「日本再生]「地域創生」ロケ誘致 長崎が主役 2023年12月11日 茨城は「ゴジラ」 撮影地観光 手配に協力 全国に400団体
- honchikojisitenji
- 2023年12月11日
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続木 碧(つづき あお) 2023年12月(研究報告№092)
「巻頭の一言」
映画やテレビドラマなどのロケ誘致を、各地が競っています。撮影地の手配を協力する公的組織「フィルムコミッション(FC、注1)」は、全国に400団体あります。都道府県では長崎県や茨城県が誘致で主役を張っています。映像の舞台になれば認知度が高まり、ファンがゆかりの地を訪ねる「聖地巡礼(注2)」などが地域経済を潤します。日本経済新聞2023年11月25日、朝刊、2面記事(瀬口蔵弘、若杉敏也、近藤奈穂)を参照・引用して記述。
「日本再生]「地域創生」ロケ誘致 長崎が主役 茨城は「ゴジラ」 撮影地観光 手配に協力 全国に400団体
「日本再生]「地域創生」ロケ誘致 長崎が主役 茨城は「ゴジラ」 撮影地観光 手配に協力 全国に400団体
ここでは日本経済新聞の2023年11月25日2面の記事を紹介します。
[はじめに]
各地のフィルムコミッション(FC、注1)133団体が加盟するNPO法人、ジャパン・フィルムコミッション(JFC)の全国ロケーションデータベースに登録されたロケ候補地は、2023年11月21日時点で、1万1522カ所あります。都道府県では長崎県が最多の869カ所で、茨城県(707カ所)、香川県700カ所、佐賀県681カ所が続きます。国内のFC(注1)は2000年に大阪府で始めて誕生し、JFCによりますと現在396団体に膨らみました。
[長崎県]
長崎県内では島原市が2021年シティプロモーション課内の専門部署としてロケツーリズム班を立ち上げました。同年に清涼飲料のCMに登場した島原鉄道大三東(おおみさき)駅は「日本一海に近い駅」として、海上にホームが浮かんだような風景が注目され、今も多くの観光客が訪れています。
海や山、城や城下町などを武器に市内での撮影は2022年度に32件と3年前の4倍に急増しました。テレビなどへの露出を市が広告料に換算した効果は、22億円と前年度から倍増しました。また、移住者が最多の78人になるという副次効果も出たのです。同課の鍬取寛泰課長は「誘致でヒットを積み重ねたい」と話しています。
「ドーン」。爆発音とともに火炎が上がる前で、特撮のヒーロー姿などの参加者たちがポーズを決め、写真に納まっています。
[茨城県]
茨城県は2023年11月19日、県内のロケ地巡りと爆破シーン体験を組み合わせたバスツアーを開きました。県内外から集まった一行は、公開中の映画「ゴジラ-1.0(マイナスワン)が撮影された鹿島海軍航空隊跡(美浦村)も、見学しました。
茨城県は、県域テレビ局が唯一ない県なのですが、都心から近く田園や海、歴史的建物など多様なシーンに対応できるのが強みなのです。
市内の大半にフィルムコミッション(FC、注1)があり、県庁内に2020年から置く「いばらきフィルムコミッション」を窓口に、全県一丸で誘致に当たっています。
茨城県は、ロケ誘致による経済波及効果が、2022年度は8.2億円で、過去最高だったと推計しています。作品数も619本と最も多かったのです。県の担当者は「制作者のイメージに沿う場所の提案に、心がけてきた」と胸を張っています。また、大井川和彦茨城県知事は「ロケ地を絡めた観光政策を強化する」と意欲を示しています。
[佐賀県]
東南アジアからの撮影誘致で独自色を出すのが、佐賀フィルムコミッションです。2013年にタイ、2017年からはフィリピンの映像制作者へのロケ地売り込みに乗り出しました。佐賀県内の風景が描かれた2014年公開のタイ映画「タイムライン」は、タイの現地で大ヒットしました。ロケ地のうち、鹿島市の祐徳稲荷神社はタイ人旅行者の間で、人気が爆発しました。今も、その人気は続いています。
政府が2013年にビザを緩和したこともあり、佐賀県内で宿泊するタイ人の観光客は、新型コロナウイルス禍前の2019年で、2013年の30倍に膨らんだのです。2023年6月にはマレーシア発のドラマ「FROM SAGA WITH LOVE」が佐賀県内の各地を舞台に製作され、今秋からアジア各国や中東で配信されます。
[この項のまとめ]
コンテンツツーリズム学会の会長、法政大学の増淵敏之教授は、ロケ誘致の恩恵を地域で最大限生かすには、「そこに人を呼び込めるかが大切。作品の中で地元グルメをみせるなど、工夫次第で大きな可能性がある」と指摘しています。日本経済新聞2023年11月25日、朝刊、2面記事(瀬口蔵弘、若杉敏也、近藤奈穂)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年11月25日の日本経済新聞の朝刊2面の記事には、三つの図表が記載されていました。①ロケ候補地のデータ登録数ベース(出所)ジャパン・フィルムコミッション「全国ロケーションデータベース」。埼玉・神奈川は非加盟。②主な映画ロケ実績 データベース登録数。➂フィルムコミッションが増え、邦画の優勢が続く。
[図表1]
図表1(注3)は、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「ロケ候補地のデータベース登録数」と題した図表でした。ここではロケ実施候補地のデータベース登録について、「黒緑、濃い緑、緑の斜線、灰色の未登録」で塗り分けて示してありました。
これによりますと、都道府県別のロケ候補地のデータべースの登録数の最大の地域は、500以上の地域で、黒緑色に塗ってありました。これが実現できていたのは、一位長崎県、2位茨城県、3位香川県で、これに佐賀県、兵庫県、新潟県、熊本県が続いていました。合計で7県でした。
次にデータベース登録数が多かった地域は、濃い緑色で塗ってあった処で「100以上500未満」の地域でした。すなわち、これが実施できていた地域は、北海道、岩手県、秋田県、宮城県、東京都、山梨県、長野県、岐阜県、富山県、石川県、福井県、滋賀県、三重県、奈良県、大阪府、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、佐賀県、熊本県の1都1府20県の22カ所でした。
なおここでは埼玉県、神奈川県は非加盟であり、青森県は未登録でした。残りの15カ所が「100未満」の少量実施地域だったのです。
この図表1を見渡してみますと「ロケ地のデータベースを増やす活動」は、日本全土に広く広がっていました。全国47都道府県のうち44がこの活動に参加していました。
日本の未来に向けて、経済力の向上に大きく貢献すると思われる、このデータベース拡大活動が、日本国土全体に広く拡大していることは、凄く素晴らしいことです。日本経済新聞2023年11月25日、朝刊、2面記事(瀬口蔵弘、若杉敏也、近藤奈穂)を参照・引用して記述。
[図表2]
図表2(注4)は「主な映画ロケの実績」と題した図表でした。これを以下に記します。
図表2 「主な映画ロケの実績」
都道府県 映画タイトル 主なロケ地 公開年
長崎県 サバカン 長与町 2022年
SABAKAN
母と暮らせば 長崎市 2015
茨城県 ゴジラ—1.0 美浦村 2023
東京リベンジャーズ 土浦市 2021
香川県 八日目の蟬 小豆島 2011
世界の中心で愛を叫ぶ 高松市 2004
佐賀県 タイ製作 鹿島市 2014
「タイムライン」
悪人 佐賀市 2010
兵庫県 THE LEGEND& 丹波篠山市 2023
BUTTERFLY
新潟県 大名倒産 村上市 2023
この図表2には、映画ロケの主な実績が記されていました。映画のタイトル、主なロケ地、公開した年が、都道府県ごとに記されていました。
映画の公開が開始されたのは、2004年で、香川県が最初でした。続いて佐賀県の2010年、長崎県の2015年が続きました。2021年からは、続々と公開されています。2021年茨城県、2023年兵庫県、新潟県の公開です。
[図表3]
図表3(注5)は「フィルムコミッションが増え、邦画の優勢が続く」と題した図表でした。この図表には、上段と下段に二つ図表が書いてありました。上段は折れ線グラフで下段は棒グラフでした。上段は「全国フィルムコミッションの総数の推移を示す折れ線グラフでした。そのグラフのための右側縦欄には「全国FCの総数」の(0~400)が記してありました。また、下欄には「2000年から2023年まで」の(年)が記してありました。この縦横軸を用いて「全国のフィルムコミッションの総数推移」を示す折れ線グラフが記されていました。この全国のフィルムコミッションの総数の推移は、2000年の「0」から2020年の「400」にまで、右肩あがりで、ほぼ直線で上昇していました。
また下段は、「洋画+邦画合計」の興業収入を示した棒グラフを書いたものです。そのグラフのための左側縦欄には「0~2500億円」と興業収入が記されていました。また下欄は、上段と共通で「2000年~2023年」の(年)でした。この縦横を用いて、興業収入の棒グラフが書かれていました。なお、この棒グラフは、緑色と黄緑色の2色で書かれています。邦画は緑色で黄緑色は洋画でした。
この邦画と洋画の合計の興業収入は、2001年から2010年にわたって、ほぼ2000億円を維持していました。これが2011年に1750億円に転落したのです。これはその後、回復・転落の波を繰り返しましたが、2023年には、2500億円を超えたのです。
一方、緑色の邦画は、2000年の500億円から、2023年の1500億円へと、ほぼ順調に右肩あがりで増加しています。ここで「洋画+邦画合計」から邦画を引いた残りが洋画の興業収入です。
この20年間、邦画は右肩あがりであり「洋画+邦画」は横這いですから、洋画は右肩下がりだったということです。近年、邦画がきわめて優勢であり、その差は常に拡大しています。日本経済新聞2023年11月18日、朝刊、2面記事(瀬口蔵弘、若杉敏也、近藤奈穂)を参照・引用して記述。
(注1)フィルム・コミッション(Film Commission、略称:FC)とは、地域活性化を目的として、映像作品のロケーション撮影が円滑に行われるための支援を行う団体である。具体的にはロケ撮影に際して、映像制作者と地域社会(自治体、施設所有者など)との間にフィルム・コミッションが入り、各種連絡・交渉などの調整係の役割を果たす。映像作品は、撮影時や上映による経済効果が大きいため、フィルム・コミッションが映像作品の誘致活動などを積極的に行っている。
(注2)聖地巡礼は、宗教的に重要な意味を持つ場所(聖地)を訪問するというのが本来の意味である。四国八十八箇所めぐりや紀伊山地の霊場と参詣道の巡礼路等がよく知られている。近年はそれが転じて、自身が思い入れを持っている場所(「聖地」)を訪問する(「巡礼」)ことを指す例が一般的になってきた。
聖地巡礼型観光(ピルグリム・ツーリズム)と言う語も,近年注目されている。NHK大河ドラマの舞台となった地域では、放映期間前後に観光客が増加することから、その経済効果がさまざまに推計・公表されている。また、「北の国から」における富良野市、「転校生」等のいわゆる尾道三部作における尾道市、「冬のソナタ」における韓国・春川市等の例では、中長期に渡って観光客を惹き付けているものがあったとみられている。
また、外国人が「奥の細道」における松尾芭蕉の足跡を辿った事例も報告されている。「聖地巡礼」型観光(ピルグリム・ツーリズム)とでもいうべき観光行動が、近年、世界的にみても顕著になってきている。
(注3)日本経済新聞2023年11月25日の朝刊2面に掲載された図表1、①ロケ候補地のデータベース登録数(出所)ジャパン・フィルムコミッション「全国ロケーションデータベース」。埼玉・神奈川は非加盟。
(注4)日本経済新聞2023年11月25日の朝刊2面に掲載された図表2、②主な映画ロケ実績 データベース登録数。
(注5)日本経済新聞2023年11月25日の朝刊2面に掲載された図表3、➂フィルムコミッションが増え、邦画の優勢が続く。
(1)日本経済新聞、2023年11月25日(2面)。
[付記]2023年12月11日:
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