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「日本再生]「地域創生」 SDGs 先進地は北陸 2023年8月7日 国が182都市選定 石川県最多 市民と街づくり 間伐材燃料

  • honchikojisitenji
  • 2023年8月11日
  • 読了時間: 9分

続木 碧(つづき あお) 2023年8月(研究報告№076)

「巻頭の一言」

 国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs、注1)の推進が、今、世界で、急に熱を帯びてきまました。日本でも、各地に熱心に進める人達が現れており、日本も急進化しそうだと、私は期待しています。

 でも、世界での競争をみてみると、どんどん、遅れているのです。日本も、ここで国の総力を上げて、追いつかねばなりません。日本の未来が、とても、とても心配です。


「地域創生」SDGs 先進地は北陸 国が182都市選定 石川県最多 市民と街づくり 間伐材燃料

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

「地域創生」SDGs 先進地は北陸 国が182都市選定 石川県最多 市民と街づくり 間伐材燃料

ここでは日本経済新聞の2023年7月22日2面の記事を紹介します。


[はじめに]

2015年に国連で採択されたSDGs (持続可能な開発目標、注1)の推進を重視する自治体が、日本でも増えています。経済と社会、環境のバランスに配慮した17項目の目標は、地域の課題解決や活力向上にも指針となります。都道府県ごとの取組みでは、北陸の2県や鳥取県などが先行しています。

日本経済新聞、2023年7月22日の2面(瀬口蔵弘、石黒和宏、国司田拓児)を参照引用して記述。


[SDGs未来都市]

内閣府は、持続性を考えた特色あるまちづくりや地域振興などに取り組む自治体を、「SDGs未来都市(注1)」とし、年間で1都市2500万円を上限として総額2億5千万円を補助しています。モデル事業は計60都市を対象とします。日本経済新聞、2023年7月22日の2面(瀬口蔵弘、石黒和宏、国司田拓児)を参照引用して記述。


[石川県]

 石川県は、県内に未来都市(注1)が9箇所あり、県を含めた全自治体に占める割合が45%と最も高いのです。そして富山県と鳥取県が25%でこれに続きます。

石川県野々市市(ののいちし)は、2023年度に未来都市(注1)とモデル事業に選ばれました。これをチャンスとして捉え、市の若手職員によるワーキングチームは、「ののいちSDGsアクションマップ」を、今春完成させました。これは「古民家を改装してのパーティーの開催」や「シェアドサイクル(注2)による自在な移動」など、市民が、地域の未来において挑むことが多そうな行動を、市内各地と関連づけて地図に示したものです。

市内には地元の2大学の学生がキャンパスを構え、若者の流入は多いのです。でも、その若者たちを、どう定住させるかが問題なのです。この地図は、2大学の学生が、地元の教育スタートアップ(注3)と、貴重な遺跡などの地域の資源や公的施設を調査し、関係者が意見を交わして作り上げました。野々市市(ののいちし)計画課の担当者は、「この地図は、若者を中心にした行動を促し、市民協働による、住み続けたいまちづくりにつながる」と、言っています。


[富山県]

 選定された自治体は、その目指す姿を明確にし、住民ら各層の関心を呼んで、変革に勢いを付けています。富山県南砺市は、総面積の8割を豊かな森が占めています。この森林を生かすエコビレッジ構想(注4)を柱に、2019年からモデル事業に取り組みました。2018年に間伐材などを木質ペレット(注5)に加工する工場を設け、それを燃料とするストーブやボイラーを市内で導入する際には補助をしています。工場の年間売上高は7000万円です。無駄のない資源循環により、域内で経済効果を生んでいます。

 資金面でも地域循環を重視し、2019年に公益財団法人「南砺幸せ未来基金(注6)」を立ち上げました。市内外から小口で募った累計2020万円の寄付を生かし、防災や除雪、多世代交流といった地域の諸活動を担う32団体に、助成しました。コミュニティの担い手を育てる人の循環も狙っています。


[鳥取県]

 県単位で経済のテコ入れに結びつける動きも拡がっています。

 人口や経済規模が都道府県で最も小さい鳥取県は、県自体が2022年度にモデル事業に選ばれました。鳥取県は、意欲的な県内業者を対象として、2022年度から「とっとりSDGs企業認証」を独自に実施しています。建設、金融など43社がすでに認証を取得しています。県制度の融資が使えます。県が手掛けるビジネスマッチング(注7)などでも優遇しています。


[熊本県]

 熊本県は県内の5市町がモデル事業に選ばれ、5市区の東京都と並んで最も多いのです。熊本県も鳥取県と同様の登録制度を2021年に導入し、1900事業者が取得済みです。先進例を表彰する「くまもとSDGsアワード(注8)」も実施しており、県内の普及を牽引しています。

 

[この項の終りに]

公共政策が専門である慶応大学大学院の高木超特認教授は「地域が独自性を生かし領域を超えた解決策を考える上でSDGsは有効」と強調しています。今年6月に国際組織が発表した年次報告書によりますと、日本のSDGsの進捗度は166カ国中21位でした。気候変動などの対応が課題となり、2017年度の11位から、後退が続きます。目標達成の期限として定められた2030年への折り返し点を迎え、地域による強力な底上げが大いに求められています。日本経済新聞、2023年7月22日の2面(瀬口蔵弘、石黒和宏、国司田拓児)を参照引用して記述。


[まとめ]

この研究報告の執筆で参照引用した2023年7月22日の日本経済新聞2面の記事には、三つの図表が記載されていました。「①自治体(都道府県市町村)の中で政府が認定した「SDGs未来都市」の割合(2018年度~2023年度累計)。」(出所)内閣府。「②「SDGs未来都市」選定数の上位地域。」うち自治体SDGsモデル事業数。

「➂国別達成状況では日本は後退している。」


[図表1]

図表1(注9)では、新聞紙上に日本列島の地図が示されており、「日本においてSDGs未来都市の自治体(都道府県市町村)の中での割合(2018年度~2023年度の累計)」を、青色の濃淡で塗り分けて示してありました。この結果、「自治体におけるSDGs未来都市の割合」が、2018年度~2023年度の累計で、最も多かった地域は、20%以上の地域で、これを色が最も濃い青色に色付けされていました。これが実現できていたのは、1位石川県、2位富山県と鳥取県で、神奈川県と兵庫県がこれに続いていました。

次に増加が進んでいた地域は、「15%以上~20%未満」の地域で、これは新潟県、静岡県、福井県、京都府、岡山県、愛知県、熊本県でした。


現在、全国の多くの地域で「SDGs未来都市」の認定が進められており、今、日本で解決の目途が見えてきていない「人口減少による地域の衰退」を防ぎ、地域を再生する大きな力になっているのです。2023年7月22日の日本経済新聞の2面(瀬口蔵弘、石黒和宏、国司田拓児)を参照引用して記述。


[図表3]

 図表3(注11)は、「国別達成状況では日本は後退している」と題した図表でした。

 この図表の左側縦欄には、国別達成順位1位から50位までが記してあり下欄には、2016年から2023年までの「年」が記してありました。この縦横の交点に、各年の世界各国の達成率の推移を、折れ線グラフで表記して、比較していました。この比較では、最上位にフィンランドとドイツが、常に独走する姿が書かれており、中位に日本の推移が記されていました。日本は、2016年の10位から2023年の20位へと後退しています。一番下に米国があり、30位から40位にかけて低迷していました。


 今、世界中で、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の推進が、急速に進んでいます。日本でも、石川県、富山県,鳥取県、福井県、新潟県、兵庫県などの日本海側の地域を中心に、高い熱意をもった活動が展開されて始めています。各地での地域創生の、とても頼もしい成長が始まっているのです。でも、世界的にみると、どんどん、遅れています。日本は島国で、世界の動きの早さが見えにくいのです。ここで、世界の進化の急激な速度アップに眼を向けて、国の総力をあげて、なんとしても追いつかねばなりません。日本国の未来がとても心配です。



(注2) シェアードサイクルで移動: 英語のシェアドサイクル(shared cycle=自転車)で移動することである。 都市内に設置された複数の駐輪場(サイクルポート)から自転車を借りて利用し、返却する仕組みである。 シェアードサイクルは、いつでも利用でき、どのサイクルポートへも返却できることから、利用の自由度が高い。


起動(の)、始動(の)、開始(の)、立ち上げ(の)、創業(の)、新規事業(の)、新興企業(の)、設立間もないスタートアップとは、急成長をする組織のことであり、組織の規模や設立年数などに関わらず、スタートアップに該当するWindowsのスタートアップとは、Windowsを起動した時に自動でアプリを開くようにする機能であり、自分で自由に設定することができるスタートアップ企業とは、「革新的なアイデアや独自性で社会にインパクトを与える企業」のことであり、ごく短時間のうちに急激な成長とイグジットを狙う。教育のスタートアップとは教育業界におけるスタートアップ。なお、イグジットとは企業や事業に投資した資金を回収し利益を確定すること


(注4) エコビレッジ構想:富山県南砺市での壮大な改革。以下の文献に詳細な報告がある。一読をお薦めする。「南砺市版エコビレッジ事業」の更なる深化 ~域内外へのブランディング強化と 南砺版地域循環共生圏の実装~


(注5) 木質ペレット(Pellet fuel または Wood pellet)とは、原木(丸太)、樹皮、枝葉や製材時に発生する端材、おがくずなどを乾燥させ破砕し、その後に水分量を調節して小粒の棒状に圧縮成型した固形燃料である。 木質バイオマスの一種。


(注6) 南砺幸せ未来基金: 南砺市の豊かで特色ある自然・文化・人・社会資本といった「地域資源」を活かしつつ、次代を担う若者の活気溢れる取り組みや、地域が抱える諸課題解決を目指す人々の取り組みに対し、市民が支える仕組みを構築することで、「未来資本」を創出し、南砺市域の活性化及び循環共生型の社会づくりに資することを目的として設立された基金である。この基金の運営を通し、人と人を繋ぎ、支えあう地域の力を育て、より元気な未来の南砺を実現する。


(注7) ビジネスマッチングとは:企業・団体・個人事業主が、自らの製品やサービスの販路拡大や、新しい取引先を開拓をすることを目的とする供給者に、さらに製品やサービスを求める企業や取り扱いをしたい代理店の商談の場を提供すること。


(注8) くまもとSDGsアワード:SDGsに関する独自の先導的な取組みを行う県内事業者や地域社会に貢献する優れた取組みを行う個人・団体を表彰する制度である。アワードの本来の語は賞品 。競技会やコンテストなどの 名称に用いられることが多い。


(注9) 日本経済新聞2023年7月22日2面に掲載された図表1「自治体(都道府県市町村)の中で政府が認定した「SDGs未来都市」の割合(2018年度~2023年度累計)。」(出所)内閣府。


(注10) 日本経済新聞2023年7月22日2面に掲載された図表2「SDGs未来都市」選定数の上位地域。」うち自治体SDGsモデル事業数。


(注11) 日本経済新聞2023年7月22日2面に掲載された図表3「国別達成状況では日本は後退している。」


[参考資料]

(1)日本経済新聞、2023年7月22日(2面)。

[付記]2023年8月7日:

 
 
 

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