[日本再生]若年女性比 143の市町村で上昇 2022年11月21日移住・就職一体受け入れ 15歳~29歳 長野県根羽村が首位
- honchikojisitenji
- 2022年11月22日
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続木 碧(つづき あお) 2022年11月(研究報告№014)
☆巻頭の一言
女性の流出に悩む地域で、15歳~29歳の男女の中での女性の比率を増大させる地域が増え始めました。これは大変喜ばしい兆候です。人口減少の解消について先が見えない、わが国にとって期待できる兆候です。国を上げて、国民をあげて、この風を後押ししていかねばなりません。
[若年女性比が143の市町村で上昇進む]
[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]
[若年女性比 143の市町村で上昇 移住・就職一体受け入れ 15歳~29歳 長野県羽根村が首位]
ここでは日本経済新聞の2022年8月27日の2面記事を紹介します。
[はじめに]
日本経済新聞は、以下のように書いています。女性の継続的な流出に悩む43道府県のうち、134市町村で、15~29歳の若年女性比率が改善しました。職場づくりや子育て環境の充実に取り組んだ結果、流出に一定の歯止めをかけ、移住者獲得にもつなげました。持続的発展には、若い女性は欠かせないのです。
[2期以上連続で若年女性が増えた都府県]
日本経済新聞は、国勢調査を使って、都道府県別に15~29歳の男女の人数を抽出し、女性の割合を算出しました。2010年~2015年、2015年~2020年と2期以上連続して、若年女性の割合が上昇したのは、東京都(2020年の女性比率49.9%)、大阪府(50.2%)、埼玉県(49.0%)神奈川県(48.6%)の4都府県のみでした。
東京は、1975年~1980年から9期連続、大阪は7期連続、埼玉・神奈川は3期連続で、若年女性が育った地域を離れ大都市圏に集まる構図が鮮明となりました。
[2期以上連続で若年女性が増えた市区町村]
一方、2期以上連続して女性の割合が上昇した市区町村は210ありました。東京・大阪・埼玉・神奈川の4都府県以外の地域にも、連続して高めた市区町村が143ありました。
[長野県]
女性の割合が最も高かった市区町村は、人口855人の長野県根羽村でした。若年女性は2020年に38人と2015年比で6人増え、割合も56.7%で2010年の40.8%から2期連続で上昇しました。今春、役場に就職した2人の女性も村外からの移住者で村が森林組合や農業法人、道の駅、食品工場などと連携して、移住と就職を一体で受け入れる体制を整えてきたことが成功したのです。
大久保憲一村長は「若者が住みたい思う環境を整えて行くことが重要」と話しています。2020年4月には、村立の中小一貫校「根羽学園」が開校し、家賃無料と生活費の月額補助を前提に、愛知県安城市から母子の移住を受け入れました。少人数教育が受けられるのに加え、民間と連携して山登りなどの体験型の放課後教室まで視野に入れた学習塾も整えました。それで応募が相次いだのです。
一連の施策は、若年女性を呼び込むだけでなく、男女を問わず幅広い世代を呼び込むことにつながっており、2021年の総人口は、前年より10人増え、1955年以降の減少に歯止めをかけました。人口が増える地域の人から見れば、増えた人は、たったの10人ですが、人口が減り続けてきた地域では、一人増えてても感激の1人なのです。
[徳島県]
人口464人の徳島県神山町も若年女性割合が2000年の44.2%から4期連続で上昇し、50.3%になりました。若年女性人口は160人で、1980年以降で初めて男性158人を上回ったのです。町の人口は10%を上回るペースで4期連続で減少していますが、IT企業向けのサテライトオフィスやコワーキングスペースを整備して雇用を生み出すなど、将来不安を取り除くことに注力し、流出の抑制につなげました。
[富山県]
地方では、女性流出への危機感が強いのです。2015年~2020年の若年女性割合の低下が0.8ポイントと大きい富山県は、2021年に多彩な人材が生き生きと暮らせる街を目指す「ウェルビーイング先進地域 富山」を打ち出しました。
富山県では、2015年~2020年に総人口が3万人減少しました。特に女性が流出しているとして、有識者会合で「50年で15歳~44歳がゼロになる」と試算し共有しました。背景として「女性に社会的な抑圧が残り、活躍するロールモデル(注1)が少ない(目標にする人が少ない)」と分析したのです。そして女性経営者の育成に取り組みました。
[鳥取県]
鳥取県では2018年から、「輝く女性とっとり」と題して、会社員や公務員など県内で活躍する女性のロールモデル(注1)を選定し情報発信を始めました。この結果、2015年~2020年に、若手女性の割合が上昇した11都府県のひとつとなり、0.6ポイント改善しました。上昇幅は、神奈川県、東京都に次いで3番目の大きさになったのです。鳥取県の女性は、全国3位の「輝く女性」に輝いたのです。(参考資料1、2022年8月27日の日本経済新聞の2面(桜井裕介、国司田拓児、塚越慎哉)を参照引用して記述)
[まとめ]
この研究報告の執筆で参照引用した、2022年8月27日の日本経済新聞の記事には、三つの図表が掲載されていました。①若手女性割合の都道府県増減 2020年(図表1、注2)。②若手女性割合が継続的に上昇している都道府県(図表2、注3)。③若手女性割合が継続的に上昇して高い、主な市町村(図表3、注4)。
図表1は、この新聞紙上に、日本列島の地図が示してありました。各都道府県における15歳~29歳の男女の、女性比率の増減率(2020年の女性比率の2015年比での増減の値)が、これに色分けして示してありました。この女性比率が、一番増えたのが(0.4ポイント以上増の)東京都、埼玉県、神奈川県、鳥取県の4都県でした。次に増えたのは(0ポイント以上増の)、千葉県、宮城県、愛知県、大阪府、兵庫県、山口県、福岡県の7府県でした。この内、東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県、千葉県は、日本の大都市であり、地方都市からの流入が絶えない地域でした。一方、鳥取県の躍進が目立ちます。その他の地域では宮城県、愛知県、兵庫県、山口県、福岡県が頑張っています。これらの各県の若い女性の増加が、日本での今後の人口増加を牽引してくれるだろうと期待されます。
次に減少組の中で、微減のグループに、もう一頑張りを期待したいのです。このグループは、次回の調査では、微減から増加に転じていてもらいたいのです。このグループには、北海道、岩手県、福島県、群馬県、石川県、京都府、奈良県、広島県、徳島県、佐賀県、熊本県、沖縄県の12道府県が入っています。この23(4+7+12)都道府県が増加組になって先導者になってくれれば、ようやく日本国も、「若年女性の増加に向って走り始めた国」と言うことが出来ると思います。
そうなれば私は、遠からず「日本の人口減少が、人口微増に転ずる日」がくるのを、具体的に期待できるときがくると信じています。
図表2には、若手女性の割合が、継続的に上昇している都府県が棒グラフで示してありました。これは以下です。
図表2 若手女性割合が継続的に上昇している都府県
都府県名 継続期間
(1) 東京都 9(期)
(2) 大阪府 7
(3) 埼玉県 3
(4) 神奈川県 3
(5) 宮城県 1
(6) 千葉県 1
(7) 愛知県 1
(8) 兵庫県 1
(9) 鳥取県 1
(10) 山口県 1
(11) 福岡県 1
ここに記した11都府県の内、7県は、2022年に初めて連続進化を経験した新入生なのです。日本の現状は、ようやく、新しいメンバーが増えはじめた時なのです。その意味で、今が、本当に大事な時なのです。
図表3には、「若手男女中の女性割合が、継続的に上昇して高い 主な市町村」が10カ所、表に列記さていました。それは以下です。
図表3 若手女性割合が継続的に上昇して高い 主な市町村
全国の順位 市町村名 若年女性の割合 連続上昇の期数
(1) 長野県根羽村 56.7% 2期
(2) 北海道初山別村 56.4 2
(3) 鹿児島県垂水市 55.0 4
(4) 三重県紀宝町 54.5 3
(5) 鹿児島県いちき串木野市 54.5 3
(6) 和歌山県太地町 54.2 2
(22)山形県西川町 52.6 3
(26)島根県海士町 52.4 3
(82)徳島県神山町 50.3 4
[注記]5年に1度の国勢調査から算出した若年女性割合が2022年まで連続上昇している期数を数えた。同じ値は小数点第2位以下で順位付け。
ところで、この一覧表を見ていますと、興味あることに気がつきました。この表の中に登場する市町村が属する都道府県は、先に期待した23都道府県とは別物なのです。
すなわち、この表で登場した長野県、北海道、鹿児島県、三重県、和歌山県、山形県、島根県、徳島県の8道県は、さきに期待した23都道府県とは違う存在なのです。(重複するのは徳島県1県のみ)
すなわち、「若年女性の増加に向って走りはじめた活動の先導者である」と、私が先に述べた23都道府県(東京都、埼玉県、神奈川県、鳥取県、千葉県、宮城県、愛知県、大阪府、兵庫県、山口県、福岡県、北海道、岩手県、福島県、群馬県、石川県、京都府、奈良県、広島県、徳島県、佐賀県、熊本県、沖縄県)とは、合致しないのです。
このことから、私は、以下のように推測しました。
(1) この表に出ている先進的な活動をしている市町村は、所属している自治体(県)が、女性を増やす活動で、一歩も二歩も遅れているので、極めて強い危機感を持っており、強い決意でこの「女性を増やす活動」をおこなっています。
(2) したがって、これらの市町村は、今後も、市町村の生き残りをかけて、必死に活動を進めていくと思います。多分、若い女性を増やし続けて行くでしょう。
結局、全国に散らばっている、この小さな「市町村」の存在が極めて重要なのです。ここで参照引用した2022年8月22日の日経記事は、2期以上連続して女性割合が上昇した市町村は、全国で210あると報告しています。その内、東京、大阪、埼玉、神奈川以外でも143あると言っています。この143を大事にしなければならないのです。これを良く調べて応援する一大国民運動を、立ち上げる必要があります。(参考資料1、2022年8月27日の日本経済新聞の2面(桜井裕介、国司田拓児、塚越慎哉)を参照引用して記述)
(注1) ロールモデル:具体的な行動や考えを学習・模倣する対象となる人物のこと。
(注2) 日本経済新聞、2022年8月27日(2面)に掲載された図表「①若手女性割合の都道府県増減」。(注記)15歳~29歳の男女計人口のうち、女性の割合を国勢調査から算出。2015年比増減ポイント。▲はマイナス。
(注3) 日本経済新聞、2022年8月27日(2面)に掲載された図表「②若手女性割合が継続的に上昇している都府県」。(注記)5年に1度の国勢調査から算出した若年女性割合が2022年まで連続上昇している期数を数えた。同じ値は小数点第2位以下で順位付け。
(注4) 日本経済新聞、2022年8月27日(2面)に掲載された図表「③若手女性割合が継続的に上昇して高い 主な市町村」。(注記)注3と同じ。
[参考資料]
(1) 日本経済新聞、2022年8月27日(2面)。
[付記]2022年11月21日。


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