「日本再生]「地域創生」「過疎地ライドシェア」着々 2024年4月1日 登録4500台、制度開始から2倍 北海道最多 登校・通院の足に
- honchikojisitenji
- 2024年4月1日
- 読了時間: 9分
続木 碧(つづき あお) 2024年4月(研究報告№102)
「巻頭の一言」
一般ドライバーが自家用車などを使って有償で客を運ぶ「ライドシェア(注1)」が2024年から条件付きで始まりました。これに先駆けて、公共交通が不便な地域で2006年に導入された「過疎地ライドシェア(注1)」が、広がりをみせています。交通弱者の足として全国の登録台数は4000台を超えました。最多の北海道では、地元運送会社の運転手が、町有バスを運転するなど、課題となるドライバーの確保にも知恵を絞ります。
日本経済新聞2023年3月23日、朝刊、1面記事(桜井佑介、井田正利)を参照・引用して記述。
「日本再生]「地域創生」「過疎地ライドシェア(注1)」着々 登録4500台
制度開始から2倍 北海道最多 登校・通院の足に
「日本再生]「地域創生」「過疎地ライドシェア」着々 登録4500台 制度開始から2倍 北海道最多 登校・通院の足に
ここでは日本経済新聞の2024年3月23日、朝刊1面の記事を紹介します。
[はじめに]
バス・タクシーのように、料金を取って客を運ぶには、第2種運転免許を持つ運転手と登録ナンバーの営業車両が必要になります。ただ、過疎地などでは、一般ドライバーが自家用車などで客を運ぶ「交通空白地有償運送(注3)」が認められる場合があります。国は運賃の目安をタクシーの5割程度としましたが、運転手確保に向けて、昨年12月に8割程度に引き上げました。
日本経済新聞は、国土交通省や都道府県が把握する登録車両数を2024年2月末で集計しています。全国合計は4537台と2006年の3.2倍に増えました。都道府県別では、北海道が456台と最多で、長野県、島根県が続きました。
[北海道] 北海道の酪農のまち、標茶(しべちゃ)町では、飼料や生乳を輸送する運送会社の運転手が、過疎地ライドシェア(注1)の仕組みを使って町有バスを運行しています。運賃は60円からで、町全域から通学する学生や通院する高齢者らを運びます。運送会社には、町の予算で料金収入を上回る4400円を支払います。
運転手は各種行事に使うバスなども運転することで、トラック輸送に近い収入を得ています。佐藤吉彦町長は「町営バスを走らせようにも、運転手の確保が難しいのです。運送会社と提携することで住民サービスを守っています」と話しています。
石狩市では、NPO法人「あつたライフサポートの会」が漁村地区で17台を運行しています。安全講習を受けた住民が、自家用車で高齢者を自宅から高齢者施設などに送迎しています。利用者は年1000円の会費と距離に応じた料金を支払います。同地区の路線バスは運行間隔が5時間空く時間帯もあり、タクシーも1台だけです。広川松江(88)さんは「夏場は歩いて外出できますが、冬は危ないので助かっています」と話しています。
2023年から、コンビニや医療機関なども行き先に加えましたが、運転手確保は大きな課題です。運転した住民は、ガソリン代と1時間あたり1000円を受け取りますが、2024年からは時間が短くても1回250円を保障する制度も、現在、検討中です。現在のドライバーは、平均年齢が60歳前半です。「次世代の担い手を確保するためにも一定の報酬を確保したい」と話しています。
[徳島県 山梨県]
全国の運行団体別の車両数は、徳島県上勝町の一般社団法人「ひだまり」が、55台で最も多く、山梨県丹波山村のNPO法人「小さな村総合研究所」が、これに続きます。地元自治体は、送迎に協力する住民を広報で募りますが、都市部から来た地域おこし協力隊員に、参加を呼びかけて運転手確保を助けています。
[この項のまとめ]
今年度から、タクシー不足が深刻な都市部や観光地で、タクシー会社が主体となった「日本版ライドシェア(注2)」が始まりました。過疎地ライドシェア(注1)もさらなる規制緩和が予定されています。対象地域は異なるものの、いずれも既存の交通手段の不足を補う狙いがあり、住民の足を守るためにも、ライドシェアの注目度がさらに高まることは間違いありません。
地域交通に詳しい名古屋大学の加藤博和教授は、「地方の人手不足は深刻で、運転手を確保できずに、交通空白地有償運送(注3)をやめる自治体も出てきています」と指摘しています。そして「地域の実情に合わせて、ドライバー確保に工夫を凝らす必要があります」と話しています。
日本経済新聞2023年3月23日、1面記事(桜井佑介、井田正利)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照・引用した2024年3月23日の日本経済新聞の朝刊1面の記事には、三つの図表が記載されていました。①過疎地ライドシェア(注1)運行規模(2024年、車両数)。(注)国交省や内閣府、都道府県が、公表する自家用有償旅客運送者登録簿から2月に集計。②団体別では徳島県の団体が全国首位。➂車両数は全国で拡大が続く。(注)2023年まで、国交省公表分、3月時点。2006年のみ9月時点。
[図表1]
図表1(注4)には、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、ここには、2024年時点における、都道府県別の、「過疎地ライドシェア(注1)」の運行車両数が記述されていました。そして、その都道府県別の、車両数の大きい処から小さい処へ順に、地図上に色付けして示しています。ここでは、各都道府県の「過疎地ライドシェア(注1)の運行車両数」を、5段階に分けて色分けして図示しています。
その色分けは以下です。①運行車両台数300台以上、黒青色で図示。②運行車両台数200~300台未満、濃い青色の斜線で図示。➂運行車両台数100~200台未満、青色で図示。④運行車両台数100台未満、淡い青色の斜線で図示。
ここで各都道府県の「過疎地ライドシェア(注1)の運行車両数」が、最大の処(300台以上)は、黒青色で図示してある処で、これに該当する地域(第1群)は、第1位の北海道の1カ所だけでした。
「各都道府県の「過疎地ライドシェア(注1)の運行車両数」が、次に多い処(200~300台未満)は、濃い青色の斜線で示した処でした。これに該当する地域(第2群)は、2位の長野県及び島根県、第4位の岡山県の3カ所でした。
さらに「過疎地ライドシェア(注1)の運行車両数」が、その次ぎに多い処(100~200台未満)は、青色で示した処でした。これに該当する地域(第3群)は、岩手県、山形県、新潟県、富山県、岐阜県、京都府、兵庫県、島根県、奈良県、徳島県、愛媛県、高知県の13カ所でした。
「運行車両数」が最少の100台未満の処(第5群)は、最も多くの地域がこの群れの中に属しており、これを列記しますと以下です。すなわち、これは青森県、秋田県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、千葉県、山梨県、愛知県、石川県、福井県、滋賀県、三重県、大阪府、和歌山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県、香川県の29カ所でした。
最後に「運行車両数」がゼロの地域が1カ所あります。それは神奈川県です。これは地図では、灰色で塗ってありました。
この図表1を概観してみますと、以下のことがわかりました。「過疎地ライドシェア(注1)の運行車両数」を、都道府県別にみますと、北海道が圧倒的なトップです。また、「地域数」が一番多い群は、「運行車両数」が最少(100台未満)の地域(29カ所)で、九州全域と本州の多くの部分を占めていました。「運行車両数」が中位の地域は、四国は全域にひろがり、本州内には広く点在していました。
過疎地ライドシェア(注1)の活用は、全国に広く広がっていましたが、「運行車両数」100台未満で、これから、この活動が始まる地域が、全国の63.0%を占めているのです。すなわち、このライドシェアの活用は、これから本格的に始まる活動なのです。まさに今が、出発点の最重要な時期なのです。
日本経済新聞2023年3月23日、朝刊1面記事(桜井佑介、井田正利)を参照・引用して記述。
[図表2]
図表2(注5)は「団体別では、徳島県の団体が全国首位」と題した図表でした。ここでは「地域別ならびに団体別の順位、都道府県名、車両数」を記載しています。これを以下に記します。
図表2「団体別では、徳島県の団体が全国首位」
[地域]
順位 都道府県名 過疎地ライドシェア車両数
1 北海道 456台
2 長野県 248
3 島根県 248
4 岡山県 209
5 京都府 186
[団体]
順位 団体名、(都道府県) 過疎地ライドシェア車両数
1 ひだまり(徳島県) 55台
2 小さな村 総合研究所(山梨県) 51 3 朝日町(富山県) 44
(注)2023年までは、国交省公表分,3月時点。2006年のみ9月時点。
この図表を通観してみますと以下のことがわかります。地域別では、図表1の解析で述べた、ライドシェアの車両台数が多い地域である第1~2群と、3群の先頭の京都府の4カ所が、ここでは取り上げてありました。
これに対して、団体の方を見ると、大分事情が違うのです。ここで、上位にいる徳島県、山梨県、富山県は、熱心な活動家がいる地域です。都道府県別の車両保有数の多い処とは、また違うのです。この活動で日本を牽引していく牽引者を見定めるには、十分な注意が必要です。
日本経済新聞2023年3月23日、1面記事(桜井佑介、井田正利)を参照・引用して記述。
[図表3]
図表3(注6)は、「車両数は、全国で拡大が続く」と題した図表でした。この図表は、2006年から2024年にかけての「過疎地ライドシェア車両数の拡大」を示す図です。
この図表は、2006年から2024年までの「過疎地ライドシェア車両数の拡大」を示した棒グラフでした。
そのグラフのための左側縦欄には「0~5000(台)」の「過疎地ライドシェア車両数(台)」が記載されていました。また下欄には「2006年~2024年」の(年)が記してありました。
この縦横欄を用いて、2006年~2024年にかけての「過疎地ライドシェア車両数の拡大」の推移を示す棒グラフを書いていました。
この棒グラフの列が示す図表3を概観してみますと、2006年から2024年にかけて、「過疎地ライドシェア車両数(台)」は、順調に右肩上がりで拡大していました。
でも、青い棒グラフの頭部を結ぶ線は、右肩上がりですが、一直線ではなく、折れた直線でした。最近(2021年~2024年)は、特に好調なのです。
現在、全国46都道府県の63%を占める29カ所が、「運行車両数100台未満」の最少の地域であり、近未来に、さらに上位の段階に、急速に進んでいくものと、私は確信しています。
日本国土の隅々まで頑張る人々がいて、空白な処がない国を作りたい日本国にとって、この「過疎地ライドシェア車両数の全国拡大」は、きわめて重要なのです。国をあげ、地域をあげ、国民の総力を合わせて、これを推進して行かねばなりません。
日本経済新聞2023年3月23日、朝刊1面記事(桜井佑介、井田正利)を参照・引用して記述。
(注1)ライドシェア:自動車に相乗りすること。交通渋滞の緩和や,環境負荷の低減などを目的とした相乗りをさす。燃料費や交通費は同乗者が分担する。過疎地で利用されるものを過疎地ライドシェアと呼ぶ。
(注2)日本版ライドシェアとは:第一種運転免許を持つ一般ドライバーの有償旅客運送を認める制度で、タクシー事業者の運行管理の下、都心部ではタクシー需要が増大する通勤時間帯や悪天候時に、地方では需給バランスを崩さない範囲に限定して実施されている。日本版ライドシェアの実現により、都心や地方都市におけるタクシーの供給不足への速やかな対応、リアルデータの収集、データに基づいた交通政策論議の促進、働き方の多様化を踏まえた副業・兼業機会の提供が期待されている。
(注3)交通空白地有償運送とは、バス、タクシー等の公共交通機関によってでは、地域住民又は観光旅客を含む来訪者に対する十分な輸送サービスが確保できないと認められる場合において、市町村又は特定非営利活動法人等による提供が出来る移動サービスである。
(注4)日本経済新聞2024年3月23日の朝刊1面に掲載された図表1、①過疎地ライドシェア運行規模(2024年、車両数)。(注)国交省や内閣府、都道府県が、公表する自家用有償旅客運送者登録簿から2月に集計。
(注5)日本経済新聞2024年3月23日の朝刊1面に掲載された図表2、②団体別では徳島県の団体が全国首位。
(注6)日本経済新聞2024年3月23日の朝刊1面に掲載された図表3、➂車両数は全国で拡大が続く。(注)2023年まで、国交省公表分、3月時点。2006年のみ9月時点。
(1)日本経済新聞、2024年3月23日(1面)。
[付記]2024年4月1日:
Comments