「日本再生]「地域創生」「出生率1.8」全国の5%」2023年12月18日 政府目標実現 2015年から半減 山梨県忍野村 企業と一体子育て支援
- honchikojisitenji
- 2023年12月22日
- 読了時間: 9分
続木 碧(つづき あお) 2023年12月(研究報告№093)
「巻頭の一言」
政府が2015年から少子化対策で重視している「希望出生率1.8、注1」を、2022年は92市町村が実現したことが分かりました。これはとても期待が持てることです。今、日本全体で出生率が下げ止まらないなか、高水準を続ける自治体は、立地企業との連携や宅地開発、教育充実などにより、子育て世帯が暮らしやすい環境を、整えているのです。日本経済新聞2023年12月2日、朝刊、1面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
「日本再生]「地域創生」「出生率1.8」全国の5%」政府目標実現 2015年から半減 山梨県忍野村 企業と一体子育て支援
「日本再生]「地域創生」「出生率1.8」全国の5%」政府目標実現 2015年から半減 山梨県忍野村 企業と一体子育て支援
ここでは日本経済新聞の2023年12月2日1面の記事を紹介します。
[はじめに]
合計特殊出生率(注2)は、女性1人が生涯に産む子の数の推計です。人口維持には2.07人程度を保つ必要があるとされますが、政府は1.8人を当面の目標としました。結婚し子がほしい夫婦の希望をかなえる目安としましたが、日本の出生率は2016年から低下が続くのです。新型コロナウイルス禍に伴う婚姻減なども響いて2022年は1.26と2005年と並び過去最低となったのです。
国は各市区町村の出生率を5年ごとの国勢調査の公表年を𨦇む5年平均で出しています。でも、今の最新情報は、2013~2017年平均と、どうしても古くなるのです。
一方、東京都は、市区町村の毎年の出生率を住民基本台帳から独自に算出しています。都保険医療局は、「国と微妙に数値が異なりますが傾向はつかむことができます」と言っています。
日本経済新聞社は、この都の手法を用いて、2023年1月時点の人口と、2022年の出生数から全国市区町村の最新の出生率を割り出しました。今日は、これについての研究報告を書きます。
[出生率は西日本が高い]
出生率は総じて、西日本が高いのです。国が毎年公表する都道府県別では、2022年に沖縄県(1.70)、宮崎県(1.63)が上位でした。市区町村別でも、希望出生率1.8以上を2015年から8年続ける10市町村は、全て九州・沖縄でした。
[山梨県忍野村]
東日本では山梨県忍野村(1.92)と北海道共和町(2.05)が7回達成しました。山梨県忍野村は、産業用ロボット、ファナックの企業城下町です。村にある本社工場で400人が働きます。住居の中心は独身社員向けの寮5棟です。家族で住める社宅も13棟あり、野球、サッカー場、テニスコートなど、社員には、無料か格安の福利厚生施設がそろっています。村の村民課の担当者は「きょうも昨日も、その前もファナックさん」と言っています。人口1万人の村にある「ファナック地区」は、過去20年で住民が2000人以上に倍増しました。第2子以降の保育料は所得制限なく無償です。
寮や社宅を出て近隣の富士吉田市に住まいを構える社員も多く、村では引き止めへ住宅の新築・購入時に100万円を補助しています。
[北海道共和町]
北海道央の共和町で、インターナショナルスクールを中心とした開発計画が進んでいます。国際リゾートのニセコ地区に近く、国際的な教育環境を特色として若い世代を呼び込んでいます。
[鹿児島県徳之島町・天城町]
鹿児島奄美群島の徳之島にある徳之島町は、出生率1.8以上が8年続く市町村のうち2022年の出生率が最も高いのです。徳之島の島内の天城町も8年連続です。「子宝島」と呼ばれる島で唯一の空港は2012年に、愛称が「徳之島子宝空港」となりました。島ぐるみで子育てを支える気風が根付いています。
[福岡県粕屋町]
福岡県粕屋町も希望出産率を8年連続で実県しました。鉄道駅が6つあり福岡市への好アクセスから成長してきたのです。町は駅前などの区画整理で住宅地として利便性を高め、保育施設も充実しています。
[この項のまとめ]
経済統計に詳しい神奈川大学の飯塚信夫教授は「結婚・出産に、経済的な要因は無視できません。安定した職は出生率率の髙さにつながります」と指摘しています。また一方で「日本全体の成長力や働く人の可処分所得を増やす政策の推進も大事です」と強調しています。日本経済新聞2023年12月2日、朝刊、1面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した2023年12月2日の日本経済新聞の朝刊1面の記事には、四つの図表が記載されていました。①「希望出生率(注1)」実現は西日本が先行。(注)2022年希望出生率1.8以上を実現した市区町村の割合。②希望出生率が続く10市区町村。(注)2015年から8年連続で出生率1.8以上の市町村。2022年の合計特殊出生率(注2)で順位付け。➂希望出生率の達成年数の多い町村は東日本にも。④希望出生率を実現した市区町村は半減。
[図表1]
図表1(注3)は、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、これは「希望出生率出現は西日本先行」と題した図表でした。
ここでは2022年に希望出生率1.8を実現した市区町村数について、都道府県ごとに、その出現数の大きい順に色分けして示していました。すなわち、ここでは、その数の大きい順に、「黒茶色、濃い茶、淡い茶、淡い黄茶色の斜線、なし(灰色)に塗り分けて示してありました。
これによりますと、都道府県別にみて、希望出生率1.8(注1)の市区町村の出現数の最も多い地域は、その数が15%以上の地域で、黒茶色に塗ってありました。これが実現できていたのは、一位沖縄県、2位宮崎県、3位島根県で、これに福井県が続いていました。合計で4県でした。
次に、希望出生率1.8を実現する市区町村数が多かった地域は、濃い茶色で塗ってあった処で、その数が「10~15%未満」の地域でした。すなわち、これが実施できていた地域は、佐賀県、長崎県、熊本県の3県でした。
さらに三番目の「5~10%未満」の地域は、大分、構成メンバー数が多くなります。ここいる地域は以下です。
すなわち、北海道、青森県、福島県、長野県、石川県、奈良県、鳥取県、岡山県、広島県、山口県、福岡県の11県でした。
最後の「5%未満」は、希望出生率市区町村の出現数が少なく5%に満たない集団で、東京・京都を含む「関東から関西に到る本州の中核部」と「四国の半分」が、このグループに入っていました。このグループには、岩手県、東京都、岐阜県、京都府、三重県、和歌山県、徳島県、高知県の8地区が入っていました。東京・京都など、そうそうたるメンバーがいます。
これらの全ての地域を除いた残り、21カ所が「なし」です。すなわち、全体の32.8%が、この活動が開始前なのです。すなわちこれは、今から始まるプロジックトなのです。
[図表2]
図表2(注4)は「希望出生率が続く10市町村」と題した図表でした。これを以下に記します。
図表2 「希望出生率が続く10市町村」
順位 自治体名 2022年の
合計特殊出生率
1 徳之島町(鹿児島県) 2.40
2 長島町(鹿児島県) 2.24
3 天城町(鹿児島県) 2.13
4 南風原町(沖縄県) 1.98
5 八重瀬町(沖縄県) 1.87
6 豊見城市(沖縄県) 1.86
7 粕屋町(福岡県) 1.84
8 宣野座村(沖縄県) 1.83
9 糸満市(沖縄県) 1.82
10 中城村(沖縄県) 1.80
(注)2015年から8年連続で出生率1.8以上の市町村。
2022年の合計特殊出生率(注2)で順位付け。
この図表2には、希望出生率1.8が、2015年から8年連続して実現している市町村が10市町村示してありました。なお、この順位付けは、2022年における合計特殊生産率(注2)の大きい順としました。なお、この10地域は全て、沖縄・九州地域です。このプロジェクトが西高東低であることを見事に示しています。
[図表3]
図表3(注5)は「希望出生率の達成数の多い町村は東日本にも」と題した図表でした。図表1(注1)で既に述べたように、この「希望出生率1.8の実現」の実績は、西高東低でした。九州と中国地方が、圧倒的に進んでいたのです。それが、東日本にも実現している地域があると言うことで、この図表3を加えたのです。
この図表では、上覧に、希望出生率1.8以上を達成した市区町村の数として、0~30が示されていました。そして左側縦欄には、希望出生率1.8以上の連続実現年数を5~8年と記していました。
この図表には、西日本ならびに東日本ので、5年から8年(東日本は7年)にわたり実現した町村を列記しています。この図表を以下に記します。
図表3「希望出生率の達成年数の多い町村は、東日本にも」
[西日本]
希望出生率1.8
達成の連続年数 代表的な自治体 ( )内は、ここに含まれる
希望出生率実施町村数
8年 沖縄県南風原町 (10)
7 滋賀県栗東市 (20)
6 岡山県奈義町 (23)
5 長崎県奈々町 (20)
[東日本]
7年 山梨県忍野村 (2)
6 山形県三川町 (2)
5 北海道猿払村 (3)
この図表には、西日本ならびに東日本で5年から8年(東日本は7年)にわたり、実現した町村を列記しています。東日本でも最長7年連続で、希望出生率1.8が実現した例がありますが、実施町村数は、西日本が(10~23)と多いのに対して、東日本では、まだ(2~3)と少ないのです。
[図表4]
図表4(注6)は、「希望出生率を実現した市区町村は半減」と題した図表でした。この図表には、2015年から2022年までの二つのことを書いていました。左側縦欄には、実現した市区町村の数の0~200が書いてありました。下欄には、2015年から2022年の(年)が書いてありました。そして、この縦横軸を用いて「希望出生率を実現した市区町村数」を、棒グラフで書いてありました。この茶色の棒グラフは、2015年から2018年までは、175市区町村で横這いでした。これが2019年から2022年にかけては右肩下がりの減少を始めたのです。2019年の140市区町村から2022年には80に減少しています。
この減少率を右側縦軸の目盛が示しています。この目盛は、4~12%と記してありました。
この図表4は、これと2015年~2022年の横欄の「年」において、希望出生率を実現した市区町村の割合を示ています。そして、これを折れ線グラフで書いていました。この折れ線グラフは、2015年~2018年の間は10%で推移していましたが、2019年~2022年は、9.5~7.8%へと右肩下がりで下降しています。
この研究報告では、図表1などで、熱意ある各地での「希望出生率」の増加を報告してきました。しかし、全体としての実現は、実は減少しているのです。
私は、ここで、日本の未来の経済成長に向けて、「希望出生率」の希望に満ちた報告をしてきました。熱心な各地の改革者の努力で、明るい希望が多く見えてきましたが、全体としては、減少しているのです。これからは、この「減少」に対する対処を、国をあげ、企業と国民みんなが総力をあげ、前進させて、いかねばなりません。今こそ、みんなの頑張りが必要です。日本経済新聞2023年12月2日、朝刊、1面記事(桜井祐介)を参照・引用して記述。
(注1)希望出生率1.8とは:若い世代の結婚や出産の希望がかなったときの出生率の水準。「いずれ結婚するつもり」と答えた未婚者が9割を占めた調査を前提に、夫婦が予定する子どもの数(2.07人)に離婚などを勘案し、1.8を想定した。
(注2)合計特殊出生率(Total fertility rate、略称:TFR)とは:人口統計上の指標で、15~49歳までの既婚・未婚を問わない全女性の年齢別出生率を合計したもので、女性人口の年齢構成の違いを除いた「その年の出生率」を意味する。年次比較、国際比較、地域比較に用いられている。一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に産むとしたときの子供の人数に相当する。この指標によって、異なる時代、異なる集団間の出生による人口の自然増減を比較・評価することができる。
(注3)日本経済新聞2023年12月2日の朝刊1面に掲載された図表1、①「希望出生率(注1)」実現は西日本が先行。(注)2022年希望出生率1.8以上を実現した市区町村の割合。
(注4)日本経済新聞2023年12月2日の朝刊1面に掲載された図表2、②希望出生率が続く10市町村。(注)2015年から8年連続で出生率1.8以上の市町村。2022年の合計特殊出生率(注2)で順位付け。
(注5)日本経済新聞2023年12月2日の朝刊1面に掲載された図表3、➂希望出生率の達成年数の多い町村は東日本にも。
(注6)日本経済新聞2023年12月2日の朝刊1面に掲載された図表4、④希望出生率を実現した市区町村は半減。
(1)日本経済新聞、2023年12月2日(1面)。
[付記]2023年12月18日:
コメント