公立小で初めて導入しました。入学を目的とした移住相談が37件寄せられ、9所帯が移り住みました。香美市は、豊かな自然とともに、高知市とJRの最寄り駅が特急で結ばれ高知龍馬空港も近いことで人気が高いのです。市内のNPO法人「いなかみ」と連携して、移住相談や現地案内に応じ、移住確保へ空き家の発掘に力を入れています。

 

[長野県小諸市]

 長野県小諸市は、カフェなどの開業希望者から注目を集めています。牽引役は、市職員や飲食店シェフら有志20人の「おしゃれ田舎プロジェクト」です。2019年から、空き店舗の仲介などに取組み、移住者を含め30件以上の開業の夢を支えました。黒木幸太さんと加奈さん夫妻は、川崎市から移住し花店を開いています。

 発起人の一人で市職員の高野慎吾さんは、「まず空き店舗を減らし、若い人が出かけたくなる街にしたい」と話しています。柔軟な活動とするため、あえて市の事業とせず、情報発信や店舗のイベント開催、地域住民への引き合わせなどに協力しています。

 

[この項のまとめ]

 秋田や高知など11県は、2050年の人口が、3割以上減ると推計さています。住民の奪い合いだけでは国全体の人口減少に歯止めはかかりません。でも、移住促進は、地域の人口減を抑える即効性があるのです。

  地方移住に詳しい国学院大学の嵩(かさみ)和雄準教授は、「自治体が新たな住民をつかむカギとして、空き家の整備や地域コミュニティとのミスマッチを防ぐ情報発信が必要です」と指摘しています。

日本経済新聞2023年3月16日、朝刊、2面記事(杉本耕太郎)を参照・引用して記述。

 

 [まとめ]

  この研究報告の執筆で参照・引用した2024年3月16日の日本経済新聞の朝刊2面の記事には、二つの図表が記載されていました。①人口の流入が拡大している市区町村の割合。(注)総務省「住民基本台帳人口移動報告」から、市区町村の2010~2013年と2020年~2023年の日本人の転入超過数を比較。超過数が増加もしくは、マイナスがプラスに転じた数から算出。②転入超過数が増加 マイナスからブラス。(注)日本人の転入増加数。▲はマイナス。県名のカッコ内は、超過数が2020~2023年増加もしくはマイナスからプラスに転じた市区町村の割合。

 

 

[図表1]

図表1(注3)には、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、ここには、市区町村の2010~2013年と2020年~2023年の日本人の転入超過数を比較し、その超過数が増加もしくは、マイナスがプラスに転じた数を算出しています。そして、その都道府県別の数の大きい処から小さい処へ順に、地図上に色付けして示しています。

ここでは、各都道府県の「人口の流入が拡大している市区町村の割合」を5段階に分けて色分けして図示しています。

その色分けは以下です。①「人口の流入が拡大している市区町村の割合」が最も大きい都道府県(40%以上)、黒茶色で図示。②「人口の流入が拡大している市区町村の割合」が次ぎに大きい都道府県(20%以上40%未満)、濃い茶色の斜線で図示。➂「人口の流入が拡大している市区町村の割合」が、その次ぎに大きい都道府県(15%以上20%未満)、茶色で図示。④「人口の流入が拡大している市区町村の割合」が、最も小さいグルーブの一つ上の都道府県(10%以上15%未満)、茶色の斜線で図示。④「人口の流入が拡大している市区町村の割合」が、最少の都道府県(10%未満)、淡い茶色で図示。

 

ここで、「人口の流入が拡大している市区町村の割合」が最大の処(40%以上)は、黒茶色で図示してある処で、これに該当する地域(第1群)は、第1位の神奈川県、第2位の沖縄県、第3位埼玉県、第4位の東京都の4カ所でした。

また、「人口の流入が拡大している市区町村の割合」が次ぎに大きい処(20%以上40%未満)は、濃い茶色の斜線で示した処でした。これに該当する地域(第2群)は、栃木県、千葉県、山梨県、長野県、広島県、福岡県、高知県の7カ所でした。

さらに「人口の流入が拡大している市区町村の割合」が、その次ぎに大きい処(15%以上20%未満)は、茶色で塗ってあるところで、これに該当する地域(第3群)は、福島県、石川県、奈良県、大阪府、山口県、大分県、熊本県、鹿児島県、愛媛県の9カ所でした。

 

ここまできますと、「人口の流入が拡大している市区町村の割合」が小さい順で数えた方が早いグループになります。「人口の流入が拡大している市町村の割合」が最少から2番目のグループ(10%以上15%未満)は、茶色の斜線で示した処で、これに該当する地域(第4群)は、宮城県、新潟県、茨城県、富山県、岐阜県、愛知県、滋賀県、兵庫県、鳥取県、岡山県、佐賀県、長崎県、徳島県の13カ所でした。

 

最後のグループは、「人口の流入が拡大している市区町村の割合」が最少だったグループ(第5群)です。これを列記すれば以下です。北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、群馬県、静岡県、福井県、京都府、三重県、和歌山県、島根県、宮崎県、香川県の14カ所でした。

 

この図表1を概観してみますと、北海道から東北北部で、この改善活動が、立ち遅れてきるのが目立ちます。その他は、全国各地で、たち遅れた地域が散見されます。

 

 

[図表2]

図表2(注4)は「転入の超過数が多いかマイナスからプラスに転じた市区町村」と題した図表でした。ここでは「県名、市区町村名、転入増加もしくはマイナスからプラスに移った人数」を記載しています。これを以下に記します。

 

図表2 「転入の超過数が多いかマイナスからプラスに転じた市区町村」

[転入超過数が増加] 

県名         市区町村       転入超過数の増加(人)

                 2010年~2013年 2020年~2023年

沖縄県(43.9%) 南城市      1056人       2334人

           うるま市      671        1722

福岡県(28.3)  福岡市    3万3925      3万8835

           筑紫野市      521        2634

高知県(23.5)  芸西村        38          41

山梨県(22.2)  北杜市       757         797

           富士河口湖町    193         258

長野県(22.1)  軽井沢町      890        1481

           松本市      1052        1169

(注)県名カッコ内は「転入超過数の増加率。」

 

[マイナスからプラスへ]

県名         市区町村       マイナスからプラスへ(人)

                 2010年~2013年 2020年~2023年

沖縄県(43.9%) 宮古島市     ▲304人       1000人

           名護市       ▲19         717

福岡県(28.3)  糸島市      ▲318        3185

           太刀洗町     ▲197         292

高知県(23.5)  香美市       ▲96         211

           日高村      ▲138          59

山梨県(22.2)  南アルプス市   ▲195         940

           甲斐市      ▲366         680

長野県(22.1)  須坂市      ▲244         325

           小諸市               ▲354         273

(注)県名のカッコ内は、プラスに転じた市区町村の割合(%)。

 

 沖縄県、福岡県、高知県、山梨県、長野県では、県内の多くの市町村で、2010年から2023年の14年間で転入超過数の推移が、マイナスからプラスに転じており、もともとプラスで推移していた市町村では、転入増加数の増加が生じているのです。

日本経済新聞2023年3月16日、朝刊、2面記事(杉本耕太郎)を参照・引用して記述。

 

 

(注1)地方創生とは、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策である。加速度的に進む日本全体の人口減少は、日本の経済社会にとって大きな重荷である。産業の実態や、国の総合戦略などを踏まえた、地方自治体自らによる「地方版総合戦略」の策定と実施に対して、国が情報・人材・財政の支援を、地方の自立性、将来性、地域性、直接性、そして結果を重視して、それに即して実際の行動を推進し、地方における安定した雇用の創出や、地方への人口の流入、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえ、時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域間の連携を推進することで、地域おこしとその好循環の維持の実現を目指すとしている。

 

(注2)国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置された。

 

(注3)日本経済新聞2024年3月16日の朝刊2面に掲載された図表1、①人口の流入が拡大している市区町村の割合。(注)総務省「住民基本台帳人口移動報告」から、市区町村の2010~2013年と2020年~2023年の日本人の転入超過数を比較。超過数が増加もしくは、マイナスがプラスに転じた数から算出。


(注4)日本経済新聞2024年3月16日の朝刊2面に掲載された図表2、②転入超過数が増加 マイナスからブラス。(注)日本人の転入増加数。▲はマイナス。県名のカッコ内は、超過数が2020~2023年に増加、もしくはマイナスからプラスに転じた市町村の割合。

 

 

(1)日本経済新聞、2024年3月16日(2面)。

[付記]2024年3月25日:

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