都市(人口集中地域)との関係を考える
- honchikojisitenji
- 2023年1月9日
- 読了時間: 3分
伺ったのは、東白川村森林組合さんと株式会社山共さんです。
森林組合さんからは東濃桧の山づくりのお話を聞きました。丁寧に植えて手入れをしていることが東濃桧のブランドを生んでいます。手入れして、育てることで木は違ってくるのです。苗木の時から丁寧に植えられて手入れされた木は木材として使う上で、素性が良く、曲がらずに大きくなり、枝も細く、枯れ枝は落とされ、ブランド物の桧になるのです。桧の産地は色々ありますが、全国的にも高く売れる桧が生産されています。でも、悩みは、ここまで手をかけるコストに見合う価格にならないことです。住宅建築材として桧は重宝されていましたが、特に防火や耐火が求められる都市の住宅の作り方が変わりました。さらに、断熱性・気密性・遮音性などの住まい手のニーズから柱などが壁の中に隠されて、家の構造の縦横に使われている木材が部屋の中から見えず、触れられないつくり(大壁造り)になっています。桧の付加価値の特徴である美しい木目と色合いや香り、つるりとしてそれでも温かい触感を住まい手が感じることがなくなり、柱などの構造材を桧にする都市のニーズが少なくなってしまったのです。ニーズが確実なのは土台と言われるもの。コンクリートの基礎の上に寝かせられて家の底辺を支えている木材です。耐腐朽性や防蟻性に優れている桧の性能に着目したものです。でも付加価値は高くないですね。フローリングも素敵ですが、白めの床が好きな人でないと落ち着かないと言われるかもしれません。
都市の住まい手のニーズが、苗木から木を植え方、手入れの仕方も変えていかなくちゃならないのかもと感じました。でも、いったん植えると40年から50年は植えた木を別のものになかなか変えられないのが困った点です。都市側の変化の速さについていけないですね。
山共さんはそんな東濃桧のふるさとの地域でスギを挽いている製材所です。周りの人と違うことをするのも商売の秘訣。桧と同様、丁寧に植えて育てられたスギは、他の地域に勝るスギなのでしょうか、名古屋、東京といった都市圏で使われているそうです。昔ながらの製材所という感じを受けましたが、製材品はとても美しく、素敵なものが出来上がっていました。
そんな都市のニーズに敏感になった社長の田口さんが始めたのが、キャンプや森に入って静かに時間を過ごしたいという都市の人たち向けの森のレンタルです。このような方法で、都市の人からお金を稼いでいます。

一昨年辺りからソロキャンプという言葉が流行り、森林の売買の話題になりましたが、買った後どうするのか買う方も周りも心配していたところ、この商売に気づいた途端、森の時間からすれば、あっという間に広まっています。追随する業者さんも増えてきました。
とにかく、お金を使ってくれる力があるのは都市の住民です。人口としてもそうですし、所得も高い方の絶対数が多いわけです。都市とのつながりなくしては、山村は自給自足で生きていくしかならなくなります。人口は減っていきます。東白川村は主として東濃桧と白川茶を都市に売ってきました。しかし、今、桧やお茶がなかなか買ってもらえない時代です。地域の創生を考える際に、近隣なのか遠隔なのかは別として、とにかく都市との関係をどう結ぶのか、道路だけでなくインターネットという文明の利器をうまく使って考えていくことがヒントになると思います。地方創生は、都市から稼いだお金を地域に投資してその動きを持続させることで初めて成り立つものと思わざるを得ません。
1月9日 成人の日


コメント