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[日本再生]日本は縮む国から脱出できるのか(その1) 2022年10月14日  縮む国「人材投資」で復活

  • honchikojisitenji
  • 2022年10月15日
  • 読了時間: 5分

続木 碧(つづき あお) 2022年10月(研究報告№003)

☆巻頭の一言 

日本は現在縮みつつある国家です。未来に向けて縮みつつあると思いますが、国家として立派に生存していく目標があるのでしょうか。私は全く不十分だと思います。早急に真剣に考えねば、遠からず、消滅の危機を迎えるでしょう。ここでは、この大問題についての研究報告を述べます。

  

[緒言]

[スウェーデンを動かした90年前の教訓 家庭への支援 日本の2倍」


[調査研究報告本文(新聞記事紹介文)]

 [縮む国「人材投資で」で復活]

ここでは日本経済新聞の2022年7月26日の1面記事を紹介します。

[はじめに]

ウクライナ侵攻で、長年維持してきた軍事的な中立政策を転換したスウェーデン。実はスウェーデンは以前にも大きな変換をしたことがあるのです。世界有数の高福祉国家へカジを切った原点は、出生数の急減で「国民がいなくなる」とまでいわれた1930年代の人口危機でした。


まず、スウェーデンの子育ての現実から、お話しします。ストックホルム近郊に住む高校教師パスカル・オリビエさん(49)は、4人の父親です。子育てのため計3年の育児休暇を取得しました。「手続きも柔軟で非常に簡単だった」のです。

スウェーデンでは、子供が8歳になるまで、両親は二人合計で480日の有給育児休暇をとることができるのです。オリビエさんが480日の6割を、残りを妻が取得しました。スウェーデンは、国の子育て支援が凄いのです。


[本文]

[スウェーデンの歩いた道]

スウェーデンが社会保障の先進国になったのには、90年前の貴重な経験があるのです。19世紀以降に「多産多死」から「少産少死」への転換が進み、スウェーデンの出生率は大恐慌ころ、当時の世界最低水準ともいわれた1.7程度まで落ち込みました。この国の進路を変えたのが、ノーベル賞経済学者グンナー・ミュルダールでした。

当時の世論は二分していました。「女性の自由を制限してでも人口増につなげるべきだ」「人口減は人々の生活水準を高めるので歓迎だ」の二論です。ミュルダールは、どちらの主張も批判し、出生減は「個人の責任ではなく社会構造の問題」であると喝破しました。

人口減に警鐘を鳴らした1934年のミュルダールの妻との共著「人口問題の危機」の出版を機に、スウェーデン政府は、人口問題の委員会を立ち上げミュルダールも参加しました。1938年までの4年間で、17の報告書をつくり、女性や子育て世帯の支援法が相次ぎ成立しました。これがスウェーデンモデルと呼ばれる社会保障制度の基盤となったのです。

それから40年を経て1974年には、世界で初めて男性も参加できる育休中の所得補償「両親保険」が誕生しました。妊娠手当、子ども手当などの支援は手厚く、大学までの授業料や出産費も無料です。育児給付金は育休前の収入の原則8割です。


前出のオリビエさんは「税負担は重いのですが、充分な恩恵は得られます」と述べています。


スウェーデンの現状は、女性の就業率は高く、現政権の閣僚も、半数が女性です。家族支援のための社会支出は、国内総生産(GDP、注1)比で3.4%で、米国(0.6%)や日本(1.7%)を遥かにしのぎます。

でも、この「90年の大計」をもってしても、少子化に対抗するのは容易ではありません。それでも、少子化対策は未来への投資です。ミュルダールは、特に若い層向けの福祉政策を「人的資本」の投資ととらえ、生産性を高める経済政策を兼ねると考えました。この理念は、今も世界の識者の多くが、中心に置いてる考え方だろうと私は感じています。


[スウェーデンと同じく1930年代に出生率が低下した国の明暗は分かれている]

[イタリア]

ローマ教皇フランシスコは2020年末に、「子どもを産まないか、一人で良いと考える夫婦が増えているのは悲劇だ」と少子化が進むイタリアに強い警戒感を示しました。

イタリアでは1922年~1943年のファシスト体制が、人口増による国力拡大を掲げて出産を奨励しました。その反動で人口増加政策が取りにくくなったとされています。2020年の出生数は40万4892人と史上最少になりました。イタリア政府は21歳までに最大175ユーロ(約2万4千円)を支給する子ども手当の導入を決めましたが、出遅れになったことは否めません。


[フランスとドイツ]

スウェーデンと並んで成功例とされるのは、フランスです。フランスは100年以上の悲願であった人口の再逆転を、今世紀中に達成する見通しです。フランスは19世紀前半にドイツに人口逆転を許し、19世紀後半の普仏戦争敗北は「人口で負けたからだ」との危機感が深くしみついていました。それでフランスは、「仕事と家庭の両立」を軸に社会制度を大きく見直して改革してきました。これで国の社会補償は、大きく前進したのです。

一方、ドイツは立ち遅れています。ドイツには「子どもの面倒を見るのは母親だ」と言う保守的な家族観が、まだ、色濃く残っているのです。(参考資料1、2022年7月26日の日本経済新聞の1面を参照引用して記述)


[まとめ]

 日本は戦後、新しい国作りを始めた時、目指したのは福祉国家でした。その、大目標はスウェーデンでした。ここで、紹介した記事で、スウェーデンが40年かけて築いてきた福祉国家の凄さが良くわかりました。

 日本は未来に向けてその凄いところを、一つずつ学んで身につけて行かねばならないのです。この研究報告は、これからの日本の福祉国家構築の貴重な指針となると思います。


(注1)国内総生産(略称、GDP:gross domestic product):一定期間内に国内で産み出された物やサービスの付加価値の合計のことである。その国内領土に居住する経済主体を基準にした数値で「居住者たる生産者による国内生産活動の結果、生み出された付加価値の総額をいう。」


[参考資料]

(1) 日本経済新聞、2022年7月26日(1面)。


[付記]2022年10月14日。

 
 
 

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