「日本再生]「地域創生」 関東・山梨 働く高齢者増 2023年8月21日 スキルの習得支援 継続雇用 企業に講座も 東京都65歳以上を短期派遣
- honchikojisitenji
- 2023年8月26日
- 読了時間: 7分
続木 碧(つづき あお) 2023年8月(研究報告№078)
「巻頭の一言」
全国的に高齢化が進むなか、65歳以上の仕事をしている割合は、関東・山梨8県でも、急増しています。社会の「生涯現役社会」への移行も顕著です。この地域の「生涯現役社会への推進の推進者は、山梨・栃木・群馬の3県です。日本社会の進化を、常に牽引している東京都は、このテーマに関しては関東・山梨8県で4位です。
「地域創生」関東・山梨 働く高齢者増 スキルの習得支援 継続雇用 企業に講座も 東京都65歳以上を短期派遣
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
「地域創生」関東・山梨 働く高齢者増 スキルの習得支援 継続雇用 企業に講座も 東京都65歳以上を短期派遣
ここでは日本経済新聞の2023年7月29日37面の記事を紹介します。
[はじめに]
65歳以上の働く高齢者は、関東・山梨の8都県でも増加しました。2022年と2012年を比べると、増加幅は栃木、茨城、群馬の北関東で特に高かったのです。自治体は高齢者の就業支援に力を入れており、企業は人手確保のため積極的に高齢者を雇用しています。
[65歳以上の高齢者の雇用に力を入れる]
北関東3県と埼玉・千葉の2県で、和食レストラン、とんかつ専門店をなど複数業態の飲食店を84店展開する板東太郎(茨城県古河市)は、通常の採用活動による店舗人員の確保が難しさを増す中、65歳以上の再雇用に力を入れています。
パート・アルバイトを含む従業員の総数は、現在2364人ですが、このうら65歳以上が13.5%を占めています。70代、80代のスタッフも多く、若い世代と共に会社を支えています。日本経済新聞、2023年7月29日の37面(桜井豪、久保田捁貴、松原礼奈、佐堀万梨咉)を参照引用して記述。
[栃木県]
高齢者の就業促進のため、各自治体は就業支援策を進めています。8都県の中で働く高齢者の増加が最も高かった栃木県は、2019年度から、高齢者の就業を支援する面接会を実施しています。自己分析などを通じて高齢者の就業意欲を引き出すセミナーや、採用する事業者向けに、高齢者が活躍できる職場づくりについて考える場を設けてきました。
こうした事業を通じ、2022年度には多くの高齢者が新たに就業しました。就業先には、今のところ、警備員や施設の清掃スタッフ、介護スタッフなどが多く、パートで働く人が多いと栃木県担当者は言っています。
就業者には、就業後3カ月は月1回程度、電話や対面で話を聞き、新しい職場への定着を支援しています。高齢者が就業について考える背景には、「退職後も社会とのつながりを持ちたい」という気持ちが凄くあるのです。一方、年金だけでは、先々に不安があるという声は多数です。
[茨城県]
茨城県も増加幅は5.3ポイント高かったのです。茨城県は「中高年・シニアに絞った就職面接会」(注1)を、頻繁に開催しています。茨城県の雇用促進対策室は「この企画への参加は、これまで、それほど多くなかったのですが、最近は大分多数集まるようになりました。全年齢層向けの一般面接会よりも多いのです」と言っています。
[東京都]
東京都は、より実践的な支援をしています。高齢者と企業を結びつけるビジネスの一般形であるマッチング(注2)を、「東京キャリア・トライアル65(注3)」と呼んで実施しています。65歳以上の高齢者を対象に、1週間~2カ月の短期間派遣するのです。2022年度は、408人が161社に派遣され、派遣就業後に154人が直接雇用されました。
派遣にあたっては、高齢者向けに新しいスキルの習得の支援や、企業向けに高齢の再雇用に関するサポートもしています。この他にも、55歳以上の中高年者を雇用している企業に継続雇用を促す講座や職場体験などで構成する「東京セカンドキャリア塾(注4)」も開催しています。これは子育ても終り、自分の時間を持てるようになった人々に、再度の就職と、様々なつながりを持てる自己向上の場つくりとして実施しているのです。
[神奈川県]
専門的な知識や技術を活用して行われる「カウンセリング(注5)」を通じてキャリアの選択肢を広げ、就業をサポートしているのが、「シニア・ジョブスタイル・かながわ(ジョブスタ、注6))」です。コロナ禍で、オンラインや電話相談に対応したのが奏功しました。2022年度は7000人の相談を受付ました。
なかでも多いのが「希望の仕事につけない」と言う相談です。自分のキャリアから職種にこだわりを持っている人が多く、仕事が決まらない例が多いのです。このため「セミナーや個別のカウンセリング(注5)」を通じて、自分に合う働き方を見付けさせる努力を重ねました。また、実際にキャリアチェンジした事例も紹介しています。事例として、パソコンのスキルを身につけ、「臨床検査技師」から「窓口業務」に仕事を変えた60代の女性を紹介しています。
また、いつまでも色褪せず輝き続ける「プラチナ」にちなんで名付けた「プラチナ世代専用窓口(注5)」を、2019年に新設しました。この新設は大成功でした。ハローワークとも連携しながら、2022年度だけで、1300人の就業支援をしたのです。ここでは面接のコツや履歴書の書き方などのサポートに加え、取得すると有利な資格を紹介して指導しました。
[まとめ]
高齢者の雇用をさらに幅広い業界に広げるためには、その幅を広げるための、さらなる支援が、当然、必要になります。この改革を広げるためには、その指導者として改革を進める各分野の深い知識とノウハウを、保有した有能な人材を募り集めねばなりません。そして、これにより、全国の都道府県、市区町村の各分野の企業・業界での、意欲と喜びを誘発させねばならないのです。
ここでの人達の喜びは、これまで「求人しても人が集まらなかった」のが、俄かに、多様な人達がつめかけることになったことへの喜びです。また、これは自分の住む地域(都道府県・地区町村)が、見事に復活して、「成長し活性のある」地域に再び生まれ変わることへの喜びでもあります。今、この追い風に乗った人々は、この波に乗って、凄く頑張るでしょう。
ここで立ち遅れた人々は、大きなショックを受けると思います。でも、その人達こそ、この「ショック」を「バネ」にして、手を組んで戦うべきです。逆襲に向うべきです。日本は今は大きなチャンスなのです。ここで、みんなで頑張りましょう。
なお、この地域の「生涯現役社会の推進」において、関東・山梨8県での「働く高齢者の割合の上位3地域」は、山梨県・栃木県・群馬県でした。日本社会の進化を、常に牽引している東京都は、ここでは4位でした。日本経済新聞、2023年7月29日の朝刊に掲載されていた「関東・山梨の働く高齢者の割合(2022年)」と題する表を、以下に記します。
[図表1]
図表1「関東・山梨の働く高齢者の割合(2022年)」
働く高齢者の割合 増加幅
山梨県 30.6% 4.2ポイント
栃木県 27.8 5.6
群馬県 27.5 4.8
東京都 27.3 2.5
茨城県 25.9 5.3
埼玉県 24.6 2.8
神奈川県 23.6 2.9
千葉県 23.4 1.6
(注)増加幅は2012年との比較。
(出所)総務省「就業構造基本調査」。
(注1) いばらぎ中高年・シニア向け就職面接会:茨城県は、中高年・シニアに絞った就職面接会を頻繁に開催している。茨城県の雇用促進対策室は、「これまでは、この企画への参加は、それほど多くなかったのですが、最近は大分多数集まるようになりました。全年齢層向けの一般面接会よりも多いのです」と言っている。
(注2) マッチング: 財やサービスの売り手(供給者)と買い手(需要者)を結びつける(マッチングする)ビジネス一般のこと。マッチング=結びつける。
(注3) 東京キャリア・トライアル65:「培ってきた経験を活かして、まだまだ仕事をしたい」シニアをサポートする東京都の組織。シニアの就業機会拡大を目的として、65歳以上のシニアを、企業に派遣する取組。シニアの人々に派遣先の企業で働くスキルを身に付けてもらい、企業には高齢者を雇用するノウハウを取得してもらう。これにより、働くシニアの活躍の場を広げる。
(注4) 東京セカンドキャリア塾:東京都が65歳以上の方を対象にした取組で、長年勤めた会社から離れたり、子育ても終わり自分の時間がもてる方に再度の就職、横のつながり、自己向上のための場として、東京都が行っている事業。
(注6) シニア・ジョブスタイルかながわ:中高年の人達の様々な働き方を応援するため、多様なニーズに対応した総合相談(キャリアカウンセリング)や再就職支援セミナー、さらに起業・創業、年金・税金、福祉についての専門的な相談を行っている。
(注7) プラチナ世代専用窓口:シニア・ジョブスタイル・かながわでは65歳以上の人に向けて、いつまでも色あせず輝き続けるプラチナにちなんで名づけた「プラチナ世代専用窓口」で、経験豊富なキャリアカウンセラーが話を聞き相談にのる。
(注8) 日本経済新聞2023年7月29日37面に掲載された参考図表「関東・山梨の働く高齢者の割合。(2022年)」。(注)増加幅は2012年と比較。(出所)総務省「就業構造基本調査」。
(1) 日本経済新聞、2023年7月29日(37面)。
[付記]2023年8月21日:
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