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「日本再生]「地域創生」低山人気を「宝の山」に 2024年2月26日 登頂回数、沖縄5倍 百山を選定、ガイドも育成

  • honchikojisitenji
  • 2024年2月29日
  • 読了時間: 9分

 

続木 碧(つづき あお2024年2月(研究報告№100)


「巻頭の一言」

高い山がない沖縄県や千葉県で山登りを楽しむ人が増えています。全国の山々への登山者の登頂回数を、新型コロナウイルス禍前の2019年と2023年で、都道府県ごとに比べたところ、両県の伸びは日本アルプスを擁する長野県や山梨県を上回りました。初心者も親しめる低山を「宝の山」にしようと自治体などは知恵を絞ります。

日本経済新聞2023年2月10日、朝刊、1面記事(上月直之、田崎陸)を参照・引用して記述。

 

「日本再生]「地域創生」低山人気を「宝の山」に 登頂回数、沖縄5倍 百山を選定、ガイドも育成

  

「日本再生]「地域創生」低山人気を「宝の山」に 登頂回数、沖縄5倍 百山を選定、ガイドも育成

 

ここでは日本経済新聞の2024年2月10日1面の記事を紹介します。

 

[はじめに] 

ヤマップ(福岡市)の登山アプリ(注1)「YAMAP」に記録された登頂回数を、同社の協力で集計しました。県境の山は重複して数えました。アプリは全地球測位システム(GPS、注2)を活用して登った山の履歴を残せます。2023年末でダウンロード数は400万と、4年前の2.7倍になり普及しています。

 

[登頂回数が最も伸びたのは]

 登頂回数が最も伸びたのは沖縄県(5.57倍)で、香川県(4.74倍)、千葉県(3.84倍)が続きました。単年で登頂回数が多いのは山岳県の長野県や山梨県ですが、登頂回数の増加率では、県内の最高峰が1000メートル以下である沖縄県や千葉県が、上位になったのです。

登頂回数の全国の増加率は2.95倍でした。全国で27都府県がこれを上回って伸びていました。でも、現状の登山人口自体は、日本生産性本部「レジャー白書」の2022年推計で500万人と、コロナ禍前の600万人台を、まだ下回っているのです。

 

[最近の低山人気]

最近の低山人気を、登山情報誌「山と渓谷」の五十嵐雅人編集長は、「コロナ禍をきっかけに近場で日帰り登山する人が増えたため」とみています。同誌が毎秋出す低山特集号は、2023年の販売部数が5年前より2割増えました。一方、高山に挑む本格的な登山は、山小屋の宿泊料の上昇や、収容人数の制限もあり、「回復しきっていない」のです。

 

[沖縄県]

 沖縄県では、県北部の「やんばる」での山歩きが、2021年の世界自然遺産登録を機に、注目を高めました。本島の最高峰の与那覇岳でも、標高は500メートル程度ですが、亜熱帯の自然と触れ合えるのです。嘉津宇岳(452メートル)の登山ツアーを扱う沖縄プロデュースカマダ(恩納村)の新垣次男さんは、「体を動かしたい60代以上の参加が多い」と明かしています。

 沖縄県は、2023年8月に「おきなわ百低山ガイドブック」を作り、5000部を配りました。訪日客を内陸の自然体験で呼び込もうと、県はガイドの養成も強化しています。日本政府観光局は、欧米の旅行会社などを招き、同県で実施したモニターツアー(注3)に、山歩きも組み込みました。

 

[千葉県]

首都圏近郊の低山も登山者を集めています。千葉県の鋸南町と富津市の境にある鋸山(329メートル)は、もともとは、砕石場だったのです。そのため、人の手が加わった独特の景観で知られ、「地獄のぞき」は、絶壁に突きだした岩場からの眺めがスリル満点です。

2024年1月に、県内から訪れた雨宮米臧さんは、「展望台からは東京湾を一望でき、見どころが多いのです。登山初心者も誘いやすい」と満足そうでした。

2019年の房総半島台風で、登山道も大きな被害を受けましたが、地元有志の「鋸山復興プロジェクト」が中心となって、再整備をしてきました。鈴木裕士代表は、「鋸山は原石です。山中に埋もれた石切り場の遺構などの新たな魅力を発掘したい」と意気込んでいます。

 

[埼玉県]

伸びが3.29倍で10位の埼玉県では、横瀬町が秩父の山々に登山者を迎えるための施設を整えています。西武秩父線の芦ケ久保駅前に2023年4月、着替え用のテントやWi-Fiを備える休憩所を設けました。武甲山(1304メートル)の登山口に近い隣の横瀬駅で食堂も開店しています。まち経営課の田畑将伸さんは「下山後に地酒やクラフトビールを片手に、地元グルメを楽しんでほしい」と話しています。

 

  山中で過ごす時間が長い登山者は、交通費を除くと、飲料と携行食の購入ぐらいに消費は限られるのです。山と渓谷の五十嵐編集長は、「低山は公共交通を使えば、登山後にお酒を飲むゆとりもあります。地場料理と合わせたコースの紹介なども、工夫の余地が十分にあるのです」と指摘しています。

日本経済新聞2023年2月10日、朝刊、1面記事(上月直之、田崎陸)を参照・引用して記述。

 

[まとめ]

  この研究報告の執筆で参照・引用した2024年2月10日の日本経済新聞の朝刊1面、「高い山がない県で登山者が増えている。」(注)登山アプリ「YAMAP」の登頂記録を都道府県ごとに集計し、2019年と2023年を比較。県境の山は各県に1回ずつ重複集計。②「2023年に登頂回数が多かった山」。(注)登頂回数は、山頂ごとの集計。山の名前や場所、標高はヤマップの表記に従う。

 

[図表1]

図表1(注4)は、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、ここには「高い山がない県で登山者が増えている」と題した図表が記されていました。ここでは、登山アプリ(注1)の登頂記録を都道府県ごとに集計し、2019年と2023年を比較しています。県境の山は各県に1回ずつ重複集計しています。

そして「各都道府県」別の登頂者の伸びを、大きい順に4段階にわけ、日本列島の地図を色分けして示していました。

その色分けは以下です。「各都道府県別の登頂者の伸び」が、①4倍以上(黒緑色)、②3.5~4倍未満(黒緑色の斜線)、➂3~3.5倍未満(濃い緑色)、④3倍未満(淡い緑色)で分けて、地図に記載していました。

 

ここで「各都道府県別の登頂者の伸び」が最も大きかった処(4倍以上の伸び)は、黒緑色に塗ってあった処で、第1位沖縄県と第2位香川県の2カ所でした。さらにこれに続いて、登頂者の伸びが大きかった処(3.5~4倍未満の伸び)は黒緑色の斜線で示してあり、これは千葉県と、これに続く愛知県・岡山県の合計3カ所でした。

 

次に続いて伸びが大きかった処(3~3.5倍未満の伸び)は、その数が大分多くなります。それは以下です。宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、山梨県、神奈川県、静岡県、長野県、石川県、京都府、大阪府、兵庫県、山口県の16カ所です。

 

最後に残ったのは、伸び率が一番小さかった処(伸び率3倍未満)で、淡い緑色に塗っていました。それは以下です。北海道、青森県、岩手県、秋田県、新潟県、富山県、東京都、岐阜県、福井県、滋賀県、三重県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、熊本県、鹿児島県、徳島県、愛媛県、高知県の26カ所です。

この登頂者の増加率の最低の地域には、北海道と九州の全域と四国の殆ど(香川県を除いた全部)が含まれていました。すなわち、日本列島の南北端が、「各都道府県別の登頂者の伸び」が遅れているのです。そして、私が驚いたのは、これまで日本の未来を常に牽引してきた、首都東京都が、ここでは伸び率最少の組に止まっていたことです。

 

[図表2]

図表2(注5)は「2023年に登頂回数が多かった山題した図表でした。これを以下に記します。

 

図表2 「2023年に登頂回数が多かった山

        順位      山の名前                          標高(メートル)                               

    1     高尾山(東京)            599

    2     金剛山(大阪・奈良)        1125

    3     城山(東京、神奈川)         670

    4     塔ノ岳(神奈川)          1491

    5     筑波山(女体山、茨城)        877

    6     堀山(神奈川)            943

    7     景信山(東京、神奈川)        727

    8     葛木岳(大阪、奈良)        1125

    9     大山(神奈川)           1252

   10     陣馬山(東京)            855

   11     稲荷山(東京)            400

   12     筑波山(男体山、茨城)        871

   13     六甲山(兵庫)            931

   14     御岳山(東京)            928

   15     沓掛山(大分)           1503

   16     猿投山(愛知)            629

   17     摩耶山(兵庫)            702

   18     富士小屋山(東京・神奈川)      760

   19     南郷山(東京・神奈川)        789

   20     金華山(岐阜)            329

 

(注)登頂回数は、山頂ごとの集計。山の名前や場所、標高はヤマップの表記に従う。

 

この図表2を通覧してみますと、以下のことが分かりました。ここに記してある2023年に登頂回数が多かった山」は、都市近郊の低い山が多かったのです。本格登山は、標高1000メートル以上の山の登山が多いのですが、ここに記された「登頂回数が多かった山」は、1000メートル未満の「低い山」が多数でした。

 ここに記された20の山の内、標高1000メートルを超す山は、「5山」で、「1000メートル未満の低山」が「15山」を占めていました。

 山の所在地は、東京都が8カ所で最も多く、神奈川県が7カ所で、これに続いていました。以下、大阪府、兵庫県、奈良県、茨城県が2カ所、愛知県、岐阜県、大分県が1カ所でした。

 すなわち、首都圏が16カ所、関西圏が3カ所、中部圏が2カ所、九州が1カ所で、首都圏内の数が「だんとつ」でした。

 

 さきに分析した図表1の「各都道府県別の登頂者の伸びの調査」では、東京都は、「一番伸び率の低いグループ」の中で低迷していました。でも、この~2023年の登頂回数が多かった山」の個別調査では、東京都は、ダントツトップでした。

 

 

 これは一見、矛盾しているようですが、実は当然のことなのです。すなわち、「都道府県別の登頂者の人数」は、東京都は、都民人口が圧倒的に多数ですから、その多数人口全体の『伸び率』を増やしていくのは、とても難しいのです。

 その反対に、『年間の登頂回数』自体の増加は、都民人数が著しく多数である東京都では、増大しやすいのは当然なのです。

 ここで人数が著しく多数の東京都が、伸び率を上げてくれれば、全国の登頂者数の増加率の拡大に寄与するところは極めて大きいのです。これを、国をあげ、全国の企業や国民みんなで後押して、推し進めて行かねばなりません。そうすれば、各年度の各山別の登山回数で、東京都の「だんとつ」は、更に差を広げていくのは当然なのです。それは、日本全体の進化の継続にとって、とても重要なことなのです。

日本経済新聞2023年2月10日、朝刊、1面記事(上月直之、田崎陸)を参照・引用して記述。

 

 

(注1)登山アプリとは:登山ルートの確認・計画やルートの記録などに便利な機能を提供するアプリの総称。ログやコースタイムを記録しSNSとして共有できる機能を備えるものもある。

代表的な登山アプリ:①Yahoo!天気。豊富な天気情報が見られる。②YAMAP/ヤマップ。登山アプリで利用者数No.1。➂CAMPiii(キャンピー): キャンプ専用SNS‪

 

(注2)全地球測位システム(GPS)とは:人工衛星を利用して自分が地球上のどこにいるのかを正確に割り出すシステム。 米軍の軍事技術の一つ。

 

(注3)モニターツアーとは:訪日外国人の滞在先と言えば、かつてはゴールデンルートに集中していた。しかし、訪日リピーターが増加するにつれて地方を訪れるインバウンドも増えている。地方がインバウンドを誘致するためには適切なプロモーションが必要であるが、それには、ターゲットにアピールする旅行商品やサービスの開発が必要になる。そのような商品、サービス開発をスムーズに行うための旅行が「モニターツアー」である。

 

(注4)日本経済新聞2024年2月10日の朝刊1面に掲載された図表1、①「高い山がない県で登山者が増えている。」(注)登山アプリ「YAMAP」の登頂記録を都道府県ごとに集計し、2019年と2023年を比較。県境の山は各県に1回ずつ重複集計。

 

(注5)日本経済新聞2024年2月10日の朝刊1面に掲載された図表2、②「2023年に登頂回数が多かった山」。(注)登頂回数は、山頂ごとの集計。山の名前や場所、標高はヤマップの表記に従う。

 

  

(1)日本経済新聞、2024年2月10日(1面)。

[付記]2024年2月26日:

 
 
 

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