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[日本再生]農業の生産性各地で活性化(その1) 2022年10月27日 1ヘクタール産出額 群馬3割増 山梨も急増

  • honchikojisitenji
  • 2022年10月28日
  • 読了時間: 5分

続木 碧(つづき あお) 2022年10月(研究報告№006)

☆巻頭の一言 

面積あたりの農業産出額が大きい「稼ぐ農地」への転換が群馬県や山梨県で進んできました。担い手が減り耕作放棄地も広がる農業を再活性化するには、収益性を高める努力が欠かせないのです。上位県はカット野菜向け生産を拡大するなど、世の中の変化に柔軟に対応し、価格競争に負けない産品への切り替えを進めています。ここでは、わが国の希望に満ちた農業進化の急展開について報告します。

  

[高付加価値転作進む]

[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

 農業の生産性 各地で急拡大 1ヘクタールの産出額 群馬3割増 山梨も大幅増

ここでは日本経済新聞の2022年7月30日の1面記事を紹介します。

[はじめに]

ここで日経は、耕地1ヘクタールあたりの農業産出額を都道府県別に算出し、2005年から2020年にかけての増減率を比べています。最も向上したのは群馬県で、全国集計を22.5ポイント上回り31.6%増となりました。山梨県が29.0%増、長野県が26.7%増で続きました。


[群馬県]

群馬県では、JA邑楽館林(館林市)が、農家の経営安定性を高めるため、キャベツの契約生産に注力しました。消費が減る米や麦に代えて2016年度から業務用や個食拡大で需要が増すカット野菜向けを拡大しました。

通常の生産と異なり大きさを選別する手間がなく、出荷用の段ボールなどを用意する必要もありません。生産コストの低減に加え、定額で買い取られるため安定収入にもつながり、若い農家を中心に転作が進みました。栽培面積は2021年度までの5年間で4倍に増えました。

館林市は、比較的温暖な気候を生かして冬場にキャベツを生産します。一方、以前からの一大産地である高冷地の嬬恋村は、夏場が出荷のピークとなります。県内15のJAなどで構成するJAグループ群馬は、こうした「時間差」も活用した通年出荷の確立を目指し、他産地でもキャベツ生産を推進しました。県全体の作付面積は2015年から2020年にかけて2割拡大しました。


[山梨県]

山梨県は、特産品のブドウを高付加価値な品種に切り換えました。JA全農やまなしによりますと、2010年代半ばから単価の高いシャインマスカットを増やし始め、2018年に販売額、2020年には出荷量で巨峰を抜き品種別のトップになりました。甘く皮ごと食べられることで人気を集め、大田市場(東京・大田)での2021年取引価格は、1キログラム当たり平均2094円と、巨峰の1.7倍の水準になりました。

全国では、農業の担い手が減り続けています。1950年に600万戸を超えていた総農家数は、2020年に147万戸まで落ち込み、2015年から2019年までの直近の5年でも、40万戸減少しました。果樹園・牧草地を含む畑と田圃を合わせた耕地面積も、1960年から2020年にかけて28%減りました。

山梨県では、品種を転換することで、高齢化による生産量減少の悪影響を緩和します。県全体のブドウの生産量は、栽培面積の減少により、この12年間で2割減ったにもかかわらず、高単価品種へのシフトによって、生産額は68%増加しました。

県は土地の収益性をさらに高めるため、温度や日射量などのデータを農業に生かそうと、県果樹試験場で研究を進めています。県農政部は、「シャインマスカットの単位面積当たり収穫量を、今後3年で2倍にする」という目標を掲げています。


[山形県]

米産地は需要減が響いていますが、新たなブランド米が産出額を下支えしている地域もあります。2010年に「つや姫」の本格販売を始めた山形県は、収益性の改善率が、全国4位になりました。有機栽培など基準を満たす農家に生産を限定して品質管理を徹底し、ブランド力を高めました。農林水産省が発表した2022年4月の相対価格は、新潟県魚沼産コシヒカリに次いで2位につけました。

併せて高価格帯の果実生産にも注力し、代表格のサクランボでは、500円玉ほどの大きさの新品種「やまがた紅玉」を今春初出荷しました。既存の佐藤錦と紅秀峰の合間を埋める6月下旬が収穫のピークとなり6月中旬から7月上旬まで継続してサクランボを出荷できる体制を整えました。(参考資料1、2022年7月30日の日本経済新聞の1面(桜木浩巳、本田幸久、松永高幸、増渕稔)を参照引用して記述)


[まとめ]

 この研究報告の執筆で参照引用した、2022年7月30日の日本経済新聞の記事には、三つの図表が掲載されていました。①群馬・山梨などは農業生産性が大きく改善。(図表1、注1)。②日本の農業産出額は2010年以降盛り返す(図表2、注2)。③野菜や米、果実で、2020年の農業産出額の半分を超える(図表3、注3)。


図表1は、この新聞紙上に、日本列島の地図が示してあり、各都道府県における農業生産性の推移を示す「収益性増減率」が、緑色の濃淡で塗り分けてありました。収益性増加率が一番高い(30%以上)地域は、群馬県でした。

次に増加率が高い(20%以上~30%未満)地域は、山梨県を筆頭に、北から北海道、青森県、山形県、和歌山県、岡山県、広島県、長崎県、徳島県、鹿児島県でした。そして、その他の地域は、農業生産収益性の増加率が低い(20%未満)か、減少していました。全国で減少している地域が19ありました。


 図表2には、1960年から2020年までの間の農業生産額を棒グラフで示してありました。これを一目で見ますと、1960年の農業産出額2兆円から、1980年頃の100兆円超に至るまで、右肩上がりに、農業産出額が急増しています。そして、1980年ごろから1995年頃までが頂点です。この後、2010年までゆるやかな右肩下がりの産出額減少時代が続いています。そして、2010年に到って、ようやく増加体制を回復したのです。


 図表3には、野菜・米・果実・畜産などに分けた農業生産額の円グラフが書かれていました。一番多いのは野菜(2兆2520億円)で全体の1/4位です。次いで米(1兆6431億円)で、その次は果実(8741億円)でした。この3品目で全体の半分を超えています。畜産は全体の1/3位です。日本の農業産出額は、この4品目で全体の85%を超えています。日本の農業は、これが大半を占めているということです。


(注1) 日本経済新聞、2022年7月30日(1面)に掲載された図表「①群馬・山梨などは農業生産性が大きく改善(収益性増減率)」。(注記)耕地1ヘクタールあたりの都道府県別農業算出額について、2005年から2020年への増減率を算出。(出所)農水省の作物統計調査、生産農業所得統計から作成。

(注2) 日本経済新聞、2022年7月30日(1面)に掲載された図表「②日本の農業産出額は2010年以降盛り返す」。(注記)1975年以前は沖縄県を含まない。(出所)農水省の生産農業所得統計。

(注3) 日本経済新聞、2022年7月30日(1面)に掲載された図表「③野菜や米、果実で、2020年の農業産出額の半分を超える」。(出所)農水省の生産農業所得統計。


[参考資料]

(1) 日本経済新聞、2022年7月30日(1面)。


[付記]2022年10月27日。

 
 
 

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